アクションラーニングとは?導入のメリット・デメリット、進め方まで解説

あなたの会社の現場で何らかの問題が生じても、これまで蓄積した方法で現場がうまく対処することも多いでしょう。

これはとても安心できる状況ですが、直面したことのない重大な問題が生じたとき、どのような備えをしているでしょうか。

そのカギとなるのは人材です。

しかも、問題解決能力を持つ優秀な人材がどれほどいるかによって、生じている重大な問題が解決するかが変わります。

とはいえ、そんな人材をどうやって育成したら良いのでしょう?

よく耳にする「アクションラーニング」では、問題解決能力に優れたリーダーを長期的な養成にとても有効だと言われています。

この記事では、アクションラーニングとは何なのか、どんな内容なのか、またメリットとデメリとを紹介していきます。

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アクションラーニングとは?

アクションラーニングとは、組織で現実に生じた具合的な問題に対して、グループによって問題を解決する計画を作成するという方式の学習方法、または人材育成方法です。

グループによる解決策の検討において、現場から得られる情報の分析と検証を繰り返し、メンバーは互いに自由に仮説や疑問を出し合いながら議論し、問題の本質を掘り下げながら進められます。

そして最終的に、問題に対して自分たちが最も有効と考える解決方法を打ち出すのです。

なぜアクションラーニングが注目されているのか?

かつては、ある問題が生じても、現場単位での問題解決を試みることで済んでいました。

しかし、社会が求めるニーズが目まぐるしく変化する環境では、他者と差別化を図り競争力を高めることで市場ニーズに応えようとする企業にも、やはり変化が求められます。

ただ、旧来の教育によって成長した人材では、最新の動向を踏まえて事業を変革させることに限界があると言わざるを得ません。

なぜならば、ここで企業に求められている変化とは、組織において日々生じる多種多様な問題を解決する能力を持つ人材を育て上げることだからです。

そして、その教育に当たって用いるべき問題は、組織のあらゆる部門で現実に発生する生の問題である必要があり、方法論のみではなく、現実の問題を解決する能力を醸成する必要ががあります。

そこで、アクションラーニングへの注目が高まっているわけです。

アクションラーニングを導入するメリット・デメリット

では、アクションラーニングを導入することによるメリットとデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

これを踏まえず、世間で流行しているからといった程度の動機でアクションラーニングを導入してしまうなら、必ず組織内で深刻な混乱を招くことでしょう。

ですから、以下に紹介するメリットとデメリットを押さえた上で、その導入を検討することにしましょう。

  • アクションラーニングを導入するメリット
  • アクションラーニングを導入するデメリット

アクションラーニングを導入するメリット

アクションラーニングでは現実に生じた問題をテーマとして扱います。

そのため、グループ内の各社員がそれまで自ら学んできたビジネスや経営に関する教養だけで乗り切ることは困難です。

そこで、各自が持つノウハウだけでは解決し切れない生の問題を解決するため各人は、必要な知見を自発的に学び、情報を積極的に収集し、方法論を取りまとめるべく活動します。

これにより、様々な場面で発生する可能性のある問題に直面した際でも「解決するためのベストな方法を探る」問題解決能力を養うことができます。

また、グループでの交流や建設的な質疑応答により、問題を掘り下げて考える思考力が養われると同時に、現実の現場の問題を扱うことによりモチベーションが非常に高まるというメリットもあります。

アクションラーニングを導入するデメリット

しかし、アクションラーニングに伴う悪影響やデメリットも指摘されています。

その代表が、アクションラーニングによる成果が現れるためには長い期間が必要であるということです。

そもそもアクションラーニングは、その成果が一朝一夕で身に付くものではなく、「継続学習」を前提としたものです。そして、現場に応用できる人材が場数を踏んでさらに学習し、リーダー的な存在となっていくことを意図したものであるため、即効性を期待することは困難です。

別のデメリットとして挙げられるのが、推進単位であるグループで生じる問題です。

アクションラーニングにおける話し合いを主導すべきリーダー(コーチ)が十分なスキルを持っていないと、その場は単に受講者が集まって方向性のない議論が行われることになり、成果を生み出せないことになります。

また、受講者の自発性が低く、互いに行う質疑応答や議論が活性化しない恐れも十分にあり得ることで、ひいては、メンバーが集まり合うための調整がうまくいかず、いつの間にかアクションラーニングそのものがたち消えてしまうリスクもあります。

アクションラーニングの進め方

アクションラーニングは次の手順で進められます。

  • 問題・事例に関する認識の共有
  • 目標の設定
  • 教訓を踏まえた施策の実施と振り返り(リフレクション)

問題・事例に関する認識の共有

まずは、会社や現場で生じている問題や事例を、メンバー同士が質問し合うことによって、実際にあったことの中から選び出します。

例えば、ある業務の現場における手順について、あるメンバーが問題であると感じたこと、なぜそうなったのかをメンバーで話し合います。そして、議論の結果、その手順において、どんな点に問題が隠れていたのかが見えてきます。

メンバーたちが会って話さなかった時点では、思いつくこともできなかったであろう、この問題意識をメンバーで共有します。

目標の設定

このような問題意識の共有の延長線上に目標の設定があります。

例えば、メンバーで今日うした問題について、「こうすれば良いんじゃないか」「こんな変化を加えてみればもっと上手くいく」などという教訓が出てきます。

そして、このこの教訓をメンバーそれぞれの業務現場に適応していくとどうか考え、問題を抽出します。するときっと「自分の現場の業務でも、こうすれば問題が解決するはずだ」と想定することが可能となります。

こうして導き出した教訓を目標として設定します。

教訓を踏まえた施策の実施と振り返り(リフレクション)

そして、目標として設定した目標を達成する計画をメンバーそれぞれが実行します。

メンバーが集まった際に、その実施結果がどうだったかを報告し合い、実施した結果についての評価を取りまとめます。

この結果に応じて施策を見直し、次のアクションに繋げることができます。

これは施策の評価のためだけでなく、メンバー相互の議論が深まり、多くを学ぶことができるようになります。

施策の結果、何が本質的な問題だったのかという視点でも得るところの多いものとなるでしょう。

そして、成果をもたらすアクションラーニングには、次の6つの構成要素が必要となります。

  • 問題
  • チーム
  • 質問と振り返り
  • 行動
  • 学習に対するコミットメント
  • アクションラーニングコーチ

問題

この問題とは、進め方における問題とほぼ同じ意味で、実際に生じていることの解決を目指し、メンバーや組織が抱えている問題を持ち寄り、そして互いの議論により本質的な問題を掘り当て、共有します。重要なのは、メンバーが忌憚なく意見を述べ合うことで、ときには関係なく見える問題や、両立しないような問題について理解が進み、共通した問題意識を共有することができます。

チーム

問題提起したチームや、各分野から集められた4人から8人ほどのメンバーがチームを構成します。チームの人数が少人数であることで、それぞれの自発性を維持することができ、またメンバー自身が自分の発言や行動に責任を持つことができます。そうして、メンバー同士の議論が活性化されることが期待できるのです。

質問と振り返り

質問がなければ、このグループワークには何の意味もないでしょう。質問に対する振り返りにより議論が活性化し、理解が深まっていくのです。そして目標として据える事柄を導くことが可能となります。また、この質問と返答の繰り返しは、メンバー自身の思考整理の能力を高める助けにもなるでしょう。

行動

目標として定めたことを解決するための施策を実際の現場で行動に移します。そして、結果をグループに持ち帰り、評価を取りまとめ、次に予定している行動に見直しを加えます。
行動は自発的に行い、この行動によっても、問題に対峙した際の行動様式について教訓を得ることもできます。

学習に対するコミットメント

アクションラーニングは、現場での実践(行動)と、それ以外の場での議論の繰り返しで成り立つものです。その中でメンバーは気付きや学びを獲得し長期戦に対応する力をつけていきます。
ですから、メンバーがアクションラーニングの学習に対して強くコミットし、常に責任をもった参加することが重要な要素です。

アクションラーニングコーチ

アクションラーニングを行う際には、学習プロセスの進捗を管理し、メンバーの話し合いを効率的に進めるためのスキルを持っているアクティブラーニングコーチが必要です。アクションラーニングの方法を深く理解している指導者が参加していなければなりません。

アクションラーニングの事例

主に企業の研修として行われるアクションラーニングについては、その運営方法や効果に熟知している研修教育を専門とする会社があり、これまでたくさんのアクションラーニングを実施し、多くの成功事例を残しています。

ここでは、今後に役立つ事例の一部をご紹介します。

以下に紹介した事例は、いずれも「NPO法人 日本アクションラーニング協会」による導入事例です。
(出典:http://www.jial.or.jp/case/)

  • 野村證券株式会社 支店長研修
  • 立教大学経営学部 ビジネス・リーダーシップ・プログラム
  • トヨタ自動車 レクサス理念浸透プログラム

野村證券株式会社 支店長研修

■ 目的
自分の考えを押し付けがちな社内のコミュニケーションスタイルの改善
会社の目指す「自立型人材」につながる人材育成
チームの関係改善
■ 特徴
国内営業部門の支店長対象の研修に導入
業務課題の解決のために、自分が取り組みたい課題や変革ポイントを明確化
成し遂げたいことの実現のために、「考えて行動すること」を促進する手法を体感
■ 効果
支店長研修の内容を統合できた
自己マネジメントスタイルを見つめ直すきっかけになった
支店長が抱える問題意識が明確になった
■ 受講者の声
質問を受けること原因がどんどん深堀りされた。
質問に答えていると最後に自分の口から答えが出てくるのは、手品のようだった。

立教大学経営学部 ビジネス・リーダーシップ・プログラム

■ 目的
立教大学経営学部のリーダーシップとスキル開発を目指すビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)を運営する教員とスチューデントアシスタント(SA)のスキル向上
■ 特徴
協会によるボランティアALコーチ派遣
学内研修に教員と学生が参加
学生が問題提示者になる場合、ALコーチが問題を事前に吟味
■ 学生の声
適切で論理的な質問であれば、相手が誰であっても話を進められることがわかった。以後は、他分野の方や目上の方にも臆さずに接することができるようになった。
質問をされているうちに、思考が整理されていることがわかった。
SAとして「質問会議」に携わってみると、自分の問題が自分だけの問題ではなくなり、他人の問題が他人ごとではなくなると感じた。

トヨタ自動車 レクサス理念浸透プログラム

■ 目的
ブランドの体現者であるゼネラルマネージャー(店長)創り出す(伝道者育成):ブランド理念の浸透
支援型リーダーシップの修得
横断型サポート意識をもったチームの育成
■ 効果
理念浸透:ブランドの理解が深まる
統合:他の研修モジュールを含めた統合が図られる
レクサスプロジェクトのゼネラルマネージャー(店長)としてふさわしい支援型リーダーシップ能力育成:行動変容が生じた
ブランド理念の伝達者育成:ゼネラルマネージャー(店長)一人一人が自らの言葉で「ブランド」を語るスタンスを構築
全国のゼネラルマネージャー(店長)によるチームの構築
■ 受講者の声
メンバーを取り巻く環境は異なるが「同志」という共通認識と仲間意識を、より一層強く感じた。
相手を知るためには“聴く”ということの重要性をより認識した。
相手のことを理解できなければ質問はできない、質問ができなければ共通の認識・理解は深められないということが理解できた。
自分だけの目線には、偏りが生じやすく、多面性的な物事の捉え方や判断ができにくいということが、他のメンバーを観ることで痛いほどわかるのに、なかなか、他人の考えを受け入れられない。しかし、そのことすら今まで気づかなかった。

まとめ:アクションラーニングは事業変革のリーダーを育成する

ここまでで見てきたように、長期的な視点では、アクションラーニングは問題解決、すなわち事業を変革する資質を持つリーダーを持つ人材の育成に有効であると言えます。

需要が大きく変化する中、会社の人的体制をそのままにしておいてしまう結果は火を見るより明らかです。

唯一の方策ではありませんが、この記事でご紹介したアクションラーニングの導入を是非とも検討してみてはいかがでしょうか。