ヤフーが1on1ミーティングを浸透させたやり方とその背景

ヤフーが導入した1on1ミーティングは、ビジネス業界で大きな話題になり、注目を集めています。

「ぜひ自社にも導入したい」

このように考える企業も多いのですが、実際に導入するときには必ず成功させたいものです。

そこで今回は、ヤフーが社内に1on1ミーティングを浸透させたやり方や、導入した背景、ヤフーが掲げた目的などを紹介します。

成功事例を知ることで、スムーズな導入のための足がかりにしましょう。

ヤフーが導入した1on1ミーティングとは

ヤフーは、2012年から1on1ミーティングを導入しています。

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で向き合うことで部下を成長させることを目的としたミーティングです。

一般的な評価面談とは違い、1on1ミーティング中は主に部下が自分の話しをするよう上司がうまくナビゲートします。

例えば、このミーティングで部下は問題解決の糸口をつかみ、自身で壁を乗り越えることで成功体験を積むことができるのです。

このようなミーティングを1回30分、約6,000人の社員の9割が隔週で行っています。

ヤフーが1on1を導入した背景

ヤフーは2012年4月から、新しい経営体制に入りました。

このときからヤフーは組織開発や人材育成に力を入れ始め、その一環として1on1ミーティングを取り入れたのです。

ヤフーが1on1を取り入れた背景には、次のようなことが挙げられます。

・組織が弱かった
・「社員の才能と情熱を解き放つ」というコンセプトを掲げた

組織が弱かった

ヤフーの組織は「部下は上司の仕事を見て学ぶ」という姿勢でした。

この結果、部下が指示待ちになることも多く、社員一人ひとりの能力が育つことがありませんでした。

このままでは組織全体が弱くなることが懸念されます。

そこで組織を強くするために、1on1ミーティングを取り入れました。

上司が部下を育てるという文化を作ることで社員の才能や主体性を引き出し、ひいては企業としての力を底上げしたのです。

「社員の才能と情熱を解き放つ」というコンセプト

ヤフーが掲げたコンセプトは、「社員の才能と情熱を解き放つ」というもの。

1on1ミーティングでは、社員1人ひとりの能力を引き出し、人材を育成する目的がありました。

これまで行ってきた目標管理制度は、「約束した目標だからやる」というスタンスの制度でしたが、1on1ミーティングを導入する事で、部下自身の目標を明確にしながら「上司も一緒に目標へ向かっていく」というものに変化させたのです。

上司と部下のコミュニケーションを大切にし信頼関係を築くことで、部下の悩みや目標に対する問題解決にもアドバイスを送り、部下自身が自発的に考え動くきっかけを作ります。

また、上司が部下を知ることで、その部下をどのように成長させていくか、どこに配属すると力を発揮するかという適材適所の配属も真剣に考え、部下が能力を発揮する環境や、やりたいことに出会える環境を作る努力をしたのです。

ヤフーが1on1ミーティングを浸透させるためにしたこと

ヤフーでも、最初から1on1ミーティングが社内に浸透したわけではありませんでした。

そこで、1on1ミーティングを浸透させるために以下のような施策を行っています。

・社内コーチの育成
・部下が1on1ミーティングを評価
・ガイドラインの作成

社内コーチの育成

1on1ミーティングを行うためには、まず上司の育成が必要です。

優秀な上司がミーティングをすれば良いのですが、中には「○○はこうなるから、この方向性が正しい」という考え方から、「こうしなさい」という強い指示になりがちです。

そこでヤフーでは、1on1ミーティングを行う上司に対して社内コーチとしての教育を行いました。

部下の悩みや気持ち、目標に対して抱えている問題を傾聴により話しやすい環境を作り、どうしたら良いかに対しては明確な答えを教えるのではなく部下自身が考えるようアドバイスとフィードバックをする。

これを上司ができるようになるために外部のコーチングのプロの元で研修を受け、職位にふさわしいものの言い方や傾聴の仕方を学ぶのです。

部下が1on1ミーティングを評価

1on1ミーティングを実施する上司も、研修を受けたとはいえ最初から完璧なコーチングができるわけではありません。

そこでヤフーでは、部下自信が受けた1on1ミーティングに対して数値での評価を3ヵ月に1回実施しました。

これによりコーチングを行う上司も成長し、1on1の価値(アセスメント)を上げる仕組みを作り上げたのです。

ガイドラインの作成

ヤフーは、1on1ミーティングにガイドラインを作成しました。

1on1を行う上司は、通常業務を行いながらミーティングも実施するため、手探りで進めていくほど時間は取れません。

そこで、必要なスキルを以下の3つをガイドラインとして作成しました。

  • コーチング:部下一人ひとりのコミュニケーションタイプを見つけ、部下自身が答えを見つけるためのサポートをする
  • ティーチング:上司が持っている知識やスキルを部下に教え、問題解決のサポートをする
  • フィードバック:部下の進捗や悩みに対して、客観的に見た改善策を教え、解決をサポートする

ガイドラインに沿って部下の育成を促す。

これが、ヤフーが社内に1on1を浸透させるために行った施策なのです。

ヤフーが1on1ミーティングで目標にしたこと

ヤフーは1on1ミーティングに、以下2つを目標にしました。

・コミュニケーション不足の解消
・人材の育成へつなげる

ひとつずつ見ていきましょう。

コミュニケーション不足の解消

企業において、社員全員がお互いに何をしているか分からないと仕事に問題が生じやすくなります。

ヤフーではメールのやり取りも少ないほどコミュニケーションが取れていなかったといわれていました。

このような社内の状態を防ぐために、社員同士、上司と部下のコミュニケーションを深める必要があったのです。

1on1ミーティングを導入することで、社員同士が頻繁に顔を合わせ、しっかりと話をする場を設けることで、コミュニケーション不足を解消することも目的の1つでした。

人材の育成へつなげる

1on1ミーティングのもう1つの目的はもちろん、部下の才能を引き出すこと、そしてやる気を引き出すことで人材の育成につなげることが狙いです。

ヤフーの掲げたコンセプトも、人材の育成が重要なポイントでした。

人材を育成することで、組織全体を強くすること。

これがヤフーが新体制になったときから「変えた」ものなのです。

1on1ミーティングは部下のための時間

1on1ミーティングは、上司の時間を部下のために使うものです。

上司と部下が話し合うのではなく主に部下が考えを話す時間であり、上司は進捗確認と問題解決へ導く手助けをします。

社員約6,000人が1on1ミーティングを受けるわけですので、実施する上司の時間は当然1on1に割かなければなりません。

そのため、上司は週のほとんどを1on1ミーティングに費やすことになります。

しかし、部下の成長が組織を強くする意識で「部下のための時間」を作っているのです。

まとめ:ヤフーの1on1ミーティングの成功事例を模倣することも大切

1on1ミーティングを導入するならば、ヤフーの成功事例を模倣することも大切です。

導入初期に浸透しなかったことや、浸透させるために徹底したことなど、試行錯誤を参考にするとよいでしょう。

結果がでるまでには時間がかかりますが、企業として部下の育成に時間をかけることが、将来的な組織の強みとなるのです。