プロジェクトチームに生じがちな「人間的諸問題」とは何か?その対策は?

プロジェクトチームは社内外からさまざま立場や背景を持った人が参加します。

各々のメンバーは養ってきたスキルも違うし、性格も違います。

このような多様なメンバーが「チーム」として1つのベクトルにまとまるまでには、ある程度の摩擦や衝突が生じて当然です。

この記事では、プロジェクトチームに生じがちな「人間ならではの諸問題」とは何で、それにはどのような対策が有効かを分かりやすく解説しています。

プロジェクトチームの構成メンバー

プロジェクトチームはどんなメンバーで構成され、それぞれはどんな気持ちでプロジェクトに参加しているのでしょうか。

  • プロジェクトのメンバーはどこから来るのか
  • 社内の他部署から選抜されたメンバーの気持ち
  • <liクライアントから参加したメンバーの役割と気持ち>

  • 社外協力者の役割と気持ち

<h3プロジェクトのメンバーはどこから来るのか>

プロジェクトの特徴は、いつもは一緒に仕事をしていない人たちが集まって仕事をすることです。

集まる人たちの出所には次のようなものがあります。

社内 同部署
社内 違部署
クライアント
社外 フリーランス
社外 協力会社(下請け)

もちろん、プロジェクトによって構成は違いますが、誰かしら「同じ釜の飯を食った」ことがない人が入ってくるのがプロジェクトです。

メンバーの出所が多様であるほど、当然プロジェクトの運用は難しくなります。

同じゴールを目指すチームとはいえ、違う立場、違うバックグラウンドを持つ個々のメンバーは「心構え」が違うし、それぞれに違う「心配事」を抱えています。

社内の他部署から選抜されたメンバーの気持ち

プロジェクトメンバーに選抜されるのは優秀な社員であることの証しですが、優秀なだけに通常の仕事でも「なくてはならない存在」のはずです。

元の職場の上司は「彼を持って行かれては困る」と反対したかもしれません。

仮に元の仕事と兼務というような中途半端な立場に立たされたとすると、気の毒なことになり、高いモチベーションは期待できません。

また逆に「後のことは心配せずに頑張ってこい」と送り出されたしても、プロジェクトが長期のものなら、本人は元の職場に戻ったときに「浦島太郎になっていないか」という心配があるかもしれません。

プロジェクトに貢献したとしても、それが元の職場での評価にどうつながるのか、ということも気にかかるでしょう。

クライアントから参加したメンバーの役割と気持ち

クライアントから参加したメンバーは、成果物の作り方は分からないが、それを使って何をするかをよく知っている人です。

常時チームに参加しているケースは少ないかもしれませんが、要所要所でメンバーからの「使い勝手の良さはこの程度で良いのか」という質問に答えたり、「こんなケースもあるから、それにも対応できるように」などの注文をだします。

クライアントの立場で参加する人は、過剰なスペックを要求して予算をオーバーしたり納期を遅らせてはいけないし、必要なスペックを見逃して製品に欠陥があってはならない、という緊張感があります。

プロジェクトの進行過程でトラブルが生じたり、成果物の品質に問題があったときに「(クライアントは)あの時こう言ったじゃないですか」という責任問題にならないようにしなければならないからです。

社外協力者の役割と気持ち

フリーランス、協力会社などの役割は、社内のメンバーにはない専門的な知見や技能を提供することです。

参加するフリーランスはプロジェクトの内容によって違いますが、例えばブラダクトデザイナーなら、同じ性能の製品でもデザインによって市場の評価はまったく違ってきます。

フリーランスは、プロジェクトに貢献して次の機会にも声をかけてもらおう、と思っているのでヤル気は充分です。しかし、プロジェクトが遅延したり、頓挫したときに「私の報酬はどうなるのか」という心配があります。

協力会社(下請け)から参加したメンバーの役割は、自社が担当する部品やサービスの詳しいスペックを提出して、その改善に協力することです。

協力会社は「それは無理です」と言いにくい立場なので、高圧的な態度で接すると自由なアイディアがでない恐れがあります。無理が製品やサービスに反映して、後々大きな問題に発展しないとも限りません。

プロジェクトチームに生じがちなヒューマンな問題とは

「三人寄れば文殊の知恵」といいますが、「三人集まれば派閥ができる」ともいいます。

プロジェクトチームに生じがちな人間的な問題にはどんなものがあるのでしょうか。

  • 出会いがしらの探り合いとマウンティング
  • 組織の上下関係をチームに持ち込む
  • 上から言われたらやるが、横から言われてもやらない

出会いがしらの探り合いとマウンティング

猫と猫が出くわすと、にらみ合いで相手を値踏みして、うなり合いで優勢を誇示しようとします。

人間もマナーという外套を脱ぐと中身は同じで、初対面同士は相手の気の強さ、弱さを推し量って自分の立ち位置を決め、それによって物の言い方や相手に対する要求の程度を変えます。

人間には、こういう動物的な本能の強いタイプと、誰にでものん気にフレンドリーに近づいていきなり猫パンチを食らうタイプがあります。

しかし、このようなメンバーの性格とその人の能力やスキルは別物です。

マウントを取りたがる人が、気の弱い人に高圧的な物言いをしたり、タスクを押し付けたりすると、メンバーの能力を充分に発揮してもらうことができないし、感情的な摩擦も生じてきます。

組織の上下関係をチームに持ち込む

営業の課長と製造部門の主任がチームに入っているとすると、課長が多少偉そうにするのは仕方ありませんが、度が過ぎると主任のヤル気を削いでしまいます。

プロジェクトのダイナミズムは従来の組織の垣根を取り払ったところに生まれるもので、元の組織での役職はまったく意味を持ちません。

上から言われたらやるが、横から言われてもやらない

通常の業務は指揮系統が明確で職分も定まっていますが、「フレキシブルな組織」が身上のプロジェクトでは、リーダーだけから仕事が回ってくるわけではありません。

横から(メンバー間で)「あれをやって」とか「これはどうなっているの?」と、リーダーを通さずに仕事のトスやキャッチが行き交います。

プロジェクトの課題やそれに必要なタスクに対するメンバーの理解が十分でない内は、トスされた仕事の意味を把握できずに「それはオレの仕事ではない」と反発してしまう可能性があります。

こんな反発に人に対する好き嫌いの感情が加わると、メンバー間に溝ができ、対立や派閥の構造にまで発展する危険があります。

チームの生産性を高めるには

チーム内の「人間的な諸問題」がこじれてメンバーのヤル気を削ぎ、チームの生産性を低下させないようにするには、どんな対策があるのでしょうか。

  • プロジェクトチームのライフサイクルを知る
  • プロジェクトマネジャー、プロジェクトリーダー、プロジェクトメンバーの3つの立場とそれぞれの役割
  • チーム立ち上げのときに経営トップが激励する
  • チーム内では役職名ではなく名前で呼び合う
  • メンバーの後顧の憂いを絶つ

プロジェクトチームのライフサイクルを知る

コンサルティング会社「イノベーションマネジメント株式会社」の代表取締役 芝尾 芳昭氏は、プロジェクトチームは立ち上げから終了までに次図のような5段階のライフサイクルをたどると述べています。

引用元:https://www.innovationmanagement.co.jp/column/no22-2/

本記事でここまで述べてきたようなヒューマンな諸問題は、上図の「形成期」や「混乱期」には、ある程度は必ず生じます。

「混乱期」に生じた<競争>と<衝突>は、第3段階の「結合期」には<協力>と<結合>に昇華して、第4段階の「成熟期」に<信頼性>と<高生産性>を産むのが、プロジェクトチームの理想のライフサイクルです。

しかし、時として衝突は結合に昇華されないままチームの生産性を蝕んで、プロジェクトを難破させてしまうこともあります。

プロジェクトマネジャー、プロジェクトリーダー、プロジェクトメンバーの3つの立場とそれぞれの役割

プロジェクトマネジャーの最初の重要な仕事は「このプロジェクトの難しさはどのくらいか」を、課題の中味・レベルと経験から推察することです。

言い換えると「やってみなくては分らない度」がどの程度ものかを、あらかじめ覚悟しておくことです。クライアントや上層部にそういう自分の認識をできるだけ伝えておくのもマネジャーの役目です。

その次に、突き当りそうな難所を(できる限り)イメージしながら、スケジュールを組み、役割分担をします。

プロジェクトリーダーは、できるだけ上記のようなマネジャーの認識を共有して、メンバーの仕事の進捗をチェックし、必要な連絡・情報の交換を取り持ちます。

各プロジェクトメンバーも「このプロジェクトはどこが新しいのか」つまりどの辺で難所に突き当たりそうなのかを理解していることが非常に重要です。そうすればさっさと片付けるべきことは早く片付けて、プロジェクトの急所のクリアに力を集中することができます。

チーム立ち上げのときに経営トップが激励する

「熱い」という感覚は「痒い」という感覚を忘れさせます。

プロジェクトの最初のミーティングに経営トップが出席して、当社にとってのプロジェクト意義と価値を力説すれば、メンバーの士気は高まり、了見の狭いマウントの取り合いなどに気を配ることも少なくなります。

プロジェクトマネジャーは、最初のミーティングにできるだけ偉い人を招いて挨拶してもらうという「政治的配慮」も必要です。

チーム内では役職名ではなく名前で呼び合う

組織の上下関係をなるべくチーム内に持ち込まないためには、お互いの呼び方が重要です。

チーム内では「課長」とか「主任」とか役職名で呼び合うのは止めて、名前で呼び合うようにルールを決めておきたいところです。

協力会社から参加したメンバーに対しても「〇〇工業さん」などと会社名で呼ぶのではなく名前で呼ぶことが大切です。

歳の差があれば「〇〇君」で良いでしょが、君付けとさん付けのマウンティングも見苦しい場合があるので、全員さん付けにすると決めればチーム内に新しい空気が生まれるかもしれません。

メンバーの後顧の憂いを絶つ

他部署から参加したメンバーが、プロジェクトチームで貢献しても元の職場では評価されないとしたら、士気は上がりません。

プロジェクトでの活躍が正当に評価されるように経営層やプロジェクトマネジャーは配慮しなければなりません。

プロジェクトチーム まとめ

プロジェクトチームには、臨時の組織、できたての組織ならではの「人間的な諸問題」があります。

これらの諸問題はチームが成熟していくにしたがって小さくなり、メンバーの力が1つの方向に集中されていきますが、マネジメントを誤ると問題が大きくなりプロジェクトを失敗させるリスク要因になります。