360度評価・多面評価でフリーコメントに困った!例文・サンプルで上司・部下の人事評価に納得感を!

最近は人事評価により公平性のある評価を取り入れよう、ということで「360度評価」を多くの企業で取り入れています。

従業員数1,000人を超える企業では半数以上が360度評価を導入しているとも言われています。

とは言え…評価には選択式の項目だけでなくフリーコメント欄もあり、それが多くの評価者を悩ませるのも事実。

『360度評価を導入するとかいうけど…上司の評価ってどうコメントすればいいんだ!』
『部下のモチベーションを下げずに改善点‥どうやってコメントしよう…』

そんな皆さんの悩みを解決するためここでは、評価対象者別のコメント例文と、評価項目ごとの言い回しサンプルをそれぞれお伝えします。

どんなコメントを書くべきか悩んだ時の長文サンプルはこちらから

評価項目別のサンプル(短文)を見たい場合はこちらから

その他、避けるべきコメント例、実際にもらって困った360度評価コメントの例もお伝えしていきます。

360度評価のコメントの書き方のポイントは何かがわかれば皆さんもスムーズかつスピーディーに360度評価が実施できるはずです。

360度評価・多面評価でのコメントを書くときの3つのポイント

相手に伝わりやすいコメントを書くことが、360度評価のコメント記入時の重要ポイントです。

どんなところに気を付けるべきか見てみましょう。

360度評価のコメント記入時のポイント
・できるだけ具体的に詳細な内容を記入する
・反省点と良いところ双方を記入する
・言葉は前向きに受け取りやすい表現を選ぶ

できるだけ具体的な内容を記載する、というのは良い点も反省点も同じです。

どうしてこの点数を付けたのか評価の根拠となる部分でもあり、コメントがあるからこそ成長につなげることができる。

そしてそのためには「相手が受け入れやすい言い回し」を選ぶということも重要です。

360度評価に主観的な評価はあまり求められていません。

ただ、相手を受け入れやすい言い回しというのも簡単なようで難しいですから、この後のサンプル・例文を参考にしてみてください。

業種別 360度コメント例・評価ポイント(営業職・技術職)

360度評価でのコメントに困らないよう、業種別にコメントするべきポイントも押さえておきましょう。

例文ではお伝えしずらい「どんなところに注目したコメントをするべきか」をわかりやすくあげていきます。

このポイントを押さえて例文・サンプルをチェックしてみてください。

営業職での360度コメントはスキルアップ・目標値・ホウレンソウもチェック

営業職では数字ばかりに目がいってしまいがち。

ですがそれでは効果的な360度評価を行うことは難しいですよね。

営業職で見ておくべきポイントをご紹介するので参考にしてみてください。

スキルアップに関する事

セミナー参加他業種との積極的なコミュニケーションの場への参加など

実務的な目標達成に関する事

電話やメールでのアポイントメント件数目標売り上げ目標顧客管理に関する事など

ホウレンソウに関する事

報告・連絡・相談に関する事(コミュニケーションが円滑にとれるよう努力しているか、適切か)

技術職での360度コメントはスキルアップ・工数削減・業務効率に関することから

技術職では技術力に注視してしまいがちですが、実際に業務を円滑にしていくために重要なポイントもチェックしてみましょう。

視点を広げることで360度評価のコメントもスムーズに、また適切に行うことができるはずです。

スキルアップに関する事

セミナー参加資格取得スキル習得のための自習など

工数削減に関する事

工数削減ツールの作成工数削減につながる努力など

業務効率・コミュニケーションに関する事

業務効率化のためのコミュニケーション方法の工夫、コミュニケーションをとることに積極的か・適切にできているか

360度評価を成長につなげる為のコメント(立場別サンプル)

部下が上司を評価する、というのはやはり気持ちの上で難しく感じることも多いでしょう。

ですが360度評価では上司が部下を、部下が上司を、そして同僚や自分自身の評価を下さなくてはなりません。

「何を書けばいいんだ…」と悩んでいる皆さんの参考になりそうな例文を立場別に紹介していきます。

部下が上司を人事評価:360度評価・コメント例文サンプル

「チーム内の各メンバーがどのような業務に当たっているかしっかり把握してくれている。そのため業務の相談もスムーズで、業務効率化に繋がっている。」

上司を評価する上では管理能力に注視したものはコメントが難しいこともあります。

このように良いと感じている点を率直にあげ、どのような成果につながるか具体的なコメントは本人にとってもモチベーションにつながるのでとても良いです。

「部下としてはとても頼りになり業務も進めやすくありがたいと感じている。ネガティブな報告をあげても嫌な顔をせず聴き、スピード感をもって分かりやすく的確な対策を出してくれるので心強い。」

良い点を挙げるにも、どのような点が良いと感じているのか具体的な話を盛り込んでいるのがポイントです。

上司、という立場だからこそ求められる要素に着眼することでスムーズにコメントしやすくなります。

「以前と比べてメンバーとのコミュニケーションを取ろうとしてくれているのが伝わってくる。ただミーティング中に関係ないトークが増えている点は今後改善していただけると、更にチームがまとまり業務も円滑になっていくように思う。」

ダメなポイントも上げつつ、どのようなところを改善していく必要があるか、その先を見越したコメントにしたことで指摘もスムーズに受け入れられやすくなります

部下が部下(同僚)を人事評価:360度評価コメント例文サンプル

「業務改善にも積極的に発言したりプロジェクトへの参加にも積極的。仕事に対しとても意欲があると感じる。積極性を活かし今後も活躍してくれると良いと考えている。」

意欲がある、ということについて具体的なポイントをあげて賞賛しているところが良いコメント例。

360度評価をするにあたっては、良い点をさらに伸ばすということも重要なので、このようなコメントは積極的に上げると良いでしょう。

「○○という企画の反響が大きく立案した立場としてはやはり誇らしく感じている。売上も他と比較して+50%という成果も出せた。これにはチームで情報を共有したことが功を奏したのではないかと思うので今後も継続したい。」

自分自身について評価するシーンを想定したサンプルです。

成果をあげられたと感じている部分は具体的に、数字も上げつつしっかりとアピールしています。

また次につなげるためには「何が良かったのか」を知ることも大切なので、良かったところをあげるときには「どういうポイントが効果につながったか」も考え記入すると良いでしょう。

「チームメンバー・そして自分の為に作業効率をUPするためのツールを開発した。これにより○○%割程度は時間短縮できるようになりメンバーにも喜ばれた。」

こちらも自分自身を評価するシーンを想定している例文です。

業績UPに欠かせない業務効率をUPするような成果を上げることができた、その場合には「どの程度効果があるのか」を誰が見てもわかるような文章にしましょう。

「先月比-15%の売上になってしまった。商談が途中でキャンセルとなってしまったのが複数件あったこと理由。今後の課題として「顧客との意思疎通を十分に行う」として月2回以上は最低でも訪問することを目標にする。」

売上がダウンしてしまった、そしてその理由は何だったのか振り返り、問題解消のための課題も明示している点が評価できます。

自分への評価のみならず、このようなわかりやすいコメントは受け入れられやすいのでおすすめです。

上司が部下を人事評価:360度評価コメント例文サンプル

「売上目標の達成率は○○%だった。他メンバーは100%達成していたことを考えると、努力不足・認識の甘さが原因では。顧客情報をしっかりチェックし、アプローチすべき顧客かどうかを見極めることができれば伸びると考える。担当でない顧客の折衝にも全力で当たっていたところは評価できるが、ここでの時間の使い方を考えることで達成率もUPするはず。チームワークを大切にしていたことでチーム内の空気が良くなったことも評価できる。」

この例文は良い点、悪い点をそれぞれあげながら、どうすれば悪かった部分を改善できるか対策も明示しています。

また言い回しも、ただただ悪いというのではなく、その中にも評価できるポイントを見つける上司としての器が感じられるため、受け入れやすいフィードバックとなっている例です。

反省点も多いが、評価できるポイントもしっかり評価しているのがこのサンプルの良いところ。

どうしたら改善できるかも具体的に示しつつ、しっかりと評価もできていて「見てくれているんだ」と上司からの愛情を感じられるコメントになっています。

「資格の取得に意欲的で素晴らしいが実務にそれを活かしきれていないのがもったいないと感じる。得られた知識を実務に活かして、是非ともスキルアップに繋げて欲しいと期待している。」

この例文では、「資格の取得には意欲的なのに実務に活かせていない」という言い方次第では「仕事できてないぞ!」と取れてしまうような指摘をあげています。

どうしたら業務に良い意味で反映することができるのか、その点について言及することでソフトな言い回しを実現している例です。

納得感あり!360度評価 評価項目別コメント例と書き方サンプル

上司から部下、部下から上司に、同僚や自分自身に評価するシーン使いやすいコメントを集めてみました。

ここからは例文でなく、ピンポイントで使えるコメント例をポイントと合わせてご紹介。

360度評価は評価項目ごとのコメントを行うので、ここでは評価項目ごとに纏めます。

360度評価コメント例:成果についてのポイント

成果を上げたかどうか、そのまま書くだけでは360度評価のメリットが活かせなくなってしまう部分でもあります。

どのようなポイントに気を付けてコメントすればよいか参考にしてみてください。

成果についてのコメントの書き方ポイント
・具体的な数値をあげて売上・新規顧客獲得数に触れる
・(成果が上がっていた場合)何故その数値を出せたと思うか、当人の試みについて記入
・(成果が出なかった場合)どうして成果に繋がらなかったかを努力していた部分も含め考察した結果を記入

上記のポイントを踏まえてどのような言い回しが使えるか例を紹介します。

  • 「○○(当人の試み)が功を奏し成功に繋がったものと評価している。」
  • 「(売り上げ目標は達成できなかったが)○○(反省点)を改善できれば目標達成も可能と期待している。」
  • 「(達成できなかった理由を鑑みて)目標を達成するため今後は○○を課題とし、▲▼(具体的な行動)を行う。」

360度評価コメント例:能力についてのポイント

能力があるかないか、書き方を間違えると誹謗中傷にもなりかねない部分です。

ここではどのようにコメントすると良いのか、まずはポイントをおさえてみましょう。

能力についてのコメントの書き方ポイント
・どういう能力が優れていると感じているか記入
・(成果が上がっていた場合)活かされていた能力と、さらなる成長を促すポイントを記入
・(能力に不安がある場合)今後もできないと思わせないため、現状”まだ”できていないというニュアンスに
・(能力に不安がある場合)能力を発揮するための本人の特性を含めてアイディアを提案する

上記のポイントを踏まえてどのような言い回しが使えるか例を紹介します。

  • 「(成果につながっているのは)論理的思考力・俯瞰的な視線・ユニークな発想力」
  • 「チームメンバーの現状をしっかり把握してくれていて、業務が効率よく進められている。」
  • 「(コミュニケーション能力が不安)能力や個性が発揮しきれず、メンバーと打ち解け切れていない印象。」
  • 「(コミュニケーション能力が不安)個性的な考え方でよいと思うので自信をもって発言する勇気があればと思う。」

360度評価コメント例:意欲についてのポイント

意欲があるかないか、これは横文字ならモチベーションと表現されるものですが、意欲がない=「やる気がない」と直接的な表現はしにくいもの。

意欲的な人へのコメントだけでなく、意欲的ではない人へのコメントはどうするかも考えてみましょう。

意欲についてのコメントの書き方ポイント
・(成果が上がっていた場合)活かされていた能力と、さらなる成長を促すポイントを記入
・(意欲的に感じられる場合)どのような部分に意欲を感じたのか具体的にあげる
・(意欲的ではない場合)どの部分が意欲的でないと感じたのかを具体的にあげる

上記のポイントを踏まえてどのような言い回しが使えるか例を紹介します。

  • 「積極的に企画を打ち出していて、発言力もある(ところから意欲があると感じている)」
  • 「業務を積極的に改善しようと効率UPの対策を発案・発信している(ところから意欲があると感じている)」
  • 「(意欲的ではない場合)せっかくの能力が活かしきれておらずもったいないと感じている」

360度評価コメント例:傾聴・伝達についてのポイント

傾聴や伝達は上司への評価となる場合が多いので、より悩ましく感じることもあるでしょう。

部下から上司にコメントすることが多いものだけに、どのようなコメントができるか、どうやって考えるかポイントを見てみましょう。

傾聴・伝達についてのコメントの書き方ポイント
・情報伝達について現状どうなのか冷静に振り返る
・評価対象者に情報を伝えやすいと感じているかどうかコメントする
・(不足がある場合)具体的に十分と感じられない部分と、改善案をコメントする

上記のポイントを踏まえてどのような言い回しが使えるか例を紹介します。

  • ネガティブな報告も冷静に受け止めてくれるため、報告を上げやすい。
  • 外に出ているときに重要な連絡が受けられないことがあるので、○○を使った改善ができないだろうか。
  • チーム内での情報伝達がスムーズでないと感じるため、○○などのコミュニケーションツールの導入を希望する。

360度評価・多面評価のコメントは人材育成に活かすためのもの

ここまで評価対象別コメントの例文、評価項目別のコメントサンプルを続けてご紹介してきました。

具体性は特に360度評価のコメントとして重要ですが、それ以上に重要なのは「人材育成につなげる」ということです。

この点を忘れてしまうと360度評価を行うメリットを活かせず、せっかく評価に時間をかけても意味がなくなってしまいます。

ですから、「相手の為に」ということを念頭に置いてコメントをあげるようにしていきましょう。

360度評価・多面評価のコメントで評価対象者が困る事例から学ぼう

360度評価はあくまで「評価対象者が成長するために人材育成の一環で行うもの」です。

選択式の回答は選ぶだけなので気軽ですが、貰う立場になってみると「どんな風に思われているのか」がわかりやすいフリーコメントに書かれたことは怖さもある反面、気になるのではないでしょうか?

例えば上司の立場にある管理職へのコメントで悩ませるものとしてこんな例があります。

「とても面倒見の良い上司で、気軽に相談できるのがありがたい。」といったコメントがある一方で、
「もっと部下の悩みに寄り添って欲しい」というコメントもあることがあります。

上司は日頃から”部下とのコミュニケーションはとるようにしていて、そのうえで悩みなどは積極的に相談に乗るようにしている”ということもあって、「面倒見の良い上司」であろうとしていたし自負もある。
でも360度評価のコメントを受けて、「自分は今もやっているつもりなのだが”もっと部下の相談に乗る”ということを今後の目標とすべきなのか?」と悩んでしまったという話もあります。

この例をサンプルに考えてみると、「もっと悩みに寄り添って」というのは具体性に欠けているからこそ、上司が悩むだけの結果になってしまっています。

もちろん、賛否両論集まるのも360度評価の特徴ではあるので、平均点の理由としてこのように賛否ある事が原因と分かればそれも納得理由の1つとなるでしょう。

POINT
相手が具体的なフィードバックを受けてスムーズに先につなげることができるようなコメントを心掛けるのがポイントです。

360度評価コメントNG例|360度評価・多面評価の存在意義を無駄にしない為に

最後に、360度評価にふさわしくないコメント例もご紹介します。

  1. 前向きに知識を得ようとセミナー参加するのは評価できる。これからも継続してくれれば良いと思う。
  2. 高い目標を掲げていて良いけれど、他の社員との協調性が無いと感じられる。
  3. チーム目標の工数削減に大きく寄与していたと思う。
①は主観が入ったところが360度評価の評価の仕方に即していず、具体性にかけるコメントなので×

②は改善すべき点を挙げているが、どのように改善して欲しいと感じているかが伝わりにくく意味がなくなってしまうので×

③は「だから何だ?」で終わってしまうのが勿体ないところ。どのように工数削減に寄与していたのか、もう少し詳しくコメントするとモチベーションUPにつなげらえるというところで×。

360度評価をする意味がないコメントになってしまうので「具体性に欠けるコメント」や、「主観が入ったコメント」はNGです。

賞賛するところは「どこが良かったのか」を具体的に、その結果どうなったのかも含めると伝わりやすくなります。

また反省点をコメントする時は「どういう行動がどういう結果につながってしまったのか」を具体的にコメントしたうえで、成長するためのポイントも併せてコメントするなどできれば相手のモチベーションや成長につながります。

360度評価のコメントはサンプルを参考に人材育成につなげよう

注目されている360度評価をするにあたっては、どのようにコメントをすべきかに悩んでしまう方は多いでしょう。

どのようなコメントが良いか、まずはこの記事のサンプルや例文を参考にしていただき、イメージをもって360度評価に取り組んでみてください。

悩みを軽減しムーズに評価に当たっていただくこともできるはずです。

あまり悩んで工数がかさんでしまう…となると360度評価を行うこと自体がデメリットになってしまうので、できるだけ評価者の負担を軽減するということも重要です。

360度評価とは何か、360度評価を成功させるためのポイントなどはこちらの別記事(360度評価とは何か、成功させるためのコツやメリット・デメリットをまとめています)にを併せてチェックしてみてください。

360度評価を失敗させない!失敗事例と原因・目的と評価項目の運用方法のコツ(メリット・デメリット)

360度評価は「公平で多面的な評価」を実現でき、社員同士の関係性も良くなるとして注目されています。

ですが運用を間違ったり、認識が違ってしまうとたちまち失敗してしまう諸刃の剣でもあるのが360度評価のむずかしさ。

『360度評価の導入を検討していて失敗しないコツを探りたい』
『360度評価の運用に失敗したので次は成功させたい!』

そんなお悩みを解決するため、ここでは360度評価で失敗しないために抑えておきたいポイントを網羅的にお伝えします。

  • 失敗事例やその原因
  • 360度評価についてとその目的
  • 評価項目と評価反映先
  • 成功させるための施策アイディア
  • 360度評価のメリット・デメリット
などまとめました。

最初から通して目を通していただくと、どうして失敗してしまうのか、360度評価への理解を深めつつメリットを活かした360度評価を実施していただくことができるはずです。

360度評価の失敗回避には原因と事例に学ぶべし

まず最初に、どうして「360度評価に失敗してしまうのか」を簡単に結論づけてみます。

『導入目的を見失い、人事考課に組み込んでしまった』というところで失敗させてしまっている例が多く見受けられます。

どんな失敗事例があるのか見てみましょう。

360度評価の失敗事例4選と失敗した理由

失敗事例 失敗理由
結果がでないと焦ってしまう 短期間ででるものではない
適切な運用ができていない 待遇に関わる評価と別に考え人材育成に焦点をあてることができていない
現場への負荷が増大してしまう 負荷を軽減しながら適切な評価を下せる仕組みになっていない
社員の混乱を招いた・積極的に参加してもらえない 安心感をもって協力してもらう準備(導入意図の説明など)が不足している

上の表は特に多い失敗事例を4パターンピックアップしてまとめたものです。

それぞれの失敗事例の理由(原因)も簡単に掲載しています。

このような失敗が多いということがわかれば、失敗せずに導入するのに反面教師として活かすことができます!

続いて更に詳しく、360度評価が失敗する原因についてみていきましょう。

360度評価が失敗する原因を知ろう

360度評価を成功に導くには、以下のポイントが重要です。

逆説すると、このポイントが守られていないと360度評価が失敗してしまう原因になるので、しっかり覚えてください。

360度評価を成功させる4つのコツ
・360度評価を人事評価に組み込まない
・現場の負荷は最小限に押さえる工夫が重要
・導入の目的や背景の説明は十分にすべし
・結果がでるまでに時間がかかるものと心得る

360度評価は結果が出るまで時間がかかります。

また日頃の業務を行いながら複数人の評価を出すというのは、従業員にとっては間違いなく負荷となります。

この点を踏まえないと360度評価は間違いなく失敗してしまうでしょう。

安定した評価が下せるようになるにも時間がかかりますが、工夫すれば結果がでるのを早めることも可能です。

そのためには、どうして導入するのか、評価の目的は何でどのように反映されるのかもしっかり伝えて参加してもらうということも重要になります。

失敗しないために|360度評価とは何か

失敗せずに360度評価を行うために、そもそも360度評価とは何かをおさらいしてみましょう。

360度評価とは「上司・同僚・部下」と様々な立場から評価対象者を評価するというもの。

そのために偏りのない公平な評価が下され、評価対象者も納得しやすい、色々な人から評価を受けるので上司ばかりでなく周りに公平に意識を向けられるようになるということから注目されています。

自分が周りからどんな風に評価されているのか、課題は何か素直に聞き入れやすいというのもメリットです。

評価というと上司の視線を気にするもの、という過去の常識を覆し、正常な人間関係で組織をうまく回していく原動力にもかわるもの。

チーム内がぎくしゃくしていたり、円滑ではない、協力体制ができていない場合にも360度評価は効果を発揮するでしょう。

360度評価の導入目的への理解なくして成功なし

基本的には360度評価の導入目的は2つあります。

  1. 公平に評価する仕組みを導入するため
  2. 人材育成や社員のモチベーションをあげるため

360度評価で失敗しないためには、「目的は何とするか」を明確にすることです。

目的に合わせた運用をしてこそ360度評価を成功させることができる、と覚えておく必要があります。

360度評価の評価項目と評価反映について

360度評価の評価項目 評価反映先の例
業務成果(業績貢献度) 処遇につなげる
スキル(技術力)・技能・リーダーシップなど 人材育成に反映
執務態度(勤勉さ・積極性・勤怠など) 処遇・人材育成・異動・配置転換など広く応用できる

360度評価の失敗例で多いのは評価項目と反映先について間違ってしまうということ。

360度評価を成功させるには評価項目と評価の反映先を明確にして社員への伝達を確実にするのが最重要項目です。

導入の目的は「公平な評価をする、人材育成に生かす」であることを考えた評価項目と反映先の設定をすることも大切です。

360度評価のメリットが活かせないのなら360度評価を導入する意味がなくなってしまいます。

360度評価の導入率

労政時報が行った調査により引用します。

2013年における360度評価の導入実績は、従業員1,000人以上の企業で16.2%。2016年秋発表の日本経済新聞社が約1,600社の企業(上場企業・連結従業員1,000人以上の企業とそれらに準じる有力企業)に対して行った調査によると、360度評価の導入率は46.1%

となっていて、2016年時点では従業員数1000人を超える企業では半数近い46.1%が360度評価を導入していることからも注目度合いが急激に高まっている事がわかります。

評価を公平にすることは『リテンション施策としても重要な従業員エンゲージメントを高める』のにも効果的だからではないかと推測します。

360度評価で失敗しないために|メリット

360度評価で失敗しないためには『360度評価のメリット』を正しく認識することが大切です。

360度評価の6つのメリット
・人事評価の効率UP・コストダウン
・客観性の保たれた評価ができる
・一方的な印象を受けないので社員も評価に納得しやすい
・FBを受けて自分の改善点に気付きやすく改善につながる
・自分の特性を客観的に把握できるので成長につながる
・上司だけでなく部下や同僚に対しても意識が自然と向くようになる

360度評価で失敗しないために|デメリット

360度評価の3つのデメリット
・慣れない評価者は主観が入りやすい
・評価の為に上司が正しい指導をしなくなる可能性がある
・社員同士で結託する可能性がある

デメリットについてはこの3つがあげられます。

ただ、2つ目に関しては、上司は自分の上司や同じ立ち位置の人材からもチェックが入る事が阻止につながりやすいのも360度評価の良さです。

特に日本人特有かもしれませんが「人を評価する」ということを公平に行うのは難しいものがあります。

ですから360度評価を導入する場合には評価の反映を適切に設定したうえで、社員に対してその評価がどのように反映されるのか、目的やメリットもしっかり周知することが大切です。

評価を行うためのスキルを身に付ける研修を行うのも有効な施策となるでしょう。

社員同士での結託の可能性についても、実施するたびに評価対象者と評価者に偏りが無いように配慮しつつシャッフルする、などで対策をとることができます。

360度評価で失敗しないコツ|導入意図・評価の伝え方・現場の負荷を考える

360度評価を失敗させないために重要な部分なので、「社員それぞれに向けて配慮すべき」ポイントと、「担当部署が実施にするにあたって考慮すべき」ポイントに分けて解説します。

導入に当たり社員へ配慮すべきポイント
・360度評価の仕組み・導入目的や意図を丁寧に社員に説明するよう徹底
・導入することで発生するメリットも伝える
・評価内容は詳細でなく「各評価の平均」を伝えてモチベーションUPに生かす

一人一人の社員に360度評価を導入する事について、しっかりとした認識を持ってもらうことこそ、「公平性のある評価」を的確に下してもらうのに欠かせないコツとなります。

そのためには、どうして導入するのか、導入することで得られるメリットも明確に認識を持ってもらう事が大切です。

360度評価で評価する部分と、それぞれの評価をどのように反映するのかという部分もしっかり伝えましょう。

また評価を伝える際のコツとして、モチベーションを下げてしまうことが無いように、「平均値」で伝えることもポイント。

社員に対して「誰が」「どのような評価を付けたのか」を伝える必要はありませんが、モチベーションアップになると思えるものについては伝えても良いかもしれません。

担当部署で考慮すべきポイント
・回答者の年齢層に偏りを避ける
・現場の負荷をあげない配慮が必要
・評価得点は公平性の為平均値にする
・評価項目と反映先をきちんと明示する

360度評価を実施する人事部など、担当部署で考慮すべきポイントもあります。

社員は「日常の業務をこなしながら360度評価をしなくてはならなくなる」ということを忘れてはいけません。

公平に効率よい評価を行うためには現場に無駄な負担をかけないようにしましょう。

積極的に・前向きに評価してもらうためには「負荷にもならず回答しやすいシステム」にすることも重要です。

1つ目に紹介した「回答者の年齢層に偏りを避ける」については説明が必要なので、次項で詳しく解説します。

360度評価で失敗しないために|年齢層の偏りをなくし対比誤差回避

人を評価する、その時に無意識に”自分”が起点となって考えてしまうのが人間です。

これにより生じる回答のズレや偏りを「対比誤差」といいます。

若手の場合、自分より優れていると感じやすいのは想像に難くないですよね?

一人の評価対象者に対する回答者(評価者)が若手ばかりになってしまうと、当然回答に公平性も妥当性もなくなってしまいます。

回答者の年齢層に偏りがない状態で360度評価を実施するということも重要、と覚えておいてください。

360度評価で現場の負荷を抑える為の施策アイディア

  • 設問数は多くせず10個程度を目安に
  • 回答しやすい選択肢を準備する
  • 細かい部分はフリーコメント欄で補う
複数人の評価をしなくてはならない360度評価を成功させるには、現場の負荷を抑えてメリットを活かす配慮が重要です。

一人一人の社員の負担を軽減するためのコツを上のリストにまとめましたのでチェックしてください。

360度評価の失敗事例にならないためにメリットを活かす

上の画像は360度評価のメリットとその効果の派生を理解するためのチャートです。

簡単なものですが、メリットが従業員とのエンゲージメント・人材育成・生産性UPにもつながるものであることもお分かりいただけるのではないでしょうか。

社員が働きやすいと感じられ、信頼度もUPし、社員同士のつながりも強化することができるのが360度評価の良さです。

360度評価で失敗しないための回答を読み解くポイント

評価の結果をまとめる際に「平均点で評価する」ということはすでにお伝えしましたね。

それと合わせて、回答をまとめる際には「評価対象者の人材育成につながるフィードバック」とするという目的も忘れずに。

フリーコメントを設定した評価項目については、コメントもしっかりチェックしましょう。

またフリーコメントをそのまま評価対象者に伝えるのは良いことも悪いこともあります。

プラスコメントは積極的に伝えたいところですが、マイナスコメントは伝え方がポイントです。

点数だけ、でも良い場合もありますが伝え方次第で人材育成になることも多いですから、しっかり考慮しつつ、評価対象者にも評価内容のフィードバックの見方を伝えることも大切になります。

360度評価で効果がでるには時間がかかることも忘れずに

安定して的確な結果がだせるようになるまでにも時間がかかる360度評価。

評価の結果を踏まえて社内が変わることを実感できるようになるまでにも時間がかかることを忘れてはいけません。

360度評価で失敗しないために事前準備・適した運用・社員への配慮が大切

360度評価で失敗しないために知っておくべきことをお伝えしてきました。

企業としての成長、そして社員に対する人材育成に向き合うという事、評価を適切・公平にしエンゲージメントを高めることこそ、360度評価を成功させるのに欠かせないものと覚えておいてください。

360度評価を導入する目的を忘れず、適切に実施するために社員の負荷をおもむろに増やさないことも大切です。

返ってきた360度評価の結果を読み解く場合にどこを見るべきかもお伝えしましたね。

適切に運用すれば確実に企業を成長させてくれる360度評価を失敗させないために、ここでお伝えした情報を役立ててください。

辞めたい社員は引き止めなくてよい?引き止めてOK?引き止めないメリット・理由・NGワード・上司がすべき事は

ある日突然可愛がっていた後輩や大事な部下に

『会社辞めたいんです』

と言われたらきっと大きな驚きとショックを受けますよね。

 

『ここまで思い詰めるほど、自分のマネジメント能力が足りていなかったのだろうか…』
『辞めたいと言い出す前兆をどうして見逃してしまったんだろう…』

と自分を責めてしまう方もいるでしょう。

でも大丈夫です。あなたの責任ではありません。

 

結論から申し上げると 『辞めたい社員は引き止めなくてよい』 のです。

離職率が高くなることへの恐れもあるかもしれません。退職連鎖も気になるかもしれませんね。

有能な人材を失ったら仕事がうまくまわらなくなるという懸念もあるでしょう。

『それなのにどうして”引き止めなくてよい”なんていうんだ!』

ここではその理由をお話させていただきます。

あわせて…

  • 退職希望者との接し方&言ってはいけないNGワードとその理由
  • もしも自分が退職希望理由だったらどうしたらよいのか
  • どうしても引き止めたい社員の時どうしたらよいのか
  • 引き止めたことでできる人材へ成長させた事例
  • 引き止めないことのメリット
  • 引き止めて組織に悪影響になる社員タイプ
こちらもお伝えさせていただきます。

 

企業が成長するために社員は欠かせません。

ですが社員とのエンゲージメントが成立していないのなら、遅かれ早かれ、お互いに不幸な結末になってしまうでしょう。

お互いに不幸になるのではなく、お互いが幸せになるために。
ここで問題を解決して、スッキリと次のステップへ歩みを進めていきましょう。

辞めたい社員は引き止めなくてよい理由はメリットがないから

まずは「辞めたい社員は引き留めなくてよい」としたその理由からお伝えさせていただきます。

どうしてなのか、その理由も詳細に簡潔にまとめてみます。

辞めたい社員がいなくても間違いなく仕事は回るから

辞めたい社員が辞めてしまったら。

仕事ができる人材ほど、高みを目指してステップアップのために転職することが増えてきています。

対して企業というのは成長していかなくてはなりませんが、組織ですから必ずしも社員個人の希望を常に叶えていけるという訳ではありません。

『仕事ができる社員だからやめてほしくない!』と考えても、まずは落ち着いてください。理由はこれです。

POINT 1
・埋もれていた優秀な人材が頭角を現す
・「辞めたい」という声を聴いている他の社員の士気が下がる

 

できる先輩がいると後続の社員が頭角を現せない、そんな現場はたくさんあります。

先輩がいなくなったところで自然と、別の社員が頭角を現します

 

最初こそ戸惑いがあったり、不慣れなことからうまくいかないこともあるでしょうが、ある程度時間がたてば解決されます。

また「辞めたい」と言っている人がいると、周囲の人間も「この企業はそんなに魅力がないということか」と認識してしまうことも。

結果周囲のやる気をそぎ、和が乱れてしまうということにつながっていくのです。

 

だから「上司は辞めたいという部下を引き止める必要はない」のです。

部下の引き止めに時間をかけるても無駄でリスクが増大するから

『時は金なり』ということだけではありません。

引き留めに時間をかけてしまう事がいかに無駄なのか、理由を解説します。

POINT 2
・引き止めてられている間も他に気が向いていて本腰が入らないから
・引き留めに力を入れるのを見ている他の社員の士気が下がるから
・パワハラで訴える・SNSで『辞めさせてくれないブラック企業』など拡散されるリスクがあるから

特に怖いのは2つ目と3つ目ではないでしょうか?

 

引き止める上司を見続けていると他の社員から、

『この人だけが大事なんだな。俺たちは数合わせ程度にしか見られていないってことか』

という誤解を生んでしまうリスクがあります。

 

また今はSNSが大きな影響力を持っていて、若い世代は特に日常的にSNSを使って自己発信する時代です。

パワハラで労働基準局に駆け込まれても、SNSで拡散されても『企業イメージを失墜するリスク』があるということも忘れてはいけません。

 

また『辞めたい』というのは社員にしてみれば最後通牒を言い渡した状況であることも忘れてはいけません。

引き留められていても、業務に本気で取り組めるほどの情熱がない状態だから長引かせても良いことはない。

 

だから「離職希望の部下を引き留めるのはリスクがあるからしなくてよい」のです。

引き止めているうちに現場の空気が悪くなるから

現場の空気が悪くなるということは組織を運営する上で一番避けたいものですよね。

退職理由を聞いて、『引き止めるためなら特別に希望を少しでも叶えてやりたい』という気持ちにさせられてしまうこともあるかもしれません。

 

でも、それは本当に良いことなのか?

答えと理由を見てみましょう。

 

POINT 3
辞めさせないために特例扱いすると他の社員の反感を買うから

 

特例は基本的に『1人だけだから』可能な場合がほとんどでしょう。

特例扱いされている、なんて他の社員に言いふらすようなことはしないだろうとタカをくくるのはとても危険です!

特別信頼している仲間だとぽろっと漏らしてしまったり、日常的にみていてばれてしまうようなこともないとは言い切れないからです。

『退職したいといえば特例扱いしてもらえるんだ』という認識を与えてしまうのもよろしくないですが、何より『特例なんて不平等だ!』という反感をかって信頼を失ってしまうこともあります。

 

「辞めたいと言う部下を引き止めなくてよい?」⇒「はい、その通りです。」

辞めたい社員を引き止めないでよいのは企業としてプラスの転換期だから

ここまで、辞めたい社員を引き留めなくてよい理由をお伝えしました。

もう一つお伝えしたいのが『辞めたい社員を引き留めないことのメリット』についてです。

大きなメリットもあるので、退職希望者が現れたら後ろ向きになるのではなく、前向きにことを進めていくことも大切ということをご理解ください。

 

引き留めないメリットとは?
・社員が入れ替わると組織に新しい空気が流れ良い影響を生み出す
・円満退職で退職希望者にとって前向きな転職ができ、取引先になる可能性がある

 

優秀な人材がいなくなった穴をどう埋めるか、そこにばかり集中してしまう方もいるでしょう。

ですがそうではないのです。

 

穴が空くのはあっても一瞬。

新しく優秀な人材を雇えば自然と他の社員に競争意識が湧きます。

 

仮に採用に失敗してしまったとしても、その人材を教育したりしていくうちに別の社員の才能が開花するということも珍しくありません。

そのことから他の社員たちの絆が深まるという事例も、過去に実際に見聞きしています。

 

『部下が辞めたいなんて自分の責任だ…』と考えてしまうかもしれませんがそれも間違い。

上司は部下の仕事をマネジメントする立場であり、業務上の悩みなどをサポートする立場ではありますが、将来のビジョン・キャリアについてサポートする立場にはないのですから。

引き止めがない方が良い社員タイプ3パターンを知っておこう

引き留めないことで退職が組織にとってメリットとなる社員タイプについて解説します。

引き止めて組織に悪影響になる社員タイプ
・退職願いの段階で初めて不満を漏らした
・退職を以前からちらつかせていた
・ルールを守らない・協調性がない

カルチャーフィットしていない、エンゲージメントも低い、そんな状況では組織の一員としてうまく機能するはずがありません。

3つ目に関しては言うべきこともありませんが、1つ目に関しては疑問を感じる方もいるかもしれませんね。

 

ですが仕事をしていて伸びる人材というのはコミュニケーション能力も持ち合わせています。

辞めたい、といって初めて本音や不満を漏らせたというのは『それまできちんとコミュニケーションを測れていなかった・積極性にもかける人物である』ということに他なりません。

残念ですが引き止めたとしても長い目でみて、スムーズに業務をこなし成長するということは見込めないと考えましょう。

 

2つ目に関しては、他のところでも解説しましたが『辞めたい辞めたい…』とぼやく人は『周囲の士気を下げるだけ』です。

本人が影響力が大きい人物であればあるほど(仕事ができる人材ということも多いですが)、影響度合いも大きくなるので組織としてはありがたくない存在ですね。

【執拗な引き止めのリスク】訴訟・ブラック企業と拡散される・退職代行介入

「辞めたいと言っているのにやめさせてくれない!」

この状況を部下の立場で考えてみましょう。

もう辞める決心がついているからこそ、退職希望を申し出ているのにしつこく引き止められるのは迷惑でしかないのです。

となれば、今の時代は「ブラック企業だ!」などSNSに拡散されたり、労働基準局への申告で企業イメージがダウンしかねません。

場合によっては退職代行が介入してくる時代です。

執拗な引き止めをしてしまう前に、最初からもう一度「辞めたいという社員を引き留めなくてよい理由」を見返してみてください。

部下・社員が辞めたいと言う⇒上司の管理能力ではなく会社とのエンゲージメント不足

管理職以上の立場になると部下に「辞めたい」といわれると上司から

  • 「お前のせいだ」と責められる
  • 降格処分になる
なんていう話にびくびくしてしまうこともあるでしょう。

でもそれは間違いです。

上司は部下の業務や社内でのことをマネジメントする立場ですが、人生や仕事観にまでマネジメント能力を発揮する存在ではないのですから。

会社に満足できない、この会社では今後成長できない、と思うからこその転職。

上司のあなたの責任ではなく責任は会社にあります。

だから「とりあえず引き止めておかなくては」と考える必要はないのです。

部下に辞めたいと言われた時上司がすべき事・円満退職のコツ

辞めたい社員を引き留めなくてよい理由、そして引き留めないメリット・引き留めないほうが良いタイプを知ったところで…

社員に『会社を辞めたい』といわれたらまず何をすべきか押さえておきましょう。

  1. 退職希望理由を聞く
  2. 就業期間について労わる
  3. 退職希望日を確認する
  4. 人事や上司に伝え退職手続きを進めていく
円満に退職できるよう、また本人の意向を尊重し、退職希望者をいたわる姿勢を見せるということも重要です。
(もちろん姿勢だけ、では問題ですのできちんと動く必要がありますが)

辞めたいと言う社員と退職までの接し方は「いつも通り」が正解

辞めたいといわれてから実際に退職するまで1か月前後、長ければ2,3カ月期間あることがほとんどです。

引継ぎ作業もありますが、退職が決まっている人とどのように付き合うべきか悩んでしまうこともあるでしょう。

どうするべきなのか見てみてください。

辞めたいといわれた社員との退職までどう付き合うべきか
辞めたい社員への態度は退職までそれまで通りにする

態度がころっと変わってしまうというのは退職希望者だけでなく、周りの社員にも悪影響を及ぼします。

態度が好転していたとしても、です。

あえていつも通りに引継ぎ作業を含めて接するように心がけましょう。

辞めたい社員へのNGワードとそのリスクについて

続いて「辞めたい」といっている社員に間違っても言ってはいけないNGワードをお伝えします。

辞めたい社員に言ってはいけないNGワード
・『できないからいらない』など本人を否定すること
・『さっさと辞めろ』『辞めてくれて嬉しい』など気持ちを逆なですること

人間としても発言してはいけないものばかりですが、『最後は良いイメージで退職してもらう』ということは上でも少し触れましたが大切です。

SNSでの拡散・労働基準局にパワハラ申告されるなどあなた本人ではなく、『企業にダメージ』を受けるような深刻なケースに発展してしまうこともあります。

辞めたいと言ってきた時点で引き止めず円満退職が一番

ここまでの話をいったんまとめてみます。

結論としてはタイトルの通り「辞めたいという社員は引き止めるべきではない」ということ。

お伝えしたように執拗な引き止めにはリスクがあります。

「どうしようか悩んでいる」のではなくはっきりと「辞めたい」といっているのなら、お互い不幸にならないために円満退職させてあげましょう。

そうすることで、チームが円滑に、より活性化するケースも多いのです。

むしろ避けなければいけないのは『執拗な引き止め』をして残るメンバーに違和感を感じさせ、余計なところでエンゲージメントを低下させてしまうこと。

きれいに円満退職させてあげることができれば、そのリスクは回避できます。

それでも引き止めたい、その場合には「辞めたい」といっているのではなく「どうしようか悩んでいる」かどうかを見極めて、次を読み進めてみてください。

どうしても引き止めたい部下へはリテンションがポイント

退職希望理由を聞いても『絶対に引き止めたい・離職を阻止したい人材』ということもあるでしょう。

その場合にできることから見てみましょう。

退職を阻止したい部下だったら
辞める理由ではなく「迷っている部分」がないか探る

 

「辞めたい理由は?」と何度も聞くのではなく、「何をしたいのか?」「改善して欲しいところは何か?」など迷っている部分を探る会話をしてみましょう。

何度も辞めたい理由を口に出すうち、本当はちょっと悩んでいた部分があっても「辞めたい」と自己暗示をかけてしまうからです。

これでは退職を阻止することはできません。
 

会話の中で迷いが見えたらまだ引き止められるチャンスがあります。

「この話はまだあなたにしかしていないんですが‥‥」という場合もチャンスがないわけではないでしょう。

本気で決めているのなら、複数人に同時に話をしている可能性が高いからです。

思いとどまってくれる可能性がないか、突破口を探ることが唯一の方法です。

リテンションが必要なら具体的な対策を打ち出す覚悟も必要

思いと留めてくれた場合に、リテンションマネジメントをどのように行うかも重要です。

評価に不満があるなら360度評価を取り入る検討をする、など相応の具体的な対策が必要になります。

思い留まったことを後悔させない、企業としての、また上司としての覚悟も大切だということも忘れないようにしましょう。

引き止めに成功 ⇒ できる人材へ成長した事例は上司の人材育成がキー

引き止めはすべきではないということは説明してきましたが、わずかに引き止めて成功した事例もあります。

なんでもOKという訳ではなく

  • 上司と部下に信頼関係が構築されていた
  • 人材育成に成功したこと
  • 部下の辞めたい気持ちに迷いがあったこと
この3つの条件が合致してこその成功事例であったことは前提条件として認識してください。

部下が上司に突然、『辞めたい』と言ってきました。
でも上司は「まだ彼はここで成果を出せていないので、今後も繰り返してしまう懸念がある。」として退職を受け入れずにいました。

上司は辞めたいという部下に「転職を繰り返さないためにも、もうひと踏ん張りして成果を出してからにするべきだ」と話をするのです。

結局この言葉がきっかけで、部下は短い期間で「仕事ができる人材」と周りから認識されるまでに成長を遂げることができました。

このように引き止めて退職希望者にとっても、上司にとっても、企業にとっても良い結果になった例もないわけではありません。

社員の退職理由が自分にあったらどうすべきか

次に「退職理由が自分にあったらどうしたらよいのか」も知識として押さえておきましょう。

上司というのは往々にして不満の対象となるような行動をとらなくてはいけない場合もありますから、ケースバイケースの対応も必要です。

退職希望の理由が自分にあった場合
自分の性格などが原因になっている場合には謝る

 

組織や企業についての不満は自分だけでどうにかできるものではありませんし、100%満足できることも少ないもの。

ですが例えば「あなたの指示の仕方が横暴で嫌だった」とか「上司のくせに部下を守ろうとしていない」、「隣で貧乏ゆすりを繰り返されるのが苦痛だ」など確実にあなたに原因がある場合どうしたらよいか。

守ってくれない、など漠然としている場合には詳細を聞く必要もありますが、そのうえで自分の性格や言動が原因の場合はしっかりと謝罪して誠意を見せるということも大切です。

円満に退職できるように、また組織のイメージを悪いままにしないためにも謝るべきところは謝りましょう。

辞めたい社員の退職が決まったらすべき事

退職が決まったら、退職前にすべきことがあります。

退職を聞き入れたらすべきこと
人員の再配置を含め、必要なら新規採用を検討する

他の社員への引継ぎ、また必要であれば新規に採用して人員の再配置は最優先事項です。

人が足りない!という状況で無理やり頑張る、というのは他の社員にとっても悪影響しかありません。

人員再配置だけでは不足があるような場合には、スムーズに新規採用の検討をします。

『即戦力が必要!』という場合は『転職エージェントを利用すること』もおすすめです。

一般的な求人媒体に比べ、能力の高い人材が登録されていることが多く、転職エージェント側でもある程度厳選された人材が多い!のがその理由です。

辞めたい社員を引き止めないことはメリットもリスクもある

辞めたい社員は引き留めなくてよいのか?

『辞めたい』といわれると多かれ少なかれ悩んでしまうのが上司ですが、

  • 引き留めないことには大きなメリットもあること
  • 引き留めなくても業務が円滑に進む理由
もわかっていただけたでしょうか。

引き止めるべきではないタイプの社員もいること、退職したいと言われた後の社員との付き合い方も重要です。

退職が決まったら転職エージェントサービスを利用するなどして、スムーズに人員再配置をすることも忘れてはなりません。

後ろ向きになりがちな案件ですが、理由とメリットを知れば前向きに行動することもできるはず!

まだ不安が残る、という方はもう一度読み返してみていただければ幸いです。

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