360度評価・多面評価でフリーコメントに困った!例文・サンプルで上司・部下の人事評価に納得感を!

最近は人事評価により公平性のある評価を取り入れよう、ということで「360度評価」を多くの企業で取り入れています。
従業員数1,000人を超える企業では半数以上が360度評価を導入しているとも言われています。
とは言え…評価には選択式の項目だけでなくフリーコメント欄もあり、それが多くの評価者を悩ませるのも事実。
『360度評価を導入するとかいうけど…上司の評価ってどうコメントすればいいんだ!』
『部下のモチベーションを下げずに改善点‥どうやってコメントしよう…』
そんな皆さんの悩みを解決するためここでは、評価対象者別のコメント例文と、評価項目ごとの言い回しサンプルをそれぞれお伝えします。
どんなコメントを書くべきか悩んだ時の長文サンプルはこちらから
その他、避けるべきコメント例、実際にもらって困った360度評価コメントの例もお伝えしていきます。
360度評価のコメントの書き方のポイントは何かがわかれば皆さんもスムーズかつスピーディーに360度評価が実施できるはずです。
目次
- 1 360度評価・多面評価でのコメントを書くときの3つのポイント
- 2 業種別 360度コメント例・評価ポイント(営業職・技術職)
- 3 360度評価を成長につなげる為のコメント(立場別サンプル)
- 4 部下が上司を人事評価:360度評価・コメント例文サンプル
- 5 部下が部下(同僚)を人事評価:360度評価コメント例文サンプル
- 6 上司が部下を人事評価:360度評価コメント例文サンプル
- 7 納得感あり!360度評価 評価項目別コメント例と書き方サンプル
- 8 360度評価・多面評価のコメントは人材育成に活かすためのもの
- 9 360度評価・多面評価のコメントで評価対象者が困る事例から学ぼう
- 10 360度評価コメントNG例|360度評価・多面評価の存在意義を無駄にしない為に
- 11 360度評価のコメントはサンプルを参考に人材育成につなげよう
360度評価・多面評価でのコメントを書くときの3つのポイント
相手に伝わりやすいコメントを書くことが、360度評価のコメント記入時の重要ポイントです。
どんなところに気を付けるべきか見てみましょう。
・反省点と良いところ双方を記入する
・言葉は前向きに受け取りやすい表現を選ぶ
できるだけ具体的な内容を記載する、というのは良い点も反省点も同じです。
どうしてこの点数を付けたのか評価の根拠となる部分でもあり、コメントがあるからこそ成長につなげることができる。
そしてそのためには「相手が受け入れやすい言い回し」を選ぶということも重要です。
360度評価に主観的な評価はあまり求められていません。
ただ、相手を受け入れやすい言い回しというのも簡単なようで難しいですから、この後のサンプル・例文を参考にしてみてください。
業種別 360度コメント例・評価ポイント(営業職・技術職)
360度評価でのコメントに困らないよう、業種別にコメントするべきポイントも押さえておきましょう。
例文ではお伝えしずらい「どんなところに注目したコメントをするべきか」をわかりやすくあげていきます。
このポイントを押さえて例文・サンプルをチェックしてみてください。
営業職での360度コメントはスキルアップ・目標値・ホウレンソウもチェック
営業職では数字ばかりに目がいってしまいがち。
ですがそれでは効果的な360度評価を行うことは難しいですよね。
営業職で見ておくべきポイントをご紹介するので参考にしてみてください。
スキルアップに関する事
セミナー参加や他業種との積極的なコミュニケーションの場への参加など
実務的な目標達成に関する事
電話やメールでのアポイントメント件数目標、売り上げ目標、顧客管理に関する事など
ホウレンソウに関する事
報告・連絡・相談に関する事(コミュニケーションが円滑にとれるよう努力しているか、適切か)
技術職での360度コメントはスキルアップ・工数削減・業務効率に関することから
技術職では技術力に注視してしまいがちですが、実際に業務を円滑にしていくために重要なポイントもチェックしてみましょう。
視点を広げることで360度評価のコメントもスムーズに、また適切に行うことができるはずです。
スキルアップに関する事
セミナー参加や資格取得、スキル習得のための自習など
工数削減に関する事
工数削減ツールの作成、工数削減につながる努力など
業務効率・コミュニケーションに関する事
業務効率化のためのコミュニケーション方法の工夫、コミュニケーションをとることに積極的か・適切にできているか
360度評価を成長につなげる為のコメント(立場別サンプル)
部下が上司を評価する、というのはやはり気持ちの上で難しく感じることも多いでしょう。
ですが360度評価では上司が部下を、部下が上司を、そして同僚や自分自身の評価を下さなくてはなりません。
「何を書けばいいんだ…」と悩んでいる皆さんの参考になりそうな例文を立場別に紹介していきます。
部下が上司を人事評価:360度評価・コメント例文サンプル
「チーム内の各メンバーがどのような業務に当たっているかしっかり把握してくれている。そのため業務の相談もスムーズで、業務効率化に繋がっている。」
上司を評価する上では管理能力に注視したものはコメントが難しいこともあります。
このように良いと感じている点を率直にあげ、どのような成果につながるか具体的なコメントは本人にとってもモチベーションにつながるのでとても良いです。
「部下としてはとても頼りになり業務も進めやすくありがたいと感じている。ネガティブな報告をあげても嫌な顔をせず聴き、スピード感をもって分かりやすく的確な対策を出してくれるので心強い。」
良い点を挙げるにも、どのような点が良いと感じているのか具体的な話を盛り込んでいるのがポイントです。
上司、という立場だからこそ求められる要素に着眼することでスムーズにコメントしやすくなります。
「以前と比べてメンバーとのコミュニケーションを取ろうとしてくれているのが伝わってくる。ただミーティング中に関係ないトークが増えている点は今後改善していただけると、更にチームがまとまり業務も円滑になっていくように思う。」
ダメなポイントも上げつつ、どのようなところを改善していく必要があるか、その先を見越したコメントにしたことで指摘もスムーズに受け入れられやすくなります
部下が部下(同僚)を人事評価:360度評価コメント例文サンプル
「業務改善にも積極的に発言したりプロジェクトへの参加にも積極的。仕事に対しとても意欲があると感じる。積極性を活かし今後も活躍してくれると良いと考えている。」
意欲がある、ということについて具体的なポイントをあげて賞賛しているところが良いコメント例。
360度評価をするにあたっては、良い点をさらに伸ばすということも重要なので、このようなコメントは積極的に上げると良いでしょう。
「○○という企画の反響が大きく立案した立場としてはやはり誇らしく感じている。売上も他と比較して+50%という成果も出せた。これにはチームで情報を共有したことが功を奏したのではないかと思うので今後も継続したい。」
自分自身について評価するシーンを想定したサンプルです。
成果をあげられたと感じている部分は具体的に、数字も上げつつしっかりとアピールしています。
また次につなげるためには「何が良かったのか」を知ることも大切なので、良かったところをあげるときには「どういうポイントが効果につながったか」も考え記入すると良いでしょう。
「チームメンバー・そして自分の為に作業効率をUPするためのツールを開発した。これにより○○%割程度は時間短縮できるようになりメンバーにも喜ばれた。」
こちらも自分自身を評価するシーンを想定している例文です。
業績UPに欠かせない業務効率をUPするような成果を上げることができた、その場合には「どの程度効果があるのか」を誰が見てもわかるような文章にしましょう。
「先月比-15%の売上になってしまった。商談が途中でキャンセルとなってしまったのが複数件あったこと理由。今後の課題として「顧客との意思疎通を十分に行う」として月2回以上は最低でも訪問することを目標にする。」
売上がダウンしてしまった、そしてその理由は何だったのか振り返り、問題解消のための課題も明示している点が評価できます。
自分への評価のみならず、このようなわかりやすいコメントは受け入れられやすいのでおすすめです。
上司が部下を人事評価:360度評価コメント例文サンプル
「売上目標の達成率は○○%だった。他メンバーは100%達成していたことを考えると、努力不足・認識の甘さが原因では。顧客情報をしっかりチェックし、アプローチすべき顧客かどうかを見極めることができれば伸びると考える。担当でない顧客の折衝にも全力で当たっていたところは評価できるが、ここでの時間の使い方を考えることで達成率もUPするはず。チームワークを大切にしていたことでチーム内の空気が良くなったことも評価できる。」
この例文は良い点、悪い点をそれぞれあげながら、どうすれば悪かった部分を改善できるか対策も明示しています。
また言い回しも、ただただ悪いというのではなく、その中にも評価できるポイントを見つける上司としての器が感じられるため、受け入れやすいフィードバックとなっている例です。
反省点も多いが、評価できるポイントもしっかり評価しているのがこのサンプルの良いところ。
どうしたら改善できるかも具体的に示しつつ、しっかりと評価もできていて「見てくれているんだ」と上司からの愛情を感じられるコメントになっています。
「資格の取得に意欲的で素晴らしいが実務にそれを活かしきれていないのがもったいないと感じる。得られた知識を実務に活かして、是非ともスキルアップに繋げて欲しいと期待している。」
この例文では、「資格の取得には意欲的なのに実務に活かせていない」という言い方次第では「仕事できてないぞ!」と取れてしまうような指摘をあげています。
どうしたら業務に良い意味で反映することができるのか、その点について言及することでソフトな言い回しを実現している例です。
納得感あり!360度評価 評価項目別コメント例と書き方サンプル
上司から部下、部下から上司に、同僚や自分自身に評価するシーン使いやすいコメントを集めてみました。
ここからは例文でなく、ピンポイントで使えるコメント例をポイントと合わせてご紹介。
360度評価は評価項目ごとのコメントを行うので、ここでは評価項目ごとに纏めます。
360度評価コメント例:成果についてのポイント
成果を上げたかどうか、そのまま書くだけでは360度評価のメリットが活かせなくなってしまう部分でもあります。
どのようなポイントに気を付けてコメントすればよいか参考にしてみてください。
・(成果が上がっていた場合)何故その数値を出せたと思うか、当人の試みについて記入
・(成果が出なかった場合)どうして成果に繋がらなかったかを努力していた部分も含め考察した結果を記入
上記のポイントを踏まえてどのような言い回しが使えるか例を紹介します。
- 「○○(当人の試み)が功を奏し成功に繋がったものと評価している。」
- 「(売り上げ目標は達成できなかったが)○○(反省点)を改善できれば目標達成も可能と期待している。」
- 「(達成できなかった理由を鑑みて)目標を達成するため今後は○○を課題とし、▲▼(具体的な行動)を行う。」
360度評価コメント例:能力についてのポイント
能力があるかないか、書き方を間違えると誹謗中傷にもなりかねない部分です。
ここではどのようにコメントすると良いのか、まずはポイントをおさえてみましょう。
・(成果が上がっていた場合)活かされていた能力と、さらなる成長を促すポイントを記入
・(能力に不安がある場合)今後もできないと思わせないため、現状”まだ”できていないというニュアンスに
・(能力に不安がある場合)能力を発揮するための本人の特性を含めてアイディアを提案する
上記のポイントを踏まえてどのような言い回しが使えるか例を紹介します。
- 「(成果につながっているのは)論理的思考力・俯瞰的な視線・ユニークな発想力」
- 「チームメンバーの現状をしっかり把握してくれていて、業務が効率よく進められている。」
- 「(コミュニケーション能力が不安)能力や個性が発揮しきれず、メンバーと打ち解け切れていない印象。」
- 「(コミュニケーション能力が不安)個性的な考え方でよいと思うので自信をもって発言する勇気があればと思う。」
360度評価コメント例:意欲についてのポイント
意欲があるかないか、これは横文字ならモチベーションと表現されるものですが、意欲がない=「やる気がない」と直接的な表現はしにくいもの。
意欲的な人へのコメントだけでなく、意欲的ではない人へのコメントはどうするかも考えてみましょう。
・(意欲的に感じられる場合)どのような部分に意欲を感じたのか具体的にあげる
・(意欲的ではない場合)どの部分が意欲的でないと感じたのかを具体的にあげる
上記のポイントを踏まえてどのような言い回しが使えるか例を紹介します。
- 「積極的に企画を打ち出していて、発言力もある(ところから意欲があると感じている)」
- 「業務を積極的に改善しようと効率UPの対策を発案・発信している(ところから意欲があると感じている)」
- 「(意欲的ではない場合)せっかくの能力が活かしきれておらずもったいないと感じている」
360度評価コメント例:傾聴・伝達についてのポイント
傾聴や伝達は上司への評価となる場合が多いので、より悩ましく感じることもあるでしょう。
部下から上司にコメントすることが多いものだけに、どのようなコメントができるか、どうやって考えるかポイントを見てみましょう。
・評価対象者に情報を伝えやすいと感じているかどうかコメントする
・(不足がある場合)具体的に十分と感じられない部分と、改善案をコメントする
上記のポイントを踏まえてどのような言い回しが使えるか例を紹介します。
- ネガティブな報告も冷静に受け止めてくれるため、報告を上げやすい。
- 外に出ているときに重要な連絡が受けられないことがあるので、○○を使った改善ができないだろうか。
- チーム内での情報伝達がスムーズでないと感じるため、○○などのコミュニケーションツールの導入を希望する。
360度評価・多面評価のコメントは人材育成に活かすためのもの
ここまで評価対象別コメントの例文、評価項目別のコメントサンプルを続けてご紹介してきました。
具体性は特に360度評価のコメントとして重要ですが、それ以上に重要なのは「人材育成につなげる」ということです。
この点を忘れてしまうと360度評価を行うメリットを活かせず、せっかく評価に時間をかけても意味がなくなってしまいます。
ですから、「相手の為に」ということを念頭に置いてコメントをあげるようにしていきましょう。
360度評価・多面評価のコメントで評価対象者が困る事例から学ぼう
360度評価はあくまで「評価対象者が成長するために人材育成の一環で行うもの」です。
選択式の回答は選ぶだけなので気軽ですが、貰う立場になってみると「どんな風に思われているのか」がわかりやすいフリーコメントに書かれたことは怖さもある反面、気になるのではないでしょうか?
例えば上司の立場にある管理職へのコメントで悩ませるものとしてこんな例があります。
「とても面倒見の良い上司で、気軽に相談できるのがありがたい。」といったコメントがある一方で、
「もっと部下の悩みに寄り添って欲しい」というコメントもあることがあります。
上司は日頃から”部下とのコミュニケーションはとるようにしていて、そのうえで悩みなどは積極的に相談に乗るようにしている”ということもあって、「面倒見の良い上司」であろうとしていたし自負もある。
でも360度評価のコメントを受けて、「自分は今もやっているつもりなのだが”もっと部下の相談に乗る”ということを今後の目標とすべきなのか?」と悩んでしまったという話もあります。
この例をサンプルに考えてみると、「もっと悩みに寄り添って」というのは具体性に欠けているからこそ、上司が悩むだけの結果になってしまっています。
もちろん、賛否両論集まるのも360度評価の特徴ではあるので、平均点の理由としてこのように賛否ある事が原因と分かればそれも納得理由の1つとなるでしょう。
360度評価コメントNG例|360度評価・多面評価の存在意義を無駄にしない為に
最後に、360度評価にふさわしくないコメント例もご紹介します。
- 前向きに知識を得ようとセミナー参加するのは評価できる。これからも継続してくれれば良いと思う。
- 高い目標を掲げていて良いけれど、他の社員との協調性が無いと感じられる。
- チーム目標の工数削減に大きく寄与していたと思う。
②は改善すべき点を挙げているが、どのように改善して欲しいと感じているかが伝わりにくく意味がなくなってしまうので×。
③は「だから何だ?」で終わってしまうのが勿体ないところ。どのように工数削減に寄与していたのか、もう少し詳しくコメントするとモチベーションUPにつなげらえるというところで×。
360度評価をする意味がないコメントになってしまうので「具体性に欠けるコメント」や、「主観が入ったコメント」はNGです。
賞賛するところは「どこが良かったのか」を具体的に、その結果どうなったのかも含めると伝わりやすくなります。
また反省点をコメントする時は「どういう行動がどういう結果につながってしまったのか」を具体的にコメントしたうえで、成長するためのポイントも併せてコメントするなどできれば相手のモチベーションや成長につながります。
360度評価のコメントはサンプルを参考に人材育成につなげよう
注目されている360度評価をするにあたっては、どのようにコメントをすべきかに悩んでしまう方は多いでしょう。
どのようなコメントが良いか、まずはこの記事のサンプルや例文を参考にしていただき、イメージをもって360度評価に取り組んでみてください。
悩みを軽減しムーズに評価に当たっていただくこともできるはずです。
あまり悩んで工数がかさんでしまう…となると360度評価を行うこと自体がデメリットになってしまうので、できるだけ評価者の負担を軽減するということも重要です。
360度評価とは何か、360度評価を成功させるためのポイントなどはこちらの別記事(360度評価とは何か、成功させるためのコツやメリット・デメリットをまとめています)にを併せてチェックしてみてください。