パッケージ開発のメリットを開発手法別に徹底解説
こんにちは!
ITエンジニア・webディレクター・webデザイナーなどのIT人材の自立・キャリアを支援するITプロパートナーズのCTOの柳澤(やなぎさわ)です。 弊社は、独立精神旺盛な優秀なエンジニアの方々の独立・起業サポートや、フリーランス支援を行っている会社です。
こちらの弊社運営「サイトスタートアップ開発ラボ STaP(スタップ)」では、企業の新規事業開発担当者の方や、システム開発責任者の方、事業責任者の方達に向けて、事業開発のコツや、自社プロダクトやWebサービスを立ち上げる際にポイントや注意点について、弊社ノウハウを包み隠さずにお伝えしています。
今回、新しいシステムを開発・導入する方法について見ていきます。
新しいシステムを開発・導入する方法について、分けて二パターンに分かれます。
一つ目はパッケージソフトウェアの導入、二つ目はスクラッチ開発です。
そして、パッケージの導入にも、オリジナルのままの導入なのか、それともカスタマイズするのかケースバイケースです。
つまり、偏にシステム導入と呼んでも、3種類のやり方があります。
それぞれの特徴をご紹介するので、見ていきましょう!
パッケージ開発の手法とそれぞれのメリット
スーツの買い方もいくつかありますよね。
まずは、紳士服量販店の既製品を買う、という方法です。一番、早くて安いです。
次に、お店でいくつかある生地やボタンの中から気に入ったものを決めた上で身体を採寸して、送られてきた寸法に一番近いマスターパータン(服型紙)を使って製作するイージーオーダー、そして、テーラーがしっかり採寸して、仮縫いまで行ってくれるフルオーダーです。
システム導入においてもスーツと同じで、すでに開発されているパッケージ(イメージ的にはワードのようなもの)に手を加えず導入・利用する方法もあります。
これがオリジナルのままのパッケージ導入で、スーツで言えば既製品の購入です。
すでに開発されているパッケージですが、一部の使用を自社の利用状況に合わせて変更することがあります。
これがカスタマイズパッケージの導入で、イージーオーダーのようなものです。
そして、完全にITベンダーなどを活用して0から開発することも可能。
そして、新規開発することをスクラッチ開発と呼びます。スーツで例えるならば、もちろんフルオーダー相当です。
それぞれの導入方法について見ていきましょう。
システムパッケージをそのまま導入する場合
パッケージをそのまま導入する、スーツに言い換えれば既製品を買う場合のメリットは、
- ずばり初期費用が安い
- 導入も簡単
- 保守運用も任せられる
という点です。
パッケージ提供会社と契約した翌日から使えるなんてこともあります。
また、すでに同じパッケージが他社で稼働していることが多く、いくつかの会社で利用しているということは、自社が踏む前に他社でバグが見つかって修正が入るなど保守・運用時の品質面においても優位性があります。
また、パッケージ導入時にベンダーとどのような契約を交わしたか次第ではありますが、基本的にはシステムの瑕疵について、パッケージを作ったベンダーが全部、あるいは一部を受け持つことが多く、システム部分のリスクをベンダに移転しているという見方もできます。
システムパッケージをそのまま導入するデメリットとリスク
デメリットは、既製品のスーツだとイマイチしっくり来ない時があるように、せっかく導入したけれど、痒い所に手が届かない可能性が十分にあるということです。
細かいところですが、今まで会社では和暦を使っていたのに、新規導入のシステムは西暦のみしか受け付けないなど、システムに合わせて会社のルールを変えなくてはいけなくなるかもしれません。
また、スーツであれば服を買った店との関係は購入して退店した時で基本的に終わりですが、システムの場合はパッケージの提供元であるシステムベンダーに対して、ライセンス料や更新料という名前で使用料を払い続ける必要性が出てくることが多いです。
お金を払っているからこそ、保守・運用の面倒を見てくれ、とも言えますが、初期費用こそ安かったのに、ランニングコストで意外と出費を強いられる、という事態にもなるかもしれません。
システムパッケージをカスタマイズして導入する場合
続いてイージーオーダースーツのような立ち位置である、カスタマイズ化パッケージの導入について見ていきたいと思います。
システムパッケージをカスタマイズして導入する場合のメリット
メリットは、オリジナルのパッケージ導入と同じで、保守・運用部分について、パッケージの販売元ベンダーが関与するため、品質面に優位性がある、ということがまず挙げられます。
そして、オリジナルそのままのパッケージの導入、つまり既製品購入よりはかかるといえども、フルオーダーよりもお金や時間がかからないで、自分たちの要望を受けた、自社にあったシステムが納品される点は大きいメリットです。
ただし、これには油断が禁物で、システム発注側と開発側の意思疎通が不十分だと、思っていたのと異なる妙な機能が追加されてしまっていた、なんてことになる可能性も否定できません。
システムパッケージをカスタマイズして導入する場合のデメリットとリスク
デメリットは、オリジナルのパッケージ導入と同じで、パッケージの提供元であるシステムベンダーに対して、使用料の支払いが必要になることが多いです。
しかも、カスタマイズしている分、技術料などのオプション料金の発生や、カスタマイズの過程で他のパッケージも導入されるなど、さらに高額になることもしばしばです。
さらに、カスタマイズが特殊で他社で実績がないタイプのものの場合、自社特有のバグや障害が発生するかも知れません。
次にスクラッチ開発についてです。
スクラッチで0からシステム構築をする
そして最後はフルオーダーたる、スクラッチ開発の特徴です。
スクラッチ開発のメリット
メリットは、完全にフルオーダーなので100%自分たちの希望がシステム開発に反映される、という点です。
もっともこれも、パッケージをカスタマイズして導入する場合と同じで、システム発注側と開発側の意思疎通がうまくいっていないと思ったものと異なるシステムが納品されるリスクが十分にあります。
いくら優秀な職人が丁寧にスーツを仕立ててくれても、採寸してお客様の要望をまとめるテーラーの腕が悪いと、良いものができないのと同じです。
また、開発されたシステムの権利について、特別な取り決めや契約がない限りは、通常納品されたシステム発注側に帰属するため、ライセンス料のようなシステム利用料は発生しません。
スクラッチ開発のデメリットとリスク
スクラッチ開発のデメリットは、フルオーダーゆえに時間も費用も非常にかかってしまう、という点です。
しかも、大変なコストをかけたのに発注側と開発側の認識齟齬であまり役に立たないものが納品されたり、もっとひどいと納品日にまともに動くものが出てこない、なんてこともあり得ます。
スクラッチ開発の場合、これらの状況に陥ったとき、追加のコストを出して、軌道修正の上で開発を続行するか、開発失敗として諦めるかの二つに一つです。
その点、パッケージの導入の場合、カスタマイズに失敗しても、オリジナルのままでもある程度はニーズを満たせますし、そもそもカスタマイズしない場合は、失敗という言葉もありません。
そして、保守・運用について他社での実績がない一点モノですので、思いもよらぬバグが見つかったりするなど、安定稼働するまで苦労することもしばしばです。
誰が保守運用をするのか
そもそも、誰が保守・運用するのかも問題です。
納品された時点でシステムの管理権は完全に発注側にあり、自力で運用するのか、それとも引き続き開発ベンダーに面倒を見てもらうのか、それともまた別のところにお願いするのかを考えなくてはなりません。
自社で運用する場合は、システム周りのリスク、例えばウィルス攻撃を受けて情報が抜き取られるといった問題への対策と発生時対処を自分たちが担う必要が出てきます。
他社にお願いするのであれば、そのための契約が必要です。
決して、スクラッチ開発がパッケージ利用よりランニングコストが安いとは断言できないというのが正直なところです。
まとめ
今回は、システム導入時の3つのシステム導入方法について見ていきました。
どの方式が一番優れている、というのはなく、どの方式もメリット・デメリットがあるというのが現実です。
システム開発の際は、システムに求められているものをよく吟味し、一番マッチする方法を選んでください。