新規事業が失敗する理由と成功率を上げるためのコツを徹底解説
こんにちは!
ITエンジニア・webディレクター・webデザイナーなどのIT人材の自立・キャリアを支援するITプロパートナーズのCTOの柳澤(やなぎさわ)です。
弊社は、独立精神旺盛な優秀なエンジニアの方々の独立・起業サポートや、フリーランス支援を行っている会社です。
こちらの弊社運営サイト、「スタートアップ開発ラボ STaP(スタップ)」では、企業の新規事業開発担当者の方や、システム開発責任者の方、事業責任者の方達に向けて、事業開発のコツや、自社プロダクトやWebサービスを立ち上げる際にポイントや注意点について、弊社ノウハウを包み隠さずにお伝えしています。
さて、「新規事業」と聞いて、一見するととても魅力的なキーワードに見えますが実際は苦難の連続です。
今回は、新規事業を失敗してしまう要因とはなんなのか?について考えてみたいと思います。
また、新規事業を成功させるポイントについても掘り下げてみたいと思います。
早速見てみましょう。
新規事業が失敗する主な4つの要因
まずは、新規事業がなぜ失敗するのかについて見ていきましょう。そこには大きく4つの要因があります。
ユーザーニーズを汲み取れていない
まず、新規事業に多い失敗は、市場や顧客のニーズを優先するのではなく、自分たちが考えたソリューションやプロダクトを第一優先に考えてしまうことです。確かに、何かしら行動を起こすためにソリューションも重要です。
ましてや、普段から自分たちが利用している製品やサービスなら考えやすく手を付けやすいです。
しかし、ユーザーニーズはそうはいきません。
人それぞれ価値観は違いますし、それこそ求めているものも変わってきます。
ましてや、本当に求めているサービスを提供するというのはそれこそ長い時間試行錯誤を必要とし、なかなか答えに辿り着けません。
いつまでもシステムの改良にばかり目を向けていては、既存の同業者と変わりがありません。
新規事業に重要なのは、既存の同業者では汲み取れない、対応できないユーザーニーズを理解することが必要であり、最も優先すべきことなのです。
自分たちの視点で事業展開をする
「自分たちの視点で事業を展開する」というのはどういうことなのか?
例えば、社内の既存事業を利用して新規事業を立ち上げたとします。
当然これは自社の強みを活かすことができ、ノウハウも既に備えているわけだから正解に近いかもしれません。
ですが、あくまでこれは社内の使われてないリソースを再利用しただけになります。
決してユーザーが求めているからというニーズからの発進ではなく、使える手段があるから利用しているだけとなってしまうパターンが非常に多いです。
その結果、誰からも求めていない新サービスが出来上がるだけとなってしまいます。
プレッシャーの多い環境
新規事業に関わったことがある方、また周りでやっているのを見ていた方は分かるかと思いますが、既存事業と切り離された新規事業への立ち上げはプロジェクトチームへの風当たりが非常に強くなる場合が多く、とても失敗が許されるような環境ではないことが多いです。
周りのメンバーからすれば、新しくスタートしたプロジェクトが一体何をやっているのかは分かりませんし、目に見えて結果が出るまでには時間を必要とする場合も多くあります。
その結果、周りからプロジェクトの成功報告を早く出すよう求められてしまい事業拡大ができるまで成長せず、スモールビジネスで終わってしまうパターンが多いです。
全体的なスキル不足
もっと単純な理由に、それぞれの分野のスキル不足が原因の場合もあります。
・プログラミング
例えば、新規事業立ち上げに重要なスキルともいえる「プログラミング」です。
プログラミング自体はできる方が多いかと思いますが、新規事業では0→1で開発ができるエンジニアの存在が必須です。
そしてそんな優秀なエンジニアを採用することは、ある程度のブランドのある企業ならまだしも、起業してまもない企業が採用することは難しいのが現状です。
・マーケティング力
もちろんそれだけではなく、市場を充分に理解できる「マーケティング力」も必要になってきます。
「自分たちが考えた製品・サービスをどのようにユーザーに届けるのか」、
「どういった層にこのサービスが求められているのか?」、
「こサービスでどんな価値創造ができるのか」、
といった疑問を突き詰めて行く力が重要です。
・営業力
他にも、事業全体の「営業力」が必要になってきますよね。
ここでいう営業力とは、顧客が求めているものを引き出せるコミュニケーション能力のこともそうですし、自分たちのプロダクトを広めるための伝道師でもあります。
ユーザーのニーズを引き出す、顧客と直接話をする必要がある新規事業だからこそ、この営業力が重要になってくるのです。
また、チーム内の新規事業への共感もモチベーションを保つためには重要といえるでしょう。
新規事業を立ち上げる時に意識すべきこと
市場分析と調査
市場調査や分析は、企業がニーズを把握するのに非常に重要なことといえます。
しかし、市場調査が重要とされているのはそれだけではありません。
それは、市場調査をすることで得られる情報を元に企業側は意思決定をするための判断材料が手に入るからです。
そして何度もいいますが、ありきたりな商品やサービスでは既存の同業者へユーザーが流れていってしまう可能性もあります。
こういった状況を回避するためにも、系統的に市場調査を行うことで消費者とマーケットの構造を明確にし、新規事業の方向性を決める判断材料となるのです。
新規事業を立ち上げるタイミング
そもそも、既存の事業が成功しているのにも関わらず、なぜ新規事業を立ち上げる必要があるのか?これにはちゃんと理由があります。
それは、1950年に米国の経営学者であるジョエル・ディーンが発表した「すべての製品や市場には、誕生から衰退に至るまでサイクルがある」という研究結果を発表しています。
サイクルは全部で、
- 「導入期(新製品・新サービスの普及)」
- 「成長期(利益が上がり競合が出てくる)」
- 「成熟期(売上が鈍化し競争が激しくなる)」
- 「衰退期(他の代替品が出てきて利益が下がる)」
の4つに分かれています。
以上のことから、既存の製品やサービスが売れ続けるということは無く、企業として生き残っていくためには常に新しいモノを市場に投入し続ける必要があります。
また、新規事業を始める上でどうしてもレッドオーシャンである激戦市場に挑戦しなくてはいけない場合もあるかもしれません。
ですが、既に多くの改良品が製品化・サービス化されている以上、タイミング的にも賢い判断とはいえません。
また、既存のモノに勝つにはそれだけ同業者との「差異化」が必要になってきます。
誰よりも先を行くスピードが必要
新規事業に最も重要なことの1つでもある「スピード」、なぜここまでスピードが重要なのか?
それは、自社が思い付いたアイデアは既に他の同業者が思いついているかもしれません。
というよりも、ほとんどのアイデアは誰かがひらめいている可能性の方が高いです。
そのとき相手に勝つために必要になるのが、行動量とスピード。決定から製品化・サービス化するまでのスピードなのです。
また、同業者と競争をしたときに「周りに追いつけてる」と考えては駄目です。
既に競争相手がいる時点で、あなたのアイデアは周りに追いつかれています
つまり、それは周りに同じようなモノが溢れてしまい上記の「差異化」ができていないということになります。
自社をブランド化するためにも、ここからさらに相手を追い抜くアイデアとスピードが必要になってきます。
PDCAサイクルはできているか?
PDCAサイクルは、新規事業に限らず重要な手法の1つです。
適切なタイミングを逃さないためには、このサイクルをいかに早く行えるかが重要になってきます。
新規事業はなにも最初から完璧である必要はありませんし、むしろ最初から完璧なモノを作り出すのは不可能といえます。
だからこそ、仮説で立てたプランを実行しながらユーザーの反応を見て改善していくPDCAサイクルが重要になってくるのです。
改めて、PDCAサイクルがうまく回せているのかを確認して、勝ちパターンを見つけていきましょう。
新規事業成功のカギって?
ユーザーが求めているものをスピーディに具現化する
新規事業の成功のポイント、それはユーザーが求めているものを製品・サービスに組み込むことが重要というのは理解してもらえたと思います。
ユーザーの反響を知るために、アンケートなどでも確認することはできますが、本当に役に立つ感想を聞くためには実際の製品やサービスを体験してもらう必要があります。
そこで役に立つのが、完成品ではなくプロトタイプを用いて一番売りにしている部分を体験してもらうことです。
そうすることにより、ユーザーがこの製品・サービスに価値を見出すことができるのか判断することができます。
このように、実際に体験してもらいアンケートなどで感想を聞かせてもらうことで、本当にユーザーが求めているものへと近づかせることができます。
それだけでなく、プロトタイプを用いることで、サービス開発のスピードも速くなりますし、ユーザーが求めていることと、自分たちが実現したいサービス、どちらも満たすサービスへと近くスピードも加速するでしょう。
優先順位をつけて削れるものは削る
私自身web業界で活動してきたので、そちらに話が寄ってしまうのですが、新規事業を展開して行くと、「あの機能も欲しい」、「ここのデザインをもっとこうしよう!」というようにこだわりが多く出てきます。
しかし、そこで見失っていけないのは優先順位です。
サービス全体に影響を与えるものとそうでないものをしっかりと見極めることが重要で、全体の成長スピードにも関わってきます。
そこまでサービスの機能にオリジナリティを求めていないのならば、システム開発パッケージを利用するのも良いでしょう。
まとめ
新規事業が失敗してしまう理由について解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?
新規事業を成功させるために大切なのは、顧客ニーズを理解することで決して自分たちが作りたいものを作ればいいだけというわけではありません。
この記事を参考に、新規事業が成功に近づくきっかけになれば幸いです。