NPSの計算方法とは?基本的な概要と合わせて確認しよう

顧客ロイヤリティを把握する際に役立つNPSは、多くの企業の今後につながる指標となります。
しかしNPSは基本的な使い方がわからないと、そのメリットを上手に活かすことができません。
特にNPSの計算方法を正しく理解できていない場合、時間と労力をかけてもそれに見合ったリターンを得ることは難しくなるでしょう。
そこでこちらでは改めてNPSの計算方法や調査方法などを確認し、メリットを得るための体制を整えていきます。
NPSを導入したいけれど計算方法などがわかっていないときには、以下を参考に基本的な情報を確認してみてください。
目次
NPSの計算方法とは
NPSは主に以下のような計算方法を用いて、顧客ロイヤリティを測定します。
基本となる流れを把握して、NPSから有益な情報を引き出してみましょう。
- 0〜10点の評価から判定を行う
- 推奨者の割合(%)– 批判者の割合(%)で計算する
- 専用ツールを使って計算することも可能
0〜10点の評価から判定を行う
NPSはまず顧客に向けて「自社サービス(商品)」に関するアンケートを行い、0〜10点で評価してもらいます。
その数値を参考に顧客の満足度を客観的な視点から計算し、自社サービスや商品の魅力を測定することが可能です。
0〜6点を付けた人をサービスに不満がある「批判者」。
7〜8点を付けた人を「中立者」。
9〜10点を付けた人は満足度の高い「推奨者」として判定します。
まずはアンケートによって獲得した0〜10点の数値を参考に、顧客を3つのタイプに分けることから始めましょう。
推奨者の割合(%)– 批判者の割合(%)で計算する
NPSを計算する際には上記で分類した3つの顧客タイプを参考に、「推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)」といった計算式を利用します。
たとえば推奨者の割合が全体で30%、批判者の割合が全体の50%の場合、NPSは−20ポイントとなります。
この数値が現在の自社コンテンツに対して顧客が感じている、ひとつの指標となるのです。
0〜6点の人が批判者に分類されるため、基本的にNPSの計算式ではマイナスのポイントが付きやすくなります。
「マイナスだから自社サービスは人気がない」と判断するのではなく、「どうしたらマイナスポイントから脱却できるだろう?」と考えるきっかけにするのがコツです。
アンケートの数値を分類して割合を把握したあとは、「推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)」で実際の計算を行ってみましょう。
専用ツールを使って計算することも可能
NPSの計算に必要なアンケートの作成やその後の分類と割合の計算は、専用のツールに任せることもできます。
集計する時間や計算する手間が捻出できないときには、専用ツールを使うことも検討されるでしょう。
基本となる計算だけでなく、NPSスコアをグラフ化したり、レポートで共有したりといった機能を持つツールも多いです。
よりNPSのデータを上手に活用するきっかけになるので、専用ツールを使って計算するのもひとつの方法になります。
NPSの意味とは?
そもそもNPSとは、どんな意味を持つ数値なのでしょうか?
計算方法と合わせてその基本情報を確認し、改めてNPSの重要性を把握してみましょう。
- 顧客ロイヤリティを数値化したもの
- 顧客満足度とは違う?
顧客ロイヤリティを数値化したもの
NPSとは「Net Promoter Score」の略称で、顧客ロイヤリティを数値に変換してわかりやすくする指標のことです。
顧客が自社に対してどれくらいの愛着や信頼を持っているのかが数値でわかるので、今後の展開の参考にすることができます。
自社サービスや商品に好意的な意見だけでなく、批判者も一緒に「顧客」として捉える方法になるため、より自社コンテンツが受け入れられている現状を把握しやすくなるのが特徴。
欧米では既にポピュラーな手法のひとつであるため、今後は日本の企業にも定着していく可能性が高いでしょう。
顧客ロイヤリティを測ることを目的とする際には、NPSの計算を行うことが最初の一歩になります。
顧客満足度とは違う?
NPSは一般的に使われる「顧客満足度」とは違い、計算結果が企業成長率と深い関係を示すことが多いです。
事業の成長や業績アップとの相関関係が認められているため、NPSを上昇させることはより直接的に企業の将来性を高めることにつながります。
顧客満足度によって得た評価は曖昧なことが多く、具体的な成果につなげづらい面があります。
リピーターの獲得や顧客層の拡大といった目標を達成したいときには、顧客満足度よりも企業成長率と相関関係が深いNPSの計算結果が頼りになるでしょう。
NPSの調査方法
NPSの計算を正確に行うためには、調査方法にも気を配る必要があります。
以下の内容を参考に調査方法の基本を確認し、NPSを導き出すための準備を進めてみましょう。
- アンケートを作成する
- リレーショナル調査とトランザクショナル調査を実施する
アンケートを作成する
NPSの計算を行うためには、数値化するためのデータをアンケートから集める必要があります。
先に挙げた0〜10点で評価できる設問を複数作成し、アンケートとしてまとめるのが基本です。
アンケートはシンプルな内容が好まれるので、回答率を下げないために7問以内の設問数と3〜5分以内に回答が終わる構成を意識します。
少ない設問で顧客のロイヤリティがわかるように、「自社サービスや商品を誰かにお勧めしたいと思いますか?」「サービスや商品に改善してほしい点はありますか?」といった具体性のある内容を採用するのがポイント。
NPSを計測するための最適なアンケートを作成することが、調査のための基本になります。
リレーショナル調査とトランザクショナル調査を実施する
NPSの調査方法には、「リレーショナル調査」と「トランザクショナル調査」という2つの種類があります。
企業やブランドそのものの評価を計算するリレーショナル調査は、年に1回程度行われる
全体評価のアンケートです。
自社全体にどのようなイメージを持たれているのかがわかるため、顧客体験から事業の成果を確認できます。
トランザクショナル調査とは個別の満足度を測定する方法で、事業やサービスごとにピンポイントで評価を測定できるのが特徴。
週や月ごとに細かく行われるアンケートになり、より細かく顧客ロイヤリティを計算することができます。
NPSではリレーショナル調査とトランザクショナル調査の両方を適宜利用し、調査を進めていくことが必要になるでしょう。
NPSを導入するメリットとは?
なぜNPSは、多くの企業で採用される指標になっているのでしょうか。
そもそもの魅力を把握するためにも、NSPを企業に導入するメリットをチェックしてみてください。
- シンプルな形に可視化できる
- 他社との比較が可能
シンプルな形に可視化できる
NPSには顧客ロイヤリティという複雑で曖昧なデータを、シンプルな形に可視化できるというメリットがあります。
可視化された数値は顧客ロイヤリティを高めたいときの指標になることはもちろん、プレゼンなどにおける有力なデータとして応用することが可能です。
「NPSを〇〇ポイントにすることを目標にしよう」といった形で共有することも容易くなるため、組織内の結束力を高めるきっかけにもできるでしょう。
複雑になりやすいデータをシンプルに可視化できる点こそ、NPSの持つ大きな魅力になります。
他社との比較が可能
NPSのスコアは共通の計算式によって導き出されるため、他社との比較を行いやすいのもメリットです。
実際に自社コンテンツが競合他社に顧客ロイヤリティで優っているのか劣っているのかがわかるので、より事業の成果を確認しやすくなるでしょう。
他社との比較を行うことは不足している点や改善点を見つけるきっかけになるため、自社サービスのさらなる向上につなげられます。
NPSを計算したあとは、積極的に他社のスコアと比較してみるのがおすすめです。
NPSの計算に使える専用ツール
NPSの計算に使える専用ツールには、以下のような種類があります。
必要に応じてツールを活用し、NPSをより扱いやすいものに変えていきましょう。
- Qualtrics
- formrun
- wootric
Qualtrics
「Qualtrics」は高い回答率のサポートと、顧客の離脱予想・防止を行ってくれるNPSツールです。
組織の部署や役職ごとにダッシュボードを作成し、グラフや表でわかりやすくNPSに関する情報を共有することもできます。
アプリ、ウェブサイト、SMS、チャットボットなどの多くのチャネルを使って、必要なフィードバックを得られるのが特徴。
Qualtricsを使うことで、より精密な情報を元にしたNSPの計算を行うことができるでしょう。
formrun
「formrun」は20種類以上のテンプレートから好きなものを選択して、テキストを入力するだけで簡単にNPSのアンケートを作成できるフォームツールです。
郵便番号から自動で住所を入力する機能や、必須項目などを常時判定するリアルタイムバリデーション機能などが利用できます。
セキュリティの充実度も高く、データの暗号化や24時間のサーバー管理などによって顧客情報を安全に守ることが可能です。
formrunは簡単かつ安全にNPSのアンケートを実行する際の手助けとなるでしょう。
wootric
「wootric」は顧客からの回答を自動で蓄積し、好きなタイミングでNPSのスコアを確認できるサービスです。
無料プランでもNPSの平均値や推移を確認できるので、基本的な情報をまとめて管理することができます。
有料プランであればさらに顧客の性質ごとに絞り込みを行ったり、ZapierやMixPanelといった他社サービスと連携したりすることも可能です。
NPSを便利に管理するツールを探している場合には、wootricを試してみましょう。
まとめ:NPSの計算方法は非常に簡単!自社に導入して顧客ロイヤリティを数値化しよう!
NPSの計算方法は、実はとても簡単な内容になっています。
一度基本的な方法を知ることができれば、その後も定期的にNPSをチェックしていくことができるでしょう。
NPSによる顧客ロイヤリティの数値化は、事業の具体的な改善案の作成などにつながっていきます。
この機会にNPSの計算方法を把握して、自社コンテンツの顧客ロイヤリティを確認してみてはいかがでしょうか。