1on1のデメリットとは?意味がないと感じる原因とその解消法

1on1ミーティングを導入している企業は数多くありますが、実際に実施する立場の上司や部下からは「本当に意味があるの?」「時間の無駄なのでは?」といったネガティブな意見が多く聞かれます。
一方で、1on1ミーティングを上手く機能させて、企業としての活動にプラスとなっているケースも存在するのが事実です。
1on1ミーティングでは、最終的に部下が自発的に行動できる社員になるよう育成することが目的であることを意識することで、企業にとって有意義なシステムとなっていきます。
そこで本記事では、1on1ミーティングを導入している、または導入しようとしている企業の上司及び部下の方向けに、1on1ミーティングを「なぜデメリットに感じてしまうのか?」またデメリットと感じる原因の解消法をご紹介していきたいと思います。
自社で実施している1on1ミーティングで取り入れていない部分があれば、ぜひ本記事の内容を参考に新しい1on1ミーティングの方法を検討してみてください。
目次
1on1をデメリットと感じる原因を把握しよう
1on1をデメリットと感じる原因を把握することは、企業で1on1を継続していく上で避けては通れません。
1on1を実施している現場の人間がデメリットを感じながら取り組んでいたのでは、有意義なミーティングとはならないでしょう。
しっかりとデメリットと感じる原因を認識して、改善していくことが重要です。
- 上司に負荷がかかる
- 1on1分の業務時間が増加する
- 準備不足及び目的意識が共有できていない
- 1on1を実施した効果が見えにくい
- 上司と部下の信頼関係が築けていない
上司に負荷がかかる
上司側がデメリットに感じる大きな要因として、時間的負荷が大きくなる点が挙げられます。
上司は一般的に部下を複数人持っており、部下の人数分、時間を割く必要があるため合計するとかなりの時間が必要です。
例えば5人の部下がいる上司が、1週間に1回の頻度で、1時間の1on1を実施した場合、1ヶ月(4週間)でトータル20時間を1on1に割く必要が生じるため、大きな負荷となります。
実際に1on1を実施している時間以外の準備時間などを加味すると、更に多くの時間が必要です。
上司がなるべく時間を掛けずに、部下1人1人と向き合う時間を確保出来るかがデメリット解消のポイントとなるでしょう。
1on1分の業務時間が増加する
1on1を実施することで業務時間が増加したと感じる社員が多いことも、1on1にデメリットを感じる要因の1つです。
これまでの作業内容は変わらず1on1を追加した場合、たとえ業務時間内に組み込まれていたとしても現場の社員からは自分の作業時間が削られたと感じ、不満が出ることは仕方のないことでしょう。
会社全体で1on1をあらかじめ業務の一環として捉え、スケジュール調整できるかがデメリット解消へのポイントです。
準備不足及び目的意識が共有できていない
1on1を実施したは良いものの、「話すことがない」「何のために実施しているのか分からない」といった理由で、「時間の無駄」との想いからデメリットと感じている社員が多いのも事実です。
スケジュール上1on1をすることになっているからという理由だけで、何の準備もせずに実施したのでは、無駄なミーティングとなってしまっても仕方ありません。
1on1を進捗確認や雑談で終わらせないためにも、上司と部下が互いに目的をはっきりと認識することが重要です。
1on1を実施した効果が見えにくい
1on1で話し合う内容の中には、すぐに改善できるものではないことや、成果として見えにくいものも多く含まれます。
なかなか効果を実感できず、「結局1on1を実施している意味が無いのでは?」とデメリットを感じる社員もいるでしょう。
上司と部下の信頼関係が築けていない
上司と部下の信頼関係が築けていない場合、いくら1on1に取り組んでみても有意義なミーティングとするのは難しいと言えるでしょう。
上司が一方的に意見を押し付けたり、部下の意見を聞いていないようでは、そもそも1on1を実施する意味がなくなってしまいます。
1on1で感じるデメリットを解消する方法とは!?
1on1で感じるデメリットの原因を把握したところで、次は解消方法についてそれぞれ確認していきましょう。
デメリットを解消していくためには、会社・上司・部下が役割を認識して1on1に取り組むことが必要になってきます。
- 部下に要点をまとめたアジェンダを準備してもらいミーティング時間を短くする
- 業務を効率化し、1on1を実施する時間を生み出す
- 上司が1on1を行う目的を理解し、部下主体で実施できる環境をサポートする
- 1on1の実施頻度を増やし、PDCAサイクルを早く回す
- 上司はまず部下の意見を聞くことに注力し、意見の述べやすい環境を提供する
部下に要点をまとめたアジェンダを準備してもらいミーティング時間を短くする
「上司に負荷がかかる」デメリットを解消するためには、時間を上手く活用することが必要になってきます。
一方で、1on1の実施内容が薄くなってしまったのでは意味がありません。
そこで、部下に要点をまとめたアジェンダを準備してもらい、話す内容をあらかじめ決めておくことをオススメします。
ミーティング時間を無駄に引き延ばすことなく、最小限の時間で効果的な話し合いを行うように工夫しましょう。
またアジェンダを作成することで後述する部下主体での1on1を実現可能とするため、上司の負担を減らすことが可能になります。
<h3業務を効率化し、1on1を実施する時間を生み出す
1on1分の業務時間が増加すると言っても、週に1回1時間程度です。
ポジティブに捉えれば、この1on1の時間を確保するために今の業務の効率化が推進されるという見方もできます。
とは言え、業務の効率化まで全てを社員に丸投げしていては、1on1に協力する社員が増えることはないでしょう。
会社側も、業務効率化を推進するサポートをするべきです。
例えば、「1on1の時間を確保すること」の全社的な優先度を上げるというルールを徹底するのはどうでしょうか?
もしかすると上司が気軽に部下に仕事を振ってしまうことで、業務時間を圧迫しているかもしれません。部下としては「1on1の時間が取れないので…」と断るのはなかなか難しいですよね。
また上司自身も経営陣から指示された仕事を優先して、業務時間が圧迫されている場合もあるでしょう。
そこで、会社(経営陣)から「1on1の時間を確保すること」の優先度を上げる指示が下りれば、部下も上司からの仕事を断ることができますし、上司も経営陣からの仕事を断ることができるようになります。
このように会社側が1on1を推進するための効果的な施策を打てば、社員側も1on1の実施を前向きに捉えられるようになるのではないでしょうか。
上司が1on1を行う目的をしっかりと理解し、部下主体で実施できる環境をサポートする
「準備不足及び目的意識が共有できていない」問題については、まず上司自体が1on1を実施する意義をしっかりと理解しているのか確認するところから始めましょう。
上司が1on1の意義を把握していれば、部下主体での取り組みとして実施するべきことを理解し、適切な指示を出すことが可能です。
事前に目的と準備すべきことを明確にし、上司からサポートをしておくことで、上司・部下共に貴重な作業時間を無駄にすることなく1on1を実施することが可能となります。
そしてそのためには、会社側が上司に1on1を行う目的について共有し、上司に腹落ちしてもらう必要があります。
先ほどもお伝えしましたが、1on1を推進するためには社員任せでなく会社側から積極的に動く必要があると言えるでしょう。
1on1の実施頻度を増やし、PDCAサイクルを早く回す
「1on1を実施した効果が見えにくい」に関しては、中・長期的に効果を見据える必要があるため、導入当初は成果が見えなくても経過観察をする必要も出てきます。
少しずつでも成果を確認するためには、1on1の実施頻度を増やしてPDCAサイクルをより早く回す方法などが効果的です。
例えば、現在1on1を隔週で1時間開いているのであれば、毎週30分に変更してみるのはいかがでしょうか?
割いている時間自体は同じですが、状況確認を細かくすることで、認識の違いなどでズレた方向性をいち早く修正することも可能です。
上司はまず部下の意見を聞くことに注力し、意見の述べやすい環境を提供する
「上司と部下の信頼関係が築けていない」に関しては、すぐに解決する問題では無いかも知れませんが、上司の対応次第で良い関係を構築していくことは可能です。
上司はまず部下の意見を聞くことに注力しましょう。
自分の意見を聞いてくれない相手を信頼しろと言われても出来ませんよね。
部下が自主的に行動するためにも、まず意見の述べやすい環境を提供するよう努め、適切なアドバイスをすることで、1on1を重ねる毎に少しずつ信頼関係が構築されていくでしょう。
1on1のメリット・デメリットを比較して取り組むべきかを考えよう
ここまで1on1をデメリットと感じる原因と解消法について説明してきましたが、実際にメリットとデメリットを比較して、1on1に取り組むべきなのかに注目して確認していきたいと思います。
デメリットを解消する負担よりもメリットの方が大きいと感じる場合は、積極的に取り組んでいくことをおすすめします。
1on1を実施する費用対効果は高いのか?!
1on1は、上司と部下の業務時間を割いて行うことになるため、時間というコストが削られます。
では一方でパフォーマンスとなるメリットは何になるのでしょうか。
結論としては、「上司と部下の信頼関係の構築」「部下の主体性の向上」「部下の悩み解決」などが挙げられます。
月間である程度の時間を消費することにはなりますが、1on1が機能すればチーム間での連携が強固になることに加えて部下の主体性も上がるため、コストパフォーマンスは高いと言えるのではないでしょうか?
組織が大きくなればなるほど、社員が主体的に動けないと組織が機能不全に陥る可能性も高まります。
なぜなら、人数に従い管理コストが増え、その管理のための時間に業務時間が奪われ、結果として生産性のある業務に割かれる時間が少なくなるためです。
結果として、社員が10名の時の生産性と50名の時の生産性がさほど変わらないという企業はよく見受けられますよね。
組織の成長と生産性を同時に伸ばしたいのであれば、必ず社員の主体性が求められます。管理をしなくても会社の利益に直結する動きを積極的に取れる社員が増えれば最高ですよね。
このように考えると、1on1を実施するメリットは社員本人たちよりも会社の方が大きいと考えられるのではないでしょうか?
だからこそ、1on1の推進は社員任せにするのではなく会社側が積極的に動く必要がありますし、会社側が1on1の必要性を社員に理解してもらうよう働きかけなければならないのです。
従来の評価面談ではダメなのか?!
これまでの説明を聞けば、従来の評価面談と1on1では役割が大きく違うことがわかるはずです。
しかしそれはあくまで会社側の視点の話であり、実施する社員からすればどのような違いがあるかよくわかりません。
そのため、社員にはその違いをしっかりと理解してもらう必要があります。
まず従来の評価面談では、基本的に上司が一方的に部下を判断し、部下からの意見が加味されることはほとんどありません。
常にマンツーマンでやり取りをしている上司と部下であれば問題ありませんが、常日頃から部下が何をしているのか把握していない上司が評価面談をした際、部下は一方的な指摘や評価に対し到底納得などできないものです。
その点、1on1でコミュニケーションを取り信頼関係ができている上司からであれば、その評価にはある程度の納得感を持つことができるでしょう。また、評価に疑問が残る場合に遠慮することなく意見を交わすこともできるはずです。
1on1を実施することで、部下は納得度の高い評価を受けることができますし、上司は評価面談の度に部下からの不満を買うことがなくなります。
このように、1on1を実施することは会社側だけでなく、実施する上司と部下にも大きなメリットのあることなのです。
この点を会社側がしっかりと伝えているかどうかで、社員の1on1への取り組み方は大きく変わるのではないでしょうか。
まとめ:1on1で感じるデメリットを解消して有意義なミーティングを実施しよう
本記事では、1on1で感じるデメリットの原因と解消方法についてご紹介してきました。
結論として、1on1は短期的にはデメリットも感じやすい傾向にありますが、長期的な目線で見ると企業に取って大きなメリットがあります。
そしてデメリットを解消するには、社員以上に会社側の動きが大切です。
ぜひ会社全体で1on1への取り組み方を見直し、1on1を効果的に実施できる組織へと生まれ変わりましょう。