その1on1は失敗する?原因と成功の秘訣をお伝えします。
多くの1on1は失敗します。
なぜなら、多くの企業が1on1の捉え方を間違え、失敗する原因を作り出しているからです。
そこで今回は、1on1を実施する企業向けに、1on1が失敗する原因を事例付きでご紹介していきます。
失敗に対する対処法を合わせて解説していきますので、ぜひ参考にしていってください。
目次
失敗例1:1on1の内容を現場任せにしている
多くの企業では、1on1の推進を現場任せにしているために失敗しています。
1on1は基本的に、社員の時間を奪うものです。たとえ週1回30分だったとしても、上司は部下の話をどう聞けば良いのか悩みますし、部下も上司に何を話せば良いのか悩みます。
会社側が思っている以上に、1on1を負担に感じる社員は多いのです。
この事実を理解せずに社員に丸投げをしてしまう企業は、必ず1on1で失敗するでしょう。
- 企業として現場に丸投げ状態の場合は要注意!
- 解決策1:企業全体で利用可能なガイドラインを作成する
- 解決策2:上司と経営陣の間でも1on1を実施する
企業として現場に丸投げ状態の場合は要注意!
1on1で成果が出ない原因の1つは、「形だけのミーティングが行われている」ことです。
特に1on1を現場に丸投げしている企業の場合、ただ雑談や進捗管理が行われているだけの1on1になる可能性が高いです。
実施する側としては「時間もないし形だけやっておけば良いだろう」と考えてしまい、上司側・部下側双方にとって無駄な時間を過ごすことになってしまいかねません。
そこで解決策として、下記にご紹介する2つの方法を取り入れてみましょう。
解決策1:企業全体で利用可能なガイドラインを作成する
最低限、1on1のガイドラインは用意しましょう。
「基本的な考え方」や「事前に準備すべきこと」「ミーティングの概要」など、ガイドラインとして整備できることはたくさんあります。
特に、上司は部下からどんな話を聞けば良いのか、部下は上司にどんな話をすれば良いのかがわからずに悩んでいることがほとんど。そのため、アジェンダ作成の考え方やポイントを事前に伝えておくことは重要です。
解決策2:上司と経営陣の間でも1on1を実施する
1on1を実施する効果について、上司はしっかりと理解できているでしょうか?
現場で部下の話を聴く側の上司も、実際に1on1を受けたことがない場合、本当に「効果があるのか」「部下が何を望んでいるのか」について理解できていないことがほとんどです。
まず上司が聴く立場に立つ前に、経営陣との間で1on1を実施することは、現場にうまく1on1を導入するための効果的な戦略となります。
上司は実際に話す側として部下の気持ちが理解できるようになりますし、経営陣と直接意見交換が出来る機会にはメリットを感じるでしょう。
現場と経営陣の考え方における溝を埋める意味でも良い機会となるため、上司と経営陣での1on1はぜひ実施してみることをオススメします。
失敗例2:1on1を実施する意義を理解していない
1on1が失敗する理由として、1on1を実施する意義を理解していないことが挙げられます。
「そもそも1on1って意味あるの?時間の無駄では?」と感じる社員は少なくありません。
- 1on1を実施する狙いと目的意識が共有されていない
- 解決策1:話す内容を明確化し事前準備を怠らない
- 解決策2:振り返りを必ず実施し次回に活かせる仕組み作りを行う
1on1を実施する狙いと目的意識が共有されていない
大前提として、会社側自身が本当に1on1を実施する意義について理解しているのでしょうか?
「最近1on1を取り入れている企業が増えているから自社でも取り入れてみよう」といった曖昧な動機では成果を出すことは困難です。
目的なく導入する場合には根本的に考え直すべきですが、目的を持って導入する場合、しっかりと現場まで意識共有されているでしょうか?
経営陣だけで目的意識を共有していたのでは、現場のメンバーが理解できずに、結局目的意識が無い状態でただ1on1を実施している状態になりかねません。
まず目的意識を共有した上で、目的に辿り着くための準備や振り返りを欠かさないことが1on1で成果を出すための必須事項となります。
解決策1:話す内容を明確化し事前準備を怠らない
1on1が浸透するかは、初回で決まります。
上司は前述した経営陣との1on1を実施することである程度目的を共有できていると思いますが、部下は初めての1on1です。
ここでやり方に悩んだり、何を聞けば良いかわからなかったり、ミーティングがスムーズに進行しなかった場合、「これって本当にやる意味があるの?」とマイナスのイメージを持たれてしまうことになるでしょう。
前述したガイドラインを活用したり、初回は上司と部下の他にもサポート役に入ってもらうなど、初回の1on1を成功させるための工夫が必要です。
その上で会社側がフィードバックを行い、実際の具体例を提示しながら1on1で話す内容を理解してもらうと効果的です。
解決策2:振り返りを必ず実施し次回に活かせる仕組み作りを行う
1on1を実施するところまでは良いものの、振り返りをせずに完了としてしまっているケースが非常に多く見られます。
1on1の目的自体は企業により様々ですが、上司と部下の信頼関係構築・部下の悩み解決など、何かしらの目的を持って実施しています。
振り返りをせずにただ1on1を実施するだけでは、改善が見られずただの情報共有やストレス発散の場となってしまう可能性も否定できません。
1on1を実施した際には必ず「振り返りの場を別途設ける」または「次回の1on1で以前の問題が解決しているかを確認する」など、話し合った内容が改善に向かっているかを確認するようにしましょう。
振り返りに関しては全社員共通で実施すべき事項ですので、企業として1on1を行うためのガイドラインに定義してしまうのが効果的です。
失敗例3:上司の聞き方・話し方に問題がある
1on1は上司の実力や適性によって良くも悪くもなります。
一方のグループでは1on1がうまく機能しているのに、別のグループでは1on1の成果が見られないといった場合には、上司の聞き方や話し方に問題が無いか疑ってみましょう。
上司の対応次第では、部下とのコミュニケーションが悪化することやモチベーションの低下にも繋がるため、問題がある場合にはすぐにでも解決すべきです。
- 上司が部下の話を聞いていない・一方的に話している
- 解決策1:上司は基本的に聞き役であることを理解する
- 解決策2:記録を残し第三者からの定期的なチェックを行う
上司が部下の話を聞いていない・一方的に話している
1on1を導入した場合に多い上司側の問題点として、部下の話を聞いていないことや一方的に話をしているケースが挙げられます。
具体的には、部下が話している途中に遮って自分の意見を述べたり、話を聞いてもすぐに否定から入るなど。部下からの意見や相談を聞かずに、一方的に上司が自分の意見を押し付けているケースは最悪です。
上司の対応に問題がある場合、上司自身が自分に問題があると自覚していないケースが非常に多いため、企業としてもサポート体制をしっかりと準備しておくことが大切になります。
解決策1:上司は基本的に聞き役であることを理解する
1on1では、上司は基本的に聞き役に徹するべきです。
自分の話しかしない上司はもちろん、部下の話を遮って自分の意見を押し通すような上司では部下からの信頼を得ることはできませんよね。
部下の間違いを正す場ではなく、部下が主体的に考えることができるようにサポートする場が1on1ミーティングです。
1on1を実施する前に、上司には「傾聴力」が重要であることを伝えておきましょう。
解決策2:記録を残し第三者からの定期的なチェックを行う
上司は基本的に聞き役に徹するべきと説明しましたが、実際に上司自身が取り組んでいるつもりでも、本当に成果が出ているのかは判断できません。
そこで、1on1で行った内容はしっかりと記録し、第三者がチェックするような仕組み作りを行うことをおすすめします。
1on1では当人達にしか状況が把握できないことから、それぞれの思い込みにより目指すべき方向性がズレてしまっている可能性も検討しておくべきです。
毎回でなく月に1回は第三者も含んだミーティングを実施するなど、1on1がうまく機能しているかを客観的にチェックできる仕組みを取り入れてみましょう。
まとめ:1on1を失敗させないためには事前準備が大事
本記事では、1on1が失敗する原因と解決策から、成功するための秘訣をご紹介してきました。
結論として、1on1を失敗させないためには、目的を明確にし企業として準備を怠らないことが重要です。
目的が曖昧な状態で1on1を実施したのでは成功しませんし、実施だけして振り返りをしないのでは同じく成功させることは出来ません。
企業・上司がそれぞれの役割をしっかりと認識し、最善の準備をして取り組むことで、1on1が企業にとって成果を出すために欠かせない取り組みとなるでしょう。