1on1で話すことがない!という悩みを解決するアジェンダ作成術
「1on1ミーティングするとかいうけど何を話せばいいんだよ!」
「マンツーマンな上にいきなりアジェンダ作れってどうして?何を書けば良いわけ?」
「ただでさえ忙しいのに1on1ミーティングなんてする価値ある?」
そんな声がそこかしこから聞こえてきそうですが、1on1ミーティングで話すことについて悩む方は大勢いらっしゃいます。
すると言われた以上、参加しないわけにはいきませんが「アジェンダを作れ」って何を書けばいいんだ?と余計に悩んでしまいますよね。
なぜ1on1ミーティングをするのか、アジェンダを自分で作成しなくてはいけないのかは「1on1ミーティングはあなたが働きやすい環境を整える為のもの」だからということをまず知っておいてください。
逆に言うと、1on1ミーティングのアジェンダの内容は「自分にメリットが出るように書けばよい」という事。
そこで今回の記事では、具体的にどんなことをアジェンダに取り上げればよいのか、そのためのコツを紹介します。
過去の事例も含めつつ、アジェンダの例・なぜあなたがアジェンダを作ることにメリットがあるのかも併せて解説していきます。
アジェンダ作成のコツの前にまずは「1on1ミーティングの目的や評価面談との違い」を簡単に紹介します。
何故自分でアジェンダを作らなくてはいけないのか知りたい方はこちらからどうぞ。
急いでアジェンダ作成のコツを知りたい!という形はこちらからチェックしてみてください。
目次
1on1ミーティングのテーマを考える前に何の為に行うのか知っておこう
1on1ミーティングと対比されるのが評価面談です。実際にこの2つは何が違うのでしょうか?
下記の表にまとめたので確認しておきましょう。
<1on1> | <評価面談> | |
目的 | 部下の能力を高めたり引き出すこと | 部下の人事評価を決定・通知すること |
実施の頻度 | 週1回から月1,2回 | 半期に1度 or 年1回 |
対話スタンス | 「上司と部下が対等に」話すことが多い | 上司から部下へ話をする |
1on1は実施頻度が多いため、「いつもの業務もあるのに余計大変になった!」と感じてしまうかもしれませんね。
そこでまずはこんなメリットがあるということを知っておいてください。
- 自分の考え方や行動について細かく理解してもらうことができる
- 上司から見えにくい努力もアピールできる
- 自分を理解してくれた上司から評価されるので納得しやすい
- 働きやすい環境を自分の為に整えることができる
進捗管理の対話とも違い、「上司に自分というものをしっかり理解してもらうために行う」のが1on1ミーティング、ということを念頭に1on1ミーティングで話すことをアジェンダにまとめましょう。
会社側が1on1ミーティングを導入する目的としては、マネジメント・管理層がメンバーと適切にコミュニケーションがおこなわれることでメンバー一人一人を正しく育成し、メンバーシップ・リーダーリップを発揮してもらうということがあります。
あなたが仕事に対して考えていること、求めているものや人生における仕事の比重(ワークライフバランス)や将来的なビジョンなどを共有することで、上司と自分の間のコミュニケーションを円滑にするための場が1on1ミーティングです。
なぜ1on1ではアジェンダを作らなくてはいけないのか
「アジェンダなんてどうして自分で作る必要があるんだ?」という疑問(不満?)もあるでしょう。
どうしてかというと…
- 話題を切り出すことに困っている時に上司が話題を誘導するため
- アジェンダを提出していることで話題に取り上げやすくなるから
- 話したい事の概要をチェックしてもらうことで時間を有意義に使うため
1on1を自分にとって有意義なものにするための議題をメモするためにアジェンダは自分で作成しましょう。
そこで次の章では、具体的なアジェンダ作成のポイントとコツを紹介します。
ぜひ読み進めてみてください。
1on1ミーティングでもう悩まない!【アジェンダ作成術&8つのポイント】
1on1ミーティングは『上司があなたについて理解を深めるための場」ということで、ここでは上司目線で『知りたい!』と思えることを中心にアジェンダ例として取り上げます。
アジェンダに取り上げる際のコツ・ポイントもあわせて解説します。
決められた時間で行うのが1on1ミーティングですから、ここで紹介する8つを網羅する必要はありません。
アジェンダ作成に困ってしまった皆さんのネタの素として、掲載していますので参考に目を通してみてください。
話すこと①:自分の目標について
プライベートでの目標、仕事に関する目標については積極的にアジェンダに取り入れることをおすすめします。
「趣味のボルダリングでひそかにオリンピック狙ってます!」
「毎週2冊は本を読むということを目標にしてるんです。」
「実はチームのメンバーと私的な会話も増やしていけるようになりたいと思っているんです」
「チーム内で”この人がいないと!”と思ってもらえることを目標にしてます!」
会社でのポジションはもちろんプライベートについて(趣味)の目標などを取り上げてみましょう。
プライベートでの目標というと生きていくうえで考えている事や、趣味を通して努力している事が伝わり、結果あなたの考え方やその結果の行動がどうなるのかの理解につながります。
会社における目標であれば上司も身近なところからサポートしやすくなりますし、あなたが望む方向に導きやすくなります。
話すこと②:資格やキャリアビジョンについて
努力していることが理解してもらえるだけでなく、価値観が伝わる部分でもあります。
仕事についてどのように考えているのか、仕事観だけでなくあなたの価値観も同時に伝えることにもなります。
当然上司として知っていれば後押しもしやすくなりますし、あなたの望む方向性を知ることができれば育成もしやすいというメリットがあります。
資格試験が近くなれば勉強しやすいように考慮する、ということだってできるのです。
話すこと③:困っている事について
プライベートで困っている事があればそれも良いですし、チーム内の人間関係など普段話し辛いことでもOKです。
「実はチーム内の○○さんが、他のメンバーと情報伝達に積極的ではなくて業務が滞ったり、トラブルにつながることがある」
「嫁の体調が悪く、子供を保育園に送り迎えしなくてはいけないのだが、子供がぐずってしまい大変なんです」
プライベートなことなんてと思うかもしれませんが、心身が健康な状態かどうかを知ることは上司にとっても重要な事。
私的な部分で困っていることも含めて働きやすい環境を可能な範囲で整える事、それも業務上必要な事です。
チーム内など普段困っているとは言いづらい部分も、マンツーマンで行う1on1ミーティングだからこそ話すことができます。
話すこと④:業務を効率化するためのアイディアについて
1on1ミーティングで話すこととして、努力やアイディアを取り上げることはとてもおススメです。
「実はチームでもっと効率よく進められたらと思っていて、こんなツールを作っているところなんです」
「チーム内ので残業を減らすために、こういうやり方を取り入れてみたらどうかなと思っているんですけど…」
上司が普段の業務上ではわからないようなことも、チームの為、組織の為に頑張ってくれているんだと認識することができます。
残業を減らしたい、チームをもっと効率よく回せたらと思っているということも伝わりますから、そのためのサポートも受けやすくなるでしょう。
話すこと⑤:体調面について
「最近仕事が楽しくて仕方なくて、不思議と朝から元気いっぱいなんですよ!」
「残業が続いてしまっているので体が重いのが続いていて…」
「疲れすぎて気分転換とかリフレッシュをする余力がないような状態なんです…」
みなさんの体調や気持ちの浮き沈みについて知ることも業務マネジメント上重要なポイントです。
「疲れている」といわれたら「じゃあどうしたらよいかな‥なんでそんなに疲れてしまうのだろう?」と上司も考えるきっかけになります。
体調管理は自分の問題でもありますが、業務があまりにも多忙になってしまうとそうも言ってられない!ということもありますよね。
残業が多くて疲れている ⇒ どうして残業が多いのか ⇒ 残業を減らすためにどうしようか と上司と話をすることができるのも1on1ミーティングなのです。
話すこと⑥:今頑張っていることについて
「今は効率よく業務を進めるためにこんな取り組みをしているんです」
「売上UPの為にお客様と密にコミュニケーションをとることを心掛けています」
「実は今更かもしれませんが…一日一善を心掛けてみてます」
「チームの空気をもっとよくできればな…と思ってみんなを笑わせる為に頑張ってます!」
「趣味でやっているボルダリングでも友達を作ろうと思っていろんな人に話しかけてみてるんです。」
このような話題も1on1ミーティングで取り上げてみても良いでしょう。業務だけに限らずプライベートでも良いのです。
何か頑張っていることがあるなら是非話してみてください!
人が頑張っている姿を知る、というのは相手にもすがすがしい気持ちになってもらえますし、何より他言したことでより励む気持ちにもなりますよね。
まさにWINWIN、育成という言葉の枠だけでは収まりきらないほど良い流れを生み出すことができます。
話すこと⑦:業務やプライベートで嬉しかったこと
評価されることで喜びを感じるのか、報酬を得ることで喜びを感じるのか、感謝されることで喜びを感じるのか…。
どんな風に感じるか、ということだけでなく「どういうことに喜びを感じるのか」も一人一人違います。
「この間お客さんと話をしていたら”この間のアドバイスがすごく役に立ったよ!”といわれて嬉しかった」
「いつもお母さんがいいー!という息子が初めて”お父さんと公園いきたい”って言ってくれたのが嬉しかった」
「この間○○さんと趣味の話をしていたら、意外にも同じ趣味を持ってることが分かって仲間ができました!」
「ひそかに作っていたツールがチームメンバーの役に立って、頑張ってよかったなぁと嬉しく感じました。」
といったことがあるならそれも是非アジェンダに取り上げましょう。
喜びの感情というものも聞いている相手の心に共鳴しやすいもの。
そのうえあなたがどんなことでどんな風に喜びを感じるのか、考え方や価値観も伝わるエピソードになります。
話すこと⑧:業務上もしくは会社で気になっていることについて
1on1ミーティングで話すことは『話しておきたいこと』に限定しなくてもよいのです。
困っているということではないけど、気になっている事がある場合も聞いてみるチャンスです。
「どうしてあの業務の進め方はあのやり方限定なのか?」
「顧客との付き合い方はどうしてこうと決まっているのか?」
「あ、そういえば前から気になってたけど、○○ってどういう事なんだろう…今更過ぎて聞けないからずっと悩んでたんだよな…」
「聞いておきたいけど、人前で聞くようなことでもないからと貯めてたことがあったんだ」
このように1on1ミーティングで話すことは”話す”だけではなく”聞きたいこと”を議題に取り上げても良いと覚えておいてください。
マンツーマンだからこそ聞ける、そういう話題もあるでしょう。
1on1ミーティングという言葉がそうさせてしまうのかもしれませんが、ミーティングと堅苦しくとらえないことです。
上司とマンツーマンで話をする時間、なのです。
何度も言いますが上司に自分の話したいことを話す、それが1on1ですから気になっていることも是非この場を使って解決してみましょう。
1on1は人事評価に直結するものではないので安心して
1on1ミーティングで話すことは「自分発信」ということをお伝えしましたが、『下手なことをいうと査定が下がってしまうのでは…?』という不安を覚えることもあるでしょう。
この点に関しては安心して、話したい事、話しておきたいことを臆せず話をしてください。
1on1は上司とマンツーマンで会話をすることで、上司が部下について理解を深め、育成につなげていくの主な目的の1つ。
1on1ミーティングのテーマは仕事に限らずプライベートなことも含めて良い
上で紹介した事例からもわかるように、1on1ミーティングで取り上げる話題は仕事に関係ない事でもまったく問題ありません。
むしろプライベートのことも知ることで、より正しく自分について上司に理解してもらうことができます。
ワークライフバランスもそうです。
プライベートな部分もあってこその人間ですから、考え方、価値観といったところこそ理解してもらうべきなのです。
価値観、考え方は仕事にも通ずる部分。
どう考え、その結果どう行動するのか=行動特性(コンピテンシー)を知る、ということは『その人となり』を知るうえでとても重要です。
それこそ上司、会社に知ってほしい、でも知らずに評価されていて悔しい思いをしているという方も多いのではないでしょうか?
この悔しさや評価への不満を解消するためには、1on1ミーティングというコミュニケーションの場を利用して、自分のコンピテンシーをしっかり理解してもらい、自分の評価に納得できる地盤を整えましょう。
もちろん話したくないプライベートな部分まで話す必要はありませんが、話せる範囲でオープンにしておくことは皆さんにとってもメリットが大きいのです。
1on1で話すことがない時はどうしたらよい?
1on1ミーティングでマンツーマンで上司と対話、といわれてルンルン気分で参加できる人も少ないでしょう。
気が向かないから話題も思いつかない、そんなこともありますよね。
ここまで読んでいただいても、アジェンダに取り上げるべきネタが見つからないという方には、こんなことを思い返してみてください。
- 自分がどんな風に考えて仕事に向かっているのか
- 頑張っているとアピールしておけるようなことは本当にないか
- 辛いこと・改善して欲しいことはないか
- 評価における不満、正当な評価を受けていないと思っている部分はないか
- 最近嬉しいと感じた事ってなんだっけ
とりあえず5分でも良いのでもう一度よく思い返してみてください。
何も考えずに毎日出勤したり生活したりすることはできないですよね。
あなたもきっとさらに評価に満足できる結果が待っているはずです。
1on1で話すことに「結論」は必須ではない!
上司に話す、となるとどうしても「しっかりと話をしなくては」と意気込んで「報告する場である」ととらえてしまいがちです。
1on1で話すことは、結果を求められるものではないので、まだ結論が出ていない話題を「相談する」のでも良いのです。
あなたも経験がないでしょうか。
それほど親しいと思っていなかった人に相談されたり、プライベートな話や自分について話をしてもらって嬉しいと思ったことはありませんか?
嬉しい、と感じることで相手に親密さを感じたり、今まで感じていたとっつきにくさを取り払うきっかけになったりもします。
1on1で話すことは『自分を上司に理解してもらう話題』自分の為のアジェンダを作成しよう
1on1で話すことは、上司に自分という人間を理解して貰うためのもの、ということがわかってただけたでしょうか?
「アジェンダを作れ」といわれると会議資料やプレゼン資料を作るかのごとく、重荷に感じてしまうかもしれません。
でも”そうではない”ということが理解できたのではないでしょうか?
アジェンダを作るのはあなたの話したいことを見失わないため、そして話題展開に戸惑ってしまった時に上司が助け舟を出しやすくするため。
話題を見つけられない時はアジェンダ作成の8つのポイントをもう一度見てみてください。
1on1ミーティングは自分が働きやすく、また行きやすくするためのメリットを自分の働きかけで作り出す場なのです。
そのことを忘れずに、気軽な気持ちでアジェンダにまとめて参加してみてください。