プロジェクト途中の退職が発生した場合の対応法

プロジェクトの進行中に途中退職者が出てしまうと、その後のスケジュールに変更が余儀なくされます。
途中退職者の重要度によっては、プロジェクトそのものの中断も視野に入るでしょう。
だからこそプロジェクトをまとめる立場にいる人は、途中退職者が出ることのリスクを正しく把握し、対応策を考えておく必要があるのです。
こちらでは途中退職者が出た場合の対応方法と、リスクを避けるための予防策について紹介していきます。
これからプロジェクトの進行を控えているのなら、途中退職者という潜在的な問題に対する解決策を考えてみてください。
プロジェクト途中の退職は違法なのか?
プロジェクトの途中退職は会社に大きな影響を及ぼす行為であるため、「違法性があるのでは?」「損害賠償の請求はできないの?」といったことも考えられるでしょう。
まずはプロジェクトの途中退職が違法なのかを考えて、その評価方法を確認しましょう。
基本的に社員の退職は自由
基本的に民法の第627条1項によると、雇用期間の定めがない場合には2週間前に申し入れを行うことで、労働者は自由に退職ができます。
退職のタイミングを相談することはできますが、最短の場合には2週間以内に途中退職者の代わりを探す必要があるでしょう。
これまでは期間に基づいて仕事の報酬を決めている月給制などの場合には、民法の第627条2項に基づいて次期以降に退職となっていましたが、2020年4月1日以降はこちらも2週間前の告知で退職が可能となるので注意が必要です。
プロジェクトの途中であっても違法ではない
労働者の退職の自由はプロジェクトの途中であっても変わらないため、第627条1項に則っていれば退職を受け入れるのが通常です。
プロジェクトの重要度などが問題とされるケースは少ないので、基本的に退職を止めるのは難しいと考えられるでしょう。
そのためプロジェクトが開始した後ほど、関わっている社員の退職状況には気を配る必要があります。
プロジェクトの進行を妨げないためにも、途中退職の可能性があることは常に念頭においておく必要があるでしょう。
プロジェクト途中の退職が発生した場合の対応法
それでは、もしプロジェクトの途中退職が実際に発生した場合には、どのように対応すべきなのでしょうか。
プロジェクト中であっても退職者が出る可能性がある限り、事前に対応方法を考えておくことがベターです。
以下を参考に、プロジェクトの途中退職者が出た場合に考えられる対応方法を確認します。
- まずは退職のタイミングを相談する
- 引継ぎはきちんと行う
- 人員の補充を進める
まずは退職のタイミングを相談する
労働者は先に紹介した民法によって、退職の自由が守られています。
しかし、円満退職を促すために、企業が退職までの期間を相談することは可能です。
最短期間の2週間で退職される場合、その後のプロジェクト進行に支障が出る可能性が高くなります。
だからこそ途中退職の話が出た場合には、相手を引き止めるだけでなく、退職のタイミングを調整できないか提案することが対応策のひとつになります。
たとえば途中退職者に対しては、退職のタイミングに関する以下のような提案が考えられます。
・プロジェクトの進捗が安定するまで
・今行っている業務が完了するまで
・代わりの人間が見つかるまで
これらの条件を提示して、同意を得ることができれば退職後のプロジェクトに与える影響を最小限に抑えることができるでしょう。
ただし、条件を飲むことを強要したり、いつまでも退職のタイミングを延長し続けたりといった行動は、トラブルになるので避けるべきです。
退職者の今後も考えて、上記のような提案を行う場合には退職の期限を明確に設けた上で相談するようにしましょう。
引継ぎはきちんと行う
途中退職者が出た場合には、その人がどんな業務を行っていたのかをきちんと確認し、引継ぎを行うようにします。
特に退職者がひとりで行っていた業務がある場合には、念入りに状況をチェックして、次の担当者に引き継げるようにしましょう。
特に引継ぎの際に重要となるのが、以下のポイントです。
・進捗情報や重要データの保存場所
・今後の行動予定や納品スケジュール
・顧客がいる場合、連絡先の確認
必ず各情報を引き継げるように、退職者と話を進めておきましょう。
引き継ぎが中途半端、もしくは全く行われないと、間違った情報を参考にプロジェクトが進行したり、確認作業に無駄な時間がかかったりします。
引き継ぎに時間がかかる場合には、その旨を退職者に伝えて、退職タイミングを調整してください。
また、退職後に不明な点などが出ることを想定して、退職者とはしばらくの間連絡を取れるようにしておきましょう。
引き継ぎに必要な環境を整えることが、途中退職への対応方法の基本です。
人員の補充を進める
上記の対応方法を進行するのと同時に、プロジェクトへの人員補充を行うのも対応に含まれます。
途中退職をした社員の穴を埋められる人材が誰なのかを考えて、プロジェクトを当初の予定通りに進められるように意識しましょう。
人員補充が難しい場合には、すでにプロジェクトのメンバーになっている人の中で、退職者の仕事を任せられる人がいないかチェックします。
可能であればプロジェクトをストップさせないために、一時的にでも業務を移行することが考えられるでしょう。
ただし、いつまでも業務を押し付けることは、スムーズなプロジェクト進行を妨げます。
あくまで一時的な措置として利用し、早めに途中退職者の代わりを人数で補填するのがポイントです。
プロジェクト途中の退職を発生させないために
プロジェクトの途中に退職者が出た場合と合わせて、そもそもプロジェクト途中に退職者を出さないための対策も考えることがおすすめされます。
リスクヘッジを考慮して、プロジェクトを円滑に進められるように備えましょう
- 業務内容に偏りがないか確認し、不満の芽を摘む
- 社員の不満を聞いて改善を行う
- 定期的にプロジェクトの成果を確認する
業務内容に偏りがないか確認し、不満の芽を摘む
特定の人だけ仕事が多い、責任が重いといった形での業務内容の偏りは、途中退職の原因になります。
「自分だけ他の人よりも忙しい」「自分へのプレッシャーが強すぎる」といった感想を抱く社員が出ないように、プロジェクトに関わる人たちの業務内容はなるべく平等になるように気をつけましょう。
有能なスキルや経験を持つ人材に期待するあまり、過度な業務を押し付けてしまうケースは多いです。
しかし、それは社員の不満につながり、プロジェクトからの途中退職の可能性を高めます。
もし特定の人材に多くの仕事を任せたいのなら、それ相応の報酬を提示して、モチベーションを下げないための対応が必要です。
プロジェクトの都合だけでなく、社員の精神状態まで考慮することが、途中退職を進めるポイントになります。
プロジェクトの発足時には社員が不満を感じる前に業務内容を見直し、偏りが作られないように意識しましょう。
社員の不満を聞いて改善を行う
どれだけ業務内容に偏りが生まれないように気をつけても、評価や環境への「不満」はある程度発生してしまいます。
そのため問題は、その不満を放置しないことにあります。
不満を放置することになれば、いずれはプロジェクト中の退職につながる可能性が高くなります。
プロジェクト中は、社員が不満を吐き出しやすい環境を作り、積極的に改善が行えるように工夫しましょう
たとえば社員の不満を聞き出すためには、以下のような方法が考えられます。
・定期的に面談の機会を作る
・匿名で提出できるアンケートなどを作成する
・カウンセラーなどの専門家を招く
ひとつの方法に絞るのではなく、多くの社員が不満を吐き出すタイミングを見つけられるように、複数の手段を採用するのもおすすめです。
社員の不満を最小限に抑える努力は、最終的に途中退職のリスクを減らすことになることを理解しましょう。
定期的にプロジェクトの成果を確認する
定期的に成果を確認して社員の頑張りを認めることは、個々のモチベーションアップにつながり、プロジェクト中の途中退職防止につながります。
長期的なプロジェクトの場合、成果物の完成や利益の確定までに時間がかかるため、社員のモチベーションが続かないこともあります。
自分の仕事内容の成果が実感できないと、やる気のある社員ほど途中退職しやすくなるので、プロジェクトの途中でも定期的に成果確認の時間は取るのがポイントです。
たとえばプロジェクト途中の行動を評価して表彰すれば、社員のモチベーションにつながります。
「〇〇%まで進捗している」と明確な数値を出すことも、社員が自身の仕事に誇りを持つきっかけになるでしょう。
ゴールだけを見据えるのではなく、途中の業務内容もしっかりと評価の対象とする姿勢を作るのが途中退職を防ぐポイントです。
まとめ:プロジェクトの途中退職のリスクと対策を確認!
プロジェクト中だからこそ、社員の途中退職のリスクを考えて、必要な対策を練っておく必要があります。
途中退職の社員を責めるような非生産的なことをしないように、事前に途中退職について確認しておきましょう。