ジャベリンボードとは?その目的から作り方の事例を紹介
ビジネスを成功させるには、明確な仮説を打ち立ててその方向性を確認していくことが必要です。
そのアイデアやビジネスモデルが正しい方向を向いているのか、将来的な成果に期待できるのかといったことを仮説を用いて確認すると、ビジネスの成功が近づきます。
しかし、仮説を立てるということは意外と難しく、ただの話し合いで終わってしまうことも珍しくありません。
仮説をさらに検証する段階となればその難易度はさらに高まり、ときには生産的な活動が行えなくなる可能性もあります。
そこで注目したいのが、「ジャベリンボード」です。
ジャベリンボードのようなフレームワークを使うことで、ビジネスの仮説・検証のプロセスをスムーズに行えます。
こちらでジャベリンボードの基本を確認し、その目的や作り方を把握してみましょう。
ジャベリンボードとは
ジャベリンボードとは、アメリカの企業Javelin社が考え出したビジネスにおける課題の仮説立て・検証に使えるフレームワークです。
顧客に提供する価値が本当に有効なものなのか、前提としている条件に間違いはないか。
そういった仮説を深く掘り下げ、具体的に検証するツールとしてジャベリンボードは使われます。
ビジネスにおける仮説をひとつの表の中に落とし込むことができるので、会社やチーム全体で内容を確認・共有しやすいのが特徴。
今後のビジネスプランを考案していく際には、ジャベリンボードがひとつの軸として働くことにもなるでしょう。
またジャベリンボードには「Javelin experiment board」という別名もあり、これには見ての通り「experiment(実験)」という言葉が含まれています。
世の中の生の声を聞くための実験・調査手段を考案したり、その後の検証方法を立案したりする方法としても活用されるのです。
自社内で事業の仮説を立てることに難しさを感じている、仮説の検証に対してどんなことをすればいいのかわからなくなっている。
そんなときにはジャベリンボードを使って仮説立てと検証を行うことが、状況改善の第一歩になり得ます。
ジャベリンボードの目的
ジャベリンボードの目的は、一般的に「自社のビジネスにおける正しい仮説を見つけ出すこと」を目的に使われます。
立てた仮説が的外れなものであると、それを軸にして考えたビジネスも求めたものとは違う方向に進んでしまう可能性があるでしょう。
そういった想定外の事態を防ぐことを目的として、ジャベリンボードは使われます。
仮説が正しいものであるという自信を持てると、その後の事業展開にも自信を持って臨むことが可能です。
そのためジャベリンボードによって仮説の裏付けと検証を行うことが、その後の事業に良い影響を与えることも考えられます。
また、ジャベリンボードはビジネスにおける仮説を管理するツールとしても使えます。
今現在はどんな仮説を検証しているのか、どれが検証し終わった仮説なのか、特定の仮説の検証状況はどうなのか、どの仮説がどのような結果を残したのか。
そういったことをすぐに確認・管理できるので、仮説の現状をしっかりと把握することを目的としても使えるのです。
正しい仮説がなければ、将来のトラブルに備えたり、改善点を考えたりといったことができません。
そのためビジネスにおける仮説の存在は、非常に重要なものだと考えることができます。
ジャベリンボードはそういった重要性の高い「正しい仮説」を導き、検証することを目的に使われるのです。
ジャベリンボードの作り方
ジャベリンボードの作り方は、顧客・課題・解決策・前提条件という4つのポイントを決めることから始まります。(顧客・課題・解決策の3つで仮説を立てることもあります)
それぞれをジャベリンボードのフレームワークの中に落とし込み、検証を行える形に整えるのがスタートです。
4つの要素を話し合いのもとで決定したのち、さらに検証方法とその基準を定めます。
決定した仮説の正しさをどのようにして確定するのかも、ジャベリンボードの作り方に含まれるのです。
ジャベリンボードの作り方は、大まかに上記のような流れで行われます。
以下では実際に、ジャベリンボードを構成する4つのポイントと、検証方法とその基準について細かく確認していきます。
- 顧客は誰か
- 課題はなにか
- 解決策はなにか
- 前提条件はなにか
- 検証方法とその基準を定める
顧客は誰か
まずは自社のビジネスにおける「顧客」が誰なのかを仮説によって決定します。
年齢層や性別といった基本的なことを決めるのはもちろんですが、よりリアルなペルソナ設定を行って顧客を明確にターゲティングすることも必要です。
「〇〇に在住し、週末は〇〇をして過ごす30代中盤の男性」
「〇〇に悩んでいるが、現状のサービスを使うことで満足しようとしている40代の女性」
最低限でも上記のような形で、具体的な「個人」を顧客として仮定してみましょう。
顧客として仮定する誰かはひとりではなく、さまざまなシーンを想定して複数設定するのがポイント。
その中でより自社にとってぴったりの顧客を選び出しておくことで、後の検証で現実との差を確認しやすくなるでしょう。
課題はなにか
顧客として仮定した人物が抱えている「課題」を考えて、仮説を強化します。
その顧客の生活ではどのような問題が発生するのか、その問題はどれくらい重要なものなのかを仮説として取りあげましょう。
課題を考えることは、ビジネスにおける方向性を決めるひとつの軸になります。
次項の解決策を仮定することにつながるので、慎重に内容を考えていきましょう。
顧客が抱える仮説をより具体的なものとするためにも、チームから幅広く意見を募って課題の可能性を広げていくのもコツです。
独りよがりの意見だけで課題を固定してしまわないように、柔軟な発想を受け入れるようにします。
「顧客は誰か→その人の課題はなにか」とつなげていくことが、ジャベリンボードの作り方の基本的な流れです。
解決策はなにか
顧客の課題を解消する「解決策」を仮説として考え、ジャベリンボードに記載します。
解決策とはすなわち、自社が提供できるサービスや商品のことです。
こちらも可能であるなら複数の解決策を考えて、仮定した課題にもっとも有効になるものを優先的に書き出します。
この解決策が正しいものであるのかは後の検証によって明らかにしていくので、ある程度理想の高い手段を記載しておくこともポイントです。
顧客の課題にピンポイントで役立つ解決策の仮定で、ビジネスの仮説を具体的なものにしていきます。
独りよがりの意見だけで課題を固定してしまわないように、柔軟な発想を受け入れるようにします。
「顧客は誰か→その人の課題はなにか」とつなげていくことが、ジャベリンボードの作り方の基本的な流れです。
解決策はなにか
顧客の課題を解消する「解決策」を仮説として考え、ジャベリンボードに記載します。
解決策とはすなわち、自社が提供できるサービスや商品のことです。
こちらも可能であるなら複数の解決策を考えて、仮定した課題にもっとも有効になるものを優先的に書き出します。
この解決策が正しいものであるのかは後の検証によって明らかにしていくので、ある程度理想の高い手段を記載しておくこともポイントです。
顧客の課題にピンポイントで役立つ解決策の仮定で、ビジネスの仮説を具体的なものにしていきます。
前提条件はなにか
前提条件とは、顧客・課題・解決策の3つの要素をまとめた仮説が、どのような条件のもとで成り立つのかを考えることです。
前提条件が実際の現実の環境と解離していると、先に決めた3つの仮説は成り立たないので、改めて考え直すことが必要になります。
たとえば、「顧客は〇〇がないことに悩んでいる」という課題を決めたのに、実際には〇〇の代替品となるものが一般的に販売されているとなると、前提条件が破綻します。
他にも「〇〇という解決策を提示する」という仮説に対して、既に同じような解決策があり、しかもそれが市場で価値のあるものとして認められている場合には、やはり変更が必要になるでしょう。
そのため仮説を現実にするための前提条件を考えて、ジャベリンボードに記載することが求められます。
その際には「その前提条件がダメになったとき、課題や解決策にどの程度の影響を与えるのか」「この前提条件は、今後変わる可能性があるのか」「前提条件に検証は必要なのか」といった点も、合わせて考えることがポイントです。
前提条件を想定して仮説の中に組み込むことで、ここまで考えてきた顧客・課題・解決策の3つの要素が正しい方向に向かっているのかを確かめることができます。
検証方法とその基準を定める
最後に、前提条件の検証方法とその基準を設定します。
前提条件が正しいものであるかを明確にできれば、必然的にその前に決めた顧客・課題・解決策の要素も正しさが見出せるようになります。
検証方法と基準は、たとえば「インターネットで検索しても〇〇ページ以内にヒットしない」「SNSなどで定期的に話題となっている」などといった形で設定できるでしょう。
よりリアルな声を参考にするために、フィールドワークを行うことも考えられます。
顧客となるターゲットを対象にアンケートやヒアリングを行って、実際の意見を獲得していくことも検討できるのです。
検証方法と基準は、ここまでのジャベリンボードを支えるものとなるので、時間をかけて設定していきましょう。
ジャベリンボードを作る際の注意点
ジャベリンボードを作る際には、いくつかの注意点も考えられます。
重要な以下の要素を確認し、ジャベリンボードをスムーズに作れるように備えましょう。
- 徹底したペルソナ目線で考える必要がある
- 何度も改善を繰り替える
徹底したペルソナ目線で考える必要がある
ジャベリンボードは、徹底したペルソナ目線で考えることが第一条件となります。
ペルソナとはつまり「架空の人物像」という意味で、顧客の具体的なニーズや意思決定を把握する際に用いられる考え方です。
ペルソナ目線を徹底してジャベリンボードを作成することで、現実に即した仮説を導き出すことができるでしょう。
それは顧客の心情をリアルに仮定して、本当の課題と必要な解決策を発見することにつながります。
「企業目線や製作者目線になっていないか」という点はこまめに意識して、常にペルソナ目線に修正していくように注意しましょう。
何度も改善を繰り替える
ジャベリンボードは、何度も改善を繰り返して内容を修正していくことが必要です。
最初の話し合いで、いきなりピッタリとハマるジャベリンボードを作成することはまず不可能です。
むしろ「どこが間違っていたのか」という点を全員で確認し、共有して次の作成に活かすことが、ジャベリンボードの肝になるでしょう。
ジャベリンボードを作成し、仮説の立ち上げと検証を終えたら、続いてジャベリンボードそのものの改善案を考えるのがおすすめです。
ジャベリンボードの実例
ジャベリンボードは海外生まれのフレームワークであり、まだまだ国内で浸透しているわけではないようです。
そのため実例というものは非常に少ないのですが、「ノンスタンダードワールド株式会社」がホームページ上のコラムの中で、以下のようなジャベリンボードをサンプルとして提示しています。
顧客:セラピスト(個人サロンのオーナー)
課題:予約・顧客情報の管理が煩雑
解決策:予約システムと連携した簡易的な顧客情報管理システムの提供
課題の不確かな前提条件:顧客情報を紙で管理していて、それを不便だと思っている
検証方法・基準:5人以上にインタビューし、50%以上の人が不便に感じている
引用:https://www.non-standardworld.co.jp/22118/
顧客→課題→解決策→前提条件→検証方法と基準という流れが、全てつながっていることがわかります。
こちらを仮説とした検証結果は、その後のビジネスを進めるための貴重な情報となるでしょう。
上記のサンプルをさらにこまかく詰めて、自社の事業に合わせて必要な要素をプラスしていくことで、有益なジャベリンボードが作成できます。
ジャベリンボードの作成時には、可能な限り実例やサンプルを参考にして、大まかな書き方を確認しておくのがおすすめです。
まとめ
ジャベリンボードを有効に活用することで、事業の方向性を確かめる仮説を立てることができます。
正しい仮説の有無は、事業の今後を左右することもある重要なポイントです。
この機会にジャベリンボードの基本を知って、仮説とその後の検証をスムーズに行えるテンプレートを導入してみてはいかがでしょうか。