カンバンボードとは?その目的から作り方や実例を紹介
ソフト開発の現場などで広く実施されている「アジャイル開発」は、既に主流のプロジェクト進行の手法として認知されています。
小単位でプロジェクトを管理していくアジャイル開発の導入によって、期間を短期化したスピーディな開発が実現されているのです。
しかし、アジャイル開発はプロジェクトのコントロールが難しく、開発計画の方向性がズレていくことや、プロジェクトの全体を把握できないまま、想定していない形に計画が進行してしまう可能性もあるのです。
そんなときにおすすめされるのが、「カンバンボード」の導入。
カンバンボードを使ってプロジェクトの管理を行えば、しっかりとプロジェクトの内容を把握した状態での進行が行えます。
アジャイル開発の現場ではもちろん、あらゆる業務に応用できるスタイルになるので、カンバンボードの利用が業務環境を大きく変えるかもしれません。
こちらでカンバンボードの基本を確認し、その導入を検討してみてください。
カンバンボードとは
カンバンボードとは、開発のプロセスやタスクを記載して管理するボードのこと、もしくはその管理ツールを指します。
出典:ATLASSIAN「カンバンボードの作成・設定例」
大きなホワイトボードなどにタスクの内容を書いた紙を貼り付け、状況を可視化するという単純な手法が特徴。
進捗状況に合わせて貼り付けた紙をボード内で移動させ、開発プロセスを明瞭にします。
一眼見て現状を誰でも把握できる形にしておくのが、カンバンボードという方法です。
カンバンボードには、物理的なボードを使わずにWeb上に仮想のデジタルボードを作成する方法もあります。
「Trello」などのソフトを使えばチームがアクセスできるボードを簡単に作成できるので、業務形態や人数によってはデジタルなボードの方が扱いやすくなるでしょう。
複数のプロジェクトが並行的に進められている場合や、それぞれがタスクを抱えて個別に業務をするスタイルになっているときなどは、カンバンボードを利用することで全体の把握がしやすくなります。
いちいちチーム内で細かな連絡を取らなくても、プロジェクトの進行状況が共有できるため、作業効率を高めることもできるのです。
カンバンボードとはこういったメリットを持つため、プロジェクトの進行過程をよりスムーズなものにしたいときに役立つでしょう。
カンバンボードの目的
カンバンボードの導入目的には、「タスクを可視化して情報を共有する」「タスクの調整を行って無理のないスケジュールを作る」といった内容が考えられます。
タスクをボードに掲載して可視化しておけば、そのチェックを促すだけで情報の共有が可能です。
一覧で確認できるので時間もかからず、効率良くチーム内に業務の進捗を伝えることができるでしょう。
ボードにコメントなどを残せるようにしておけば、カンバンボードを介してコミュニケーションを取ることができます。
画像などを一緒に見せたい場合にも、デジタルボードを使えば簡単にチームに情報を共有できるのです。
タスクがボードにまとめられることから管理もしやすいので、カンバンボードならスムーズな情報共有が行えるでしょう。
さらにカンバンボードを活用すれば、タスクを調整しながら無理のないスケジュールを立てることもできます。
今現在のタスク状況がすぐにわかるので、着手できる人がいないのに新しい業務を追加するなどといった無理を回避できるでしょう。
ボード内のタスクをグルーピングして優先順位やカテゴリーを分類すれば、よりスケジュール立てはしやすくなります。
アジャイル開発の際にスケジュールが上手く組み立てられないというときにも、カンバンボードの設置は役立つでしょう。
カンバンボードの作り方
カンバンボードは、ある程度の大きさを持つボードとタスクが記載できるメモや付箋があれば、すぐにでも作ることができます。
もしくは専用のツールを用いて、ボードをデジタルで作成することで使い始めることができるでしょう。
型となるボードを作成したら、たとえばそこに「作業前」「進行中」「完了済」といったスペースを作り、そこに該当するタスクを貼り付けていけば、それだけでカンバンボードとして機能させることが可能です。
しかし、たった3つの分類だけでは、役立つレベルの情報が共有される可能性は低くなります。
具体的に何が進行しているのか、何から手をつけた方がいいのか、といった情報までは確認できないため、有益な情報伝達が実現できないのです。
そこでカンバンボードを作成する際には、以下のような形で細かくワークフローを分類することがおすすめされます。
<Open>
「とりあえず」タスクを置いておく場所になります。
優先順位や期限などが決まっていないものを置き、必要に応じて別の場所に分類し直します。
<Icebox>
今現在は作業を停止しているタスクを置く場所です。
今後再開する可能性がある場合には、一時的にIceboxに置いてその存在を忘れないようにしておきましょう。
<Backlog>
優先順位の高いタスクで、可能な限り早く対応すべきものを置きます。
こちらのタスクには特に注目して、チームで連携をとっていく必要があるでしょう。
<In Progress>
現在対応しているタスクの一覧になります。
<in Review>
対応が終了し、レビュー中のタスクです。
<Closed [Done]>
既に完了したタスクを置きます。
上記のような分類を行うことで、よりカンバンボードを有意義に活用することができます。
業務内容によってはさらにワークフローを加えられるかもしれないので、チームで話し合ってより良いカンバンボードの作成を考えてみましょう。
カンバンボードを作る際の注意点
カンバンボードを作る際には、現場の意見を聞く機会を無くさないように注意することが必要です。
カンバンボードだけでコミュニケーションを取るようになると、チーム内での積極的な交流が失われる可能性があります。
それは現場の不満に気づくタイミングを遅らせるなどの、デメリットを産むこともあるのです。
カンバンボードを作成したとしても、これまで通りに定期的なミーティングなどは開催し、業務の進捗を確認し合うようにしましょう。
また、カンバンボードを導入したことによって、現場の業務形式が変わることもあるため、従業員に負担を強いることになる可能性もあります。
タスク管理が徹底されることになれば、人によっては働き方の自由度が低下したと考え、不満を募らせる結果につながることもあるでしょう。
カンバンボードの導入時には、従業員のケアを忘れずに行い、全員が納得してそのルールに従えているのかを確認するのがポイントです。
カンバンボードを作成するおすすめツール
カンバンボードの実例として、いくつかのデジタルツールをご紹介します。
会社内にホワイトボードなどを設置する場所がないときには、カンバンボードとして使えるデジタルツールを活用してみてください。
Trello
無料で利用できるプロジェクト管理ツールであり、ドラッグ&ドロップだけで簡単にボード上のタスクを移動できる便利なツールです。
記載したタスクには期限を設定でき、いつまでに完了すべきなのかを明確にすることができます。
さらにタスクごとにタグもつけられるため、必要な情報をプラスした上で共有することも可能です。
Trelloには拡張機能があるため、業務の内容やプロセスに応じて役立つプラグインを追加していけます。
カスタマイズ性の高さも合わさって、さまざまなシーンで役立つカンバンボードになるでしょう。
JIRA
JIRAは、プロセスの管理に秀でたカンバンツールです。
アジャイルチームの利用実績No.1と宣伝されていて、課題やプロジェクトの現状を簡単に追跡して把握できるシステムが採用されています。
それぞれのチームに合わせたワークフローが選択・改変できるため、より明瞭にタスクを分類することが可能です。
SAML SSO、2 段階認証を強制的に設定するシステム、ユーザープロビジョニングの自動化などによって、高いセキュリティを作り上げているのも特徴。
安心して情報を管理したいときにも、JIRAは役立つツールになるでしょう。
この他にも、カンバンボードの機能を持ったツールはたくさんあります。
どのような実例があるのかを確認して、業務にデジタルのカンバンボードを導入することを計画してみましょう。
まとめ
カンバンボードを活用することで、タスクの管理や業務スケジュールの調整がしやすくなります。
特にアジャイル開発の際には、カンバンボードを導入してタスクの可視化を進めてみることがおすすめです。