キャズム理論とは?キャズムを超えるために必要な”4つの施策”を紹介

新しい商品やサービスを市場に浸透させていくためには、さまざまなハードルを超えていく必要があります。

特に導入してからしばらく後に訪れる成長期の段階では、より広い市場に認めてもらうための工夫が求められるでしょう。

そこでポイントになるのが、「キャズム理論」です。

キャズム理論を理解することで、市場へのさらなる浸透に向けて、何をすればいいのかを考えることができます。

キャズムを軸にしたマーケティング案の作成によって、商品やサービスをスムーズに新しい市場に受け入れさせることもできるでしょう。

こちらでキャズム理論とは何なのかを確認し、これからのマーケティング活動に利用してみましょう!

キャズム理論とは

キャズム理論とは、その市場のシェアを獲得するために超えるべき「溝」のことを指します。

マーケティングにおいては、このキャズムをいかにして超えるかを考えることが、商品やサービスを成功させることにつながるとされています。

逆に新しい商品やサービスがこのキャズムに落ちてしまうと、市場から撤退を余儀なくされてしまうでしょう。

キャズムは商品やサービスが導入される最初の市場と、そこから続く成長期の市場の間にあるとされていて、さらなる展開を目指す場合には特に注視すべきものとなります。

これから本格的に市場のシェアを獲得しようとするのなら、キャズム理論の理解が重要なものとなるでしょう。

キャズム理論は、シリコンバレーのコンセルティングファーム「McKenna Group」でパートナーを務めた「ジェフリー・ムーア」の書籍によって広まった言葉です。

1998年に出版された本がベースになっていることから、キャズム理論は長くマーケティングを考えるポイントになっていることがわかります。

そんなキャズム理論を支えているのが「イノベーター理論」で、これは新しい商品やサービスが浸透する市場を5つに分類して考えるものです。

イノベーター理論は以下の5つに分類されていて、

・イノベーター(Innovator)
・アーリーアダプター(Early Adopters)
・アーリーマジョリティー(Early Majority)
・レイトマジョリティー(Late Majority)
・ラガート(Laggards)

という順に、商品やサービスが普及していくとされています。

キャズム(溝)は、このアーリーアダプターとアーリーマジョリティーに移行する段階で起こりやすいとされていて、特に注意すべきポイントなっています。

つまりキャズム理論による問題を回避するためには、イノベーター理論の5つの分類を把握した上で、そのタイミングを図ることも重要になるのです。

いかにしてこのキャズムを捉え、そして超えていくことができるかは、今後のマーケティングにおけるポイントになるでしょう。

なぜキャズムが発生してしまうのか

キャズムは、「市場のメインユーザーの価値は変わっていく」ことが原因となって発生すると考えられます。

具体的には商品やサービスを展開し始めた「初期市場」と、その後に続く「メインストリームの市場」では、求められる内容が変わることが原因となるのです。

初期市場では、一般的に「目新しさ」や「フレッシュさ」に注目が集まり、インパクトが重視される傾向が強くなります。

一方で、メインストリームとなる市場においては、実際に使う際の「安心感」や「安定性」を求められることが多いです。

このように市場で重視される価値が変わっているために、キャズムという溝が発生してしまうのです。

キャズムが発生していることに気付けなければ、たとえ初期市場で大きな注目を集めたとしても、その勢いを継続させることはできません。

市場の価値が変化していることにがキャズムの原因になっていることは、最初に把握しておきましょう。

キャズムを超えるために打つべき4つの施策

キャズムをスムーズに超えて市場を獲得するためには、いくつかの施策を考えておくことが必要です。

特に活用したい5つの施策をまとめたので、以下で内容をチェックしてみてください。

  • 現在地を確認する
  • ユーザビリティを尊重していく
  • アーリーマジョリティを意識してアピールを行う
  • 狭い市場をターゲットにしてシェアの獲得を目指す

 

現在地を確認する

キャズムを超えていくためには、まず自社商品・サービスの現在地を確認します。

まだイノベーターやアーリーアダプターのような初期市場に位置しているのか、それともアーリーマジョリティー、レイトマジョリティー、ラガートといったその先の市場にいるのか。

その点を社内でしっかりと把握できていれば、キャズムを意識した対応がしやすくなるでしょう。

現在地を確認するのなら、イノベーター理論を学び、それぞれの市場の特徴を理解することが近道になります。

市場全体の何%を占めるのか、その市場では顧客にどのような特徴が見られるのか。

そういった前提条件を把握してから自社の現状を確認してみれば、市場における現在地を想定することができるでしょう。

キャズムを超えることを目指すには、まず自社商品・サービスが市場のどこにいるのかを確認してみてください。

 

ユーザービリティを尊重していく

キャズムを超えるためには、ユーザービリティを改めて尊重していく意識が重要な施策になります。

ユーザービリティを尊重し、より強化・発展していく計画を練ることが、キャズムを超えるきっかけになるのです。

先に原因として挙げた通り、キャズムが発生する「初期市場」→「メインストリーム市場」への転換期では、より「安心感」が価値として重視されることになります。

そのため顧客の安心感を引き起こすには、「使っていてストレスがない」「簡単に使いこなすことができる」といった形でアプローチすることが必要になるのです。

ユーザーインタフェースの見直しや、アンケートやインタビューによる改善点の把握などによって、ユーザービリティを尊重することを意識してみましょう。

 

アーリーマジョリティを意識してアピールを行う

キャズムの対策として重要になるのが、アーリーマジョリティを意識したアピールです。

メインストリーム市場への導入口となるアーリーマジョリティで、いかに立ち回るのかを考えることが、キャズムを超えることにつながるでしょう。

アーリーマジョリティでは、これまでの市場とは違った価値が求められるので、より具体的で現実的な要素を押し出していくのがポイントです。

たとえば商品の実績を提示したり、スペックを数字として伝えたりといった方法が、変化する市場価値を意識したキャズム対策となるでしょう。

初期市場で認められた状態で満足するのではなく、次にやってくるアーリーマジョリティを意識して計画を立てるのが重要となります。

 

狭い市場をターゲットにしてシェアの獲得を目指す

狭い市場をターゲットにしてシェアの獲得を目指すのも、キャズムを超えるための施策のひとつです。

いきなり巨大なマーケット全体を対象にするのではなく、まずは市場を狭く切り取って、その部分をピンポイントにシェアを取っていきます。

その後はその切り取った市場に近い部分を狙い、さらにシェアを獲得していきます。

このように少しずつ知名度を高めていくことでも、キャズムを超えていくことができるでしょう。。

キャズムを超えた実例を紹介

キャズムは既に多くの企業で導入されている考え方であり、いくつかの実例をみることができます。

たとえばフリマアプリ「メルカリ」も、キャズムを超えたことで今の地位を確立した企業です。

今でこそCMなどで広く知られているメルカリですが、多くの企業の例にもれず、最初から注目度が高かったわけではありません。

最初は顧客に認められるために、ユーザーインタフェースやユーザーエクスペリエンスの改良を行ってきました。

新鮮さが求められる初期市場から続くメインストリーム市場を意識した行動が起こせていたため、メルカリのプラットフォームの使いやすさは評判を呼び、着実にユーザー数を増やすことにつながります。

そしてアプリの200万ダウンロードが達成されたタイミングでCMを発進し、それをきっかけにキャズムを超えるだけの注目度と信頼を勝ち取ることができたのです。

今のメルカリの市場シェアをみれば、既にキャズムを超えてさらなる進化を続けていることがわかります。

メルカリのようにキャズムを理解した上での着実なステップアップは、多くの企業が参考にできるものとなるでしょう。

他にも、コーヒーで有名な「ネスレ」が、ネスカフェの普及の際にキャズムを超えた実例もあります。

インスタントコーヒーを手軽に飲める商品であるネスカフェは、登録をしてネスカフェアンバサダーになると、職場にコーヒーマシンを無料で置けるようになります。

そういった制度を使って職場で気軽に楽しめるようにしたことで、まだネスカフェを知らない人にも、そのサービスの特徴が伝わるようになりました。

その結果、顧客じゃない人たちのネスカフェに対する信頼感や安心感も高めることができ、新規利用者の獲得につなげられたのです。

各職場で実際にコーヒーの味を楽しめたことも、キャズムを超えることに影響したと考えられるでしょう。

このような実例をチェックして、キャズムを超えることがいかに企業にとって重要なものなのかを把握してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、キャズム理論についての概要、またキャズムを越えるために必要な施策をご紹介しました。

キャズムを越えるためにすべきことは何か。自社のナレッジやアセットでできることは何なのか。それについて考える時間こそがサービスの成長、ユーザーの獲得を促進させます。

キャズムを越えることは大変困難です。しかしながら根気よく長い時間向き合い続ければ、必ずキャズムを超えられるでしょう。

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