ストックオプション(SO)をスタートアップで最大限に活用するためのバイブル

スタートアップとして事業展開を行うとき、優秀な社員の確保は必要不可欠です。

事業の発展に貢献してくれる人材を得ることは急務となりますが、スタートアップが多額の給与を支払うことは難しく、満足のいく条件を提示できるばかりではないでしょう。

そこで注目されるのが、ストックオプション(SO)です。

ストックオプションを活用することで、創業間もないスタートアップでも優秀な人材を採用、もしくは社内に留めることができます。

社員にとってもメリットの多い制度になるため、ストックオプションを導入することで求人の応募数を増やすこともできるでしょう。

こちらでは、そんなストックオプションの基本やメリット・デメリットを紹介します。

スタートアップの採用活動に、ストックオプションを利用するきっかけにしてみてください。

ストックオプション(SO)とスタートアップの関係

ストックオプションは、スタートアップに大きな影響を及ぼす制度として知られています。

まずはストックオプションとスタートアップの意味をそれぞれ確認し、詳細を把握してみましょう。

  • ストックオプション(SO)とは
  • スタートアップとは
  • スタートアップ採用におけるストックオプションの重要な立ち位置

 

ストックオプション(SO)とは

ストックオプションとは、社員や役員に予め定められた価格で会社の株式を取得できる権利を付与する制度です。

新株予約権を与えるインセンティブ制度であり、社員や役員は会社の株式を優遇されたお得な価格で獲得することができます。

将来会社の株価が上昇した際などにその株を取得して売却をすることで、社員や役員はその差額を利益として受け取ることができるのです。

要するに、社員や役員に自社の株式を安く購入できる権利を提示し、給与とは別の利益を与えるという制度になります。

株価が上昇すれば、それだけストックオプションでの利益が大きくなるため、社員や役員は会社が大きくなるように努力をします。

その努力は当然企業にとっての有益な働きとなるので、双方に大きな利益をもたらすことになるのです。

会社の株式を取得する権利を付与するストックオプションは、資金面で苦労の多いスタートアップにとっては魅力的な制度になるでしょう。

 

スタートアップとは

スタートアップとは、日本では継続した成長力に期待される企業、もしくはこれまでにない新しい事業を進める行動や考え方を指す言葉です。

新しいイノベーションの発展やビジネスモデルの構築を目指す企業が該当し、起業や新規事業の立ち上げといった行動を起こしていくのが特徴となります。

比較的短期間でのエグジットを目的とすることが多く、スピーディな事業展開が求められます。

そのため即戦力となる人材の確保が必要となり、事業の貢献に期待できる能力を持った社員が多数必要とされるのです。

つまりスタートアップとは、優秀な人材の力でこれまでにないイノベーションを生み出していく企業、もしくはその概念と考えることができるでしょう。

 

スタートアップ採用におけるストックオプションの重要な立ち位置

スタートアップの採用においては、ストックオプションが重要な立ち位置を占めます。

なぜなら先に説明した通り、スタートアップでは即戦力となる優秀な人材の確保が求められるからです。

スタートアップでは、イノベーションを腐らせないためのスピードが重要となります。

そのスピードを安定させるには、その事業に精通した人材や、特別なスキルを持った社員を多数採用しなければならないのです。

しかし、スタートアップでは資金が潤沢でないケースも多く、多額の報酬を使って優秀な人材を集めることが難しくなります。

そこでストックオプションを使って、将来的な利益をプラスして人材を確保することが考えられるのです。

今現在の資金が少なくとも、ストックオプションを活用すれば、人材の採用を無理なく実施することもできます。

そういった事情があるため、スタートアップの採用ではストックオプションが重要な立ち位置となるのです。

スタートアップにおけるストックオプションを絡めた採用戦略

スタートアップにおいて、ストックオプションを絡めた採用戦略は今後もひとつの手段として受け入れられていくと予想できます。

なぜならストックオプションは、既に多くの企業で活用されている採用戦略になっているのです。

たとえばスターバックスでは、ビーンズストックというストックオプション制度を導入しています。

パート従業員も条件を満たせば利用できることから、企業全体のモチベーションアップにつなげられているとのこと。

他にも国内企業では、メルカリがストックオプションを導入していることで知られています。

一般的にストックオプションの付与率は10%程度が多くなりますが、メルカリでは20%近い付与率で実施されました。

国内でもストックオプションが採用されている良い事例として、メルカリは今後も注目されるでしょう。

このように、ストックオプションを絡めた採用戦略の実例がたくさんあることから、今後もこの流れは継続すると予想できます。

これからスタートアップを考える企業は、ストックオプションの導入を本格的に検討されるでしょう。

ストックオプション制度のメリット・デメリット

ストックオプションには、いくつかのメリットとデメリットがあります。

制度が持つそれぞれのメリット・デメリットを確認して、導入における参考としてみてください。

  • ストックオプション制度のメリット
  • ストックオプション制度のデメリット

 

ストックオプション制度のメリット

ストックオプションのメリットには、以下のような要素が考えられます。

 

人件費を抑えることができる

ストックオプションの利用は、人件費を抑えられるというメリットがあります。

コストをかけなくても優秀な人材に良い雇用条件を提示できるため、ストックオプションを導入することで経済面の問題を解消することもできるでしょう。

スタートアップでは資金調達が行われますが、人件費というコストを削減できるのであれば、その分他の設備投資などに資金を投入することができます。

それはスタートアップの事業拡大を早め、実績の確立を近づけることになるでしょう。

ストックオプションをスタートアップで採用する際には、人件費を抑えられるというメリットを把握しておいてください。

 

社員のモチベーションを上げることができる

ストックオプションの導入は、社員のモチベーションを上げるというメリットも生み出します。

自社の株式の価値が高まるほどにインセンティブは大きくなるため、社員は自分のためにも会社に貢献したいと考えるようになります。

それは給与や昇給以上のモチベーションにつながることがあり、スタートアップを支える原動力になるでしょう。

社員のモチベーションアップというメリットは、ストックオプションを導入するきっかけにもなり得ます。

 

社員の流出を防ぐことに繋がる

社員の流出を防ぐことも、ストックオプションがスタートアップにもたらすメリットのひとつです。

ストックオプションの株が価値を持つには時間が必要になるため、その間は社員が自社に留まってくれるでしょう。

社員がすぐには他の会社に転職しづらい環境を作ることで、長期的なプロジェクトでも安定化を図ることができます。

事業内で特に重要な仕事を任せる社員には、ストックオプションを実施して流出を防ぐようにするのがおすすめです。

 

ストックオプション制度のデメリット

ストックオプションは、実施する企業に以下のようなデメリットをもたらすこともあります。

 

株の希薄化に繋がる

ストックオプションで株式を発行すると、希薄化が起きて1株当たりの価値が下落する可能性もあります。

そのため計画的にストックオプションを行わなければ、社員に理想的な利益を与えられなくなることも考えられるのです。

ストックオプションを行う際には、役職、仕事のポジションなどを参考にして、どこまでの社員に付与するのか、どの程度付与するのかを考えておく必要があります。

無計画に付与を行って株の希薄化につなげないように、ストックオプションは計画的に進めていきましょう。

 

目先の売り上げだけを意識してしまうことに

ストックオプションが付与された社員は、目先の売り上げだけを意識して仕事をすることも増えます。

「とにかく利益になればいい」「株価が上がればいい」という短絡的な思考に陥ってしまえば、長期的な事業は破綻し、スタートアップの予定を狂わせる可能性もあるでしょう。

そうならないように、企業はストックオプションを付与した社員の行動を把握し、コントロールを行う必要があるのです。

基本的にストックオプションは、社員も企業も同じ方向からの利益となります。

社員が目先の売り上げだけを意識して暴走しないように、きっちりとコミュニケーションをとって計画的な事業展開を行っていきましょう。

ストックオプション制度の注意点

ストックオプションをスタートアップで採用する際には、注意点を把握しておく必要もあります。

以下のようなポイントをチェックして、ストックオプションの基本的なルールも確認しておきましょう。

  • SOの発行には株主総会での承認が必要
  • SOの発行枠には上限がある

 

SOの発行には株主総会での承認が必要

ストックオプションの発行は、基本的に株主総会での承認が必要となります。

株主総会で報酬決議を行い、株主の判断を仰いだ上で認められるという手順が求められるのです。

なぜならストックオプションは新株予約権の一種になるため、発行の際には新株予約権の発行手続きが求められるのです。

スタートアップのような上場前の非公開会社は、株主総会での特別決議が原則となるでしょう。

 

SOの発行枠には上限がある

スタートアップが行うストックオプションの発行枠には、明確ではないにしろ一定の上限があります。

大量発行を行えば、デメリットのひとつでもある株の希薄化につながり、全体の価値が下がる可能性があるのです。

それは企業に投資をしている投資家たちにとって不利益となるため、上場を意識するのであれば発行枠には上限を用いるべきだと考えられるでしょう。

一般的には、株式の総数から10〜15%に設定することが多くなります。

ストックオプションは無尽蔵に発行できるわけではないことを、注意点として理解しておきましょう。

まとめ

スタートアップにとって、ストックオプションは自社の採用を支える希望となる制度です。

さまざまなメリットを理解した上で導入できれば、スタートアップにありがちな資金的な問題を解決に導けるかもしれません。

ストックオプションがどのような魅力を持つのかを、この機会にこちらで把握してみてください。

©︎2020 Hajimari inc.