ECサイトを構築する4つの方法と失敗しない選び方

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ITエンジニア・webディレクター・webデザイナーなどのIT人材の自立・キャリアを支援するITプロパートナーズのCTOの柳澤(やなぎさわ)です。
弊社は、独立精神旺盛な優秀なエンジニアの方々の独立・起業サポートや、フリーランス支援を行っている会社です。

こちらの弊社運営サイト、「スタートアップ開発ラボ STaP(スタップ)」では、企業の新規事業開発担当者の方や、システム開発責任者の方、事業責任者の方達に向けて、事業開発のコツや、自社プロダクトやWebサービスを立ち上げる際にポイントや注意点について、弊社ノウハウを包み隠さずにお伝えしています。

最近、ECサイトや越境ECといった言葉がニュースや新聞の記事、ビジネス雑誌で頻繁に取り上げられるようになりました。

電子商取引サイトという名前であれば、ECサイトという言葉よりもなんとなく内容が想像できるのではないでしょうか。

この近年、パソコンやスマホ、タブレットを用いていつでもどこでもインターネットにアクセスできるようになりました。

さらに、インターネット経由で自分が欲しい商品やサービスを売買することができるサイトも増えています。

スーパーのオンラインサイトや、衣料品のオンラインサイト、及び個人同士で商品を売り買いできるサイトも増えてきています。

このようなECサイトを立ち上げることにより、企業においては、これまでの店舗営業や訪問営業だった販売チャネルが増え、さらにインターネットによって日本や世界に販売領域が広がる可能性も秘めています。

現に、経済産業省が2017年4月に発表した、「平成28年度我が国経済社会の情報化・サービスかに関わる基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」において、日本国内におけるECサイトの市場規模は、B to C(企業と一般顧客間における取引)は15兆円を突破した、と公表されています。

この市場規模は年々増加しており、ますますECサイトを利用される方も増えていくものと推察されます。

このようなEC市場の規模が拡大しつつある中で、このECサイト構築によって勝機を得ようと、ECサイトを立ち上げようとされている企業や個人もいらっしゃるのではないでしょうか。

一方でどのようにECサイトを構築すれば、企業にとって価値のあるものになるかということも検討しなければなりません。

そこで、今回はそのECサイトを立ち上げるにあたり、ECサイトの構築方法、準備、およびサイト開発にあたっての注意点について紹介していきます。

ECサイト4つの構築方法と特徴について

一言、ECサイトといってもどのように構築すればよいかわからないものです。

そこでまずはECサイトと呼ばれているものを構築する方法について、4種類と、それぞれの特徴、メリット、デメリットを紹介します。

ASP

1つ目の方法は、ASPを利用したECサイトの構築です。

略称で、正式には、Application Service Provider(アプリケーション・サービス・プロバイダ)と言います。

これはインターネットを通じて、アプリケーションを提供する事業者や事業形態のことをいい、あらかじめそのサービスが提供される準備ができているものです。

つまり、ECサイトがあらかじめ構築されているものを、企業が利用料を支払うことによって構築する手法を言います。

もう少し噛み砕くと、企業がASPによるECサイトをレンタルすることにより、ECサイトを構築する手法のことを言います。

ASPを利用するメリット

メリットとしては、あらかじめ存在するECサイトを使うことになりますので、比較的安価な費用で、短期間で構築することができます。

ASPを利用するデメリット

一方、デメリットとしては、企業に似合う手法や売り方といった独自の要素をカスタマイズして取り入れるには費用が発生することになり、自由度が低いとされていることでしょう。

オープンソース

2つ目の方法は、オープンソースを利用したECサイトの構築です。

オープンソースとは、ソースコードが利用可能で、著作権保持者によって利用を許可されているものをいいます。

ソフトウェアを学習や変更、配布するための権利を提供するという、ライセンス形態に基づいたものとなりますが、これらのオープンソースをインターネット上からダウンロードしてECサイトを構築する方法をいいます。

もう少し別の言葉でいうと、ECサイト構築にあたっての部品がインターネット上にあることから、これらの部品群をダウンロードし、それを組み合わせてECサイトを構築する手法のことを言います。

オープンソースによるECサイト構築のメリット

このオープンソースによるECサイトの構築のメリットとしては、ソースコードが利用できることから、一から開発をする必要がなく、比較的短期間でECサイトの構築ができます

また、オープンソースの部品はカスタマイズが可能ですので、自由度も高くなります

オープンソースによるECサイト構築のデメリット

一方、オープンソースの場合には、EC環境を構築するサイトのサーバの構築や、その部品群を使って開発を実施する技術者の確保と変更による作業が発生しますので、構築費用がかかるというデメリットがあります。

パッケージ

3つ目の方法は、パッケージを利用したECサイトの構築です。

パッケージとは、ある程度ECサイトを構築する際の枠組みや部品などが完成しているものをいいます。

例えば、市販の精算システムやワークフローなどの業務アプリケーションもパッケージの部類に入ります。

精算システムやワークフローなどの製品の仕様は大きく変わるものではありませんので、あらかじめ枠組みや部品が揃っているものを利用し、業務をして行くことが多いとされています。

ECサイトの世界においても、パッケージとしてあらかじめ用意されているものを使って構築する方法があります。

パッケージでECサイトを構築するメリット

メリットとしては、ASPでの構築手法と同様、比較的短期間で、安価な費用で構築することができます。

パッケージでECサイトを構築するデメリット

一方、デメリットはASYと同様に、企業の業務特性などをパッケージに盛り込む際にはカスタマイズが必要となることや、カスタマイズが複雑化すると費用が多く発生し、カスタマイズの自由度は低いとされています。

フルスクラッチ

最後の4つ目はフルスクラッチです。

フルスクラッチは、デザインから設計、製造完成までを全て実施することを言います。

フルスクラッチでECサイトを構築するメリット

この手法は、パッケージやASYとは違い、型に縛られることなくECサイトを自由に作ることができるというメリットがあります。

フルスクラッチでECサイトを構築するデメリット

一方、最初から作ることもあり、構築費用も高くなり、構築期間が長くなる傾向があります。

さらに、ASYやパッケージによる開発ではベンダーの良し悪しによって、品質にも影響してくることがありますが、フルスクラッチの場合、ないものから構築して行くことになりますので、さらにしっかりしたベンダー選定が必要となります。

ECサイトを構築する前の事前準備について

ECサイトを構築するにあたっては、事前の準備が必要です。

特に、先ほど紹介したECサイトの構築方法の選定方法によっては、予算も、期間も、さらには品質も変わってきます。

従いまして、まずはECサイトの構築の目的や事業内容の規模、予算、費用対効果といったポイントをもとにECサイトの事業計画書を作成する必要があります。

これはECに関わらず考え方は一緒なので、抑えておきましょう。

事業計画書を作成するときに書くべき項目で重要な「予算」について詳しく見てみましょう。

事業計画書の作成の際に最も重要な「予算」について

①予算に対する効果

特に企業においては、予算に対する効果が一番求められる内容となります。

例えば、最初から作るフルスクラッチの構築方法を採用して、ECサイトを構築した際に1億円かかったとします。

そのECサイトでの収益規模が毎年1,000万円の場合、構築費用の回収には単純計算で約10年は必要とします。

一方で、システムのライフサイクルを考えると、システムの減価償却としては約5年から7年が一般的とされています。

つまり、構築費用を回収する前にサイトの再構築といった状況にも陥ることになり、企業にとってはマイナス。

つまり別のASPやパッケージ、及びオープンソースによる構築を採用するのが良かったという結果となります。

このように、構築方法を検討する場合にはこの最初の計画の段階できちんとした精査をしていなければなりません。

②予算について

特に、予算については重要なポイントとなります。

例えば、企業におけるIT投資比率は、売上高の1.0% が目安とされていますが、2017年のJUASの企業IT動向調査2017のレポートによると、日本の企業のIT投資比率は単純平均で2.40%、トリム平均で1.08%となっています。

今後も、IoTやAI、さらにはデータ分析といったITトレンドが注目されて行く中で、ITに関する予算を増やす企業は多くなるものとされています。

従いまして、IT投資比率も合わせて高まるものと考えられていますが、予算が多く確保されているからといって、その予算を使いきる必要はありません。

少ない費用で、効果のあるECサイトが構築できることが目標ですので、予算を元に正しい構築方法と、ベンダー選定がポイントとなります。

さて、以上の予算感を念頭に置いて開発方法を選択するわけですが、その中でもパッケージ開発を選択することがベターですし、よほどのこだわりがある場合はスクラッチ開発で他者との差別化を計るのもいいでしょう。

しかし、今回はパッケージ開発にフォーカスして、その注意点について見てみましょう。

パッケージ開発を選ぶ際の注意点

パッケージ開発を選ぶ際の注意点について紹介します。

パッケージ開発においては、数あるECサイトのパッケージから選定をすることになりますが、その選定においては4つのポイントに注意して、適切なパッケージを決定します。

・使いやすさ

まず何よりも使いやすさです。

使いやすいというのはユーザ目線で、利用しやすいECサイトかどうかを確認します。

パッケージの操作性や画面の遷移、画面の色使い、その他の付加機能の有無を確認していきます。

さらに、ECサイトを運用保守して行くためのメンテナンス性も、使いやすいことが需要となります。

・導入実績が豊富なパッケージを選択

2点目はパッケージの導入実績です。

使いやすいパッケージであったとしても、導入実績がない、もしくは少ない場合にはパッケージ製品としての信頼性が低いとされる場合があります。

少なくとも、自社で導入しようとしている事業規模と同程度の2社以上の導入実績があることを目安に検討をします。

導入実績が豊富であれば、そのパッケージ製品に対する評価が高く、信頼性が高いということが言えるでしょう。

導入事例があれば、なお良いと考えます。

他社の導入事例を元に、自社におけるECサイトの利用方法や運営方法も参考になるはずです。

カスタマイズの柔軟性があるものを選ぶ

3点目はカスタマイズへの柔軟性です。

ECサイトのパッケージをそのまま導入し、その後もカスタマイズをしない方針であったとしても、ECサイトの運用過程においては必ずと言っていいほど、カスタマイズのニーズが出てくるものです。

また、パッケージの仕様によってはカスタマイズを行った上で導入する場合もあります。

このような場合に、カスタマイズが柔軟にできるような製品を選択しましょう。

なおカスタマイズの比率としては、パッケージ機能の30%以下、金額としてはノンカスタマイズの導入費用に対して50%以下となるようにすることが一般的とされています。

この指標を超えるパッケージの場合は、別のパッケージにするか、フルスクラッチからの開発を実施することが望ましいとされます。

導入後、自社で開発を内製化できるものを選ぶ

4点目は導入後に自社開発ができるようなパッケージを選定することです。

このポイントをクリアすることはなかなか厳しいものがあります。パッケージ製品自体、版権があります

導入後の自社カスタマイズが可能であるかどうかについては、ベンダー選定において必ず確認しておきましょう。

通常、導入後に自社でカスタマイズをするということは、そのパッケージ製品仕様を改造することになります。

パッケージの改造後では、パッケージ提供ベンダーによる品質保証ができないケースも出てきますので、自社で開発を内製化する際には、改造後のベンダー保証の有無を確認します。

特に、内製化でカスタマイズした影響により、カスタマイズしていない部分にも不具合が生じた場合に、パッケージ提供ベンダーによって対処が可能であるか、自社で対応しなければならないかの責任分界はあらかじめ確認しておくようにしましょう。

また、海外のパッケージの場合には、版権の関係でカスタマイズができず、さらにはソースコード自体も非開示となっているものもあります。

まとめ

ECサイトは企業においてはトレンドであり、今後のEC市場の規模は拡大していくものと考えられています。

さらに、ECサイトへの注目度もさらに増して行く中で、いかに自社のECサイトへのアクセス数を増やし、売り上げを伸ばして行くかが非常に重要なポイントになります。

そのためには、ECサイト構築の計画段階から入念な議論をし、事業計画をまとめて行く必要があります。

さらに、構築後においても廃れないECサイトにするために、カスタマイズによる更新や使いやすさをさらに追求してパッケージ自体のバージョンアップをするといった対処が必要となります。

ECサイトを構築すれば、アクセスする人が増え、売り上げも大幅に見込めるという安易な考えで構築すると必ず失敗します。

もし、初めてECサイトを構築する企業の場合には、初回からオープンソースやフルスクラッチによる開発はおすすめしません。

まずは、パッケージやASPサービスを利用して、ほぼカスタマイズなしの状態で導入し、その後の売り上げ状況を確認した上で、ECサイトのバージョンアップという名目で、パッケージのカスタマイズや、オープンソース、スクラッチ開発といった手法でECサイトを構築することをおすすめします。

今回は、ECサイトに焦点を当てて説明しましたが、他のシステム開発においても同様なことが言えることも多いので、この記事が皆様の参考になれば幸いです。