システム開発にかかる費用はどれくらいなのか?内訳を徹底解説
こんにちは!
ITエンジニア・webディレクター・webデザイナーなどのIT人材の自立・キャリアを支援するITプロパートナーズのCTOの柳澤(やなぎさわ)です。
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こちらのジョブウィズでは、企業の新規事業開発担当者の方や、システム開発責任者の方、事業責任者の方達に向けて、事業開発のコツや、自社プロダクトやWebサービスを立ち上げる際にポイントや注意点について、弊社ノウハウを包み隠さずにお伝えしています。
今回はシステム開発に関してです。
システム開発を検討する際、一番気になるのはやはり開発にかかる総費用だと思います。
結局、いくらお金がかかるか分からなければ、予算を確保することもできませんから、システム開発を企画するのも困難です。
そこで、システム開発の費用にターゲットを絞ってご説明したいと思います。
システム開発の費用相場が不明瞭な理由
システム開発の費用の相場をずばり答えるのは大変に困難です。その理由を見てみましょう。
プロジェクト毎に工数が違う
なぜならば、システム開発プロジェクト毎にかかる工数はまちまちだからです。
例えばメガバンクの基幹系システムの中核を為す勘定系システムの作成と、町の病院の予約システム作成は、どちらも同じシステム開発のくくりですが、規模間がまったく異なるため、その分費用に大きな差があります。
人件費も一律ではなく、メガバンクの勘定系システムの場合、メインフレームシステムを利用していることが多いのですが、メインフレームシステムのエンジニアは数が少なく労働環境として売り手市場のため、どうしても高額になる傾向があります。
また、町の病院の予約サイトにしても、ただ予約するだけのシステムではなく、待ち時間までの目安時間を患者さんに知らせる機能を追加したシステムの開発を目指すと、その分複雑化します。
ひいては工数が増えてより開発コストが膨らみます。
開発難易度によっても費用が変わる
開発難易度という意味では独自開発とパッケージ開発でも大きく費用がかわります。
一般的に、オーダーメイドでシステムを作ってもらう独自開発の方が、システムとしての完成度はあがりますが、既成のパッケージを利用したパッケージ開発の方が安価です。
基盤によってもコストは違う
更に、どういった基盤上でシステムを動かすことにするかによっても開発コストは変動を受けます。
クラウドサービス上でシステムを動かすにしても、どこのクラウドサービスを選択するかによって価格は変わってきます。
このように、システム開発の費用を考える要素は多岐に渡るため、相場はいくらくらい、とは言いにくいのが実情です。
見積もりが変わりやすい
また、いざシステム開発を始めてみると最初の見積価格から変わっていていくことがある、というのもシステム開発の費用が分かりにくい理由の一つでしょう。
そのような事態になる理由としては、手戻りや要件の変更などによる開発期間の延長や追加人員の投入が挙げられます。
つまり、システム開発の進捗が思わしくない場合、それに対応するための追加費用が発生するということです。
そして、その追加費用の金額が妥当かどうかシステム発注側では判断がつかず、システム開発側の言い値になっている、ということも少なくありません。
さて、次はシステム開発費用の内訳を見てみましょう。
システム開発費用の内訳
システム開発の相場は言い難い、ということはすでに指摘しました。
ここからは、もう一歩踏み込んで、システム開発にかかる費用の内訳について見ていきましょう。
①人件費
システム開発費用でもっともお金がかかっているのは通常、ITエンジニアを含めたプロジェクト関係要員の費用です。
実にシステム開発の80%を占める、と言われることもあります。
具体的には、
- システム発注者からヒアリングの上、システム開発のスケジュールを策定し、進捗の管理を行うプロジェクト・マネージャー(PM)
- その業務を支援する、プロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)などの管理系人員
- どういったシステムを作っていくか整理し設計する、主にシステム開発の上流工程を担うシステム・エンジニア(SE)
- システム・エンジニアの設計に従って、システムをコーディングするプログラマー(PG)などITエンジニア
そこに必要に応じて、見栄えの良いWebサイトを作るWebデザイナーや、システムを動かすためのサーバーの設置を選択して設定を行う、基盤系エンジニアと呼ばれる職種のITエンジニアをアサインすることもあります。
②設備費
人件費以外でお金が係るのは設備費です。設備費は大きく分けて二種類あります。
・開発環境の設備費
一つ目はシステムを開発するのに必要な設備への費用です。
例えば開発用のパソコンをリースするかもしれませんし、そもそも開発要員の居場所が現在のオフィス内になければ、開発要員用に一時的にオフィスを借りることも必要かもしれません。
人がいて、開発用パソコンを利用すれば、当然、光熱費・電気代もかかってくるでしょう。
・システム側の設備費
もう一つの設備はシステムが動くための設備への費用です。
自前でサーバーを建てるのであればサーバーを購入する必要があります。
クラウドサービスを利用するのであれば、その契約が必要です。
サーバーであれば毎月の電気代や保守点検費用という形、クラウドサービスであれば月額費用という形でシステムが動き続ける限り費用が発生し続けます。
また、企業内WANを含めてネットワークと無縁のシステムもないと思いますので、インターネットプロバイダーへ支払う通信料も発生するでしょう。
さて、システム開発費用の内訳について見てきましたが、その費用は妥当なのでしょうか?
そこで、費用の内訳で一番の割合を占める人件費についてもっと詳しく見てみましょう。
そのシステム開発費は妥当?人件費をもっと具体的に分析
さて、システム開発に関わる費用の大半は人件費だとお伝えしました。人件費について、もう少し深く分析してみましょう。
システム開発にかかわってくる職種としては、
- プロジェクト・マネージャー
- システム・エンジニア
- プログラマー
以上の3つが基本の構成です。
それぞれの平均年収ですが、
- プロジェクト・マネージャー:660万円
- システム・エンジニア:570万円
- プログラマー:420万円
と推計されています。
プロジェクト・マネージャーとシステム・エンジニアを一人づつ採用すると、給与支払いだけで年間1000万円の大台を軽く超えてくる、ということが分かるかと思います。
更にコーディングのためのプログラマーを10人採用すると、年間5000万円を超えてきます。
もちろん、IT企業や自社開発を企図して自社の正社員として採用している企業でなければ、人材派遣会社の活用などで、本当に必要な期間、数カ月単位で契約することも可能ですので、年収という考え方はあくまで参考にしかならないかもしれませんが、目安として知っておきましょう。
以上の人件費を踏まえて考えると、システム開発費用が高額である妥当性は高いと言えるのではないでしょうか?
そこで、その妥当性をもっと詳しく見るためにも、システム開発の見積もり方法についても見ていきましょう。
システム開発の見積もり方法って?
システム開発をシステム開発会社にお願いすると出てくる見積もりはどうやって弾きだされたものか知りたいですよね。
そこで、ここではシステム開発の見積もり方法として良く知られる二つの方法をお教えします。
①FP法(ファンクション・ポイント法)
まず一つ目はFP法(ファンクション・ポイント法)です。
ファンクション、つまりシステムの機能にポイントをつけて、ポイント分の費用を請求する見積もりの作り方です。
具体的に説明しましょう。
まず、プロジェクトαではA、B、Cの三機能を実装する必要があるとします。
基本的には一機能は10ポイントとして計算していますが、他の機能より実装が難しい場合、機能Aは15ポイントと言った風に難しさに応じてポイントを加算します。
逆に他の機能より実装が容易な機能の場合、機能Cは7ポイントといった風にポイントを減算します。
そして、各機能のポイントを合計し、ポイント×その会社の規定額でかけた金額が、見積もりの総計となります。
仮に規定額を10万円とした場合、プロジェクトαは、Aの15ポイント+Bの10ポイント+Cの7ポイントの合計額32ポイントを10万でかけた320万円が開発費ということになります。
工数試算係数での見積もり
もう一つの方法は工数試算係数を使う方法です。
システム開発をいくつかのフェイズに分けて、それぞれの作業単価×作業時間で正味の作業費用を明らかにしたうえで、固定費用を足し合わせ、そのフェイズの費用を明らかにします。
そしてフェイズごとの費用を合計することでシステム開発全体の見積もり費用を確定させます。
いずれの見積もり方法にしても、企業ごとのノウハウや人材のスキルに左右されるという欠点はありますが、普遍性があるため広く利用されています。
まとめ
システム開発費用について、IT業界の方であればともかく、そうでない方からすると非常に分かりにくく妥当性の判断がつかない、という方も多いと思います。
しかも、決して安くなく、それが原因でシステム開発に二の足を踏んでいる経営層も少なくありません。
しかし、これは単に、システム開発にはどういった費用がかかっていて、どういったロジックで通常は費用が計算されているのか知っているか知らないかの差の話でしかありません。
今回の記事がきっかけでシステム開発の費用について、少し見えるようになっていただけると大変喜ばしく思います。