オフショア開発の課題と失敗する理由を徹底解説

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今回は、オフショア開発についてです。

オフショア開発においては課題や失敗する事例が数多くあり、結果的にコスト増や納期遅延といった問題もあるのが現状です。

それらの課題や失敗する理由について、詳しく解説していきます。

オフショア開発とは?

オフショア開発について確認しておきましょう。

システムの開発コストを抑える目的で、オフショア開発という手法を採用するケースがあります。

開発作業の工程である製造工程、テスト工程を切り出し、それらの工程を海外のベンダーに任せるという内容です。

例えば、海外のベンダーに作業依頼を行うことで、人件費の兼ね合いからコストを抑えることが可能なのです。

オフショア開発の人気国として有名なのは、中国やインド、ベトナムがあげられるます。

オフショア開発とそのメリット

オフショア開発は先ほども説明した通り、システム開発を海外の企業、および海外の現地法人に委託して行うことを言います。

オフショア開発のメリットとしては、主に3つあります。

①コスト削減

1つ目のメリットは、大きなコスト削減です。

特に人件費については、システム開発においては大きなコスト要素になります。

このコストの主な要因となる人件費は、オフショア開発が盛んなインド、ベトナム、中国といったアジアの国々においては人件費が安いとされています。

もう少し具体的に言いますと、システム開発の規模は人月という、1ヶ月で実施できる作業量を表す単位で示し、これを工数と言いますよね。

例えば、あるシステムの開発規模が100人月であったとします。

システム開発の要員1人を調達する場合、日本では費用が100万円かかるとすると、単純計算でシステム開発の費用は約1億円かかることになります。

しかしながら、インドやベトナム、中国における人件費は日本よりも半分以下が多いとされています。

仮に、人件費が日本の約半分の50万円とすると、全てのシステム開発の工程をオフショアで実施した場合は、約5,000万円で済むことになります。

この5,000万円の差が、オフショア開発におけるコスト削減効果となるのです。

1人月の工数については、オフショアベンダーによって異なりますので、工数の単価が安ければ安いほど、その分コスト削減につながります。

②IT人材不足の解消

2つ目のメリットは、IT人材不足の解消です。

日本においては、どの業界でも少子高齢化による人材不足が進んでいます。IT業界においても人材不足は否めません。

内閣府の統計によると、2030年までに生産年齢人口である15歳から64歳の人口や就業者数はともに減少するという予測。

もちろん、この数値は出生率の影響にも依存してきます。

2015年の合計特殊出生率が1.45ですが、今後、合計特殊出生率が1.8という目安まで改善すれば出生数も年間100万人となり、2030年の人口ピラミッドの構成も極端な少子高齢化にはならないものと考えられています。

この状況において、急激な人口増加は見込めないため、人材を海外から調達していくことが必要となるのです。

そして海外からの人材調達に関しては、IT業界も懸念事項ではあるのですが、オフショア開発において、インドやベトナムといった人口変化率の高い国々や、中国のような人口の多い国々の方をIT人材として確保し、システム開発を進めていくことができ、IT人材不足の解消につなげることが可能なのです。

③ラボ型開発の実現

3つ目のメリットは、ラボ型開発の実現です。ラボ型開発とは、オフショア開発における契約方法の1つ。

半年や1年といったある一定の期間において、システム開発として発注する仕事量の最低保証を行う契約で、あらかじめオフショアにおいて優柔な人材を低価格で確保することができるメリットがあります。

例えば、システム開発の案件が複数ある場合や、定期的にオフショアへ開発を発注したい場合には有益な契約体系と言えます。

④高品質

最後のメリットは低賃金で高品質なものを得られることです。この低賃金で高品質なものを得ることは企業にとっては大変重要な考え方。

利益を出すためには、コストが低いことに越したことありません。ただコストと品質は表裏一体です。

品質を高めるためにはそれなりにコストもかかりますので、コストを選ぶのか、品質を選ぶのかがシステム開発においては重要な選択肢となります。

さらに、オフショア開発で、低品質で高品質なものが提供されるのはそう多くはありません。

オフショア開発でこのメリットが得られるかどうかは、オフショアベンダーや、システム開発の工夫点次第となります。

オフショア開発の課題とは?

このようにオフショア開発ではコスト削減、IT人材不足の解消、ラボ型開発の実現、および低賃金で高品質なものが選ぶなど、たくさんのメリットがありそうなのですが、課題も多くあります。

順番に見ていきましょう。

①コミュニケーション

例えば、1つ目の課題はコミュニケーション問題です。

最近では、日本語を話せるオフショアベンダーもありますが、一般的には英語でのやり取りとなります。

オフショア開発においては、基本的には会話やドキュメントも全て英語ですし、言葉の壁によってコミュニケーションが取れない場合もあります。

英語と聞いただけで苦手な意識を持たれてしまうこともありますが、この言葉の壁により、うまくコミュニケーションが取れず、結果として膨大なコミュニケーションへのコストがかかることとなります。

②文化の理解

2つ目の課題は、各国の文化の理解です。ビジネスを進める上では、各国の商流の元になる文化や生活文化を理解する必要があります。

例えば、インドのオフショア開発においては、時間にルーズなところもありますし、マトリクス図でまとめることが不得意だったりすることもあります。

さらに文化の違いによって、真意を確認しないまま、勝手に作業や仕様を変えてしまう場合も。

オフショア側では、それは良かれと思って作業や仕様の変更をしたと言い訳をしてきますが、実際にオーダー側である発注者の意図を理解していない結果であり、揉めてしまう要素にもなります。

ただ、生活や文化の違いを無理やりなおすことは、そのオフショアメンバーのプライドを傷つける場合もありますので、ある程度の寛大さは必要です。

③要件、仕様の相互理解

最後の課題は要件、仕様の相互理解です。

オフショアベンダーとの要件や仕様調整は、基本的に英語となりますので、英語でドキュメントに書かれていないことは一切やりません。

日本語のドキュメントでは、その行間の真意を把握することがよくありますが、英語の場合は書いていることをそのまま実施することなり、行間を読む行為は実施しません。

この記載内容の漏れや表現によっては後のシステム開発におけるテスト工程における仕様確認にも影響してくる内容となりますので、抜け漏れがないように全てをドキュメントに記載していく必要があります。

【オフショア開発の注意点】失敗する理由とそのリスク

先ほどのオフショア開発における課題にも直結してきますが、これらの課題が具体的対策によってクリアできればければ、システム開発自体が失敗することになります。

オフショア開発が失敗する要因としては主に2つあります。

①管理不足

1つ目の要因は、発注側の丸投げによるオフショアベンダーへの管理不足です。

コミュニケーションがうまく取れないからといって、オフショアベンダーに丸投げをしている場合、システム開発のプロジェクトにおいても全体の進捗が管理できません。

さらにリスクも内在しているにも関わらず、丸投げをしている場合には何も見ることができず、リスクへの対策を講じることもできません。

②開発のブラックボックス化

2つ目の要因は、開発のブラックボックス化です。

オフショア開発は地理的にも離れていることもあり、現地でどのような開発をしているかの内容を具体的に目で見て把握することができません。

従いまして、進捗内容は全てレポートか電話会議を利用したものとなりますが、相手を信用するしかなく、開発のブラックボックス化がどんどん深刻化していきます。

これらの課題と失敗する理由の原因をクリアしない限り、プロジェクトが失敗してしまいます。

オフショア開発の本来のメリットである低賃金で高品質なシステム提供という目的が、多額の費用をかけたにも関わらず、システム自体も低品質で、かつ納期通りに動かないといった事態に陥ることがあるのです。

オフショア開発を成功させるには

ではオフショア開発において成果を出すにはどうすればよいでしょうか。

対応は2つあり、さきほど挙げた失敗する原因をなくすことが、結果としてオフショア開発の成功につながります。

①積極的なコミュニケーション

1つ目の対応は、システムの発注者側も、オフショアベンダーに丸投げでなく、開発側の作業内容の確認や進捗確認にうるさいくらいに入り込むことが必要です。

必要であれば、現地の作業現場に赴き、様子をみるということも必要です。

この現地に作業現場に赴くことにより、オフショアベンダーのメンバーは大変喜びます。

この理由としては、発注者が、オフショアベンダーのメンバーのことをしっかりと興味を持っているという表れでもあるからです。

また現地に赴くことにより、オフショアベンダーのメンバーの名前や顔を確認することができますので、その後のプロジェクト管理も円滑に進めることができます。

②開発進捗の明確化

2つ目の対応は、ブラックボックス化の解決です。

これはラボ型開発をしてくれるところを頼ることにより、開発作業として実施している内容を把握できることになります。

さらに、場合によっては現地駐在の日本人もいますので、日本語である母国語でのコミュニケーションが円滑となります。

開発のブラックボックス化もコミュニケーションが円滑化することにより、議論が深掘りでき、開発の概要から細部まで確認することができるのです。

まとめ

オフショア開発におけるメリットを大きく得られれば、システム発注者側としても大変大きな利益となります。

しかしながら、コスト削減といった費用ばかりに目を向けてしまい、さらにコミュニケーションをせずに丸投げをしてしまうと、システム開発は必ず失敗します。

うるさいくらいお節介にオフショアベンダーとコミュニケーションをし、システム開発に入り込むことにより、オフショア開発への成功裏に結びつくのです。