1on1ミーティングとは?その目的と効果と上司に必要な能力
大手企業も取り入れ始めている1on1ミーティング。
有益ならば、ぜひ自社でも導入したいという企業も多いでしょう。
その目的と効果を明確にしておくことで、企業の中核となる社員育成の有効な手段となります。
そこで本記事では、そもそも1on1ミーティングとは何なのか、その目的と効果を交えながら、1on1ミーティングを行う上司に必要なスキルも紹介します。
目次
1on1 ミーティングとは
1on1ミーティングとは、自発的な行動ができる人材育成を目的とした、1対1のミーティングです。
企業で行われる定期的な評価面談とは違い、実施する間隔の短さや、週1回や月1回実施するという頻度にも特徴があります。
1on1ミーティングは仕事だけにフォーカスした面談とは違い、上司が部下の成長をうながすことが真の目的です。
部下の悩みや行動、目標などを上司がヒアリングし、部下が自分自身で問題解決の糸口を見つけられるよう後押しをします。
1on1が注目される理由
今、日本国内の企業でも1on1が注目される理由は、労働人口の減少という背景や、大手企業での実績が広く伝わったことが挙げられます。
それぞれ詳しく説明していきますね。
労働人口の減少
少子高齢化や終身雇用の崩壊、定期昇給が見込めない現代では、労働人口の減少に拍車がかかると同時に、企業が人材を獲得できないという売り手市場につながっています。
終身雇用時代には敬遠されていた転職も、今では当たり前のキャリアパスに組み込まれているのです。
そんな中で、企業が人材を自社にとどめておくには、「ここで働きたい」と思える企業の魅力が必要です。
そして、少数の人材で企業を成長させるには、まず人材の育成も重要な課題になりました。
1on1ミーティングを実施することで、部下が自発的に考え行動することが、本人のやりがいや成功体験にもつながり、さらにはその結果が企業の成長に大きく貢献するのです。
大手企業での実例がある
大手企業のヤフーでは、約6,000人の社員を対象に1on1ミーティングを続けています。
そこには、問題解決へのサポートや、目標支援、成長支援をうながす目的があり、部下のひとりひとりが自発的な行動を取れる考え方をアドバイスしています。
また、不定期でたまに行う飲み会でのコミュニケーションよりも、毎週30分の「部下のための時間」を持つことで、上司と部下の関係性は深まり、スムーズな業務体制を生み出しているのです。
1on1ミーティングの目的と効果
1on1ミーティングを取り入れる場合は、その目的と効果をしっかりと押さえておく必要があります。
ここでは、1on1ミーティングの目的と、期待できる効果について見ていきましょう。
部下の自発的行動をうながす
第一の目的は、上司が部下の自発的な行動をうながすことです。
指示待ちや、言われたことだけをこなす姿勢では、部下自身が仕事にやりがいを感じられないでしょう。
しかし、自発的に何かをするには勇気が必要です。また、その勇気をだすためには自信が必要なのです。
1on1ミーティングでは、上司が部下とコミュニケーションを取り、部下の悩みや考えを上手く聞き出すこと、そして問題解決には何が必要かを自発的に考える道筋を示してあげます。
自発的な行動で問題をクリアすることで成功体験をし、自分で考えたことに対する自信を持たせるのです。
自信は自発的な行動をする勇気につながります。そしてこれが、1on1ミーティングで得られるひとつの成果となるのです。
部下の育成
自発的に行動できるようになることで、勇気を持って問題解決の先手が打てるようになります。
自分で考えて行動することで視野が広がり、「こうすれば効率的だ」という考え方や、「こうしたい」という自分の考えのもとで行動できるようになり、さらに成功体験を積めるでしょう。
このように部下が自発的に行動できるようになることは、企業としての資産になります。
自社の文化やビジネスモデルを理解する部下は、いずれ企業の中核を担う存在になるからです。
たとえ外部から優秀な人材を獲得しても、自社のビジョンを共有する戦力は、一朝一夕には育てることができません。
上司と部下のコミュニケーションの機会を増やす
たまに開催する飲み会や、複数人でのランチでは広く浅いコミュニケーションしかとれません。
1on1ミーティングでは上司が部下のための時間をしっかり取ることで、部下と深く向き合います。
上司と部下のコミュニケーションを増やすことで、徐々に阿吽の呼吸も生まれるようになるでしょう。
これまでは、上司から指示が出たら、1から理解する必要があったかもしれません。
しかし、コミュニケーションが取れていれば、部下が上司の考えていることを知る機会も増えますので、今上司が何をしてほしいのか、あるいは「この作業はあの仕事につながるものだ」と理解できるようになります。
また、上司と部下のコミュニケーションが取れていることで、評価面談でも部下がざっくばらんに相談事や評価に対する疑問などを話しやすくなります。
上司との信頼関係が構築できていれば、評価に対する細かな疑問を解消しやすくなり、評価に対する納得度も上がるのです。
1on1ミーティングのポイント
1on1ミーティングでは、部下を自発的な行動をとれる人材に育成します。
そこでポイントとなるのが、「1on1の頻度」と「評価面談との違いを意識する」ことです。
1on1の頻度
1on1ミーティングは、高頻度で行うことが大切です。
なぜなら、頻度を高めることでお互いの信頼関係の構築につながり、部下の自発的な行動を引き出したり、上司が適切なサポートをしやすくなる土台作りに繋がるためです。
そのため1on1ミーティングは、週1回30分や隔週1回60分ほどの頻度で実施するのが一般的な頻度になります。
評価面談との違いを意識する
1on1ミーティングと評価面談では、その目的と内容が異なります。
評価面談では仕事の達成具合などを上司が判断し、部下を評価します。
そのため、仕事についてのダメ出しなどをすることもあるでしょう。
しかし1on1ミーティングは、部下の話を聞き出しどのように考えるかを上司がサポートする場です。基本的にはダメ出しはせず、部下が自分で答えへの糸口を見つける手助けをします。
評価面談とは違い、自然と部下が話をする場面が多くなるはずです。
1on1とOKRを連動させる
1on1ミーティングは、OKRと連動させることも有効です。
OKRとは「objectives and Key Results」の略称で、実現する目標と、目標を達成するための指標管理です。
組織や個人の細分化されたタスクはすべて、企業が掲げる大きな目的にリンクしています。
簡単に言えば、従業員ひとりひとりのタスクの成果が、すべて企業の目的に貢献するという形になるのです。
例えば、売上目標が1,000万円と定められたとします。
その場合、その売り上げ目標に達成するために、各部署でさらに細分化された目標を定めます。
・営業数を増やす
・顧客数を増やす
・顧客満足度を上げる
・店舗ごとの売り上げを増やす
各目標には具体的な数値を定め、それぞれが達成されることで企業全体の目的の達成に貢献するといった具合です。
企業として目指す場所を全員が共有することで、目的というガイドラインができるため、タスクに対する問題点や不安などを洗い出しやすくなります。
1on1ミーティングでは、部下が直面している問題点や悩みを上司が聞き出し、それを解決するためにどうしたらいいかを部下自身に考えてもらう。そのためのヒントを出しましょう。
部下が自発的に、タスクを効率よくこなせるようになれば、企業全体の目的に一歩近づきます。
そして、自発的に行動した結果が、企業の目的達成に直結しているという事実は、部下が仕事に対して手応えを感じられるということなのです。
成功体験を積み重ねることで自信がつき、さらに自発的な行動をうながす良い連鎖につながるでしょう。
1on1を実施する上司に必要なもの
1on1ミーティングを実施する上で、上司に必要なスキルがあります。
それは、部下の考え方を引き出し、教え、客観的に結果を伝えることです。
最初から自分の悩みや方向性を言葉にするのは、だれにとっても難しいものです。
1on1ミーティングで部下の心の内を引き出すためには、対話の中で少しずつ部下自身が自分を理解していく必要があります。
そこで使えるスキルが、以下3つのスキルです。
- 引き出す能力:コーチング
- 教える能力:ティーチング
- 行動による結果を伝える:フィードバック
引き出す能力:コーチング
引き出す能力であるコーチングは、上司が部下と対話や傾聴をすることで、部下が自ら考えていることを引き出す能力です。
特に傾聴は、部下の話に耳を傾け、部下のことを理解すること、また部下が「話を聞いてもらえていることを実感する」ことにつながります。
部下の考えを聞き、承認することで自己実現のきっかけを作るのです。
部下の考えを聞き出すためには、質問力が必要です。
端的に「あれはどう考えてるの?」「これからの改善策は何?」といった質問では、部下は委縮しますし、答えのある問題を解いている状況に陥ります。
引き出すための質問は、部下に寄り添う形での質問が有効です。
例えば「今一番悩んでいることを思い浮かべてみよう」という質問で、こころの準備を整えてもらいます。
いくつか頭に浮かぶはずなので、「なるほど。○○が上手くいってないんだね」と上司が悩みを承認します。
これで、質問と同時に話しやすい雰囲気も作れるはずです。
部下は、上司からの承認によって「話してよいのだという自信」を意識できるようになります。
そして、自己実現へ向けて自発的に考え始めるのです。
教える能力:ティーチング
教える力であるティーチングは、上司が持つノウハウや知識を部下に教え、部下が自己実現するために必要な基礎知識をサポートします。
上からモノを言うのではなく、部下ひとりひとりの考えを尊重する形で、そこに必要なアドバイスをするということです。
ティーチングは、部下が自分で物事を考えるためのヒントになります。
基礎知識が固まることで、問題解決や自己実現のためには何をすればよいかが、パズルのように完成されていくでしょう。
部下自身が「そういうことか!」という気づきのきっかけを教えるのがティーチングです。
行動による結果を伝える:フィードバック
行動による結果を伝えるフィードバックは、客観的な結果の見え方を指南します。
部下が行った自発的な行動の観察結果に対して「○○の部分は効率が悪い」ことや、「○○の部分の考え方はすばらしい」など、具体的に伝えることがポイントです。
そして、なにより重要なのが、そのフィードバックをもとに、改善点を部下自信に考えてもらうことです。
「○○の部分は効率が悪いけど、改善方法としては何ができるだろう」
このように、答えを出すでもなく、上司自らも「どうしたらいいだろう」と部下に寄り添う姿勢を見せることで、部下が自発的に考え始めます。
フィードバックの仕方を間違えると、文句や命令のようになってしまい、部下が考えることをやめてしまうので注意が必要です。
フィードバックを得る部下は、自分の行動に対する客観的な結果を基準に解決方法などを考え始めます。
フィードバックは、自発的な考えや行動が起こる基礎になるのです。
まとめ:1on1ミーティングは人材育成や業務の円滑化に効果的
1on1ミーティングは、人材育成にとって効果的な手段です。
上司と部下のコミュニケーションを深めることで、話しやすい関係を作り出します。
また、頻繁に深く話をすることで、部下は上司に承認されているという自信と安心感を持てるはずです。
この環境が整えば、部下の悩みや問題を引き出しやすくなりますし、ヒントを与えて自発的な行動をうながすことができます。
業務の効率化が望めることはもちろん、成功体験や成果に対する評価が自信につながり、部下が成長するとともに「自分の考えを尊重してくれる職場」であると意識するようになるでしょう。
