コアバリューの意味とは?導入のメリット・浸透までの9ステップを解説!

コアバリューの意味とは?導入のメリット・浸透までの9ステップを解説!

日本の企業でも「コアバリュー」という用語が浸透してきました。

2016年にビジネス誌のフォーブズに掲載された優良中小企業ランキングで、その半数以上が企業としてのコアバリューを持つことから注目された用語です。

言葉は浸透していても、その意味をはっきりと把握している人は少ないようです。今回は、コアバリューの意味について、その作成方法や実際の事例を含めて解説します。

コアバリューとは?

コアバリューを一言でいえば、意思決定をするための判断基準となる価値観です。

コアバリューを企業が持つことは経営手法のひとつであるといえます。企業としてコアバリュー持っている場合、従業員を含めてそれを意識し、日々の業務を担うことになります。

また、企業としてのブランディングや従業員の士気を上げることにもつながるのです。

コアバリューは、個人で持つこともあり得ます。生活の中で選択肢からひとつのことを決定する価値観を持つことと同等だからです。

例えば、夕食を外食で済ませるか自宅で食べるかという選択も、個人のコアバリューによって決まります。

自分の時間を持つために、調理の手間や片付けなどの手間を省くことを優先する場合には外食を選びますし、自宅での食事の時間を大切にしている場合には、自宅での食事を選ぶでしょう。

ここにあるコアバリューは、自分が大切にするモノの違い、つまり価値観の違いです。

企業も同じように、売り上げを重視する企業やお客様を第一に考える企業など、それぞれのコアバリューがあります。

どちらが良い悪いということではなく、やはりこれも価値観なのです。

企業全体で価値観を統一することで、無数の選択肢の中から進むべき道を選びだす、あるいは企業にイメージをつけることに役立ちます。

コアバリューを導入するメリット

企業でコアバリューを導入することで、企業内外へ大きな影響を与えることが期待できます。

コアバリューの導入によるメリットには、以下が挙げられます。

  • 価値観や目標を企業全体で統一できる
  • 有効な意思決定ができる
  • ブランディング効果がある

価値観や目標を企業全体で統一できる

企業がコアバリューを導入することは、企業としてどのような価値観を世に提供するのかという、方向性を統一することです。

価値観が統一されれば目標統一にも役立ちますので、従業員が仕事の中で、どこへ向かうべきかをしっかりと把握することができます。

最前線で接客をする場合にも、選択肢を間違えることなく、コアバリューに沿った対応ができるでしょう。

有効な意思決定ができる

企業として経営方針の決定をする場面でも、コアバリューが導入されているか否かで意思決定を左右します。

極端にいえば、コアバリューがなければ、重要な決定を下す場面でも会議がなかなか煮詰まりません。

しかし、コアバリューを持っていることで、最終的な意思決定は企業の価値観に沿った有効な意思決定ができる上、決定には根拠がありますので、議論の中でもほとんどの人が納得できる決定になるはずです。

ブランディング効果がある

企業が掲げるコアバリューを世間に公表することで、ブランディング効果にもつながるのです。

他者に比べて商品が安いことや、技術が優れていること、お客様の利益を第一に考えているなどを企業のコアバリューとして盛り込むことで、世間に企業イメージを与えることができます。

「安くて速いといえば〇〇社」などというイメージは、企業として高いブランディング効果が期待できますよね。

コアバリューの作成・浸透までの9ステップ

企業にとってメリットのあるコアバリューの導入は、コアバリューの作成から、それを浸透させるまでに9つのステップがあります。

ここでは、そのステップについて解説します。コアバリューを導入する際のステップには、以下が挙げられます。

  1. コアバリュー作成の目的を考える
  2. 計画を明確にする
  3. コアバリュー作成メンバーの選定
  4. 全従業員からのヒアリング
  5. 経営層とのすり合わせ
  6. コアバリューを文章化
  7. 社内全体へコアバリューの発信
  8. オフィスやサイトなどへのコアバリューの掲載
  9. 定期的に運用を見直す

1. コアバリュー作成の目的を考える

コアバリューを導入するためには、その作成目的を考える必要があります。

なぜ自社にはコアバリューが必要なのか。コアバリューを導入することで、現状をどのように変化させたいのか、コアバリューの軸となる価値観を統一させておく必要があります。

コアバリューは価値観です。企業として、世間に何をどのように提供するのか、結果、お客様がどのようになって欲しいのかを詳細まで落とし込むことが大切です。

2. 計画を明確にする

計画とは、コアバリューの作成から導入、どのように公表するのかという部分まで、できるかぎり詳細まで明確にしておきましょう。

コアバリューを作成する際には、企業のビジョンや現状の把握、また作成したコアバリューを企業全体に浸透させる必要があります。

コアバリューが従業員一人ひとりへ浸透するには時間がかかるでしょう。

これらを全て含めたコアバリュー作成計画が必要です。

3. コアバリュー作成メンバーの選定

コアバリューを作成するには、企業の細かな部分までを把握する必要があります。

それには、企業全体を把握する人物や現場を知る人物、現場で実際の作業をする人物も必要です。

コアバリュー作成メンバーの選定では、自社の現状を知ることも重要視し、視野を広げる広げる必要があるのです。

4. 全従業員からのヒアリング

コアバリュー作成メンバーが選定できたら、各担当部署から現場で働く前従業員からのヒアリングが必要です。

従業員からのヒアリングでは、各部門管理者(役職者など)と現場の温度差などを探ることができます。

コアバリューは従業員全てに浸透しなければ意味がありません。社内での温度差を放置しておけば、コアバリューを作成したとしても役に立たないでしょう。

ヒアリングから得られた一人ひとりの仕事に対する思いや考え方が、コアバリュー作成の参考になり、大きな温度差を生み出すことのないコアバリューの作成に役立ちます。

5. 経営層とのすり合わせ

ある程度のコアバリューが作成できたら、経営層とのすり合わせを行います。

ここで、経営層とのすれ違いが起これば、コアバリュー作成は振り出しに戻ります。あるいは、経営層を納得させられるだけの根拠があれば良いでしょう。

ただし、コアバリューはあくまで企業の価値観を制定するものですので、経営層が納得できないものは、コアバリューとはいいません。

経営層とのすり合わせまでには、多くの情報と時間を要することでしょう。

6. コアバリューを文章化

経営層とのすり合わせが完了したら、コアバリューとして文章化します。

自社の従業員全てに対して、あるいは公表するならば適した表現を文章化しておきましょう。

できるだけ簡潔に、わかりやすく表現することがひとつのポイントです。

何を基準に企業が動くのかを、誰もがわかる形で明示しましょう。

7. 社内全体へコアバリューの発信

文章化が完了したら、いよいよ社内全体へコアバリューを発信します。

社内へは、事前にコアバリューを作成したことや、それを導入する時期を周知しておくことで、従業員を含めた全体が意識するでしょう。

社内全体へ発信されたコアバリューは、従業員に本当の意味で浸透するには時間がかかります。

8. オフィスやサイトなどへのコアバリューの掲載

社内全体への周知が完了したら、社外にも見える場所へ掲載します。

文章化されたコアバリューを、社員の目に止まるオフィスに掲載、そして、自社ホームページやオウンドメディアなどへ掲載することで、社内外で自社のコアバリューを根付かせましょう。

9. 定期的に運用を見直す

コアバリューが周知されても、すぐに全ての従業員やその体制が整うわけではありません。

これまでの業務姿勢を徐々に変化させる必要があるのです。

コアバリューを周知した初期では、今までのやり方もまだまだ残っており、策定したコアバリューから外れている運用も残っています。

ですので、定期的に運用を見直すことで、コアバリューに沿ったものに近づけていくイメージです。

コアバリューが有名な海外の企業事例

ここからは、海外企業でも有名なコアバリューについて紹介します。

これから自社でコアバリューを作成する際には、海外の例も参考になるでしょう。

  • Adobe Systems
  • Airbnb
  • Zappos

Adobe Systems

Adobe Systemsは、コンピューターで利用するクリエイティブツールやドキュメントソリューションを提供する企業です。

Adobe Systemsには、4つのコアバリューがあります。

・Genuine 真摯な
顧客、客先、従業員、自分の家族に対して誠実で、信用できる

・Exceptional 卓越した
卓越した体験を生み出し、顧客や他の従業員の期待を超えた対応を目指す

・Innovative 革新的な
高度に創造的で新たなアイディアを実現的なビジネスにつなげる

・Involved 自ら積極的にかかわっていく
多様な人々を受け入れ、オープンな態度でお客様やパートナー、他部門および所属するコミュニティと積極的に関わる

Airbnb

Airbnbは、日本では「民泊」の代表的なサービスで認知されているシェアリングエコノミーの企業です。

Airbnbのコアバリューには、以下の4つが掲げられています。
※以前は6つでしたが、2019年10月19日現在4つになっています。

・Champion the Mission
明確なミッション

・Be a Host
一緒に働く全ての人を思いやり励まし合う

・Embrace the Adventure
好奇心や楽観主義など、冒険心を受け入れる

・Be a Cereal Enterepreneur
大胆な野心を実現する

Zappos

Zappos(ザッポス)は、アメリカに拠点を持つ靴のネットショップを提供しています。ZapposはあのAmazonが屈した企業とも言われ、そのコアバリューも話題になりました。

Zapposのコアバリューに、以下を掲げています。

1.サービスを通じて、WOW(驚嘆)を届けよう
2.変化を受け入れ、その原動力となろう
3.楽しさとちょっと変わったことをクリエイトしよう
4.間違いを恐れず、創造的で、オープン・マインドでいこう
5.成長と学びを追求しよう
6.コミュニケーションを通じて、オープンで正直な人間関係を構築しよう
7.チーム・家族精神を育てよう
8.限りあるところから、より大きな成果を生み出そう
9.情熱と強い意思を持とう
10.謙虚でいよう
引用元:フィンテック革命で人々を幸せに!

コアバリューが有名な日本の企業事例

コアバリューを導入している企業は海外だけではなく、日本企業でもコアバリューを追求する企業がります。

ここでは、日本国内でコアバリューを導入している企業の事例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 日本自動ドア株式会社
  • マテックス

日本自動ドア株式会社

日本自動ドア株式会社は、自動ドアのメーカーで、街にある店舗などへ自動ドアを提供しています。

日本自動ドア株式会社は、コアバリューを追求することで、成果につなげています。

日本自動ドア株式会社のコアバリューには、以下が挙げられます。

・私達が重んじる人格
・人としての正しい心
・学習、プラス思考、進化
・チャレンジ精神
・家族性とチームワーク
・リーダーシップ
・感謝の気持ち
・仕事への自信、誇り、情熱
・社会への貢献
・家族と健康

マテックス

マテックスは、ガラス卸販売を行う企業です。住宅の温度環境を窓で支えて、日本を変えていくことを使命としています。

マテックスは10のコアバリューを掲げています。

・お客様の真の喜びを追求する数字では表せない領域に「感動」はある

・「オープン」「フェア」かつ「温かみのある」人間関係チームの和を育む最大の力は「仲間」である

・「成功」「失敗」から考え、学ぶ平等に約束されていることは「成長」その過程を重視し見守る

・「称賛」「感謝」はすることに価値がある「いいね!」を増やす

・ポジティブに考え、挑む「どうなるか…」より「どうするか」を追求する

・地図のない領域に足を踏み入れる新しいことに興味を持ち、情熱と創意工夫で切り拓く

・チームの多様性を大切にする聴く耳を持つ、相手の考えを尊重する

・率先して楽しむ「場」をつくり、「雰囲気」をつくる

・組織の一員である以前に ひとりの人間として正しいことを追求する「誰が言うか」ではなく、「何を言うか」を大切にする

・マテックスが誇る最高の品質は「信頼」世代を超えた関係は「信頼」の上に築かれる

まとめ:コアバリューは現代の企業にとって重要な価値を持つ

スタートアップからの躍進や、大きく成長した企業の多くが、コアバリューを導入しています。

コアバリューは、企業全体の価値観を統一するとともに、経営における重要な意識決定の軸、そして世間に対するブランディングにも影響を与えるものです。

コアバリューを作成し、運用することで、企業の成長を支える軸となるはずです。コアバリューは、現代の企業に必要なものだと言えます。

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