採用マーケティングの手法を徹底解説【現役マーケターが語る】

採用マーケティングの手法を解説!もう従来の採用手法は通用しない

ジョブウィズ編集長の小川です。

この記事では、採用マーケティングの手法の全てについて解説しています。

最近は「採用マーケティングを取り入れよう」と声高に叫ばれていますが、マーケティングの本質を抑えられていないことで小手先のテクニックだけ取り入れ、思ったような効果が得られない、といった企業も数多く見受けられます。

そこで今回はマーケティングの本質部分から解説する内容にしましたので、ぜひ参考にしていっていただければと思います。

採用マーケティングとは

採用マーケティングとは、一般的なマーケティングの考え方を採用活動に活かす方法です。

ですが、そもそもマーケティングとは何か?がわかりにくいという方が多いのではないでしょうか?

そこでまずは、マーケティングの意味を理解し、その概要を採用マーケティングに当てはめて理解を深めていきましょう。

そもそもマーケティングとは

マーケティングの意味をウィキペディアで調べると下記のように書かれています。

マーケティングとは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。 引用:wikipediaより

簡単に言ってしまうと、マーケティングとは「商品・サービスが売れ続ける仕組み」を作る活動の全てを指します。

広告を使ったWEB集客もその一環です。

改めて、採用マーケティングとは

採用活動のフローを簡潔にすると、母集団の形成(集客)→応募→面接→採用という流れになると思います。

この集客から採用(クロージング)までの流れは、マーケティング活動と酷似しています。

結果、採用活動を成功に導くには同じやり方であるマーケティング手法を取り入れれば採用活動も成功するのではないか?という考えから、採用マーケティングの重要性が問われるようになりました。

採用活動をマーケティングに当てはめると

まずは転職活動を行う人材が、どのような企業への就職を求めているのか?という市場調査を行います。

そして、どのような方法で自社をアピールすれば良いのか?という訴求を考えます。

マーケティングと採用マーケティングを対比させるなら、顧客や消費者が求職者、商品が貴社となりますね。

また、マーケティングでいう「売れ続ける」という状態は、貴社で働きたいと思い募集をしてくる求職者が常に存在し続けるということです。

なぜ採用マーケティングが必要なのか?

現在、採用市場は売り手市場です。

応募者の中から優秀な人材を選ぶという流れは終わり、優秀な人材から企業側が取捨選択をされる時代となりました。

 

そして、少子高齢化が進めば進むほどこの傾向は強まります。

一部の人気大手を除き、多くの企業は戦略性を持って採用活動を行わないと望んだ結果が得られなくなってしまったのです。

その戦略を考える時に注目されたのが、採用マーケティングだったというわけです。

 

以上、採用マーケティングの意味とその必要性についてお伝えしました。

自社でも採用マーケティングについて真剣に検討しようと思われたでしょうか?

それではいよいよ、採用マーケティングの具体的な手法について考えていきましょう。

 

採用マーケティングの具体的な手法

採用マーケティングの一連の流れは以下の通りです。

  1. 採用戦略を立てる
  2. 採用手法を選択する

1つずつ解説していきますね。

1.採用戦略を立てる

マーケティングの成否は戦略で決まります。

つまり、採用マーケティングにおいても戦略が全てということです。

採用戦略については、採用戦略のポイントは?採用で失敗しない計画の立て方のコツ!でも解説しています。

 

採用戦略を細分化すると、以下の通りです。

  • 採用したいターゲットを決める
  • 採用基準を明確化する
  • 競合分析をする
  • 自社の強みを明確化する、生み出す

 

・採用したいターゲットを決める

これは特に採用マーケティングを意識しなくとも、これまでも行ってきたことだと思います。

営業が欲しいのか、エンジニアが欲しいのか、経理が欲しいのかなど、ざっくりとしたターゲットを決めましょう。

 

・採用基準を明確化する

ターゲットはざっくりで良いですが、この採用基準はしっかりと明確化する必要があります。

年齢はいくつが良いのか、どんなスキル・経験があると良いのか、どのポジションで採用したいのかなど、あらゆる条件について確認をしておきましょう。

 

当然ですが、採用基準を厳しくすればするほど採用の難易度も高くなります。

ですので、最低ラインの基準と理想の基準を用意しておき、その時点での採用状況を見ながらどこまで妥協するかを決めなくてはなりません。

特に最低ラインの基準を決めておかないと、面接担当者が「理想の基準じゃないから」と簡単に落としてしまう可能性が高まります。

結果、採用が上手くいかなかった際に「あの時のあの人を採用していれば…」と後悔することになるかもしれません。

 

採用基準については、採用基準の作り方。リーダーシップを持った人材を採用するためにで詳しく解説しています。

また、自社の採用基準を考える際には「自社が重要にしている価値観」を明確化することも大切です。

詳しくは、コアバリューの意味とは?導入のメリット・浸透までの9ステップを解説!で解説しています。

 

・競合分析をする

欲しい人材を明確化した次は、競合分析を行いましょう。

競合分析は、マーケティングでは基本ですよね。

 

採用したいターゲットがどんな企業を受けたがっているのか?

逆に、自分たちが採用したいと考えているターゲットの採用に成功している企業はどこなのか?

といった視点で、競合をピックアップしてください。

 

そして、競合企業の魅力は何なのか?なぜ選ばれているのか?を考えていきます。

ここで重要なのが、競合企業が使っている採用手法(媒体)は何か?まで情報収集をしておくことです。

また、どんな訴求で、どんな給与で、どんなスキル条件で出しているのかまで深掘りしておきましょう。

 

採用マーケティングでは、ターゲットと競合(敵)を明確化することが大切になります。

でなければ、ターゲットが何を欲しているのか?(どうすれば集まるのか?)やどうすれば競合より自社が選ばれるのか?(強み)を見つけていくことができないためです。

 

採用マーケティングを意識できていない多くの企業では、いきなり「自社の魅力は何か?」を漠然と考えがちです。

マーケティングにおける魅力(価値)はあくまで相対的に決まるものですので、必ず競合分析には力を入れましょう。

 

・自社の強みを明確化する、生み出す

最後に、自社の強みを明確化します。

競合と比較した際に「競合にないところ」「競合より秀でているところ」を探していきましょう。

例えば、競合がリモートワークやフレックス制を導入しておらず自社が導入をしているのであれば、それは一つの強みとなります。

 

また、競合と比較した際に自社の事業内容が独特な場合もありますし、競合が大手なのであればより裁量の大きい現場で経験を積めることを強みにすることもできるでしょう。

そして、もしも競合と比較した際に自社の強みが見つからない場合は、強みを生み出すしかありません。

 

強みの生み出し方には、

  • 新たに生み出すか
  • 強みが生まれる戦場に移るか

の2通りのやり方があります。

まさにマーケティングの代表的な考え方ですね。

 

新たに生み出す場合には、組織づくりから見直すパターンが多いです。

組織づくりについては【組織作り】企業戦略をスムーズに実行できる組織の作り方で詳しく解説しています。

 

そして強みが生まれる戦場に移る場合は、採用基準の見直しに戻ります。

採用条件を緩くする→戦う競合が変わる→強みを見つける、という流れですね。

採用基準を広げるには、働き方の幅を広めるのが効果的な手法です。

下記の記事が参考になるので確認してみてください。

女性採用を推進するためのポイントを解説!

在宅勤務とは?導入するメリット・デメリットを解説!

出戻り社員とは?雇用するメリット・デメリットを解説

 

ちなみに、採用マーケティングが意識できていない企業では、強みを生み出すという考え方自体を持たれないことが多いです。

当然ですが、何の武器もなしに戦略を立てるのは不可能です。

強みも戦略もなくただ採用活動を行って、「今は売り手市場だから上手くいかないのかな」と考えてしまっている企業は、おそらく買い手市場でも採用は上手くいくことはないでしょう。

 

以上が、採用マーケティングにおける採用戦略の立て方となります。

この時点で「どのターゲットにどんな訴求をすれば自社が選ばれるのか?」が明確化できなければ、その後の採用が上手くいくこともありません。

しっかりと時間をかけて採用戦略を練っていきましょう。

2.採用手法を選択する

戦略を立てたら、次は戦術を考える必要があります。

採用マーケティングにおける戦術は、採用手法に紐づきます。

 

そして、企業が行える採用手法はさまざまです。

採用手法について解説した記事でも、これだけの記事があります。

ダイレクトソーシングとは?メリット・デメリットを徹底調査!

ソーシャルリクルーティングとは?SNS採用のメリット・デメリットを解説!

ソーシャルリクルーティング(SNS採用)で優秀な人材を最小限のコストで獲得しよう

AI採用とは?事例からメリット・デメリットまで徹底解説!

リファラル採用とは?メリット・デメリットを徹底調査!

縁故採用とは?企業にとってのメリット・デメリットを解説!

スクラム採用とは?社員主導型の最新採用方法を取り入れるポイント!

キャリア採用とは?中途採用との違いやメリット・デメリットを解説!

リファラル採用とは?メリット・デメリットを徹底調査!

 

当然、全ての採用手法を実践することができるのであれば、それが最も効果を発揮するでしょう。

ですが、全ての採用手法を実践するにはそれ相応のリソースが必要です。

現実的ではないですよね。

 

そこで採用マーケティングでは、限られたリソースの中で最適な採用手法を選ぶことが求められます。

採用手法については採用手法15選!新卒・中途採用に役立つ採用手法の特徴をチェック!でも解説しているため、ぜひ参考にしてください。

 

ここまで、採用戦略を固め、戦術となる採用手法の選択を行いました。

次はいよいよ採用マーケティングの実行段階に映りましょう。

採用マーケティングを実行する

採用マーケティングを実行する際には、マーケティングでいうところの「マーケティングファネル」の考え方を取り入れるとスムーズに考えられることができます。

マーケティングファネルとは、マーケティングにおいて消費者が商品を購入するまでの意識を図式化したものです。

採用マーケティングにファネルを当てはめると次のようになります。

1.認知 企業を認知してもらう
2.興味 転職先としての興味や魅力を知ってもらう
3.比較・検討 その他企業の中から就職する企業として選ばれる
4.購入・申込 内定を承諾してもらう

マーケティングファネルの段階ごとに課題を抽出し、対策を考える

マーケティングファネルに当てはめた採用マーケティングでは、ファネルの段階ごとに課題が抽出できます。

1.「認知」段階での課題と対策

いかに低コストで自社を知ってもらうかが、認知段階での課題です。

最近ではSNSを活用して認知を広める企業が増えていますね。

しかし、重要なのは費用対効果の良さであるため、たとえイベントやメディアの露出などコストが大きく関わる施策であっても必要十分な認知が獲得できるのであれば、効果的な施策として取り入れるべきでしょう。

 

また、SNSはいかに担当者が継続できるかにかかっているため、軽い気持ちで始めると思ったような効果が得られずに失敗する可能性が高いです。

他の対策としては、オウンドメディアの立ち上げがあります。

SNSもオウンドメディアも長期的な継続で初めて効果を発揮する施策であるため、まずはコストをかける施策から始め、SNSやオウンドメディア施策は長期的な目線で効果を測っていくのが現時点でのベターな対策になるでしょう。

2.「興味・関心」段階での課題と対策

転職先としての興味や魅力を知ってもらうには、まずターゲットと接触を図らなければなりません

もちろん、求人サイトや自社の採用ページなどに訪問してもらい魅力を知ってもらうこともできるかもしれませんが、ページに訪問してくれるにはそれ相応の集客力が必要となり、コントロールも難しい領域となります。

そこで最近取り入れられているのが、カジュアル面談です。

入り口を広げることでターゲットと接触できる機会を増やし、カジュアル面談を通して自社の魅力を知ってもらう機会を生み出します。

まさにマーケティング的な手法ですね。

 

その他にも、facebookで直接接点を持つなどさまざまな対策が考えられるため、ぜひ競合が取り入れている手法なども調べてみると良いでしょう。

最近では「タレントプール」という考え方も出てきています。

詳しくは、タレントプールとは?企業の事例から優秀な人材獲得に繋がるのか調査!をどうぞ。

3.「比較・検討」段階での課題と対策

「比較・検討」の段階では、求職者が応募している複数の企業の中から自社が選ばれるかどうかが課題となります。

しかしこの点については、採用マーケティングの戦略を立てる時点で完了しているため、新たに考える必要はありません。

 

重要なのは、戦略の時点で考えた自社の強みを求職者に適切に伝わる仕組みを作り上げることです。

求人サイトや採用サイトで伝える内容や、カジュアル面談や採用面接でどんな話をするか?など、細部にこだわって施策に落とし込みましょう。

どんなに良い採用マーケティング戦略・戦術を立てても、それが適切に実行されなければ全く効果はありません。

非常に重要なポイントとなるため、採用担当者は、サイト運用担当者や面接担当としっかりと採用戦略・戦術について共有しておく必要があるでしょう。

4.「購入・申込(内定承諾)」段階での課題と対策

内定承諾をもらえるかは、しっかりと競合を切り、面接時点で適切なコミュニケーションが取れているか?にかかっています。

対策としては、入社後の働く環境を知ってもらうことや、応募者が持つ小さな疑問や不安をすべて解消するためにコミュニケーションを怠らないことです。

最後のクロージングに失敗すればこれまでの採用マーケティングの努力が全て無駄になるため、丁寧なコミュニケーションを意識しましょう。

採用マーケティングで活用するツールについて

補足として、採用マーケティングで活用するツールについてもご紹介しておきます。

採用ツールを目的別に解説!その採用ツールは本当に必要ですか?

採用パンフレットの作り方を解説!優秀な人材に選ばれるためには?

職種別 採用マーケティングのポイント

採用マーケティングでは、職種ごと採用手法の理解も不可欠です。

IT人材の採用ポイントをまとめたので確認しておきましょう。

エンジニアの採用は難しい?採用を成功させる手法とエージェントを紹介!

SEの採用は難しい?システムエンジニアの採用を成功させる方法を調査!

プログラマー採用をしたい企業必見!採用に失敗しないコツを徹底調査!

デザイナーの採用を成功させるコツは?デザイナーの転職市場から調査!

マーケターの採用を成功させるコツを調査!企業側がまずやるべきことは?

採用マーケティングで忘れてはいけないこと

最後に、採用マーケティングで忘れられがちな「人材の流出」問題についてお伝えします。

どんなに採用を頑張っても、同じように人材が辞めてしまっては全く意味がありませんよね。

最近ではエース社員が退職して困っている企業も数多く見受けられます。

 

詳しくは、エース社員の退職から始まる社内崩壊!優秀な社員が辞める兆候の掴み方で解説しています。

ちなみに、カウンターオファーとは?提示の仕方、有効性、成功率を解説でも解説していますが、社員の退職の引き止めはほぼ成功しません。

 

企業によっては、採用マーケティングの強化以上にまずは人材の流出問題を解決すべき場合もあるでしょう。

とは言え、解決方法は採用マーケティングと同じで、社員にとって魅力的な組織作りをし続けるしかありません。

ぜひ今回の採用マーケティングをきっかけに、人材流出問題に対しても前向きに向き合っていただければ幸いです。

採用マーケティングの全て まとめ

以上、採用マーケティングの全てをお伝えしました。

採用マーケティングの全ては、はじめの採用戦略に全てかかっています。

その後は、いかに根気強く採用手段を洗い出し、地道に実践できるかです。

ぜひ今回の記事を参考に、採用マーケティングを成功に導いていただければと思います。

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