ティール型組織とは?最近話題の次世代組織のメリット・デメリットを解説!

ティール型組織という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ティール型組織とは経営手法の話です。
現在の日本では、大多数の企業がヒエラルキー構造を持っています。
ヒエラルキー上位にいる人が、ヒエラルキー下部の人に向かって役割を指示することが従来の組織でした。
それに対して、従来の組織形態からガラッと雰囲気が変わったものがティール型組織になりますが、この次世代組織は従来の組織に比べて何が優れているのでしょうか?
そこで今回は、ティール型組織のメリットデメリットに加え、組織を構築するにあたって必要な要素など必要な情報を盛り込みました。
ティール型組織の導入を検討している企業の皆さん必見です。
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目次
ティール型組織とは?
ティール型組織とは、社長や役職者の指示命令がなくとも(マイクロマネジメントをせずとも)、組織の目指す目標・目的の実現に向けてセルフマネジメントのできる独自工夫に溢れた組織を指します。
現代数多ある企業は社長や役職者といった経営に携わるトップとそれに従う従業員という関係で構築されているところが多いです。
トップダウン型のヒエラルキー構造が多い現代社会ですが、ティール型組織はヒエラルキー構造を要しません。
ティール型組織では個々でセルフマネジメントができるため、指示をする必要がないためです。
社会構造や経済構造の変化に伴い、ヒエラルキーの大きなピラミッド型の組織形態からティール型の組織へと変貌していく組織が増えてきました。
ティール型組織ができるまでの5つの過程
ティール型組織は従来からある組織形態から生み出されたものです。
産業革命以前から人々の営みの中では組織の役割が大きく関わってきています。
ティール型組織が生まれるまではどのような組織形態だったのか、以下で解説していきますね。
- Red(レッド)|衝動型組織
- Amber(アンバー)|順応型組織
- Orange(オレンジ)|達成型組織
- Green(グリーン)|多元型組織
- Teal(ティール)|進化型組織
Red(レッド)|衝動型組織
レッド型組織は、力を持つ個人が支配する組織を指します。
支配者と下に従属する者の関係からオオカミの群れに例えられます。
レッド組織の特徴としては、中長期的なビジョンを持つというよりは、短期的なビジョンを重要視する傾向がある点です。
力のある人に支配されている安心感はありますが、従属する人々は依存状態となります。
また支配者の指示が絶対という組織なので、革新的な意見などは排除されてしまいがちです。
そのため、凝り固まった思想やビジョンにより、組織の運営が停滞するデメリットがありました。
Amber(アンバー)|順応型組織
アンバー型組織は軍隊に例えられます。
厳格な階級に基づくヒエラルキーにより、上意下達による情報管理が行われます。
レッド型組織では特定の個人の支配による依存状態でしたが、アンバー型組織では、階級的ヒエラルキーにより役割を分担しています。
この構造を構築することにより、個人への依存度を分散させているのです。
また、レッド型組織と比べ、多人数を統率することができるようになるメリットがあります。
短期的なビジョンから中長期的なビジョンを持つことも可能です。
しかし、完全なトップダウン型であるため、こちらでも革新的な意見などは出にくいでしょう。
Orange(オレンジ)|達成型組織
アンバー型組織では、能力のある者でも階級社会により能力を発揮する場面が限られていましたが、オレンジ型組織では社長、役職者、従業員がヒエラルキーを持ち、成果を出せる者が評価されヒエラルキー上位へ行けるのが特徴です。
従業員同士の切磋琢磨により、競争やそれに伴う変化が生まれ、イノベーションへ繋がっていきます。
また、数値管理による徹底したマネジメントが行われることが多く、変化と競争の中で生き残ることが必須となりました。
この組織に組み込まれると、まるで機械のように働くことになるため、機械に例えられます。
Green(グリーン)|多元型組織
グリーン型組織は、オレンジ型組織と同様、社員や役職者、従業員のヒエラルキーはそのままに、オレンジ型組織のような機械的な働き方から人間らしく働くことに重点を置いています。
個人の主体性が発揮され、個人の多様性を尊重することが求められます。
組織の運営チームを構成する人々の様々な意見を尊重し、お互いに思いやりを重視し、組織内の雰囲気はオレンジ型組織より風通しの良いものとなりました。
こういった点から、グリーン型組織は家族に例えられます。
しかし、社長の権力がどの程度及ぶかなどのルールはないため、最終意思決定の段階で社長の意見に沿ってしまうこともあります。
Teal(ティール)|進化型組織
グリーン型組織では、個人を尊重しお互いの意見を言いやすい土壌が作られましたが、最終決定権がトップの人にあるといった特徴がありました。
一方ティール型組織では、組織自体が社長や経営者のものではなく、一つの生命体として捉えられます。
組織内のメンバーは進化する組織の目的のため、互いに影響し合いながら関わっていく必要があります。
そのため、トップからの指示命令系統はなく、メンバー全員が組織の目的に沿ってセルフマネジメントをしながら関わっていくのが、ティール型組織の特徴です。
ティール型組織のメリット
ティール型組織は構築することが難しいですが、構築できれば大きなメリットがあります。
ピラミッド型の組織だと起こり得ていた問題が、ティール型組織では防ぐことができルカらです。
その他にどのようなメリットがあるか、以下に紹介していきますね。
- 主体性を持って組織に関わることができる
- 権力の分配ができる
- 個人の特性を生かした仕事ができる
主体性を持って組織に関わることができる
ティール型組織における最大のメリットは、組織内の人が主体性や当事者意識を持って目標や目的に向かうことができる点です。
従来のヒエラルキー構造の組織では、社長や役職者など経営層が目標や目的を定め、従業員は決められた役割を担っていました。
しかしティール型組織では、個人が顧客や社会への価値を最大化することを考える必要があります。
結果としてセルフマネジメントができるようになるため、決められた役割を担うのではなく、個人が組織にいかに関わっていくか考える機会を得られます。
権力の分配ができる
ヒエラルキー構造の組織では、ヒエラルキートップの人がヒエラルキー下部の従業員を評価する仕組みがありました。
そのため、ヒエラルキー構造の組織では、トップの人間が権限を濫用するという事例が数多くありましたが、ティール型組織では、個人が組織に対する権限を持つため、権利の濫用や地位がトップの人が暴走してしまうということも防げます。
個人の特性を生かした仕事ができる
ヒエラルキー構造の組織では、上司や経営層からの指示で、自分に適性のない職務を遂行することを求められることがありました。
これらの職務を遂行しなければ、自身の昇進や昇給に響くからです。
その点、ティール型組織では、役職ではなく、個人の能力によって役割が割り振られます。
個人が主体性を持って組織の目標達成に尽力するため、個人の特性を生かすことができるようになります。
ティール型組織のデメリット
今まで、ティール型組織の良い面ばかりをお伝えしてきましたが、デメリットも存在します。
個人の能力や資質が大きく関わる組織となるため、構築までに時間を要する点です。
オレンジ型組織から一足飛びでティール型組織への移行というのは極めて困難です。
なぜ構築が困難なのか、以下で説明しますね。
- ティール型組織の構築の難しさ
- 人材の受け止め方
ティール型組織の構築の難しさ
今まで構築されていたヒエラルキー構造をいきなり取り払ったからといって、ティール型組織になるとは限りません。
むしろ、ヒエラルキー構造でトップダウンの指示がある方がうまくいく場合もあります。
組織の世界観をそのままに導入することが大変難しいため、既存の組織に取り入れる際は、細かな試行錯誤が必要です。
人材の受け止め方
ティール型組織を構築するにあたってよくある誤解が、「優秀な人材を集める必要がある」というものです。
個人のスキルや能力が高くなければならないと考える人が多いですが、それは誤解です。
ティール型組織に必要なのは、「個人個人の個性を受け止める」ことです。
ティール型組織では、社員同士が自由に意見を交換し合う必要があります。
そういった時必要なのは、組織内の人間の価値観や感覚が合っているという点です。
ティール型組織に欠かせないポイント
ティール型組織を導入する際には押さえておかなければならないポイントが3つあります。
試験的にティール型組織を導入していこうと考えている場合は、以下のポイントをしっかり踏まえたうえで挑んでいただきたいです。
- 進化する目的
- セルフマネジメント
- ホールネス
進化する目的
前述しましたが、ティール型組織は生命体と例えられます。
ティール型組織は組織が社長や株主の所有物ではなく一つの生命体として存在しているため、組織の進む方向や目的が随時進化していきます。
この進化のために、組織内の個人同士が積極的に話し合う場などが必要となるのです。
セルフマネジメント
ティール型組織では、社長や役職者、経営層からの指示命令系統がありません。
組織の進化する目的を実現するため、組織内の個人間で信頼に基づき、独自のルールや仕組みでもって組織を運営していく必要があります。
自分自身がもたらした成果や成果に至るまでの行動を自覚し、組織を運営していくことを「セルフマネジメント」と呼びますが、ティール型組織ではこの要素が必須項目になります。
ホールネス
セルフマネジメントをより有効に機能させるために必要なのがホールネス(個人としての全体性の発揮)です。
組織を構成するメンバー全員の能力がきちんと発揮されているか、メンバー間の関係性など組織内で気になることに対して、組織が寄り添っていけるかということが非常に重要です。
個人の多様な能力を存分に発揮するためにも、ティール型組織内をフォローしていく意味でもホールネスは大事な要素となります。
ティール型組織を導入している企業事例
ここまでティール型組織について詳しく説明してきました。
最後に、日本ではまだまだヒエラルキー構造を持つ企業が大多数ですが、ここではティール型組織を導入している企業を紹介します。
ティール型組織となったことで社内がどういった雰囲気になったのか、業績に差は出たのか知っていただければ幸いです。
- サイボウズ
- ソニックガーデン
サイボウズ
サイボウズでは、ティール型組織で重要な要素となる「セルフマネジメント」が取り入れられています。
従業員がそれぞれ携わっている業務やプロジェクトの内容・進捗を共有しているため、社員個人の意思決定が全体に見える形となっています。
結果として、仕事内容が透明化し、業務スピードが上がり、業務の効率化に一役買っています。
ソニックガーデン
ソニックガーデンでも、「セルフマネジメント」を取り入れています。
「管理のない会社経営」のため、「納品のない受託開発」という新しいビジネスモデルを生み出してから、マネジメントの形もどんどん変えてきました。
「セルフマネジメント」を取り入れた結果、部署や上司、管理職といったヒエラルキー上位を構成する人々が存在しない組織へと構築されています。
その結果、一人一人が複数の案件や役割を持ち、自分に合った裁量で仕事をすることが可能になりました。
まとめ:ティール型組織はこれからの時代に求められる組織
従来までのヒエラルキー重視のアンバー型組織、社内の風通しがよく居心地が良いオレンジ型組織の時代から、現代ではティール型組織のような運営が求められてきています。
与えられた指示を行っていくだけでなく、セルフマネジメントによって自分で決めた仕事を、組織に対して主体的に行っていくことで、進化する目的が生まれます。
組織が生命体であれば、元気な時もあれば体調の悪い時もあります。
そういった組織の表情を感じることのできるティール型組織を目指し、試験的に企業に取り入れみてはいかがでしょうか?