トライアル雇用の問題点とは?制度を活かすためのポイントを解説
ハローワークからの紹介で求職者を短期間の試用期間期間の下で雇い入れる「トライアル雇用」は、人手不足の企業にとっては人材確保の有効な手段です。
しかし、トライアル雇用にはいくつかの問題点があり、把握しないままだと社内にトラブルを引き起こす可能性もあります。
そこで今回の記事では、企業におけるトライアル雇用の問題点と解決のための方法を解説していきます。
これからトライアル雇用を使う可能性がある場合は、注目すべき問題点を確認しておきましょう。
目次
トライアル雇用の問題点とは
トライアル雇用には以下のような問題点があり、制度の利用時には注意が必要です。
特に初めてトライアル雇用を使う場合には、事前に問題になりやすいポイントを把握しておきましょう。
- 問題点①:現場の負担が大きくなりやすい
- 問題点②:手続きに手間がかかる
- 問題点③:必ずしも雇用につながるとは限らない
問題点①:現場の負担が大きくなりやすい
業界未経験の求職者を受け入れる場合、基本的な内容を一から指導して育成する必要がありますよね。
そのため現場の負担が大きくなりやすく、既存の社員から不満が出る可能性が考えられます。
ときにはビジネスマナーなど業務と直接関係のないことまで、現場の社員に指導してもらわなければならないケースも。
トライアル雇用を理由に通常の業務が滞ったり、残業が発生したりといった事態になっては本末転倒ですよね。
問題点②:手続きに手間がかかる
申請の手続きに多くの手間がかかる点も、トライアル雇用の問題点です。
書類の準備や申請期間の把握、フェーズごとに必要となる用紙の提出などの手間は、事務の仕事を圧迫することになります。
手続きを正しく踏まなければトライアル雇用の助成金を受け取ることができなくなるため、制度上、雇用主は手間を惜しむことはできません。
手続きに時間が取られることは、トライアル雇用を始める前しっかりと認識しておきましょう。
問題点③:必ずしも雇用につながるとは限らない
トライアル雇用は求職者の雇用を確約するものではないため、必ず人材が確保できるわけではありません。
双方の合意がない場合には、試用期間を終えた段階で契約終了となります。
そのため時間をかけて指導を行ったとしても、結果的に雇用につながらない可能性もあるのです。
教育にかけた投資が必ず返ってくるわけではないことも、トライアル雇用の問題点と言えるでしょう。
トライアル雇用の問題点を解決するための方法
上記で紹介したようなトライアル雇用の問題点を解決するには、以下のような方法が考えられます。
事前に起こり得る問題に対して備えて、トライアル雇用のデメリットを最小限に抑えられるようにしましょう。
- トライアル雇用を考慮した業務内容に変更する
- マニュアル化して作業工程を整える
トライアル雇用を考慮した業務内容に変更する
トライアル雇用の利用時は、そこに発生する仕事を考慮した業務内容に変更しましょう。
求職者のために専属で指導する役職を設定したり、指導者の通常業務を他の人に割り振ったりすることで、負担が集中しないように工夫するのがコツです。
「トライアル雇用の指導+通常の業務」にならないように意識するだけで、現場の負担は軽減されます。
トライアル雇用のための専用シフトを考えることが、問題点を解決するポイントになるでしょう。
マニュアル化して作業工程を整える
トライアル雇用における事務手続きはマニュアル化して、何をすべきか簡単に判断できるようにまとめておくことがおすすめです。
「いつまでに」「何を提出すべきなのか」が一目でわかれば、スケジュールを立てやすくなります。
いちいち制度の概要をチェックして提出物の詳細や期日を確認すると、利用にかかる手間はさらに大きくなります。
そういった無駄な工程を省くためにも、事前にマニュアル化を進めておきましょう。
トライアル雇用の基本的な流れ
トライアル雇用を利用する際の流れは、基本的に以下の形で進められます。
これからトライアル雇用に申請するのなら、流れを把握しておきましょう。
- ハローワークに求人登録を行う
- トライアル雇用実施計画書の提出
- トライアル雇用結果報告書兼試行雇用奨励金支給申請書の提出
ハローワークに求人登録を行う
まずはトライアル雇用のための求人票をハローワーク・職業紹介事業者に提出し、求人登録を行います。
一般募集も同時に行う場合には、トライアル雇用併用求人を提出しましょう。
その後トライアル雇用の対象労働者をハローワークから紹介してもらい、面接を行なったのちに雇用をスタートします。
試用期間は3ヶ月となり、その間に職場での指導や関係性の構築を進めます。
トライアル雇用実施計画書の提出
トライアル雇用を開始してから2週間以内に、雇用側は「トライアル雇用実施計画書」を提出しましょう。
トライアル雇用における実施内容を記載し、所定労働時間や常用雇用に移行するための要件等を書き込みます。
必ずトライアル雇用で雇った対象者の合意を得る必要があるので、事前に話し合って内容の確認を進めておきましょう。
必要に応じて、ハローワークから雇用管理や訓練に関する助言や指導が入ります。
その後はトライアル雇用の終了までに、対象者の常用雇用移行に向けた取り組みを行います。
トライアル雇用結果報告書兼試行雇用奨励金支給申請書の提出
トライアル雇用期間の終了後、その翌日から2ヶ月以内に「トライアル雇用結果報告書兼試行雇用奨励金支給申請書」を提出します。
期日内に提出して受理されれば、トライアル雇用期間終了後に助成金が支給されます。
助成金は対象者の家庭環境などによって支給額が変わり、最大で月額5万円まで発生します。
助成金を受け取って、トライアル雇用の流れは全て完了です。
求職者側から見た問題点も理解する
トライアル雇用の問題点は、雇用者側だけでなく求職者側にも存在します。
合わせて確認しておくことで、トライアル雇用の全体像がさらにわかりやすくなるでしょう。
- トライアル雇用期間内で契約が終了する可能性がある
- 職場との相性に不安を感じることも
トライアル雇用期間内で契約が終了する可能性がある
トライアル雇用期間内で契約が終了する可能性もあるため、安心して働きづらい点が求職者から見た問題点です。
就職できたわけではないので、非常に不安定な立場にいると考えられるでしょう。
仕事が続けられるか不安なままだと、モチベーションが上がらないなどのデメリットにつながります。
そのため継続契約が決まっている場合は、早めにそのことを伝えて安心させるのがポイントです。
トライアル雇用中は契約終了の可能性が常にあることを、雇用者側も理解しておきましょう。
職場との相性に不安を感じることも
トライアル雇用期間は3ヶ月と短いため、求職者は職場と自分の相性が合うか不安に感じやすいです。
本採用になっても働き続けることができるのか、自信がない人も多くなるでしょう。
3ヶ月の期間内に馴染むことができないと、継続した雇用を断られる可能性もあります。
雇用側はトライアル雇用の人材だからと遠慮するのではなく、他の社員と同じように接するのがポイントです。
トライアル雇用を利用するときの注意点
トライアル雇用を利用する際には、以下の注意点を理解しておくことも大切です。
問題点によるマイナス要素をなるべく抑えられるように、事前確認を行っておきましょう。
- 自社ホームページからの雇用などは対象外
- 制度の改正情報も要チェック
自社ホームページからの雇用などは対象外
トライアル雇用はハローワークからの紹介を通じて進められる制度になるため、自社のホームページなどから採用した場合には対象外となります。
もちろん既に採用が決まっている人を対象にして、トライアル雇用を行うこともできません。
あくまでハローワークとの連携制度であることを、事前に把握しておきましょう。
制度の改正情報も要チェック
トライアル雇用制度は不正受給を防ぐために、制度が改正されることがあります。
去年までの内容がそのまま適用されるとは限らないので、申請前に改正情報を確認しておくのがおすすめです。
助成金の受給条件や金額、申請期限などが変更になる可能性もあり得るため、トライアル雇用の実施中も定期的に制度の更新情報はチェックしておきましょう。
まとめ:トライアル雇用の問題点を理解した上で制度を活用しよう!
トライアル雇用は人員確保に役立つ制度ですが、その内容にはいくつかの問題点があります。
事前に確認して問題が起こらないように、トライアル雇用のための備えをしておきましょう。
試用期間を活用しての育成や助成金の受給といった、トライアル雇用制度本来のメリットを実感するには問題点を知ることが重要です。
この機会にまずは問題点という角度から、トライアル雇用について確認してみましょう。