カルチャーフィットとは?面接での見極め方、適切な質問までご紹介

『新規採用するのにカルチャーフィットって本当に必要?』

『離職率を下げるためにカルチャーフィットを取り入れたい!』

といった疑問を解決するため、そして「カルチャーフィット」についてしっかりと理解していただくための情報をまとめました。

  • カルチャーフィットとは何か?
  • 応募者がカルチャーフィットしているかを面接で見極める質問は?
  • カルチャーフィットしていることを必須とすべきか否か
  • 強い企業になるためにカルチャーフィットしている社員はどのくらい必要か?

ということを軸に、
カルチャーフィットした社員ばかりだとどうなるのか?
カルチャーフィットを測る『カルチャーフィット診断』についても紹介しています。

採用担当者なら押さえておくべき情報として企業ごとのスキルフィット合格ライン設定についても解説しています。

カルチャーフィットを導入するなら、まずは知っておきたいカルチャーフィットについて、そのメリット・デメリット、適切に運用するための情報を網羅しています。

できるだけ簡潔にまとめていますので、読み進めてみてください。

カルチャーフィットとは?意味を解説

カルチャーフィットとは英語のculture「文化」とfit「適合」という単語から「企業の文化にどのくらい適合しているか」という意味でつかわれる人事用語です。

企業としてカルチャーフィットした人材を雇うことで得られるメリットが大きく、近年ではスキルフィット以上に重視されているのがカルチャーフィットとなっています。

クリストフ教授というカルチャーフィット研究の第一人者の方曰く、理論的に『相補的なフィット』『補助的なフィット』と2つの適合パターンがあると言われています。

相補的なフィット

中途採用で求められる事になるのが相補的なフィットで、『空いた穴を埋める』というのが相補的なフィットで求められるもの。

これは求めているスキル保有者を欲している企業・自分のスキルを活かして転職したい求職者双方にメリットがある、ということから「相補的な」フィットであるということを意味した呼び名です。

補助的なフィット

新卒採用で求められるのが補助的なフィットで、複数人を一度に採用することで人的な穴を埋める目的のもの。

スキルではなく価値観・性格・仕事観・将来のビジョンなどがフィットすることが重要視されます。

フィットしない社員を雇わない「カルチャーフィット切り」

カルチャーフィット切りとは、カルチャーフィットしない社員を雇わないという事。

言葉の響きとしてはマイナスイメージを抱きがちですが、企業理念やビジョンに共感できない採用のミスマッチを防ぐためのものですので、求職者と企業双方にとって望ましい結果につながっていると言えます。

カルチャーフィットは中途採用より新卒採用向き?

中途採用の場合に求められるのは「相補的フィット」であるとご説明した通り、新卒採用と中途採用ではもともと求めている人物像が違います。

カルチャーフィットはスキルよりもカルチャー(企業文化)にフィットする人材を欲する新卒採用向きの考え方です。

採用担当者向け:企業ごとのカルチャーフィットラインの設定が重要

カルチャーフィットを採用選考に取り入れる場合、「自社の求めるカルチャーフィットとは何か」の線引きを行い、そのうえで『どの段階からカルチャーフィットを判断基準にするか』を決定することが必要です。

そのためにはまず「どんな人材が必要か」を明確にしましょう。

明確にしたら、新卒採用・中途採用それぞれにどのように選考に組み込むかを考えます。

新卒採用時にはスキルではなくあくまで「企業にフィットしているか」が重要になりますが、中途採用時には逆にスキルフィットの方が重視されます。

そのため新卒採用の場合におすすめなのは、『一次選考でカルチャーフィットを重視⇒二次選考ではスキルについて判定する』という流れです。

反対に、中途採用の場合には『一次選考でスキルフィットを基準にし、二次選考ではカルチャーフィットを測る』という方法をとるのがおすすめです。

カルチャーフィットのメリットをカルチャーフィットを軽視した事例から知る

カルチャーフィットを採用基準とすることにはメリットがあります。

メリットを知ることができるものとして、Sheridan(シェリダン:1992年の研究)がおこなったカルチャーフィットのメリットを定量的に分析した結果を紹介します。

研究の結果を先にお伝えすると、「スキルフィットだけを重視した会計事務所ではカルチャーフィットを重視した会計事務所に比べ、1人あたり470万円の損失」がでたというものです。

どうしてそうなったかというと、

  • カルチャーフィットを重視する事務所では新卒社員が6年以内に退職する確率が低いこと
  • 作業重視の事務所は入社12ヶ月後の退職率が上昇傾向にあった
  • 作業重視の事務所の社員とカルチャーフィット重視の事務所の社員の方が、約14ヶ月長く従事する

これらのデータから、6年間のうち14ヶ月早く辞められてしまうことによる損失が一人当たり最大で470万円になった、ということなのだそうです。

結局カルチャーフィットしていなければ離職リスクが高まる、その分の損失も大きいという事から、カルチャーフィットした人材を雇うメリットがうかがえます。

カルチャーフィットの重要性が問われる背景

『矢野経済研究所』企業における09年度『新人採用に関する意識調査』では 面接で一番重視する点は「性格・人柄」がダントツNo1という結果でした。

性格・人柄は考え方や人との付き合い方、仕事への向き合い方にも通ずる部分。

『日本経済団体連合会』2018年度『新卒採用に関するアンケート調査結果』では2003年以降はコミュニケーションを重視する企業が年々増加、2018年の調査時点ではほかの判断基準を大きく上回り最重視項目となっているという結果に。

コミュニケーション能力は業務を円滑に確実に行うために必要なものでもありますが、企業風土として求められることも多い素養です。

このように「業務を円滑に、生産性をあげ企業として成長するために」ということからカルチャーフィットが重要視されるようになってきているのです。

カルチャーフィットしない場合のリスク

カルチャーフィットのメリットでも紹介したように、離職リスクをUPさせるその損失は、離職者1人あたり500万円近いという研究結果もあります。

またForbesによると、採用の失敗の約90%はカルチャーフィットしていない=カルチャーのミスマッチであるというデータも。

当然ですが離職に至るまでにはモチベーションの下がった時期もありますから、企業としての損失はより大きなものになるのは確実です。

カルチャーフィットを重視しすぎると多様性がなくなる?

カルチャーフィットしているかを測るためには、一定の基準を設けることになりますから、当然重視しすぎると人材の偏りが発生します。

企業として同じような人ばかり、同じようなスキルの人ばかりを集めてしまうということになるため、多様性が失われてしまうことは言うまでもありません。

業務を遂行するのに必要な素養は一定以上のものが必要ですが、それ以外の部分では個性も認める。

カルチャーフィットを採用基準にする場合には、匙加減と個性を認めることもが重要になる、ということを忘れずに。

適切なカルチャーフィット率はどのくらい?

多様性を保ち企業としての器を小さくしないためには、カルチャーフィット率を適切に保つことがコツになります。

カルチャーフィットのメリットを活かした組織づくりをするためには、採用時点での個人のカルチャーフィット率を50~70%に抑えることが有効とされています。

フィットしていない50~30%の部分を新しい要素、個性として受け入れることで企業としての成長につなげるという考え方です。

カルチャーフィットの見極め方

カルチャーフィットしているか見極めるためにはまずは会話から求職者の「価値観・考え方」を知る必要がありますが、その際「意見(考え方)」と「事実(行動)」を別に知るということも重要です。

「要は何をすべきなのか…?」と悩んでしまった方も多いかもしれませんね。

具体的な質問の仕方を次で紹介するのでこのまま読み進めてみてください。

また、面接での質問以外に、新規採用時点と現状の企業のカルチャーフィットを測ることができるカルチャーフィット診断というものもあります。

カルチャーフィット診断についてはカルチャーフィット診断というものもあるで紹介しています。

カルチャーフィットしているかを見極めるには面接でどんな質問をすれば良い?

具体的にどのような質問をすれば面接でカルチャーフィットしているかを見極めることができるか、紹介しますね。

カルチャーフィットについての考えを聞く

『カルチャーフィットについてどう感じていますか?』

カルチャーフィットについて考察したことがあれば単語としても認識しているはずです。

そのうえでカルチャーフィットについての考えを聞いてみることで、個人の価値観や考え方を測るための質問。

自社のカルチャーについて質問してみる

『弊社のカルチャーはどんなものと認識していますか?』

『どこをみて調べたのか教えてください。』

2段階の質問をすることで、色々なことを測ることができる質問です。

情報収集能力も測ることができますが、就職先についてどのくらい知ろうという意欲があるのか、積極性も知ることができます。

IRのような数値情報や、実際に努めている社員との触れ合い、役員や面接官のインタビュー記事を見たり、できることは色々あります。

どのような情報が重要と考えているか、価値観も併せて聞いておきましょう。

自社にとって自分がフィットしていると思うか聞く

『弊社とカルチャーフィットしていると感じていますか?』

カルチャーフィットを重視している企業なら当然の質問ですが、これについて自分でどう思っているのか聞いてみるのも良いでしょう。

応募者の価値観を知るための質問をすることが重要

これは具体的な質問とは違いますが、『価値観を具体的に』知ることができる質問をすることが重要です。

その際にのポイントとして、求職者本人の行動を深堀するように質問をしていくということを覚えておいてください。

先ほどの『弊社のカルチャーはどんなものか』 ⇒ 『どうやって調べたのか』といったように、実際の行動を聞いてみましょう。

『就職先を検討する際重視したのはどの部分なのか』 ⇒ 『自分にあう企業かどうかどうやって調査したのか』

といったように、過去に起こった何かについて、その時の行動や考え方を引き出してみるのがおすすめです。

カルチャーフィット導入の企業事例

ここではこれまでにカルチャーフィットしているかどうかを採用基準とした企業事例を簡単に紹介します。

顧客に驚きと感動を!大手靴メーカー「ザッポス」

ザッポスは『WOWを届ける(顧客に驚きと感動を与える)』というコアバリューを1つ目に掲げています。

これを満たすことができるかどうかがこの企業の採用条件になっており、特徴的な企業文化を実施しているので紹介しましょう。

入社後に研修を行うのですが、この際「自分には合わない」「無理」と感じて入社を辞退する場合には退職金として4,000ドル支払うというものがあります。

それだけ『WOWを届ける』ということを重視している、ということを社員に浸透させる効果もあるでしょう。

働きがいのある会社ランキング一位の「VOYAGE」

VOYAGEはGPTWが行った意識調査で”働きがいのある会社”ランキング1位になりました。

『SOUL』(創業時からの想い)・『CREED』(価値観)を理念とした企業文化を築いています。

エンジニアと経営者間での問題や入社後のミッションでもカルチャーフィットの観点から、問題点を洗い出し、解決する徹底ぶりです。

カルチャーフィットを採用指針から除外した企業事例「Facebook」

誰もが知っている大手企業facebook社の例を紹介しましょう。

少し意外な気もするかもしれませんが、Facebookでは『カルチャーフィット=偏見』として採用基準からカルチャーフィットを除外しています。

これにはカルチャーフィットのデメリットや曖昧な部分がある、という意見を貫いているのだそうです。

カルチャーフィット診断というものもある

「カルチャーフィットしている人」と「カルチャーフィットしていない人」か、実際に働いている企業内の人材も含めた企業としてのカルチャーフィットを測ることで、新規採用時点での離職リスクなどをはじき出すものとして『カルチャーフィット診断』というものがあります。

代表的なものとしては…

  • TRANS.HR(適性診断)
  • mitsucari適性検査

これを導入するにはまず企業としてのカルチャーフィットを測り、そのうえで新規採用候補者となっている人材のカルチャーフィットを測る、という流れが必要になります。

新規採用の段階から急に利用して確実な結果が出るものではなく、前段階が必要ですがAIによる客観的な判断がおこなわれるため、面接官の主観なども反映されるリスクがありません。

カルチャーフィットは適切活用できれば企業を強く効率化もできる

ここまでカルチャーフィットとは何か、意味やメリット、人材の偏りを防ぐためのポイントや、面接時の見極め方など紹介してきました。

カルチャーフィットを適切に測り、採用に取り入れることができれば、企業としてのキャパシティはより大きく強固なものとして成長につなげることができます。

一律にカルチャーフィットを求めるのではなく、適切なカルチャーフィット率をもって採用に当たることが重要、この点も忘れずにこちらでお伝えした情報を有効活用してみてください。

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