効果的なリブランディングの企業事例から成功への道筋を考察|リブランディングの6手順と成功のポイント・失敗事例
「最近売り上げが伸び悩んでいて、現状を脱却したい」
「新規顧客の獲得ができていないから何とかしなくては…」
そのような悩みを解決できるのが、ここで解説しようとしている「リブランディング」戦略です。
ここではリブランディングしたほうが良いかを検討することも含め、効果的なリブランディングを実施するための情報をお届けします。
- リブランディングとは何か
- リブランディングのメリット・デメリットについて
- リブランディング成功の企業事例
- リブランディングに失敗した企業事例
- リブランディング手法について
- リブランディングを行うべきタイミングとは
など、実践にもいかせる内容でリブランディングについてしっかり理解できるようまとめていきますので目を通してみてください。
目次
リブランディングとは「企業ブランドの再構築」
リブランディングを英語にすると再びを意味する「re」とブランド戦略するという意味の「branding」で構成された言葉で、ビジネス用語として「ブランドを再定義する」という意味合いで使われている言葉です。
戦略的なリブランディングとは、自社の経営資産・ブランド資産は活かしながら、自社の魅力を高めるために時代やニーズにあったものに作り替えていく事を指しています。
新規顧客も獲得しながら、既存顧客との信頼関係も再構築できる魅力ある企業と認識され続けていくためにも、適宜自社のブランディングを見直していくことは重要な戦略なのです。
リブランディングの必要性について
リブランディングが本当に必要なのか、答えは「YES」ですが、なぜなのか理解するためには「コンビニで売られている食品」についてこのような想像をしてみてください。
コンビニエンスストアというと、「新商品をいち早く取り入れている」という印象をお持ちの方も多いと思います。
新しく発売されるお菓子が楽しみでコンビニに通われる方もいるのではないかと思いますが、まったく代わり映えがしなくなってしまったらどうでしょう。
飽きてしまって購入し無くなる方もいるでしょうし、お店そのものに飽きてしまって通わなくなってしまう方もいるかもしれません。
また「魅力的とは言えなかったパッケージが刷新された効果で売り上げが上がった商品」も多いことも思い出してみてください。
既存顧客との関係をより魅力的な商品・サービスでキープしながら、新規顧客を獲得するためにリブランディングは必要なのです。
リブランディングすることの最大のメリットは「自社の魅力を低コストで再度アピールできる」こと
リブランディングを実施することで得られるメリットは以下です。
- 新規顧客を獲得できる
- 既存顧客に自社の魅力を再度アピールできる
- 社内で抱える現状を的確に把握することにつながる
- 今あるものを活かしたうえで行うため0から立ち上げるよりも低コストでできる
- 将来的にも魅力ある企業として経営継続できる
企業努力、という言葉でも置き換えることはできますが、リブランディングすることで得られるメリットは大きいということがお分かりいただけたでしょうか。
ブランド力の強弱は企業によって違いますが、現状維持だけではなくこの先も魅力的な企業となることができます。
また一度リブランディングを実施すると、自社の企業としての魅力を正しく再認識することができるようになりますから、次のリブランディングのタイミングではより効率よく進めていくことができるようになるというのもポイントです。
リブランディング:企業の成功事例
メリットに続き、リブランディングに成功した企業の事例を身近な企業を例に紹介します。
リブランディング事例:湖池屋
ポテトチップスといえば『カルビーか湖池屋どっちが好き!?』なんていう話題も多いですが、その湖池屋も一時低迷し悩んでいた時期があります。
1953年創業の湖池屋、1967年に初めてポテトチップスの量産に成功した企業でもあります。
そんな湖池屋がリブランディングに乗り出したのは創業60年を迎えた2016年のこと。
所得の二極化や少子高齢化など市場や消費者を含め、社会動向が激しく変化した時期でもありました。
健康志向の強まったこともあったのでしょう、ポテトチップスは当時平均売価も下落の一途をたどっていたのです。
湖池屋のリブランディングは「ポテトチップスの老舗」としてのポジションを守り、ただ新商品を打ち出したりするのではなく「社員に向けてこれから目指すブランドをまとめたブランドブックを配布」し、社員一丸となって臨みました。
社屋も目指すブランドに合わせて老舗の料亭のような門構えとし、「社会・環境の移り変わりを先取りし、新たな食文化の創出をする」という目標も掲げました。
既存の商品のリニューアルとともに、湖池屋ならではの新しいポテトチップスも販売するなどした結果、見事に「ポテトチップスの湖池屋」という立ち位置に返り咲いたのです。
BtoB企業のリブランディングには「課題解決への期待感を抱かせる」事が重要
食品メーカーだからリブランディングが必要なのではありません。
次にIT系企業にとっても重要なリブランディングについて考えるため、BtoB企業のリブランディングを例に挙げて考察してみます。
この場合のリブランディングに重要なのは「企業としての社会的目的を示し、広く共感を得ていくこと」です。
企業の抱える課題を解決できるようなサービス・技術・製品をもって「これなら解決できそうだ」という期待感を持ってもらえるような施策も有効でしょう。
まずは「今までのイメージ」を払拭し「何が得意な企業なのか」をはっきりと世の中に認知してもらえるようなリブランディングを計画すると良いのではないでしょうか。
効果的なリブランディングの手法|6つの手順
効果的なリブランディングを実施することができる手順・手法についてみてみましょう。
- 自社のブランド・位置づけの状況調査・分析
- 競合他社の調査・分析
- 他社と差別化すべきポイントを見出す
- 現状、打破すべき課題の洗い出し
- リブランディングで目指す目的の設定
- 新ブランドの計画・立案
上記のような流れでリブランディングについて考えていただくと、効率もよく効果的なリブランディングを実施していただけるはずです。
今時点でのブランドの位置づけを調査する場合には3C分析・4P分析・SWOT分析なども有効な手段となります。
特に現状をしっかりと正しく把握する、ということは変革を起こす場合に最も重要なポイント。
リブランディングしよう、と思うとどうしても「新しくどのようなブランドにしようか」ということに注視してしまいがちですが、そうではない、という点が特に重要と覚えておいてください。
効果的にリブランディングを行う為の5つのタイミング
さて、手法に続いては「どのようなタイミングでリブランディングするのが効果的なのか」を見ていきましょう。
現行のブランディングが古くなってきている時
時代は移り変わります。
発足した時は良かったが、経年で時代にそぐわなくなるということもあります。
このタイミングでイメージを刷新することで企業イメージにフレッシュ感を持たせることができます。
ブランディングに失敗してまった時
「今のブランドにはあまりユーザーが魅力を感じていない」
「新規顧客が一向に増えてこない」
このような状況にあるなら、現行のブランディングがうまくいっていないということになります。
気付いたタイミングできっちりリブランディングすることで、ブランドに対して抱かせてしまった誤解や、ターゲッティングのミスなどを改める効果も狙えます。
効果的に伝わるようにターゲッッティングを見直しつつリブランディングを行うと良いタイミングです。
市場環境が変わった時
市場環境として挙げられるものには以下の要因があります。
- 経年による顧客の価値観の変化
- 社会的な価値観の変化
- 競合他社の成長による自社のポジショニングが変動した
上記のようなタイミングこそ、リブランディングによる効果が大きく感じられるはずです。
新たな市場に参入する時
「事業拡大のために新しい市場に参入するぞ!」
このような時こそリブランディングが効力を発揮します。
市場参入時に競合他社との差別化をしっかりと行い、自社のポジションを確立するためにも企業としてのブランディングを再構築すべき時なのです。
将来の方向性や理想を打ち出したい時
リブランディングをすべき時は低迷しているときだけではありません。
新しい市場に参入するときでもなく、実は「今が成長している」と実感できている時にリブランディングすることも有効。
成長し続ける為に、将来的にも有効なブランド像を見出すリブランディングを計画しましょう。
リブランディングを成功させるための5つのポイント
リブランディングの手法・実施したいタイミングに続き、これから行うリブランディングを成功に導くためのポイントを見ていきましょう。
一部繰り返しになってしまうような部分もありますが、成功させるためのポイントを以下にまとめます。
- 現行ブランドの不足部分・不満がある部分について調査分析を徹底する
- 自社ブランドについてユーザーの認識を調査・分析
- 事業展開・デザイン展開状況調査の依頼も有効なので要検討
- 企画・宣伝にはインパクトを追求する
- リブランディングで最も伝えたいことをしっかり伝える
特に重要になるのは一番最初に行うべき「現状をしっかりと把握し理解する」ということ。
何事も同じですが原点回帰することは企業成長にも欠かせません。
今の企業としての状況、どのようにユーザーに認識されているかを理解し、現状の立ち位置は競合他社と比較してどうなのかを徹底的に調査します。
そのうえでどのような課題・問題点があるのかを考えていくのです。
リブランディングで失敗しないために過去の事例チェック
リブランディングでは残念ながら失敗してしまった企業事例もあります。
皆さんにとって身近でわかりやすい企業から例にあげて紹介しますが、1985年にコカ・コーラがおこなったフォーミュラ変更(原液のレシピを変更したということ)が有名です。
コカ・コーラに多くの人が求めるのはきっと「コカ・コーラの味」ですよね。同じコーラでもペプシコーラとは違いが歴然。
あの味が好きだからコカ・コーラしか買わないという人も多いですが、1985年の騒動は、コカ・コーラのオリジナルレシピを大幅に変更してしまうというものでした。
当然、既存顧客の多くが離れ、クレーム数は3倍以上に膨れ上がり大変な騒動になりました。
顧客のニーズを無視した大胆なリブランディングはこのような失敗を招くことも覚えておきましょう。
リブランディングは徹底した現状調査と競合調査が一番のポイント
リブランディングにもっとも重要なのは、企業の現状・ブランド力・顧客からの評価について徹底した調査・分析が欠かせないということはお分かりいただけましたか?
リブランディングで重要なのは、「新しいブランドをどうするか」だけではありません。
現状を徹底して調査・分析した上で、今抱えている課題・問題点を洗い出し、新しい価値を創出し周知する、という流れが重要ということを覚えておいてください。
これから先も愛され続ける企業であるために、ここでお伝えしてきたリブランディングに関する情報を役立てていただければ幸いです。