スタートアップのステージとは?特徴や重要性を解説

スタートアップを進める際には、「成長ステージ」と呼ばれる考え方を理解することが重要です。
ステージの種類や特徴を把握できていないと、スタートアップを的確に進めることが困難となります。
スタートアップでは長期的な施策がポイントになるので、ステージに関する理解の深さがプロジェクトの成否を分けることにもなり得るのです。
こちらではスタートアップの成長ステージの重要性と、各ステージの特徴について解説します。
スタートアップを計画するのなら、まずは成長ステージについて適切なイメージができるように備えましょう。
目次
スタートアップのステージを理解することの重要性
スタートアップの際にはやるべきことが多いため、ステージの理解に時間を割くことができないという意見もあるでしょう。
しかし、成長ステージの種類や特徴を事前に把握しておくことには、さまざまなメリットがあります。
まずは以下から、スタートアップのステージを知ることの重要性について解説します。
- スタートアップを長期的に計画するための指針になる
- 自社の立ち位置を明確にできる
- チームを説得する素材にも使える
スタートアップを長期的に計画するための指針になる
スタートアップの具体的な計画の指針になる点が、成長ステージを理解するメリットのひとつです。
スタートアップは立ち上げることがゴールではなく、その後さまざまなプロセスを経て成功と呼ばれる段階に到達することが目標となります。
そのためには目の前の問題をクリアするだけでなく、未来の状況を見据えて先手を打っていく必要があるでしょう。
成長ステージは、そういった未来を考える際の基準となります。
「このステージに入ったら○○をするための資金調達をしよう」「次のステージに入るまでに○○という課題は終わらせるべきだ」
そういった具体的な方向性を作れる指針であるステージという考え方は、スタートアップのときには確実にチェックしておくべきでしょう。
自社の立ち位置を明確にできる
成長ステージを知ることは、スタートアップ中の自社の立ち位置を明確にすることにもつながります。
今どの成長ステージにいるのかがわかれば、すべきことを判断しやすくなり、業務に合理的な優先順位を付けることが可能です。
効率化が事業に大きく影響するスタートアップにおいて、そういった立ち回りは重要な戦略になるでしょう。
また、自社と同じ成長ステージにいる企業や、かつてそのステージで思い悩んだ企業の過去の事例を参考にすることも可能です。
比較しやすい環境を作ることにもなるため、ステージの把握はスタートアップ企業にとってメリットが多くなります。
チームを説得する素材にも使える
成長ステージを理由にして計画を立てることは、スタートアップのチームを説得する結果にもつなげられます。
スタートアップでは、チームメンバー全体の強力が不可欠です。
しかし、現実にメンバー全員の動きを合せるのは難しく、スタートアップが進行するほどに考え方や熱意にバラつきが生まれる可能性があります。
そのため、新しい計画を進める際には、説得力のある理由が必要となるのです。
成長ステージは、そういった説得力のある理由のひとつとしても機能します。
「今のステージは○○だから、この作業が必要になる」といった形で、根拠あっての計画であることを伝えられるのです。
チームメンバーのコントロールに応用できる点も、スタートアップのステージを知るメリットになります。
スタートアップのステージごとの特徴
スタートアップのステージは、大まかに以下の5つに分けることが可能です。
目安にできるように、それぞれの特徴を紹介します。
- プレシード
- シード
- アーリー
- ミドル
- レイター
プレシード
スタートアップにつながるコンセプトや、実現可能なアイデアが生まれた段階を、ステージにおいては「プレシード」と呼びます。
具体的な行動に移る前になるため、まだスタートアップの責任者の頭のなかにだけ計画がある状態も指すことになるでしょう。
思いついたコンセプトやアイデアは決定事項ではないため、臨機応変に変更を加えたり、ときには白紙にして一から考えを練り直すことも必要になるステージです。
シード
スタートアップの計画は決まっているが、まだ実際の起業までは行われていない段階のステージが「シード」です。
事業のコンセプトやビジネスモデルは決定した状態ですが、それをどのような商品・サービスにするかまでは判断できていない段階になります。
シードでは主に以下のような作業を行って、起業につなげていくことが求められます。
・事業計画の立案
・チームの結成
・市場調査
・事業コンセプトに沿ったプロトタイプ作成
・その後のステージも含めた資金調達の計画立案
さまざまな調査とテストを経て、起業のための準備を進めるのがシードの目標になるでしょう。
アーリー
スタートアップの計画を元に起業してから、まだ間もない期間をステージでは「アーリー」と呼びます。
基本的に事業の知名度は低いため、マーケティングや必要設備への先行投資が優先されるでしょう。
赤字での運営が続くステージであり、スタートアップの事業としては多くのリスクを抱える時期になります。
安定した運営が行えるように、熱心なファンの獲得と市場への定着が目標となるでしょう。
また、場合によってはアーリーの段階で、事業のピボット(方向転換)を考えることもあります。
別のアイデアによって巻き返しが可能であるのなら、早めの決断がスタートアップの計画を救うこともあり得るのです。
ステージにおいて柔軟な判断力が問われる時期が、アーリーの特徴となります。
ミドル
スタートアップの事業がある程度軌道に乗り、さらなる拡大や充実を考える時期が「ミドル」です。
計画通りに事業が成長したと判断される時期になるため、赤字の改善はもちろん黒字化も視野に入るでしょう。
スタートアップの中期的な目標になり得るため、ミドルのステージで何をするかは重要となります。
具体的には事業の効率化や新規開拓を狙うために、人材採用や設備の新調が計画されます。
資金調達の額も大きくなるため、ミドルは思い切った行動にも出やすいステージになるでしょう。
レイター
「レイター」はスタートアップの事業が安定し、IPOなども考えられるステージを指します。
商品やサービスが市場に定着し、広告費も十分に用意できるため企業としての知名度は高まっているでしょう。
新商品の開発や別の業界への挑戦、日本全国への進出も検討されるステージです。
事業内容によっては海外も視野に入り、グローバルな展開が計画されることもあります。
資金力が高まる一方で、企業ブランドについて考えるべきステージになるため、レイターではより綿密な計画性が求められることも多いです。
スタートアップのステージを考えるうえでのポイント
スタートアップのステージを考えるときには、以下のようなポイントを理解しておくことも大切です。
それぞれの内容を確認し、ステージを考える準備をしましょう。
- 常に修正の可能性を意識する
- 投資ラウンドとは違うことも確認
常に修正の可能性を意識する
スタートアップのステージごとの計画は、常に修正の可能性があることを意識しておくのがポイントです。
「計画通りに進めなければいけない」と凝り固まるのではなく、必要に応じて柔軟に計画を変化させることも検討しましょう。
スタートアップの開始後、実際の反応を見たうえでピボットを行った事業も珍しくありません。
有名企業でもピボットの事例は多く、任天堂、Amazon、インスタグラムなどは事業の方向転換によって現在の規模にまで成長した実績を持ちます。
ときには勇気ある修正を考えることも、スタートアップのステージの活用においては重要なポイントです。
投資ラウンドとは違うことも確認
よく一緒に捉えられがちな成長ステージと投資ラウンドの違いを把握しておくことも、スタートアップにおいては大切なポイントになります。
投資ラウンドとは、資金調達の具体的な計画立案などに使われる指標です。
事業の成長段階を表すステージとは、別の方向性を持って使われるものになります。
「シード」など同じ言葉が使われるため、成長ステージと混同される部分も多いですが、基本的には分けて考えることになるでしょう。
まとめ:スタートアップではステージが具体的な計画を作り出す
スタートアップにおいて、成長ステージの理解は具体的な事業計画を作る下地になります。
ステージごとに必要なものを把握し、次のステージにつなげるための準備を進めることが、スムーズな経営を実現するカギになるでしょう。
こちらで紹介した各ステージの特徴をチェックして、改めて成長段階別に自社のスタートアップの計画を練ってみることをおすすめします。