新規事業のアイデアを考えるための方法とは?考え方や役立つフレームワークを紹介

新規事業を立ち上げたいけれど、「アイデアが思いつかない」「ありきたりなアイデアしか浮かばない」という悩みを抱えることは珍しくありません。
むしろそういった悩みを抱えながら手に入れたアイデアでなければ、この時代に価値ある事業を展開することは難しいでしょう。
しかし、いつまでもアイデアを考えることに時間を使ってしまうと、新規事業を計画的に進められなくなります。
最悪の場合には計画の頓挫、立ち消えという可能性も出てくるでしょう。
そこでこちらでは、新規事業のためにアイデアが必要な方々に向けて、考え方を紹介します。
新規事業のアイデア出しに困っているのなら、下記項目を参考にしてみてください。
目次
どうして新規事業のアイデアを思いつけないのか?
そもそも、どうして新規事業のアイデアを考えることはこんなに難しいのでしょうか。
その原因について考えることが、アイデアを思いつく第一歩になることがあります。
まずは、アイデアを思いつくことが難しくなる理由を解説します。
- アイデアを出すこと自体が目的になっている
- 「なれあい」が重視されている
- 役立つフレームワークを知らない
アイデアを出すこと自体が目的になっている
アイデアを出すこと自体が目的となっている場合、本当に新規事業に役立つものを思いつくのは難しくなります。
ただ出すことが目的になれば、なんでもいいからアイデアを言いあう環境が作られ、ひとつひとつの質が低下する恐れがあるのです。
「今日は○○個アイデアが出た」「最低でもひとり○○個アイデアを持ってくること」
そんな話が中心になるようだと、本来の目的である「新規事業に役立つアイデア」を生み出すことから離れてしまっているのかもしれません。
新規事業のビジョンが共有されていないと、こういったアイデアを出すことだけに集中してしまいがちです。
「○○ということを実現するために、アイデアが欲しい」
「既存の○○という状況を変えるための、アイデアが欲しい」
「今後業界は○○のようになると想像できるので、そこで役立つアイデアが欲しい」
こういった形でアイデアの「型」を提示して、方向性を固めやすくするのがコツです。
良くある勘違いですが、アイデアとは「突拍子のないビックリ箱のようなもの」ではありません。
実現可能であり、なおかつ多くの人がイメージできる、現実感のあるものなのです。
アイデアとは何なのかを今一度考えて、新規事業に役立てられるものを生み出せるようにしていきましょう。
「なれあい」が重視されている
アイデアを考えるための会議が増えていたり、アイデアを表彰するイベントを企画したりするような「なれあい」が重視されている状況では、本当に役立つアイデアを見つけることは困難になります。
社員のモチベーションを高めるための工夫も大事ですが、そればかりでは逆に新鮮なアイデアの抽出を邪魔することになるかもしれません。
あくまで新規事業につながるアイデアを出せるように、行き過ぎたなれあいは避けるべきでしょう。
むしろアイデアを発表する機会や話し合う時間は最小限に抑え、社員がそれぞれじっくりと考えられるように配慮することが大切なこともあります。
新規事業の経営者や担当者は、その点を考慮してバランス良くアイデアを作る環境を組み立てていきましょう。
役立つフレームワークを知らない
新規事業のアイデアを考えるときには、フレームワークを使うことが重要となります。
ここでいうフレームワークとは、要するにアイデアを考えるための方程式のようなものです。
フレームワークを使わずに思いつくアイデアもありますが、効率を高めるには既に完成されている考え方の形式が役立つでしょう。
上記で解説した「アイデアを出すこと自体が目的になっている」「なれあいが重視されている」という問題を抱えている企業も、フレームワークを導入することで現状を変えることができます。
なぜならフレームワークの導入は、以下のようなメリットを得ることにつながるからです。
・具体的かつ説得力のあるアイデアを考えられる
・新規事業を計画的に進められる
・論理的に課題を設定し、解決策を見出せる
フレームワークの良いところは、試してダメならすぐに別の方法を選択できることです。
必要な設備などを整えなくても、チャレンジできるのが魅力です。
新規事業のアイデアに困っているときは、フレームワークを使ってみましょう。
新規事業のアイデアを考えるときに使えるフレームワーク
新規事業のアイデア出しに使えるフレームワークには、たとえば以下のようなものがあります。
それぞれを確認し、自社で試せそうなものをピックアップしてみましょう。
- MVV
- KJ法
- オズボーンのチェックリスト
MVV
MVVとは、「ミッション・ビジョン・バリュー」を意味する言葉です。
3つの単語はそれぞれ新規事業に必要とされる要素であり、以下のように定義されます。
ミッション:社会で果たすべき使命、事業の存在意義
ビジョン:未来の姿、中長期的な目標
バリュー:行動の指針となる姿勢や価値観、ミッションとバリューを実現するための
この3つのポイントに自社を当てはめて考えるのが、MVVというフレームワームの使い方です。
新規事業の指針になり、今現在足りていない要素を発見し追求するために役立ちます。
KJ法
KJ法とは、文化人類学者である川喜田二郎氏のイニシャルを使って名付けられたアイデアの発想方法です。
KJ法は、以下の手順によって進められます。
①アイデアの書き出してラベルにする
↓
②それぞれのアイデアをグループ化する
↓
③グループの相関図を作って図解化(空間配置)する
↓
④作られた図解をもとに文章化する
上記のステップを踏むことで、アイデアを深めたり足りていない情報を確かめたりすることができます。
このようにKJ法とは、ひとつでは弱いアイデアを強いアイデアに変えられるフレームワークです。
オズボーンのチェックリスト
アイデアをさまざまな角度から創造する際に使えるフレームワークが、オズボーンのチェックリストです。
オズボーンのチェックリストとは、以下の9つの項目ごとに自問自答する形で行われます。
①転用:他に使い道があるのかどうか
②応用:真似することはできるか
③変化:アイデアを構成する要素(色、動き、形など)を変えられないか
④拡大:大きく、強く、長くできないか
⑤縮小:小さく、弱く、短くできないか
⑥代用:他の要素や素材を使えないか
⑦置換:手順を置き換えられないか
⑧逆転:役割や構成要素をひっくり返せないか
⑨結合:組み合わせたり、混ぜ合わせたりできないか
これらの要素を意識することで、独創的なアイデアを生み出しやすくなります。
他業種を参考にしながら、オズボーンのチェックリストを使ってアイデアを新しく生まれ変わらせることもできるでしょう。
新規事業でアイデアを模索するときの考え方
フレームワークと合わせて知っておきたいのが、新規事業のアイデアを創造するときの考え方です。
押さえておきたいポイントを、以下で解説します。
- 新規事業のアイデアに求められる条件とは?
- アイデアの「ゴミ箱」を空にしない
新規事業のアイデアに求められる条件とは?
新規事業に使えるアイデアには、いくつかの条件が考えられます。
条件を満たしているかどうかで、そのアイデアの魅力を測ることができるのです。
たとえば下記のような条件が、そのアイデアが新規事業に向いているかを判断する指標になります。
・既存の他の事業が実現できていない
・自社の持つ現在の環境で実現できる
・会社の成長や資金的な利益につなげられる
・具体的な解決方法を複数提示できる
これらの条件を満たせるアイデアこそが、新規事業に役立てられると考えられます。
良いアイデアを見つけたときには、上記の条件に当てはめて、それが本当に新規事業に役立てられるか確かめてみましょう。
アイデアの「ゴミ箱」を空にしない
不要になったアイデアや没になったアイデアを捨てたゴミ箱は、すぐに空にしないで保存しておくことが大切です。
たとえ一度はダメに思えたアイデアも、後から視点を変えて検討し直すことで、使える形に整えられる可能性があります。
イマイチだったアイデアをまとめることで、新しいアイデアが生まれることもあるでしょう。
このようにアイデアとはリサイクルできる性質があるため、ダメになったアイデアをまとめるゴミ箱も有効活用することがポイントになります。
特に新規事業のアイデアを考えるときには、たくさんの人の意見が候補に挙がるでしょう。
そういったアイデアを選別して切り捨てることも大切ですが、同時に「もっと上手く使えないか?」と考えることもまた大切になるのです。
アイデア出しに行き詰ったときは、過去のアイデアを振り返るという行動も積極的に行ってみるのがコツになります。
まとめ:新規事業のアイデアを考えるための「方法」を知る
新規事業のアイデアを考えるときには、具体的な「方法」を理解することが重要です。
フレームワークや考え方から方法を把握できれば、スムーズにアイデア出しが進められます。
何の指針もなくアイデアを考え続けることは、精神的な負担になると同時に、貴重な時間を失う結果にもつながるのです。
それは新規事業を進める過程において、大きな損失になってしまうでしょう。
だからこそ、アイデアを考えるための方法には、価値が生まれるのです。
この機会に新規事業のアイデアを考えるための方法を確認し、素早く次の計画に移れるように備えてみてください。