新規事業では公的融資を上手く活用することが成功への近道!資金調達におけるポイントとは
新規事業を始める際、自身や企業が持つ資産だけで事業資金を賄えるケースというのは非常に稀です。
しかし資産の範囲内で新規事業を始めたのでは、様々な制限が掛かるだけでなく、企業としての成長スピードも遅くなってしまいます。
そこで新規事業の資金繰りをクリアするために活用されるのが「融資」です。
本記事では、企業として新規事業の立ち上げを検討している経営者や担当者の方向けに、新規事業で利用可能な公的融資の種類や融資を受ける際のポイントについて、ご紹介していきたいと思います。
新規事業にとって融資を上手く活用することは成功への近道です。
ぜひこれから始める新規事業に活用できないかを検討してみてください。
目次
新規事業にはなぜ融資が有効なのか
新規事業を始める方の中には、融資を受けずに自己資金だけで運営を行いたいと考えるケースも少なくありません。
この考え自体が間違いということはなく、融資はあくまで借入金だということを把握しておくことは重要です。
一方で、自己資金だけで潤沢に企業を運営できるだけの資産を持つ方は稀で、一般的に自己資金だけでは企業活動の制約がかなり掛かってしまうのも事実です。
そこで「融資」が有効になってくるわけですが、なぜ「融資」が効果的なのか3つのポイントを確認しておきましょう。
- 低金利で資金を確保できる
- 企業の成長スピードが上がる
- 金融機関への実績が作れる
低金利で資金を確保できる
まず新規事業の立ち上げ時に利用可能な融資の中には、低金利で資金提供が行われているサービスがいくつか存在します。
無担保・無保証人で受けられる融資でも多くの場合、1~3%程度の金利が設定されており、民間金融機関が設定している金利よりも格安で融資を受けることが可能です。
企業としての年間利率が1~3%の金利額を上回ることはそれほど高いハードルではないため、積極的に資金確保を行うことができます。
企業の成長スピードが上がる
自己資金だけで新規事業を開始すると、どうしても資金繰りの難しさから事業規模が小さくなってしまいがちです。
同じ事業を始めるなら事業規模が大きい方が、利益も必然的に大きくなります。
新規事業は、実は融資を受けるという意味では、最も容易な時期です。
理由としては、政府自体が新規事業を始めることを全面的にバックアップしていることにあります。
国際競争に負けないよう日本の経済規模を拡大するためにも、創業・新規事業のサポートには積極的な姿勢を見せています。
金融機関への実績が作れる
金融機関への最初の実績が作れるというのも1つのポイントです。
金融機関への融資を申し込むポイントというと、既存企業の資金繰りが苦しくなった際と捉えられがちです。
しかし、資金繰りが苦しい企業がこれまで融資を受けたことのない金融機関にいきなり融資を申し込んでも、多くの場合断られてしまいます。
金融機関側からすれば、明らかに経営状態が悪い見ず知らずの企業にお金を貸しても、返ってこない確率が高いので当然ですよね。
新規事業というクリーンな状態で一度金融機関からの融資実績を作っておくことは、今後の企業運営にとってもプラスとなる可能性が高いのです。
新規事業でまず検討したい日本政策金融公庫の融資
新規事業を始める際、まず検討したいのが日本政策金融公庫による融資です。
日本政府が100%出資している公的機関であり、超低金利と保証人無し・無担保での借入が可能な特徴があります。
- なぜ日本政策金融公庫の融資を選ぶのか
- 新創業融資制度とは
- 新規開業資金制度とは
なぜ日本政策金融公庫の融資を選ぶのか
結論からお伝えすると、民間企業期間に比べて融資を受けられる可能性が高くなるためです。
まず一般的に融資を受けるというとイメージされるのが「銀行」または「信用金庫」といった金融機関ですよね。
しかし企業が新規事業を始める場合、これらの金融機関から融資を受けるのは中々難しいのが実情です。
金融機関からしてみると、新規事業は本当に融資額を返済可能なのか判断することが難しいため、やはり融資にも慎重になります。
一方で日本政策金融公庫では、政府出資として日本経済活性化のため積極的に中小企業への支援を実施しているため、民間金融機関に比べて融資を受けられる可能性が高くなるのです。
新創業融資制度とは
新創業融資制度は、新たに事業を始める方や開始して間もない方を対象にした無担保・無保証人で利用可能なサービスです。
制度を利用する条件として事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象となるため、企業を創業したばかりの方が利用できる特権的な制度です。
融資限度額は3,000万円と設定されており、創業資金総額の10分の1に当たる自己資金が最低限必要とされています。
しかし、現実的な貸付金額としては自己資金額の3倍程度と考えるのが良さそうです。
新規開業資金制度とは
新規開業資金制度は、上述した新創業融資制度よりも企業としての歴が長い方も対象として含めており、概ね事業開始後7年以内の方を対象とした制度です。
融資限度額は7,200万円と新創業融資制度に比べて高額です。
また返済期間も長く設定されており、設備資金で20年、運転資金で7年間の猶予が設定されています。
多くの新規事業がメインとして考える事になる融資制度が、新規開業資金制度と言えるでしょう。
新規事業には地方自治体の融資も利用可能
新規事業向けの融資では、上述した政府が100%出資している日本政策金融公庫の融資以外にも、各地方自治体が独自に提供している融資というのも存在します。
- 地方自治体の制度融資
- 制度融資の特徴
- 自治体規模で制度が異なる
地方自治体の制度融資
地方自治体の制度融資では、地方自治体単独で行うというわけではなく、金融機関や信用保証協会などと連携して実施される融資です。
融資を実際に行うのは民間の金融機関の場合もありますが、地方自治体が斡旋を行い、信用保証協会が保証人としての役割を果たすことで、審査が通りやすくなります。
制度融資の特徴
制度融資の特徴としては、日本政策金融公庫からの融資と同じく、民間金融機関に直接融資を申し込む場合に比べて低金利かつ長期的な返済期間が設定される点にあります。
融資限度額に関しては、日本政策金融公庫の融資に比べて低い傾向にあります。
また、融資までの期間は平均して1~3ヶ月程度は掛かるため、今すぐに融資を受けるというのは難しいと考えておくべきでしょう。
自治体規模で制度が異なる
制度融資では、自治体によって実施されている制度の詳細は異なるため、どの制度を企業として利用できるのか事前調査と見極めが必要になってきます。
一方で、地方ならではの魅力として、制度によっては地方商工会議所などの指導を受けることが義務付けられることにあります。
新しく創業したばかりの方には経営に関する基本的な手法を学ぶ良い機会にもなるため、積極的に利用するのも1つの方法です。
新規事業で融資を受ける際のポイント
新規事業向けの融資は、申請した人が誰でももらえるような制度ではありません。
さらに何度でも申請を繰り返せるような仕組みでもないため、融資を受けるために必要なポイントを抑えて準備を進めておくことが重要となります。
- 自己資金の証明
- 開業計画書の完成度
- 借入額と資金繰りの計画
自己資金の証明
融資というのはお金を借りる制度とは言っても、自己資金が全くない状態で申請が通るほど甘いものではありません。
自己資金の額によって、融資可否はもちろん、融資可能な限度額も変動されるのが一般的です。
貸し手側としては、融資した金額を最終的には必ず返してもらうことが重要になります。
そのため、自己資金の証明が出来ない人や資金が余りにも少ない人に関しては、金融機関としてもリスクが高まるため融資することが出来ないのです。
新規事業を始めようと考える方は、ある程度の資金や年月を掛けて準備するものですので、思い付きで事業を始めようといった方をふるいに掛ける意味でも、重要なポイントとなっています。
開業計画書の完成度
上述したように融資元としては、最終的に全額返済されることを前提に融資を行います。
つまり新規事業においては、開業後の具体的なプランを記した開業計画書の完成度が重要となります。
既存事業の場合には、これまでの事業利益などから将来の収益をある程度予想することは出来ますが、新規事業においては開業計画書でしか審査官に収益化出来ることを納得してもらうすべがありません。
また合わせて取引先が決まっているのであれば、開業計画書に具体的な企業名を記しておく方法も有効です。
開業計画書は詳細に記述すればするほど、融資を受けられる可能性が上がると言えるでしょう。
借入額と資金繰りの計画
開業計画書と意味合い的には似ていますが、借入額と資金繰りの計画を具体的に説明できることも融資を受ける上で重要です。
むしろ審査官によっては、開業計画書よりも具体的な金銭の流れを掴むことができるため、重要視される可能性もあるでしょう。
なぜいくらの借入額が必要になっているのか、開業後の資金繰り予定を記して、いつまでに返済可能な目処が立っているのかを具体的な計画として説明することができれば、融資を受けられる可能性も一気に高めることが可能です。
まとめ:新規事業では融資を活用してスタートダッシュを成功させよう!
本記事では、新規事業で融資を受けることの有用性とぜひ利用したい公的融資の種類、融資を申請する際のポイントについて解説してきました。
日本では借金をすることは悪という風潮が根強くあるため、躊躇しやすい分野ではありますが、新規事業においては融資を上手く活用することは成功への近道となります。
新規事業で使える融資制度をしっかりと把握した上で、事業のスタートダッシュを成功させるための資金調達方法として活用してみてください。