エンジニアの中途採用に成功するための5つのポイント
ITエンジニアの転職市場が極端な売り手市場になっているのは、採用担当者が日々実感していることで、改めて言及するまでもないでしょう。
しかし、「売り手市場だから採れない」というのは、「不景気だから売れない」とぼやくのと同じで、採る会社は採っている(売る会社は売っている)ことを忘れています。
採用上手な会社が大会社とは限らないし、特別好待遇だとも限りません。
では、採れる会社と取れない会社はどこが違うのでしょうか?それは端的に言うと、エンジニアをスキルマシーンと見るか、共に働く人間・成長すると見るかの違いです。
この記事では、人間としてのエンジニアの採用に成功するために必要な5つのポイントを解説しています。ぜひ、参考にしてください
会社が目指しているものは何かを語る
エンジニアというと、物事を二進法で割り切るドライな性格をイメージするかもしれませんが、夢も希望も不安もあるふつうの人間(若者)です。
「この会社で仕事をしたい」と思わせるには、不安を取り除き、希望を与える必要があります。
- 社長がどんな人かについて話す
- 頑張ればどうなるかを示す
- 職場の雰囲気を伝える
社長がどんな人かについて話す
ベンチャー企業はもちろん、どんな会社も社長のキャラが会社の行く末を左右します。
会社がピンチのときに、この社長の夢を何とか手助けしたいと思うか、この人にはついていけないと思うかでは雲泥の差です。
就職しようとする人は、社長がどんな人かを心配しています。面談のときに「うちの社長は、これこれで」という話が出れば、候補者は自分と会社との相性を判断する良い材料になり、不安も軽くなります。
キャリアパスについて教える
エンジニアにも、職人としてタスクをこなしたい人、プロジェクトマネジャーを目指す人、セールスエンジニアとして活躍したい人など、いろいろいます。
自分のキャリアパスについて、はっきりしたイメージを持っていない人もいるでしょう。
会社がいま求めているスキルは何なのかを示すだけでなく、将来どんなキャリアが可能なのかという道筋も示してあげましょう。
職場の雰囲気を伝える
社長の人柄と同様に、職場のムードも候補者の気にかかる点です。
和気あいあいも緊張感も含めて、リアルな職場の雰囲気を伝えることができれば、候補者の決断の背中を押す材料になります。
自社を際立たせる工夫をとことん追求する
採用は難しいと言いながら、どこか人任せで工夫が足りない、ということはないでしょうか?
引く手あまたの状況なら、他社と同じ引っ張り方をしていては、人材を引き寄せることはできません。
採用においても、競争他社と差別化して自社を目立たせる工夫は欠かせません。
- エージェントに頼り切らない
- 募集広告、スカウトメールに既成の文言を並べない
- 自社の採用サイトを充実させる
- SNSを活用する
エージェントに頼り切らない
募集サイトや転職エージェントの営業マン、アドバイザーは、「人材へのアピールの仕方をお教えします」と勧誘しますが、もちろんどの会社にも同じことを言っています。
「取材して御社の強みを打ち出します」と言われるかもしれません。しかし、採用担当者が自社の強みを取材されるまで自覚できないというのは、情けないことです。
エージェントのアドバイスには耳を傾ける必要がありますが、それに頼り切っては自社を際立たせるアピールはできません。
募集広告、スカウトメールに既成の文言を並べない
たくさんの募集広告を目にし、スカウトメールを受け取る候補者は、どこでも目にするありきたりの文言、ストックフレーズには目を留めません。
文言よりも条件内容だ、というのは正論ですが、良い条件もありきたりの言葉では印象に残りません。
エンジニアが将来を託するに足るユニークな会社であることを示すには、表現にもオリジナリティが必要です。
自社の採用サイトを充実させる
Googleで「エンジニア 中途採用」を検索すると、京セラの採用サイトが1ページ目に掲載されています。
京セラは広告料を払わずに、転職を考えている多くのエンジニアに、自社を際立たせているのです。
これは京セラが大会社だからではなく、Googleの検索エンジンがそのサイトを閲覧者にとって有用だと判断したからです。
自社の採用サイトに、求職するエンジニアの役に立つコンテンツを充実させること、警戒心を抱かせずにエンジニアのアドレスを獲得する工夫をすることには、大きな意味があります。
SNSを活用する
「Twitterを活用しないマーケティングは考えられない」とはある有名なマーケターの言葉ですが、それと同じくらい「Twitterを活用しない採用は考えらない」と言えるかもしれません。
SNSもパズルためにはコンテンツが重要なことは言うまでもありませんが、マンガで自社をアピールする、動画を作るなど、工夫の仕方はいろいろあります。
自社エンジニアたちの知恵と力を借りて、SNSの活用の道を考えたいところです。
自社エンジニアを人事部にする
文化系出身の人事部職員だけでエンジニアを採用するのは、どんどん困難になりつつあります。
エンジニアをもつとも切実に欲しがっているのはエンジニアたちなのですから、彼らの力を借りない手はありません。
- 自社エンジニアはどんな人と仕事がしたいのかを把握する
- 「ぜんいん人事部」の態勢で臨む
- 採用担当者は平場でエンジニアに会いに行く
自社エンジニアはどんな人と仕事がしたいのかを把握する
仕事現場にどんな新人エンジニアが入ってくるかを、エンジニアたちも心配し、期待もしています。
単にスキルだけではなく、一緒に気持ちよく働けるかどうかも気になるはずです。
採用担当者は、そんな自社エンジニアの本音を取材することで、採用の方向性に新しい光が差すかもしれません。
「ぜんいん人事部」の態勢で臨む
マッチングサイトの開発で有名な「面白法人カヤック」には、「ぜんいん人事部」という制度があり、社員全員が人事部の肩書を持っています。
(参照https://www.dodadsj.com/content/171120_kayac_brainstorming/:)
人事部員でもあるエンジニアたちは、ブレストで採用のアイディアなどを話し合い、面接にも参加しています。その結果「エンジニアの中途採用ペースを6倍以上に進化させた」といいます。
エンジニアのことはエンジニアに聞く、という姿勢は非常に重要なポイントです。
採用担当者は平場でエンジニアに会いに行く
もちろん、採用担当者が「わたしは文系だからエンジニアのことは分らない」では済みません。
ベンチャーのインキュベーターとして多彩な活動をしているヒトメディア社の人事を担当している小山 清和さんは、他社の人事部から転職して「2ヵ月間応募ゼロ」の状態から「年間10人採用」までこぎつけました。
(参照:https://hrnote.jp/contents/contents-1666/)
小山さんの作戦は「会社にいても何も始まらないので、外に出てエンジニアの方々に会いにいく」でした。
最初はエンジニアと何を話してよいか分らない状態でしたが、年間100人のペースで会ううちに「なるほど、そういう視点もあるのか」と気づかされることが多々あったといいます。
採用基準を柔軟に
言語は〇〇と〇〇が使える人、などのフルイをかけるための採用基準では、エンジニアを採ることが難しくなりつつあります。
- エンジニアは成長する
- 面接マナーで落とさない
エンジニアは成長する
エンジニアはスキルマシーンではなく、日に日に成長していく人間です。
多少スキルにマッチしない点があっても、可能性を感じる何かがあれば、落としてしまうのはもったいないかもしれません。
ポテンシャル採用は、余裕のある大企業だけがすることではありません。自社エンジニアにも面接に参加してもらい、候補者の活躍の場がないか、化ける可能性がないかを検討しましょう。
面接マナーで落とさない
面接での受け答えがハキハキしない、表情が暗い、髪形や服装がだらしない、こんな常識的な面接基準で評価していると、優秀なエンジニアをとり逃す可能性があります。
ユニークな人材を採るには、採用基準もユニークでなければなりません。
経営者が参加して採用戦略を立てる
魅力ある採用活動をするには、採用担当者の一存では決められないことがたくさんあります。
- キャリアアップ支援体制を作る
- 自社サイト、SNSに社長の生の声を載せる
キャリアアップ支援体制を作る
エンジニアにとって仕事はすなわち学びの場でもありますが、それだけではなく会社にエンジニアのスキルアップ、キャリアアップを応援する体制があることが、エンジニアにとっては魅力です。
即断即決できる経営者に加わってもらい、エンジニアにとって魅力のある制度、仕組みを作っていることが大切です。
自社サイト、SNSに社長の生の声を載せる
コピーライターが代筆したような「社長の声」を自社サイトにやSNSに乗せても、候補者の心に響くコンテンツにはなりません。
先ほど紹介した「面白法人カヤック」のHPには、ブログ風の「社長日記」があり、月に1,2本のペースで更新されています。
参照:https://www.kayac.com/
内容も自分の恩師について語るなど、社長の人柄をしのばせるユニークなものになっています。
日記なんか書けない、という社長も多いでしょうが、その人柄が分るコンテンツは大きな吸引力になります。
まとめ
エンジニアの中途採用が上手くいかない場合は、採用担当者自身が行動を変える必要があります。
会社にじっとしていても状況は変わりません。ここでお話した「5つのポイント」も参考にしていただき、ぜひ「採用革命」にチャレンジしてください。