【現役CTOが語る】CTOの年収を考えるときのポイントを徹底解説

CTO(最高技術責任者)を外部から採用する場合には、その報酬となる年収について考えなければなりません。

年収をきちんとした考えの元で決めることができないと、後からその数値が経営の負担になる可能性があります。

場合によっては、CTOの年収の見直しなどが必要となることで、余計な軋轢が発生することも考えられるでしょう。

そういったトラブルを避けるために、こちらではCTOの年収に関する考え方をチェックしていきます。

CTOの年収について悩んだときには、ひとつの考え方として参考にしてみてください。

CTOの年収を決めるときのポイント

CTOの年収を決めるときには、いくつかのポイントが考えられます。

下記のような要素を念頭に置くことで、CTOの年収を決める際の指針を得ることができるでしょう。

まずはCTOの年収についての、考え方を確認します。

  • 「年収を高くする」という意味を考える
  • CTOの年収相場も確認する

 

「年収を高くする」という意味を考える

そもそも、「どうして年収が高くなるのか」といった基本的な概念を考えることが必要です。

CTOの年収を決めるとき、無意識のうちに「どれくらい高くすればいいのか」「どれくらいまで抑えることができるか」といった方向で考えを巡らせなかったでしょうか。

つまり前提条件として、「 CTOの年収は高いのが当たり前」という感覚を持っているということになります。

次章で確認しますが、確かにCTOの年収は高いことが多いです。

しかし、その高さには理由があるので、「CTOである」ということだけで高くなっているわけではありません。

つまり「CTO=年収が高い」という図式ではなく、「CTO=自社にとって〇〇というメリットがある=年収が高い」という形で考える必要があるのです。

この〇〇を考え出し、それに伴った年収を提示することがポイントになります。

「〇〇によって得られる利益 ー CTOの年収」という形を提案することが、企業として求められるでしょう。

これは一般社員ではなく、役員となるCTOだからこそ考えるべき図式になります。

企業への影響力が高くなるCTOは、それだけ全体の利益を生み出す業務や意思決定にも関わってくるため、より緻密な計算が重要になるのです。

CTOの年収を考えるときには、こういった論理的な道筋を通ることを前提としてみましょう。

 

CTOの年収相場も確認する

上記のポイントを理解したなら、続いてCTOの年収の相場を把握していきます。

年収相場は求職者側が必ず確認するものになるため、当然年収を決定する企業もその情報を知っておくことが求められるでしょう。

相場の範囲内で年収を設定し、交渉などを通じて調整していくことがポイントになります。

年収の相場は、他者にわかりやすく決定理由を説明することにも使えます。

「〇〇という能力があるから相場よりも高い」「まだ〇〇には至らないから相場よりも低め」

そういった説明時の参考にできるので、CTOの年収相場を知ることは重要です。

年収の決め方に根拠がないと思われてしまうと、募集時に社内の従業員を納得させることが難しくなります。

年収がきちんとした考えのもとで決められていることを示しやすくするためにも、基本的な相場は確認しておきましょう。

CTOの年収を決める際には、他にもCTO以外の役員との兼ね合いを考慮したり、過去の自社の例を参考にしたりといったことが考えられます。

総合的な判断のもとで、年収を決定していけるようにしましょう。

CTOの年収の相場について

CTOの年収相場を、以下で解説していきます。

相場の数値から、年収を決定するポイントを探しましょう。

  • CTOの年収相場とは
  • スタートアップ企業の年収はどうなる?

 

CTOの年収相場とは

CTOの年収相場は、インターネット上を参考とすると800〜1,000万円前後とされることが多いです。

役員という立場や最高技術責任者という業務上の役割を考慮すると、ある程度納得のいく形になるのではないでしょうか。

企業が上場、非常上しているかでも変わり、一般的に上場企業ほど従業員数(エンジニアなど)が多くなるため、それを総括するCTOの年収も上がります。

1,000万円以上のハイクラス求人も多いことから、基本的にCTOは年収が高めの職業だと判断できるでしょう。

一方で、CTOという役職はまだ国内に浸透しきっていないため、データが少ないという問題が考えられます。

今後のCTOの貢献次第では、年収相場は上下することも考えられるでしょう。

CTOの業務も明確な部分ばかりではないため、企業によって仕事内容が変わることもあります。

そのため一見相場より年収が高くでも、業務内容の密度を考えると決して良い待遇ではないというケースも考えられるのです。

CTOの年収を参考にする際には、柔軟な考えを持つことがポイントになります。

 

スタートアップ企業の年収はどうなる?

企業としての活動が始まったばかりのスタートアップ企業のCTOは、相場よりも年収が安くなりやすい傾向があります。

1,000万円以下の年収が多くなり、場合によっては500万〜というケースも考えられるのです。

これは資金的に多くの負担をかけられないスタートアップ企業であるなら、仕方のないことだと言えます。

それでもCTOの存在はスタートアップ企業にとっても大きいので、採用を行う企業は多いです。

そしてCTOとしての能力がある人材にとっても、スタートアップ企業には他の企業にはない魅力があるため、年収が安くても良いと判断することはあるのです。

そういったケースがあるため、CTOの年収は低くなることも考えられるでしょう。

低い年収にはこのように理由があるので、「CTOは年収が低くても問題ない」と考えるのは間違いになります。

低い年収がどうして成立しているのかを把握して、相場を理解していきましょう。

CTOの年収はその雇用形態を意識する

CTOの年収を考える際には、その雇用形態にも目を向けることが必要です。

従業員を雇うのとはまた違う要素が多いので、下記で雇用形態について確認しましょう。

  • CTOはフリーランスと変わらない?
  • CTOとの契約は意思疎通を明確に

 

CTOはフリーランスと変わらない?

CTOの契約形態は、一般的に雇用ではなく委任になります。

フリーランスという立ち位置と、ある意味で変わらないと言えるかもしれません。

そのため事業成果が出なければ解任が可能であり、企業次第で継続するかどうかが左右されるのです。

それはCTOとして働く側からすれば、ひとつのリスクだと考えられます。

だからこそCTOの年収は、それを考慮した上で決定することが求められるでしょう。

委託業務になるということは、他にも以下のような要素が出てくるということでもあります。

・定時がないため、必要に応じて早朝や深夜の出勤が必要になることも
・雇用保険などに加入できない

CTIは、こういったある種のリスクの下で働くことになるのです。

企業としてはこういった雇用形態を理解した上で、年収を決定していく必要があるでしょう。

 

CTOとの契約は意思疎通を明確に

委任になるCTOとの契約においては、採用時にきちんと意思疎通を行って契約内容に相違がないことを確認します。

契約期間、報酬の決定方法(月額報酬や時間成果など)、業務内容などをすり合わせて、お互いに納得のいく形を見つけ出す必要があるでしょう。

一般募集を行う場合、万が一に相手が委任契約という形を理解できていないことを想定しておくことも必要かもしれません。

また、常勤することになるCTOには、通常の雇用契約を行うことも考えられます。

状況や相手との話し合いに応じて、臨機応変な対応を心がけましょう。

CTOの年収にはストックオプションも関係してくる

ベンチャー企業などは、CTOの年収を考えるときに「ストックオプション」も関係してきます。

優秀なCTOを最小限のコストで採用する際には、ストックオプションの導入が必要になってくるでしょう。

最後にこのストックオプションを軸に、CTOと年収について考えていきます。

  • ストックオプションとは
  • 導入時には権利行使後の人材流出に注意

 

ストックオプションとは

ストックオプションとは、その会社の従業員が自社株を特定の価格で購入できるシステムのことです。

将来的に株価が上がることを見越して低価格(権利行使価格)での購入を行い、その上昇分を報酬とするのが基本的な内容になります。

会社としての業績が高まって株価が上昇することが報酬につながるので、CTOにとっては自分の頑張りが直接報酬アップを実現する手段となるのです。

年収が高く提示できない場合の、代わりとして導入することが検討されるでしょう。

ストックオプションは、仮に業績が悪化して株価が下がったとしても、その権利を使わなければ購入者が損をしないようになっています。

そのためCTO側にとってのメリットが大きく、交渉において重要なポイントになるのです。

 

導入時には権利行使後の人材流出に注意

ストックオプションを導入するのなら、CTOが権利の行使後に会社を離れるリスクがあることを把握しましょう。

ストックオプションによって株を売却した利益が出た後は、CTOにとっての金銭的なインセンティブがなくなります。

そのため会社に対して不満がある場合には、そのまま退職といった流れに移行する可能性もあるのです。

ストックオプションは、ベンチャー企業にとってCTOの獲得につながる有益なシステムになります。

しかし、それと同時に将来の人材流出を懸念すべきものでもあるのです。

会社の立ち上げから関わったCTOの流出は、ノウハウ的な面でも精神的な面でも痛手になることが予想されます。

そのためストックオプションを導入するのなら、将来の人材流出を考慮して対策を練っていくことも必要です。

まとめ:CTOの年収からその重要性を把握する

CTOの年収を知ることは、改めてその役職の重要性を把握することにもなります。

この機会にCTOの年収の決め方や相場を確認し、その役職を会社に設置する意義を考えてみてください。

©︎2020 Hajimari inc.