CTOとCEOの違いは?IT企業に多いCTOの肩書の意味・仕事内容を分かりやすく解説

日本人が「あの人は会社の偉いさんだ」と言うのと同じ意味で、アメリカ人は「あの人はCレベルだ」とか「Cスイートだ」などと言います。

これは、肩書にChief ●●●● Officerと付くトップクラスの役職の人だ、という意味です。

しかし、この「Cレベル」の肩書には、 CEO 、CTO、CIO 、 COOなどといろいろあり、どう違うのか、お互いにどんな関係にあるのかが、私たち日本人には分かりにくいですね。

この記事では、CEO 、CTOなどの肩書の意味と、相互の関係を分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。

CEOとCTOの違い

CEOは「最高経営責任者」

「Cレベル」で日本人にもなじみが出てきたのがCEOでしょう。

CEOはChief Exective Officerの略で「最高経営責任者」と訳されています。これまでの日本の役職名でいえば「代表取締役」にあたる経営トップです。

トヨタ自動車のCEOは豊田章男です。しかし同社のHPの役員紹介には、「代表取締役社長  豊田章男」と記されています。

日本の会社法には「取締役」や「代表取締役」について規定があるだけで、「CEO」はもちろん「社長」についても何の規定もありません。

豊田氏が何種類の名刺をお持ちなのか分かりませんが、英語の名刺には当然CEOの肩書が使われているでしょう。日本語の名刺はたぶんCEOと代表取締役の2種類があって、取引先との会合などではCEОの名刺を、株主総会など会社法が関係する場面では代表取締役の名刺を使っているのではないでしょうか。

会社によってはCEОの肩書を使っていない所もたくさんあります。

また、CEОは必ず代表取締役の肩書も持っていますが、代表取締役社長とは限らず、代表取締役会長の場合もあります。社長が経営トップとは限りませんが、CEОは必ず経営トップです。

 

CTOは「最高技術責任者」

CTOはChief Technical OfficerまたはChief Technology Officerの略で、「最高技術責任者」と訳されています。

アメリカでCTOという役職が登場したのは1980年代だといわれています。おもにIT関連の企業で使われる役職名です。

実情に沿ってCTОを定義するなら、「IT企業の研究開発部門のトップ兼取締役」となるでしょう。

インターネット、情報処理サービス、ソフトウェア関連の企業では、IТ(Information Technology)が最大の武器で、その使い方が企業の命運を左右します。

したがって、IТの責任者であるCTОは取締役レベルの「偉いさん」でないと、都合がわるいことが多くなります。技術のことも経営のことも分からなければいけないのがCTОなのです。

CTOはCEОと共に企業戦略を立てて、お互いに齟齬のない戦略的行動を指揮します。

CTОの直属の部下はプロジェクトマネジャーやセールスエンジニアで、エンジニア部門の統括だけでなく、対外交渉にも当たります。

プロジェクトマネジャーは当面のプロジェクトの達成に全力を注ぎますが、CTОはそのプロジェクトの戦略的位置づけや達成後のことも視野に入れてマネジメントします。

KAIZEN platformのCTОとして有名な石橋利真氏は、「テクノロジーで人の負担を減らす」という一貫した信念でエンジニアたちをけん引しています。

 

CEOとCTOはどこが違うの?

CEOとCTOのどちらが偉いかというと、CEОです。CEОは代表取締役で、CTOは取締役の場合が多いでしょう。

ただし、ITベンチャーでは、どちらも立ち上げメンバーで、僕・君の平場の関係のことも珍しくありません。

仕事内容では、例えば、資金を調達してくるのがCEОで、エンジニアをスカウトしてくるのがCTОです。しかし、それも逆になることがあるかもしれず、決めつけるわけにはいきません。

会社が小さいうちは、CEОがCTOを兼ねる場合もあります。

CIOとCTO の違い

CTOと似た役職にCIOがあります。この2つはどう違うのでしょうか?

 

CIOは「最高情報責任者」

CIOはChief Information Officerの略で「最高情報責任者」と訳されています。

CIОの役割は、経営幹部として、自社の経営戦略に沿った情報化戦略を策定し、実行することです。具体的には、社内の情報管理システムを改善したり維持管理することがメインになります。

例えば、花王のCIOの安部真行氏は、400名の情報管理システムのトップとして、生産・販売業務のシステムの刷新や、業務プロセスの改善に取り組んでいます。

日清食品のCIОの喜多羅 滋夫氏は、同社の世界戦略のために、全部門共通システム(SAP)を導入し、さまざまな業務移管やパッケージ刷新などを行ないました。

このようにIТ部門以外の基幹業務を持つ企業の、情報管理システムとその戦略を統括するのがCIОです。

 

CIOとCTOはどう違うの?

CIOの役職がある会社は、おもに生産や販売などが基幹業務になる一般企業です。

IT企業でも規模の大きい会社ではCIOの役職がある場合もあります。その場合はCTOとの役割の違いは明確ではなく、両方は置かないという会社が多いかもしれません。

しかし、CTOが製品に生かされる技術に主力を置くのに対して、CIОは社内の情報システムの改善に主力を置くという違いがあります。

メルカリのCIOの長谷川秀樹氏は自分の役割は「世界一働きやすいIT環境を整備すること」だと述べています。

メルカリには、CTOに名村卓氏がいて、本業のアプリ開発を統括しています。名村氏は自分の役割を「拡大に耐えうる組織化とグローバル開発の土壌づくり」と述べています。

CEOとCOOの違い

CEОとの違いが分りにくいのが、最近ときどき目にするようになったCOOです。

 

COOは「最高執行責任者」

COOはChief Operating Officerの略で「最高執行責任者」と訳されています。

CEOが「最高経営責任者」でCOOが「最高執行責任者」ーどっちが偉いのかというと、CEОの方です。CEОのは代表取締役で、CОOは取締膜、つまり社長と専務の関係と言えば分り安ですね。

2019年10月8日 の朝日新聞デジタルに「日産自動車新社長に内田専務 CОOには三菱自グプタ氏」と題した次のような記事が掲載されました。

 日産自動車は8日に取締役会を開き、内田誠専務執行役員(53)が社長兼CEO(最高経営責任者)に昇格する首脳人事を決めた。COO(最高執行責任者)には日産傘下の三菱自動車のアシュワニ・グプタCOO(49)を充てる。また、関潤専務執行役員(58)が副COOとしてグプタ氏を補佐する。 後略

ゴーンさんの後任の西川CEОも辞任するなど、なにかと落ちつかない日産自動車ですが、新たにCEО、CОО、副CОOを決めたようです。ルノーなど海外の会社との交渉が多い日産では、社長、専務、常務という肩書より、CEО、CОО、副CОOの方が通りが良いのでしょうね。

その他のCがつく肩書き

上記の他に、Cが付く肩書きには次のようなものがあります。

CMO Marketing(マーケティング)
CFO  Financial(財務)
CLO Legal(法務)
CCO Creative(クリエイティブ)
CBO Branding(ブランド)
CDO Development(開発)
CAO Accounting(会計)
CPO Privacy(個人情報保護)
CNO Network(ネットワーク)
「Operating●●●● Office」の●●●●に何が入るかは、会社の業務内容によって、どの部署のトップに役員クラスの人間が必要かによって決まります。

ちなみにアップル社の11人の副社長(Vice President)で、Chief ●●●● Officerの肩書があるのは、Chief Financial OfficerとChief Operating Officerの2人だけです。意外に少ないですね。

まとめ

Cが付く肩書きは、なんとなくカッコ良いのですが、ベンチャー企業でやたらにたくさん「Cレベル」がいるのも、少し滑稽な感じがします。

IT関連企業なら、CTOに有能な人がいれば未来は明るいと言えでしょう。そのうちにChief Financial Officerが必要になるかもしれません。

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