フリーミアムとは?成功・失敗事例から読み解く成功の秘訣を紹介
「フリーミアム」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
2020年現在、インターネット上のサービスには無料で利用可能なサービスと有料でしか使えないサービスがあります。
そんな中、無料でも利用はできるが、必要に応じて有料の高度なプランに切り替えられるサービスをフリーミアムと呼びます。
最近はアメリカ・シリコンバレーを中心に、このようなフリーミアムの仕組みを採用したサービスが増えています。
そこで今回、このフリーミアムの成功事例、および失敗事例から、フリーミアムで成功するためのポイントについて解説します。
ぜひフリーミアムを理解した上で、導入の検討にお役立てください。
フリーミアムとは
近年、インターネットを使ったサービスとして基本的な機能を無料で提供し、より高度な機能を使う場合は有料プランとなる仕組みが増えており、これらをフリーミアムと呼ばれています。
なお、このフリーミアムとは、元は英語の「Freemium」で、これは、Free(無料)とPremium(プレミアム)から作られた造語です。
インターネットが普及する前から、商品を無料で配り、その商品を良さを知ってもらうことで、定期購入の顧客を増やすビジネスモデルが存在しており、今でもこのやり方で成功している企業がいくつもあります。
しかしながら、このやり方を成功させるには、ブランドイメージを広げたり、大量の無料商品で配布できる財力が必要など、参入が難しいビジネスモデルでしたが、インターネットが普及したことで、安価に大勢の利用者を相手にできるようになりました。
そのため、ブランドイメージを広げやすく、また、ほとんどの利用者が無料で使っているものの、一部の有料の利用者からの収入だけで利益を出せるビジネスが実現可能となりました。
フリーミアムのサービス事例
先ほどフリーミアムとは何かについて解説しましたが、スマートフォンでの利用を中心に、この仕組みを活用したサービスが増えています。
次から特にビジネスで利用されるフリーミアムサービスの成功事例8選、および、フリーミアムサービスの失敗事例2選を紹介します。
- フリーミアムサービスの成功事例:Microsoft
- フリーミアムサービスの成功事例:Google G Suite Business
- フリーミアムサービスの成功事例:Evernote
- フリーミアムサービスの成功事例:Dropbox
- フリーミアムサービスの成功事例:Eight
- フリーミアムサービスの成功事例:ChatWork
- フリーミアムサービスの成功事例:Slack
- フリーミアムサービスの成功事例:Zoom
- フリーミアムサービスの失敗事例:PANDORA
- フリーミアムサービスの失敗事例:Chargify LLC
フリーミアムサービスの成功事例:Microsoft
以外に思われる方が多いかもしれまんせんが、今のMicrosoftは、フリーミアムに力を入れている企業の1つです。
具体的には、パソコンを購入するとインストールしてあるWindowsには、アカウントを登録することで利用できるoneDriveが設定してあり、無料で使えます。そして、容量が足りなければ有料プランを利用することで、その容量をアップできます。
他にも、Web版のOutlookやWord、Excelが無料で使えます。
しかしながら、会社で使っているOfficeに比べると機能が不足しているかもしれません。それなら、サブスクリプションのOffice365に切り替えることで、フルセットのOfficeに切り替えられます。
このようにフリーミアムとは、世界最大のクラウド企業となったMicrosoftも注目するビジネスモデルです。
フリーミアムサービスの成功事例:Google G Suite Business
検索エンジンで有名なGoogleも、フリーミアムと無関係ではありません。
GmailやGoogleドライブは、アカウントさえ登録すれば、誰でも無料で使えます。
さらに、スプレッドシートやドキュメントなど、Web版のOfficeツールも利用可能です。そのような無料で使える機能が豊富なGoogleですが、有料版も用意されています。
例えば、企業としてGmailを活用しているケースが増えていますが、Googleのサービスの企業向け有料版、Google G Suite Businessなら独自ドメインでGmailが利用できます。
また、無料で使えるGoogleドライブの容量は15Gバイトですが、有料版ならもっと大きな容量が利用可能です。
フリーミアムとは、このように多くの方が無料で利用しているサービスを、ビジネスで活用するための仕組みとしても有効です。
フリーミアムサービスの成功事例:Evernote
Evernoteは、クラウドを活用したドキュメント保存と共有のサービスとしては、比較的早くから成功しているフリーミアムサービスです。なお、サービス開始当初のEvernoteは、アカウントを登録したとしても、長く利用する人が多くありません。
しかしながら、このサービスの便利さから新規に登録する方が多く、さらにその中の長く利用する人の中から有料サービスに移行する方がいたことで、サービスを継続できました。
とはいえ、2000万人の利用者がいたとしても、そのうち有料で使っているユーザーは75万人ほどと、ほとんどの方が無料ユーザーです。
このように、フリーミアムとは、大多数の無料利用者の中から、わずかでも有料利用者に移ってもらう戦略が重要です。
そのため、サービス内容を改善して、無料の利用者を減らさず、むしろ拡大させていかなければなりません。この例からも解るように、一度サービスが起動に乗ったからと言って、安心できるビジネスではありません。
フリーミアムサービスの成功事例:Dropbox
Dropboxは、前出のoneDriveやGoogleドライブと同じオンラインストレージサービスで、比較的早い2008年にサービスをリリースしました。そのため、既に利用している方が多いサービスの1つです。
なお、Dropboxは、サービスをリリースし始めた頃は、利用者を増やすのに苦労して時期がありました。
そのような時期に成功した施策が、既存の利用者が新規の利用者を紹介してくれたら、使える容量を増やすサービスです。
フリーミアムで成功させるには、無料の利用者を増やさなければなりません。しかし、広告だけで関心を持ってもらうには限りがあります。そこで、Dropboxは、既存の利用者をうまく活用して、利用者を増やすのに成功しました。
フリーミアムとは、個人の利用者を相手にする場合、Dropboxのように無料で使ってくれるユーザーをどうやって増やすかが、成功へのカギと言えます。
フリーミアムサービスの成功事例:Eight
「それさぁ、早く言ってよ〜」のセリフで有名なCMは、Sansan株式会社のCMですが、そこで紹介されているサービスがクラウド上の名刺管理システム、Eightです。
なお、最近、スマホのカメラを利用することで、簡単に名刺をクラウドに登録できるようになりました。そして、クラウドにあれば、スマホを使えば社外にいても利用できます。
そして、このような名刺管理システムは無料版でも十分使えますが、会社全体で運用するには有料版に移行した方がいろいろな面で便利に使えます。
なお、スマホは年々機能がアップしており、以前は不可能と思われていたことも、クラウドと組み合わせることで可能になった機能が増えています。そして、フリーミアムとは、そのような新しい機能を活用したビジネスを成功に導く方法としても有効です。
フリーミアムサービスの成功事例:ChatWork
電子メールがビジネスで活用されてから20年以上が経過していますが、迷惑メールやコンピュータウィルスの拡散などで使われるうえ、マナーが重視されたり、読んでもらえたか解らないなど、不具合が目立ってきました。そこで、注目されているのがビジネスチャットです。
とはいえ、ビジネスチャットの良さを知ってもらわなければ、どんなに良いサービスでも使ってはもらえません。そこでビジネスチャットのサービスをリリースしたChatWorkは、ソーシャルメディアで口コミを活用し、ファンを増やすための施策を実施しました。
そして、これが成功したことで、ソーシャルメディアで話題になり、今では多くのビジネスマンが利用するビジネスチャットとなっています。
繰り返しになりますが、フリーミアムとは、多くの無料の利用者を増やせすことが成功のカギです。そして、ソーシャルメディアをうまく活用して成功したChatWorkの例を、ぜひ参考にしてください。
フリーミアムサービスの成功事例:Slack
先ほど紹介したChatwork同様、ビジネスチャットで急成長しているのがSlackです。
なお、ビジネスチャットは、会社全体など組織での導入が進むと管理上の手間が増えてしまうのが欠点です。その点Slackでは、企業単位など大きな組織による導入サポートに力を入れており、有料版だからこそ実現できる丁寧なサポートが特徴です。
このように、利用環境に応じたサポートが得られる点は、有料サービスのメリットです。Slackでは、このメリットをうまく活用したことで、フリーミアムサービスも成功したと言えます。
フリーミアムサービスの成功事例:Zoom
2020年の2月から始まった新型コロナウィルス対策の影響で、日本でも多くの企業がリモートワークに切り替わりました。さらに、学校も閉鎖になり、リモート授業が多くの大学で実施されています。
ご存じのように、このようなリモートワークやリモート授業で急成長した会社がZoomです。
もともと、Zoomは、シスコ社のテレビ会議システムの開発を担当していたエンジニアが独立して始めたサービスで、少ないリソースでもテレビ会議が実現できる点が特徴の企業向けテレビ会議システムです。
そして、Zoomには、時間制限があるものの、無料でサービスを利用できる点、および、アカウント登録なしで外部の方を招待できる点が話題になり、テレビ会議が必要となった多くの企業や学校で採用されました。
Zoomが成功したポイントは、従来設定が難しいとされていたテレビ会議を、誰でも簡単に導入できるようにした点です。フリーミアムとは、こうした従来の常識を覆す技術の進歩と、とても相性の良いビジネスのやり方です。
フリーミアムサービスの失敗事例:PANDORA
フリーミアムサービスの失敗例として有名なのが、アメリカのオンラインパーソナルラジオサービス、PANDORAの事例です。
PANDORAは、当初、1ヶ月36ドルで10時間のストリーミングが無料というサービスを展開しましたが、利用者が増えませんでした。同様のサービスを幾つか試したものの、やはりうまくいかなかったそうです。
今では、基本サービスを全て無料にし、広告収入に切り替えたことでビジネスは成功しているとのことです。
フリーミアムサービスの失敗事例:Chargify LLC
アメリカで支払い請求管理ソフトウェアを扱うChargify LLCは、中小企業をターゲットとしてサービスにフリーミアムを導入し、50人以上の顧客に請求書を送付する場合に課金がされる仕組みを設定しました。
しかしながら、課金を利用する企業がまったく無かったことで、サービス存続の危機に陥ったそうです。
そこで、サービスを全て有料にし、料金プランを細かく細分化することで、どのような規模の会社にも対応できるように変更したところ、利用を止める会社もなく、サービスが存続できています。
フリーミアムサービスを成功させるためのポイント
これまで紹介したフリーミアムのサービス事例を見ると、フリーミアムとはどのようなビジネスモデルかを理解し、それに合わせた施策を実施した企業が成功していることがわかります。
成功事例から見えてきた、フリーミアムサービスを成功させるためのポイントについて解説します。
- 無料の利用者を増やす施策を
- 無料の利用者が離れない工夫を
- ニーズの高い有料サービスの提供を
無料の利用者を増やす施策を
今回紹介したフリーミアムサービスの成功例では、どれも無料の利用者を増やすのに成功しています。そして、無料の利用者が増えなければ、有料サービスに移る人も増えません。フリーミアムサービスを成功させるためには、まずは、利用者を増やすことが大事です。
なお、インターネットは、コストをかけずに新しい事業を始めるのに適した仕組みです。ソーシャルメディアなどをうまく活用して、コストをかけずに無料の利用者を増やしましょう。
無料の利用者が離れない工夫を
インターネットの特徴には、興味があるサービスを簡単に比較できる、という点もあります。これは、インターネットでビジネスをやる場合、デメリットになりかねません。
つまり、同じようなサービスがあれば、それと比較されて、これまでの利用者を奪われる危険がある、ということです。
そのため、他社に利用者を奪われないために、定期的に利用者が関心を持ってくれるサービスを実施するなどの工夫が必要です。
ニーズの高い有料サービスの提供を
無料サービスの利用者をいくら増やしても、有料サービスに魅力がなければ、有料サービスは利用されません。
そのため、利用者のニーズを細かく分析し、利用者にとって便利でしかもニーズの高いサービスを有料サービスとして提供しなければビジネスが成り立ちません。
もし、ニーズの高い有料サービスを提供できないのなら、全て無料にして広告収入に切り替えるといった方針転換も有効です。
また、無料サービスにコストがかかりすぎる場合は、全て有料サービスにするなど、サービス内容と価格を見直した方が良いでしょう。
まとめ
これまで解説したように、フリーミアムとは、英語のFree(無料)とPremium(プレミアム)から作られた造語であり、このやり方で成功したサービスがいくつもあります。
とはいえ、このフリーミアムが成功するポイントは、どれだけ多くの方に無料サービスを使ってもらえるか、また、そのサービスを長く使ってもらえるか、そして、無料で使っている方が魅力を感じる有償サービスがあるかにかかっています。
このようなフリーミアムサービスを成功させるためのポイントを理解し、賢くビジネスに活用してみてください。
