部下からの急な異動希望に慌てないためにその前兆と対策をしっかり取ろう!
部下から急に異動を希望されてしまうと、上司としてはかなりショックを受けますよね。
「なんで急に!」とあたふたしても後の祭り…。最悪異動できないなら退職します…。とより事態が深刻な方向に進んでしまう可能性もあります。
上司として「なぜ部下が部署異動を希望するのか」その理由を知っておくこと、そして「異動を考える部下が見せる予兆」とはどのようなものがあるのか知っておくことが大切です。
そのうえで上司として「どのような行動をとるべきか」ということもケースバイケースで理解できていれば、ネガティブな理由での部署異動を食い止めることができるはずです。
ネガティブな部署異動は1人の人材を手放す、というだけでなく、時に部署内の空気が悪くなったり、人材流出がやまないような状況になることもあります。
負の連鎖にもなりかねないネガティブな部署異動につながりかねない予兆を見逃さないために、目を通してみてください。
目次
部下が部署異動を希望する5つの理由
部下が部署異動を希望する、というときどのような理由があるのか見てみましょう。
- 今の部署は残業が多く家庭の事情などで今のままでは厳しいから
- 上司との関係が良くない
- 部署内の人間関係上の問題
- もともと異動希望先の部署に配属希望だった
- (結婚などで)引っ越しするため職場を変えたい
それぞれもう少し詳しく解説しますので続けて目を通してみてください。
今の部署は残業が多く家庭の事情などで今のままでは厳しいから
残業が多い部署や、特定のタイミングで残業がどうしても発生してしまう部署というのはあります。
ですが部下にとって、仕事も重要ですが家庭の都合でどうしてもそのような環境で働くことが厳しい状況になってしまうことも。
例えば以下のような事情が考えられます。
- 自身の体調が悪く長期的な治療が必要なため
- 介護が必要になったため
- 妊娠・育児のため
仕事をするうえで残業が必要になることも経験上、部下は理解しているからこそ、自分の都合で穴をあけ周りに負担をかけてしまうからこそ、慣れ親しんだ部署を離れるほかないと考えての異動希望。
一時的に残業ができない、というのではなく長期的に残業が厳しい状況になってしまうことがわかっているからこその異動希望という点を考慮すべき事例です。
上司との関係が良くない
上司のパワハラというのも異動希望理由としてよくあるものですが、パワハラに限らず直接自分の評価に関連する人物であるからこそ悩んでいる部下も少なくありません。
有休をとりずらい空気があるなどもこのケースに該当していることもあります。
上司との関係でどのような悩みを抱えているのか、しっかりヒアリングしたうえで必要な対策を練るなども大切な事案です。
部署内の人間関係上の問題
上司との人間関係だけでなく部署内の人間関係というのも大きな理由になりうる問題です。
異動を希望するというのは部下にとっても大きな決断である、ということを考えるとどのような悩みを抱えているのかしっかりヒアリングする必要もあるでしょう。
もともと異動希望先の部署に配属希望だった
就職したときに希望していた部署と違う部署に配属された、ということから部署異動を希望する人材は少なくありません。
会社としては当人の適性を見て判断した、という面もありますが、固執しすぎてしまうことなく異動希望をかなえられる状況かどうか勘案してみることもモチベーションを上げることにもつながる可能性があります。
(結婚などで)引っ越しするため職場を変えたい
部署により勤務地が変わる、勤務地が引っ越し先からかなり離れてしまう、などの事情で異動願いを提出するケースもあります。
中にはそういったことを理由にしながら別の(パワハラなど)の問題を抱えているケースもあることも一考の余地があるケースも。
結婚、同居など居住地に限っての異動希望なのか、という点も併せて確認しておくことをおすすめします。
部署異動を希望してきた部下に対して上司が取るべき行動
- しっかりと異動希望の理由をヒアリングする
- 自分の反省点について考える
- 受け入れ異動を検討し丁寧に扱う
しっかりと異動希望の理由をヒアリングする
なぜ異動を希望しているのか、異動願いにかかれているのは建前で、本当の理由があるケースも考えられます。
特に人間関係やハラスメント関連で悩んでいる場合、本当の理由をかけなかったという事情もあるかもしれません。
中でもハラスメントというのは、上司は「そんなつもりはなかった」ということが部下から見たら「立派なハラスメントでストレスになっていた、悩んでいた」ということもあるのです。
ですからしっかりとヒアリングを行い、なぜ異動を希望しているのか、今後の上司のためにも部下のためにも明らかにしておくのが良いでしょう。
この時心がけておきたいポイントは2つあります。
(1)部下がきちんと話ができる環境を整える
(2)何を言われても受け入れる覚悟でヒアリングする
相手が話しやすいような空気をしっかり作り、聞きに徹する態度で臨みましょう。
話にくい場合もありますが、落ち着いた表情で適度な相槌を打つことで話しやすくなる場合もあります。
場合によっては、上司一人ではなく部下と同じポジションにいる他メンバーに同席、または上司を挟まずにヒアリングをおこなってもらう事も有効な手です。
自分の反省点について考える
ネガティブな理由で異動を希望していた場合、自分の反省すべき点は何だったのか、同じことを繰り返さないためにしっかり反省することも必要です。
自分に理由がない場合でも例えば、部署内の人間関係で悩んでいた、打ち解けられなかったなどで、上長として尽力できるポイントがなかったのか模索することで今後に生かしていくことができます。
受け入れ異動を検討し丁寧に扱う
ネガティブではない理由での異動希望であった場合は受け入れ、しかるべき部署に異動を検討してもらうようにします。
結果として希望通り異動ができてもできなくても、異動を願い出た部下に対してあからさまに態度を変えたり、突き放すような言動は避けてください。
上司としてのあなたの周りからの評価を下げるだけでなく、「あんな上司じゃね…」といわれかねません。
異動させたくない部下に対して部署異動希望を取り下げる方法
異動を希望してきた部下が、あなたにとって絶対に手放したくない人材であることもあるでしょう。
絶対にできるというものではありませんが、以下の方法を試すことで部下の異動願いを取り下げてもらうことも可能なケースもあります。
- 否定せず親身に部下の話を聞く
- 問題・悩みを把握できていなかったことを謝る
- 改善案はないか検討し提案する
①否定せず親身に部下の話を聞く
会社の都合や部署の都合などといったワードで引き留めるのは逆効果
”とにかく聞く。せかさない。説得しようとしない。”のもポイント。
②問題・悩みを把握できていなかったことを謝る
上司が部下に頭を下げるというのは部下にとって、とても印象に残ります。
『そうまでしてくれるのならこの人の話を聞いてみよう、自分の悩みを打ち明けてみよう』と思い直してくれるきっかけにもなりえます。
③改善案はないか検討し提案する
例えば希望していた部署に配属されなかったことが原因のこともあるでしょう。
会社としては色々な経験を積んで成長してほしい、当人の適性が今の部署に特に高いと評価されたことで希望と違う配属先になっていることもありますが、そのあたりのことも一度話してみるのもよいですね。
ただしそこで説教くさくなってしまうのでは意味がありません。あくまでも当人のやる気を引き出し、引き留めることが目的で話しているのだということを忘れないようにしましょう。
「どうしたら部下のモチベーションを引き上げることができるだろうか…」ここが一番のポイントです。
最後に「自分がどうしても部下に残ってほしい、と思っている」ということを真摯に伝えるのも大切です。
必要とされている、ということを言われるのをうれしく思わない人もそういません。
部署異動を希望する部下が直前に取る前兆
上司としては自分の部署から異動してほしくないメンバーを手放さずにすむ方法を事前に知っておきたいですよね。
多くの方は「どうして急に異動したいなんて!!」とショックを受けています。
ですが異動を希望している部下にとっては急なことではなく、長く悩んだ末にだした結論なのです。
部署異動を考えるきっかけになりやすい出来事や、前兆になる変化を知っておくことで事前に対策も打ちやすくなります。
- 業務内容や部署内のメンバーに長い期間なじめずにいる
- いつも表情が暗い・目に力がなく批判的な言動がある
- 結婚・出産・介護など家庭の事情の変化があった
- 部署内のメンバーとの関わりが消極的になった
- 別部署の人と急に絡むことが増えた
- 頼んだわけではないのにマニュアルなどの作成を始めた
- 積極的に周りのメンバーに自分の作業を教えるようになった
それぞれについて掘り下げてみていきましょう。
業務内容や部署内のメンバーに長い期間なじめずにいる
これは前兆、というよりも部署異動を希望するきっかけになるポイントです。
早めに把握することができれば対策をし、働きやすい環境にする手助けをすることもできます。
中には「希望通りの部署に配属にならなかった」というだけでなく、どうしても業務内容がなじまない、適性がないのではと悩んでしまっていることもあります。
上司として業務を当人に対して分かりやすく教えたり、他メンバーとの連携をとりやすくするなどの働きかけをしてみるということも効果を発揮することも。
また部署内のメンバーとなじめていない、というのももともと人付き合いが苦手で打ち解けられずにいたりすることもあります。
業務を円滑に進めるためにも他メンバーとの関わり合いがしやすい環境にするというのは上司の腕の見せ所です。
わからず立ち止まってしまう業務があるときには、「これはあの人が詳しいから聞いてみよう」、など仲介してみるのも一手。
普段から少し会話を多くしてみて、同じ趣味や興味を持っている他のメンバーとの会話を促してみたりするのもよいですよね。
時にはランチや飲み会などを作って打ち解けられるようはかってみるのも効果的な場合も有ります。
いつも表情が暗い・目に力がなく批判的な言動がある
既に悩みどうしたらよいのか…鬱屈とした気持ちを抱えている部下に見られるポイントです。
部下のマネジメントも上司の大切な業務の一環。
「元気がないようだけど何か悩んでいたりする?」などマンツーマンで会話をしてみる、1on1を実施してみるのもよいでしょう。
批判的な言動が多いというのは性格的なものも考えられますが、とにかく不満がたまっていてそうなってしまっているケースもあります。
まずは聞きに徹して話を聞いてみる、悩みを把握できたら改善策を一緒に考えてみるというのも部下の立場からするとありがたく感じられることも。
結婚・出産・介護など家庭の事情の変化があった
異動を希望する理由として、身の回りの環境の変化がありどうしてもという場合もあります。
結婚した、介護が必要な状況になってしまった、出産のため、育児の関係でどうしても今のままでは厳しいという事情の場合には、本人の働き方を変えざるを得ないことで異動を希望することもあるということを理解し、今後の希望をヒアリングしてみましょう。
例えば残業ができないのか、いざというとき休めないポジションは無理だから、という話の場合もあれば、引っ越しが絡むため通える範囲で別の事業所に移動したいということもあります。
今のままで仕事をしてもらえる可能性はないのか、ヒアリングしながら会社として可能な限り対策を提案してみることも有効かもしれません。
部署内のメンバーとの関わりが消極的になった
今まで部署内でも快活にふるまっていたメンバーが急に消極的になった、という場合注意が必要です。
プライベートでの悩みの場合も有りますが、部署内もしくは業務上の悩みを抱えていることも考えられます。
まずは1対1で、他メンバーの目のない場所を選び話をしてみましょう。
会議室に呼んで…というと逆に構えてしまって話しずらいこともあります。
喫茶店やレストランなどに呼んで話を聞くことから始めるのをおすすめします。
別部署の人と急に絡むことが増えた
部署異動を考えている状況で、異動希望先のメンバーから情報収集をしたいということもあります。
今まで目立つことのなかった他部署のメンバーとの関わりが急激に増えたな、というときには部署異動を検討している可能性があることも考えておきましょう。
このような場合、悩みがあるというよりももともと希望していた配属先ではなかったり、スキルアップのため他部署への異動を希望していることもあります。
ヒアリングする場合には、なぜ異動を希望しているのかという部分をしっかりと聞くようにしましょう。
頼んだわけではないのにマニュアルなどの作成を始めた
これは他部署への異動、もしくは退職(異動希望が通らなかった時に、という場合も含みます)を考えている人材に多くみられる行動です。
自分の作業を引き継ぐための行動を起こすということは、責任感も強く前向きな性格でもあり、仕事も頼れる人材かもしれません。
それゆえ向上心も強く部署異動を希望しているケースもあることも理解しておくことも大切です。
積極的に周りのメンバーに自分の作業を教えるようになった
マニュアル作成と同様に、すでに異動や退職を前提に行動し始めている兆候です。
併せて他部署のメンバーとのやり取りや、自席を外して電話をすることが増えているなどの兆候もある場合もあります。
気になる場合には話しやすい状況下でマンツーマンで話を聞いてみるのもよいでしょう。
仮に退職を考えている、という場合には早期に把握しておくことで部署内でゴタゴタしないよう対策することもできますし、まだ悩んでいる段階であれば改善策を打ち立てて引き留められる可能性もあります。
まとめ:部署異動を希望する部下の前兆を察知してネガティブな部署異動を回避しよう!
部下当人にとってポジティブな部署異動を希望している場合、上司としては応援して後押ししてやりたい!ということもありますよね。
家庭の事情などでどうにもならないから、などの場合もありますが、ネガティブな理由での部署異動願いについては部署内の今後のためにも、当人のためにもきちんと改善策を打ち出し実施していくことも大切。
業務だけでなく人的なマネジメントも上司の大切な業務のうち。
日頃から部署内のメンバーを気にかけておくようにすると、予兆を見逃すこともありません。
部署内の空気が最近よどんでいるな…と気づいたときにはすでに事態は悪い方向に転がりだしているもの。
早めに気付けば深刻な状況になる前に対策し、ネガティブな異動を減らすこともできるはずです。