成長しない部下に見切りをつけるポイントと退職勧告を促す方法を紹介
『自分のチームに問題ばかり起こす部下がいるがどうしたらよいのか…』
『周りの上司はどのタイミングで部下に見切りをつけるんだろう…』
このように悩まれている上司の方はたくさんいます。
そこで今回は、「見切って良い部下」「見切ってはいけない部下」を明確に判断するためのポイントを解説し、「見切るべき部下に取るべき退職勧告までの行動」についても解説していこうと思います。
問題を感じていても、見切らず成長させることができたら理想ではありますよね。とはいえ、どうしようもない部下に時間を費やしてしまうのも悩ましいです。
今回の記事で、悩ましい線引きはどこにあるのか、明確にしていただけたらと思います。
目次
成長しない部下に見切りをつけるポイントは?
失敗が多いから見切りをつける、というのは人材育成の観点からも良いとは言い切れませんよね。
失敗して学び成長するのが人間ですし、成長するスピードも一人一人違います。重要なのは「失敗したときどう行動するのか」というところ。
それだけでなく、将来的な戦力を失い、上司に対する周りのメンバーの信頼関係にもヒビが入りチームの空気が悪くなることもあります。
そうなってしまうことがないように知っておきたい、『部下に見切りをつけるときのポイント』について解説します。
- 失敗しても責任を認めない
- 周りの人に迷惑をかける
- 言われたことしかしない
- 後ろ向きな不平不満が多い
失敗しても責任を認めない
失敗したときに見るべきポイントは、『素直に認め今後に向けて反省できるか』です。
自分のせいではない、と環境のせいにしたり他のメンバーのせいにするのは論外ですが、失敗しないために助言をしても受け入れないというのも問題です。
このような場合には、反省がない以上成長も見込めず、チーム内の空気を悪くする原因にもつながっていくリスクがあるため、見切りをつけるに十分と判断できるでしょう。
周りの人に迷惑をかける
絶対に人に迷惑をかけずに生きていく、というのが難しいことは誰もがわかっていること。
ここでお伝えしているのは、「許されない範囲で」人に迷惑をかけ続けるタイプの部下です。
酷い場合には「自分の作業を人に押し付ける」「面倒な作業は人に押し付ける」といった実害が発生しているケースもあります。
悪意があってしているケースも多いですが、悪意がなかったとしても人に迷惑をかけ続けて仕事をするメンバーがいるということは周りの士気も確実に盛り下げます。
そのような部下を放っておけば上司に対する信頼もなくなりかねませんので、このような場合もしっかり見極め見切りをつけることも大切です。
言われたことしかしない
最近増えてきている、と懸念されてもいますが「自分で考えて行動できない」人は成長があまり見られません。
指示されたことを事務的にこなすだけなので、思わぬトラブルがあった時、応用すればできることでもできない事が多く、能動的に行動することができません。
このタイプの1番の問題は、言われたことをするだけなので、覚えも悪いということ。
自分で工夫したり試行錯誤して身につける事で覚えていくので、覚えることができないのです。
自分で考えて行動できるように教育しても変わらないのであれば、今後も変わらないということで早めに見切りをつけることも必要です。
後ろ向きな不平不満が多い
会社やチームを良くする為に言いづらい事でもきちんと発言できる人材は大切です。
ですが、自分の為だけに不平不満を常に漏らしているようなメンバーが居るなら要注意。
こういったメンバーがいると周りの士気をそいだり、空気が悪くなるなどの弊害が出ます。
またこのタイプは自分のことしか考えていない為、チームや組織にとってプラスに働くこともありません。
見極めポイントとしては、そのメンバーの発する不平不満が周りの為になることなのかどうか。
周りに悪影響を及ぼすのであれば、見切りをつけるのに十分であると判断して良いでしょう。
成長が見られなくても見切るべきではない部下のタイプは?
失敗したから見切りをつけて良いか、というとそうではありません。人は失敗を経て学び、成長していくもの。
「ビジネスでそんな甘い事は言っていられない!」という考えもあるかも知れません。
もちろん先に解説したような見切りポイントにも該当するのであれば早めに見切りをつけることも必要でしょう。
ですが、見切ってばかりでは思わぬところに潜んでいた成長株を見つけられず逃すことになります。
磨けば光るダイヤの原石を見逃さない為に、見切るべきではない部下のタイプについても見てみましょう。
- 能動的なタイプの部下
- 明確なやる気・向上心のある部下
- ゆっくりでも着実に成長している部下
- 失敗から学びを得ている部下
能動的なタイプの部下
自分で考えて行動できる、そうしようとしている部下を早い段階で見切ってしまうのは、後々の損失につながりかねません。
前述の見切りをつけるべきポイントに該当していないが自分で考え動くことができる部下については、今後の成長を見込み教育する価値が十分あります。
自分で考えて行動するからこそ失敗してしまうことも多く、人よりも動くタイプだからこそ失敗回数が多く見えてしまうこともあります。
しかしながら、能動的なタイプの部下には挑戦した数をしっかりと評価し成長を促す事が重要です。
明確なやる気・向上心のある部下
やる気があるのに空回りしてしまう…そういうこともあるのはこれまで努力してきた方には実感があることではないでしょうか?
成長過程にある部下を、失敗したからといって見切ってしまうのも時期尚早です。
失敗してしまったとしても、その過程やその後の行動をしっかり見て判断しましょう。
『もっと仕事ができるようになりたい!』という意思が明確に感じられるかどうかがポイントです。
ゆっくりでも着実に成長している部下
成長スピードの速い遅いは個人差が大きな部分でもあります。
仕事なのだから早く会社の利益になってほしい、そう思わない上司はいませんから、成長が遅すぎる部下にヤキモキしてしまう気持ちはわかります。
ゆっくりと、しかし確実にできることを増やしていくタイプは、身に着けたことを忘れないというのも大きな強み。
反対に、仕事のスピードは速いけど前に教えていたことを忘れてしまうタイプもいます。
大器晩成型の部下をきっちり育て上げることができれば、心強い人材に成長してくれることは間違いありません。
失敗から学びを得ている部下
失敗は多いかもしれません。このタイプは能動的なタイプの部下に多い可能性も高いです。
失敗が多くミスばかりが目立ってしまうようにも感じられるかもしれませんが、失敗して終わり、ではなくきちんと反省して成長につなげることができるタイプは時間がかかってもしっかりスキルを身に着けてくれることでしょう。
見極めるポイントは「同じ失敗を繰り返してしまうことがないかどうか」です。
失敗してしまった、次に同じことをしないためにどうしたらよいかを考え、対策を自力で考え行動することができる部下を早い段階で見切ってしまうのはもったいないことです。
成長しない部下に見切りをつけて退職勧告をする方法
仕事ができない部下でも、一方的に見切りをつけて辞めさせてしまうというのは社会的にも問題になってしまいます。
解雇するには相応の理由が必要で、「客観的・合理的理由もあり社会通念上相当である」ということが認められる必要もあります。
今はネットで個人が情報発信することも活発な時代で、場合によっては会社として風評被害を受ける可能性も考えなくてはなりません。
お互いに納得の上退職という運びに持っていくことができるかどうかがポイントになります。
どのような手順を踏むべきか、チェックしていきましょう。
- 会社として考える当人の問題点を明らかにし通告する
- 問題点を明らかにできる業務・課題を与える
- 1,2を数回繰り返し指導し記録する
①会社として考える当人の問題点を明らかにし通告する
まずはじめにどのような点が問題がある、と考えているのかを明確に洗い出しましょう。
業務ができないから、コミュニケーション能力不足だから、では漠然としてしまいますから、「あなたの作業だけが遅れている事でチームメンバーのリソースが無駄になっている」といったような具体的な問題点としてピックアップするようにします。
そのうえで、面談を行い本人にしっかりと問題点を伝えましょう。これが第一段階です。
②問題点を明らかにできる業務・課題を与える
次に、問題点を明らかにできるような業務や課題をこなしてもらいます。
ここで改善するのであればまだ見切るのは時期尚早と判断する必要があります。
明らかに辞めさせたいという意思を感じさせるようなやり方では、ハラスメントになってしまいかねませんので、気をつけましょう。
③1,2を数回繰り返し指導し記録する
たった一度の面談や指導で退職勧告をすることはお勧めできません。
本人にも納得してもらい、会社としても誠意をもって対応したことを証明するためにも複数回繰り返してきたが、改善されなかったという記録を作ることも大切です。
何度も繰り返し注意し、改善のための課題を与えたがクリアできていないということをもって退職勧告の運びとしましょう。
自分から退職の意思を持ってもらうためにも、日常的に細やかに、しかし丁寧に注意と指導をしておくということも大切です。
まとめ:部下に見切りをつける前に成長機会を模索してあげよう
一度は正式に雇い入れた部下です。
できない、なかなか成長しないからと早めに見切りをつけてしまうのは後々の損失にもつながっていきます。
こちらで解説させていただいたように、見切ってしまってはいけないポイントを把握していただきながら、問題のある部下に対してはきちんと見極め正しい行動をとりましょう。
成長スピードが遅くても着実に成長する部下、失敗から学び能動的に行動できる部下、一見問題があるかに見えてしまう部下こそきちんと成長させていくことで確実に会社を支えてくれる存在になります。
逆に問題のある部下を放置してしまうことで上司としての周りからの信頼が損なわれたり、周りのメンバーの士気がそがれてしまうのは避けたいところ。
見極めるべきポイントをしっかり押さえていただきながら、前向きなチーム運営に生かしていただければ幸いです。