エイジハラスメントとは?ドラマでも話題になった年齢差別の実態とは
職場で起こり得る問題のひとつとして、近年「エイジハラスメント」に注目が集まっていますが、有効な対策等は実行できていますでしょうか。
年齢という誰もが持つ軸としたエイジハラスメントは、さまざまなケースによって従業員の心を傷つけるため、きちんとした知識と対策が企業に求められるのです。
こちらではそんなエイジハラスメントについての基本を把握し、具体的な事例と共に対策方法を考えていきます。
社内でエイジハラスメントが大きな問題となる前に、こちらで年齢差別による問題点を確認しておきましょう。
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目次
エイジハラスメントとは?
そもそもエイジハラスメントがどういう意味を持つのかを知らなければ、有効な対策を講じることはできません。
基本的なポイントと、今話題になっている理由を確認して、エイジハラスメントに対しての理解を深めていきましょう。
1.元は中高年に対する差別、嫌がらせ問題
エイジハラスメントは元々、中高年に向けての差別や嫌がらせ問題に対して使われていた言葉です。
Age(年齢)+Harassment(嫌がらせ)が合わさった言葉であり、セクハラやパワハラといった数あるハラスメントの一種となっています。
「あの人は年だから使えない」「もう少し若かったらよかったのに」といった形で、年齢を理由に差別や悪口を言うことがエイジハラスメントの主な内容で、男女問わず対象となるのが特徴。
何気ない言葉でもエイジハラスメントの範囲に入ることもあるため、事前にその具体的な内容を理解しておくことが重要となります。
「自分は関係ない」と考える人が増えないように、全ての社員が加害者になる可能性があることを周知して、エイジハラスメントの問題を取り扱っていく必要があるでしょう。
2.若い女性に対する差別問題が話題に
近年エイジハラスメントが注目された背景には、若い女性に対する差別問題が存在しています。
女性の活躍が広がる現代では、「女性であること」と「若いこと」を理由に差別されるケースが多く、理不尽に仕事が奪われることもありました。
特にこれまで女性が携わらなかった分野では、若い女性を対象としたエイジハラスメントが横行しやすく、加害者も無自覚であることが多いです。
職場を見直して無意識でのエイジハラスメントがないか確認し、若い女性が働きやすい環境ができているか判断してみましょう。
若い女性への差別や嫌がらせだからといって、加害者が男性だけになるとは限りません。
同性からの言動であっても、本人がエイジハラスメントを感じることがあれば、女性もまた加害者になる可能性があるのです。
悪意がなくても若さや年齢をきっかけに差別的な言動を行なってしまうことはあり得るので、性別に関わらずエイジハラスメントに対しての注意喚起を行う必要があるでしょう。
3.エイジハラスメントを題材にしたドラマによって認知度が急上昇
2015年に放映された武井咲主演の「エイジハラスメント」というドラマによって、エイジハラスメントはいっきに知名度を高めました。
若さと美しさを持つ新入社員に対して差別やいじめが行われるドラマの内容は、多くの企業にエイジハラスメントの問題点を突き付ける形となり、その重要性が取り上げられるようになったのです。
以降、エイジハラスメントには若い女性に対しての差別的な言動も含まれると認知されるようになり、各職場での意識が高まることになりました。
エイジハラスメントの実態とは?具体例で解説
エイジハラスメントは多くの職場で日常的に行われている可能性があるため、どの企業も定期的にその実態を把握することが望ましいです。
以下でエイジハラスメントにおける具体例を確認し、自社で似たような事例がないかチェックしてみてください。
中高年向け:年齢を理由に結婚の質問をされるエイジハラスメント
「もういい年なんだから、結婚しないと」「どうして結婚しないの?」といった、年齢を理由に結婚について質問するようなケースも、エイジハラスメントに認定される可能性があります。
「若い=結婚に興味がある」という決めつけは、結婚したくない人やそれについて悩んでいる人の気持ちを傷つけることがあるため、全ての職場が注意するべきエイジハラスメントです。
また、結婚をしている人に対して出産を促すような言動も、エイジハラスメントを疑われます。
プライベートのなかでも特にデリケートな部分となる結婚や出産に関しては、慎重になる必要があるでしょう。
中高年向け:呼び名に関するエイジハラスメント
「おじさんだからね」「おばさんなんだから」といった形で、年齢を理由に個人を否定するような言動も、エイジハラスメントの一種です。
年齢が高い相手に向かっておじさんやおばさんといった呼び名を使うことはトラブルの原因となるため、どれだけフレンドリーな職場でも敬意を持って接することを徹底させましょう。
実際の年齢に関わらず、「おばさんっぽいね」「おじさんみたいな服だね」といった形容をするのも、エイジハラスメントになり得ます。
おじさん、おばさんといったワードには好意的な印象が少ないため、なるべく使用を控えるのがエイジハラスメントを抑えるコツです。
若い女性向け:若さを理由に仕事をさせないエイジハラスメント
若い女性であることを理由に仕事を回さないことも、エイジハラスメントにあたります。
「ミスすると困るから」「この仕事は無理だろうから」といった感覚でいると、相手に不快感を与えてしまうかもしれません。
その人にふさわしい仕事を与え、適度にサポートをすることで、エイジハラスメントを防ぐように心がけましょう。
逆に不可能な仕事を与えたり、無理難題を押しつけたりすることは、パワハラとして認定される可能性があります。
エイジハラスメントと合わせて、パワーハラスメントにも注意しておくことが、円満な職場を作るポイントになるでしょう。
若い女性向け:世代を理由に決めつけるエイジハラスメント
エイジハラスメントの中には、「〇〇世代だから」などの年代で相手の性質を決めつけることも含まれています。
世代が違うからと仲間外れにしたり、「ゆとり世代は態度が悪い」と勝手な主観を押し付けたりすると、問題になる可能性があるでしょう。
あくまで個人を尊重するように努めて、世代による決めつけを避けるようにするのが大切です。
「若い女性」という情報だけで世代によるカテゴライズをしないで、本人の性質や性格を見るように職場全体に促しましょう。
人事が取るべきエイジハラスメントへの対処法、予防策とは?
エイジハラスメントの重要性を理解してもらう
人事がエイジハラスメントへの対処・予防を行う際には、まずは何よりも職場全体にその「重要性」を理解させることが優先されます。
エイジハラスメントがどうして社会問題となっているのか、なぜ企業にとって真剣に取り組むべき存在となっているのかを、具体例を交えて伝えていくようにしましょう。
従業員それぞれがエイジハラスメントを認識できるようになれば、個々で言動を注意し合い、問題が発展することを避けられるようになります。
エイジハラスメントに関する認識を共有する
些細な言動もエイジハラスメントに分類される可能性があるため、従業員全体で同じ認識を持つように努め、注意すべき言葉や考え方を共有することが大切です。
可能であれば勉強会などの時間を設けて、エイジハラスメントを含めたあらゆるハラスメントについての認識を改めてみることもおすすめされます。
従業員とコミュニケーションを図り、社内におけるエイジハラスメントの実態を確認することもポイントです。
個人によってエイジハラスメントを感じる境界線は変わるため、ヒアリングによって社員ごとの感覚を把握することも予防につながります。
もしエイジハラスメントが起きたときには
もしエイジハラスメントが見つかった場合には、人事が間に入って聞き込みを行い、加害者に対しては指導を、被害者に対しては心理的なケアを行う必要があります。
放置することは問題をより深刻化し、最悪の場合従業員の退職などにつながる可能性があるため、迅速に対処するように努めましょう。
まとめ:エイジハラスメントは企業ごとに対応していくべき問題!
エイジハラスメントは、全ての職場に関係のある問題であり、今後も適切な対応が求められる課題となります。
この機会に詳細や事例をチェックして、職場でエイジハラスメントが起こらないように目を光らせていきましょう。
エイジハラスメントを軽くみることは、従業員を軽視することと同義となるため、会社全体のモチベーションを低下させることにもなりかねません。
事業の生産性を損なわないためにも、エイジハラスメントの予防と対処は率先して行うことがおすすめです。