スメハラとは?ワキガ、口臭、体臭がもたらす職場問題への対処法

匂いによるハラスメントだ、と話題になることも増えたスメルハラスメント。
何となく「クサイですよ」とは言ってはいけないという意識があるからこそ触れ辛い問題になってしまうことも多いもの。
とはいえ、社内の雰囲気も悪くなったり、最悪の場合企業イメージまでダウンしてしまうこともあり、「清潔感を意識するように」という遠回しな啓蒙では効果がないことが多いですよね。
触れ辛い問題でも放置はできません。
ここではスメルハラスメントに人事としてどのような対策ができるか、具体的かつ行いやすい方法をまとめています。
意外なものもスメルハラスメントとして周囲を困らせてしまうこともあるので、どのようなものがスメルハラスメントといわれているのかも詳しく解説します。
様々なスメルハラスメントに有効な策を学び、社内の雰囲気良化、働きやすい環境を整備していきましょう。
おすすめ記事:【組織作り】企業戦略をスムーズに実行できる組織の作り方
スメハラとは?
スメハラはスメルハラスメントの略で、直訳すると「匂いによるハラスメント」のことです。
匂いにもいろいろな種類があり、中には本人に指摘しずらいものも多く、対策が打ちにくいと考えられているケースも多いのではないでしょうか。
ですが人間の嗅覚というのは思っているよりも敏感で、中にはにおいのせいで体調を崩してしまう人もいるのです。
実害があろうとなかろうと、社会人として生活する以上「周りに迷惑をかけるような状況」は好ましくはありません。
まずはどのようなスメハラがあるのか、代表的なものをみていきましょう。
代表的な8つのスメハラ
スメハラには、話題にもなりやすい「不潔感のあるクサイ臭い」で困るタイプのものと、一般的には良い香りと考えられている意外なものによって困らせてしまっているタイプのものがあります。
ここでは代表的な8つのスメハラを紹介するので、参考にしてみてください。
- 体臭によるスメハラ
- 口臭によるスメハラ
- 汗によるスメハラ
- 煙草によるスメハラ
- 香水によるスメハラ
- 柔軟剤によるスメハラ
- ワキガによるスメハラ
- 加齢臭によるスメハラ
1.体臭によるスメハラ
汗をかいたり、もともの体質で体質がきつくなってしまう人もいます。
オフィスなど密室では湿度や温度の関係もあって匂いが周囲に充満してしまうことがあります。
また、単純な体臭ではなくいわゆる「不潔臭」でお風呂に入っていないことにより匂ってしまうケースも。
体臭とは少し違ってしまいますが、お風呂に入らないのと同じで洗濯しない、洗濯ものから生乾き臭がする方もいますね。
不潔にしていることから周りに迷惑をかけてしまうケースです。
2.口臭によるスメハラ
これも不潔臭と一緒に語られることも多いケースですが、口臭というのは意外と本人が気づいていないことも多いもの。
歯磨きをしていない人、体質により口臭がきつい人など様々ですが、口臭により取引先にもマイナスイメージを持たれてしまうことがあれば、企業としてもダメージを受けることにつながります。
「口臭くらいで?!」と思ってしまったなら要注意。
清潔感の感じられない人物は信頼できないと考える人は多くいます。
3.汗によるスメハラ
汗は人間ならだれでもかきます。
それでも個人差が大きく出ますが、「汗臭い!」というのは気になってしまうと業務効率にも大きく影響する問題になってきます。
汗をかいたときの正しいケアで、汗をかいても清潔感を保つことは十分にできますので、対策可能な問題と認識しておきましょう。
4.煙草によるスメハラ
タバコは副流煙の問題でも騒がれましたが、独特な臭いもしてしまうものです。
吸った本人は意外と気にならないことも多いのですが、周りには吸ったなということが時間がたってもわかるほど匂ってしまっていることもあります。
洋服や髪の毛、そして当然ながら口臭としては特に長く匂ってしまうのでオフィス内だけでなく取引先との打ち合わせなどでも気を付けておきたい問題です。
5.香水によるスメハラ
香水は適度に香れば良い香りとして認識されるものですが、時折においがきつすぎることもあります。
中には嗅覚が敏感すぎて弱い香りにも弱いのだ、という方もいらっしゃいますが、一般的な常識の範囲内で香る程度につけることで香りを楽しみながら使う事も可能なもの。
歩いたあとの道筋がわかるほど香ってしまっていたりする場合には、対策も他のスメハラと比較しても取りやすいのではないでしょうか。
6.柔軟剤によるスメハラ
柔軟剤は着心地を良くしてくれるだけでなく、良い香りが楽しめる優れものです。
ただ、規定量以上を入れると香りがきつくなってします。
本人は慣れてしまって気が付かないこともありますが、強い香りが苦手な人にとっては辛い環境となってしまうこともあるので、気付きが必要な場合もあります。
7.ワキガによるスメハラ
体臭でもありますが、特に臭いがきつい、ということで満員電車などでのトラブルとして話題に上ることも多くあります。
ワキガは体質にも関連することはありますが、基本的には清潔な状態をキープすることで軽減することは十分に可能です。
デオドラントグッズなどでも気軽にケアできるものなので、気付いていない人や気にしていない人に対してもケアを促すことも可能な問題です。
8.加齢臭によるスメハラ
男性だけでなく女性でも加齢臭がしてしまうことはあります。
ですので男性の問題としてだけではなく、加齢臭の対策を促すことも大切です。
本人は気づいていなくても周りには匂ってしまうこともあるものなので、周囲に不快な思いをさせないためのエチケットとして対策を打ち出してみましょう。
人事によるスメハラの対処法とは?
近しい席・部内などでは指摘しづらい、でも辛い!!と苦しんでいる労働者の窓口になることが多いのは人事です。
スメハラの原因となってしまっている本人を傷つけることなく、周りに不快な思いをさせないための対策をどのように進めていけばよいか、難しい問題に頭を抱えてしまうことも多いでしょう。
ここではいくつか具体的な1企業の人事としてできうる、スメハラ対策について紹介していきます。
参考にしてみてください。
1.社内研修として身だしなみのマナーを伝える
社内研修として定期的に、身だしなみのマナーの一部としてスメハラというものについて言及する方法があります。
スメハラだけを取り上げるのではなく、企業として対外的なイメージを悪くしないため、そして一緒に働く仲間に不快な思いをさせてしまうことが無いように対策すべき問題としてスメハラを取り上げてみましょう。
スメハラにより起こりうる周囲の問題、ストレス過多や鼻づまり、吐き気などの問題が起こること、そして本人は気付き辛い問題でもあることも触れても良いですね。
2.社内広報でスメハラ問題の認知を広める
ハラスメントについて企業内で広く認知させるために社内広報を使ってスメハラ問題に触れることも有効です。
ただし、臭いに敏感ではない人は周囲へに対しても細かいところまでは気遣いができないタイプも多いということも忘れずに起きましょう。
周りに気が配れない=周囲にあまり興味がない=社内広報もあまりチェックしていないことなどもあるので、社内広報を視認しやすい環境も併せて整える必要もあるかもしれません。
スメハラというものをよりわかりやすく画像なども取り入れながら
- 周りにどれだけ迷惑をかけてしまうものなのか
- 対策はどのようにとれるのか
- どうすれば自分がスメハラの原因になっていると気付くことができるのか
など具体的な対策を掲載してみましょう。
3.仲の良い同僚などに直接伝えてもらう
友人同士なら指摘しやすいと思えるスメハラの場合、同僚に指摘してもらうという事で注意が向けられる場合もあります。
香水・柔軟剤・タバコ等、あまりセンシュアルになってしまうことがないものなら指摘しやすいでしょう。
体臭・加齢臭・ワキガ・汗などとなるとさすがにちょっと言いづらい場合もあるかと思いますので、ケースバイケースで考えていきましょう。
個人ができるスメハラ対策とは?
先ほども軽く触れましたが、「スメハラに気を付けましょう、こんなスメハラが起こりえますよ」と警鐘を鳴らすだけでは解決には至りません。
重要なのは、気付き、それに対して対策をしてもらうことでお互いに働きやすい環境を整えるという目的を達成すること。
そのためには、警鐘を鳴らしつつ、どうやれば対策ができるのかも解説してみることが重要です。
- 体臭によるスメハラ対策
- 口臭によるスメハラ対策
- 汗によるスメハラ対策
- 煙草によるスメハラ対策
- 香水によるスメハラ対策
- 柔軟剤によるスメハラ対策
- ワキガによるスメハラ対策
- 加齢臭によるスメハラ対策
1.体臭によるスメハラ対策
体臭によるスメハラは、どのような体臭なのかで対策が変わってきます。
お風呂に入っていないことでの体臭であれば、清潔感を保つためにもお風呂で毎日きれいにするということを、企業イメージダウンにならないための規則として社内規定で定めてしまうという企業もあります。
洗濯ものの生乾き臭であれば、梅雨の時期でも有効な方法として調べて掲載することもできます。
対策を打ち出しつつ、本人が気づき、周りに迷惑をかけてはいけないと認識させることも重要になるため、伝え方も大切です。
2.口臭によるスメハラ対策
口臭は色々なことが原因で起こります。
歯磨きをあまりしていないなら歯磨きをすべき、で良いかもしれません。
そうではなく、ストレスや口の中が渇いてしまうことでも口臭が強くなることもあります。
口の中が適度に湿り、清潔に保たれていることが重要ですから、歯磨きを習慣づける・うがいを習慣づけるなどが有効な策。
洗面所に口臭によるスメハラと対策をポスターで掲示する、昼食後の歯磨き・うがいを規則化するなども良いでしょう。
3.汗によるスメハラ対策
汗によるスメハラは本人としても気にはなっていても対策が十分にとれていない、ということもあります。
ですから汗をかきやすい春から夏の時期などには、汗で周囲や客先に不快な思いをさせないための対策として、正しいデオドラント対策を掲示したりメールで流すなども良いのではないでしょうか。
制汗剤を使う、適度に臭い対策ができる柔軟剤を使う、汗をかいたら汗拭きシートでふく、などの具体的な対策が認識できるようにしてみましょう。
4.煙草によるスメハラ対策
タバコは口臭にもなりますし、洋服や髪にもついてしまいます。
室内型の喫煙所を導入している場合にはより臭いがきつくなりがちですから喫煙所の換気を徹底する、可能なら屋外で喫煙スペースをとるのも有効です。
また喫煙後のスメハラについて認識を改めるため、喫煙所に喫煙後のうがいや歯磨きをしてスメハラにならないように気を付ける啓発ポスターを設置するなども良いでしょう。
喫煙所が室内の場合の換気の一部として、空気清浄機の導入や増加というのも一つの手段です。
コストがかかりますが、空気清浄機を入れれば職場の環境も改善されるのでスメハラ対策としてだけではないメリットもあります。
5.香水によるスメハラ対策
香水のスメハラ対策については悪臭などとは違い指摘しやすいものでもありますが、対象者によってはそうでない場合もあります。
一般的な悪臭とは違い、本人は気付きにくい場合もあるため「スメハラ」というものについてどのようなものがあり、加害者となってしまっていることがないか本人に気付きを与えられるような対策がおすすめです。
社内でスメハラについてのポスターを設置する、社内規定や研修でスメハラについての項目を設けてどのようなものがスメハラに当たるのかわかりやすく伝えるのも良いでしょう。
6.柔軟剤によるスメハラ対策
柔軟剤を使うな、ということは難しいですが香りすぎるとスメハラになる、という認識を持ってもらうことが必要なケースです。
香水と同じで、本人は気付きにくく場合によっては直接指摘しにくい場合もあり、社内でスメハラにはどういうものが該当するのか、どのような被害で困っている人がでるのかを改めて伝えることを検討しましょう。
また香水や柔軟剤が室内にこもって辛い、特に臭いに敏感な社員がいるなどの場合には室内に臭い対策のできる空気清浄機をいれるのも良いでしょう。
強い臭いがするとライトが付いて激しく吸引するタイプの空気清浄機もあるので、本人たちの気づきにもつながる場合もあります。
7.ワキガによるスメハラ対策
ワキガは指摘が難しい場合が多く、また臭いも強烈にしてしまう場合があるので難しいケースが多いでしょう。
本人に直接伝えてしまうと傷つけてしまう場合もあり躊躇してしまうこともあると思います。
ワキガ単体で啓発するというよりもスメハラとはこういうもの、ワキガも該当するということ、どうしてワキガになるのか、有効な対策と合わせて紹介するのも良いでしょう
臭いが強い分、清潔感も損なわれてしまうため社内規定としてデオドラント対策を設けるというのも有効かも知れません。
8.加齢臭によるスメハラ対策
どうしても出てしまう場合もある加齢臭も難しい問題です。
ですがお客様との打ち合わせなどでも、距離が近かったり密室ではすぐにこもってしまうこともあるので、しっかり対策をしておきたいところ。
スメハラは加害者の性格次第では「喉元過ぎれば…」となってしまうことも多いので、繰り返し啓発することも大切です。
加齢臭はしかたのないものではあるが、このような有効な対策がある、ということと合わせて啓発してみましょう。
まとめ:スメハラは対策と合わせて繰り返し啓発すべし
スメハラは対策できないものはありません。
どうしても匂ってしまうワキガや加齢臭でも十分な対策を知れば、スメハラ加害者にならずに済みます。
ポイントをまとめてみましょう。
- 社内の環境が良くなり企業イメージ・生産性がUPするので軽視しないこと
- 繰り返し啓発することが大切
- 社内規定とすることや社員研修の場を設けることも有効
- 啓発する場合は注意を促すだけでなく対策も併せて啓発する
上記のポイントを踏まえつつ、啓発はあくまでも気づいてもらいしっかり対策をとってもらうことが目的であることを忘れないようにしましょう。
例えば口臭やタバコによるスメハラは、対象者の目につきやすい洗面所や喫煙所、執務室の入り口付近などに設置しておくのも有効です。
たんなる臭いの問題ではなく、人によっては体調不良の元凶となることもあるスメハラ。
働く社員全員が気持ちよく働ける環境になるよう、ケースに応じた啓発の仕方と対策を打ち出していきましょう。