モンスター社員とは?見分け方から対処法までを解説【不当解雇に注意】

モンスター社員とは

近年は「モンスター社員」と呼ばれる従業員が、会社におけるマイナス要素となることが増えてきています。

これからの人事担当者は、会社にとってのリスクとなるモンスター社員について把握し、具体的な対応策を考えていくことが求められるでしょう。

こちらではそんなモンスター社員の基本的な情報に加えて、見分け方と対処方法に言及していきます。

モンスター社員の行動に困っている、事前にモンスター社員への対応方法を知っておきたい、そんなときは以下を参考にこれからの行動指針を決定してみましょう。

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モンスター社員とは

モンスター社員とは、企業にとって不利益となる言動を繰り返したり、トラブルの原因を作り出したりする問題要素の多い社員を意味します。

自己中心的で他者を思いやらない言動が目立つため、その他の従業員に強いストレスを与え、職場環境を劣悪なものとするきっかけになることも多いです。

常識的な態度が取れないこともあり、社内だけでなく取引先などの社外にとっての迷惑になることも。

企業にとってはリスクの塊となる可能性があるため、普段から意識してモンスター社員を見つけ出し、必要な対処法を考えていくことが必要です。

モンスター社員を抱えるリスクとは

モンスター社員を抱えてしまうと、企業はいくつものリスクにさらされることになります。

例えば職場の雰囲気が悪くなって、コミュニケーション不全となり、仕事の連携が滞る可能性があるでしょう。

他にも、生産性のない人員であるモンスター社員に対して給与を支払うことになるため、金銭的にも損失を被ることになります。

また行動的なモンスター社員の場合、理不尽な逆恨みによる訴訟なども考えられるため、多くの時間と会社の信用を失う結果になるかもしれません。

このようなリスクを持つモンスター社員を抱えたままでは、あらゆる業務にマイナス要素が含まれてしまうため、人事担当者としては一刻も早く対応したいと思われることでしょう。

そんな悩みを解決に導くためにも、以下から具体的なモンスター社員の見分け方や種類を確認してみてください。

モンスター社員の見分け方

こちらからはモンスター社員が生まれる原因と、それぞれの種類をチェックして、見分けるための基礎を確認していきます。

自社の中にモンスター社員がいないかをはっきりとさせるためにも、まずは見分けるための手段を確保しましょう。

  • ①モンスター社員が生まれる原因を理解する
  • ②モンスター社員の種類ごとに理解する

①モンスター社員が生まれる原因を理解する

モンスター社員は本人の性質以外にも、職場環境などが原因となって生まれることも考えられます。

職場への不満を攻撃的な行動で表現してしまう人が、結果的にモンスター社員となってしまうケースは多いのです。

リスクを抱えるような社員を見分けるためには、まず自社の職場環境を見直して、モンスター社員誕生の原因となり得る要素を確認していきましょう。

孤立しやすい環境や、特定の人にばかり負担が偏る職場は、モンスター社員を生みやすいと考えられます。

職場環境に馴染んでいない人や、やたら職場における不平不満を口にする人が多い場合は、今後モンスター社員が増えてしまう可能性もあると警戒すべきです。

今は具体的な問題を起こしていなくても、いずれ危険な行動に移行していくことは考えられるため、職場環境に対して浮いている社員は事前にマークしておくといいでしょう。

②モンスター社員の種類ごとに理解する

モンスター社員にはいくつかの種類があり、それぞれ言動に特徴や独自性が見られることもあります。

各タイプをチェックして、モンスター社員に気付くための知識を身につけましょう。

自分の考えが絶対に正しいと主張するタイプ

自分の意見や考えが必ず正しいと思い込む自己主張タイプは、典型的なモンスター社員となります。

このタイプのモンスター社員は、同僚はもちろん上司にも反抗的な態度を取ることがあるため、職場の雰囲気を悪くさせる原因となりやすいです。

指示通りに動かなかったり、勝手な行動で周囲を混乱させたりすることも増えるため、業務計画が狂ってしまうことも。

話し合いに応じてくれない可能性も高いことから、対応が難しいタイプだといえるでしょう。

立場を利用したパワハラを行うタイプ

ある程度の地位や役職を有しているモンスター社員は、その立場を利用したパワハラを行うことがあります。

相手が逆らわないことを理解しながら問題を起こすため、非常に悪意の強いタイプだといえるでしょう。

職場の空気が悪くなることはもちろん、パワハラの標的となっている社員が精神的な負担に悩まされることになるのが問題です。

最悪の場合、他の社員が退職するなどの事態に発展することも考えられるので、早めの対処が求められます。

家族や関係者を巻き込んで問題を大きくするタイプ

些細なことでも自身の家族や関係者を巻き込んで、問題を大きくする従業員も、モンスター社員に分類されます。

簡単な話し合いなどで解決できる問題でも、両親を介入させて企業としての謝罪や譲歩を要求するタイプなので、付き合わされると時間や労力を無駄遣いさせられてしまうでしょう。

このタイプのモンスター社員は、責任の所在を他になすりつけたり、肝心なタイミングで逃げ出したりする傾向があります。

業務上のトラブルの原因にもなりがちなので、何かと周囲の介入を促すような社員は、注意して観察する必要があるでしょう。

被害妄想で理不尽な行動を取るタイプ

モンスター社員のなかには、ありもしない事実を捏造したり、歪んだ解釈で言動を受け取ったりする被害妄想タイプもいます。

周囲の社員に迷惑をかけ、人間関係に悪影響を与えることが多いので、モンスター社員がきっかけとなって職場全体がギクシャクすることも。

被害妄想がひどくなると、企業を相手に訴訟を起こすといった攻撃的な行動を起こすこともあります。

普段の業務からモンスター社員としての兆候を把握して、早めの対応を進めることが先決です。

モンスター社員を生まないためにできること

モンスター社員を職場に生まないためには、予備軍となっている人たちに対して具体的なアクションを起こしていく必要があります。

以下のような手段を参考に、今の職場でできることを考えてみましょう。

就業規則や職場のルールを見直す

モンスター社員は現状に不平不満を覚えているケースが多いため、就業規則や職場の独自ルールを見直すことで、問題行動を抑えられることがあります。

古いまま放置されている無駄なルールなどは、社員にとってストレスの原因にしかなりません。

モンスター社員への対策を行うと同時に、就業規則から不要な内容を排除して、より働きやすい環境を整備していきましょう。

定期的な面談やカウンセリング

潜在的なモンスター社員への対応を行うためには、定期的な面談やカウンセリングを実施して、不満の種を正しく把握することがおすすめされます。

社員の意見をこまめに聞き取り、そこから職場の問題点を見つけることができれば、モンスター社員の誕生につながるきっかけを事前に積み取ることが可能です。

面談やカウンセリングを習慣化することは、適切に社員を管理するシステム作りにもなるので、継続することで多くのメリットを得られるでしょう。

モンスター社員を採用時点で見極めることはできるのか?

モンスター社員を採用時点で見極めることができれば、職場に悪影響を与えることを防げます。

以下のような特徴を持つ人は、モンスター社員の可能性が考えられるので、面接中は意識してチェックしてみてください。

他者を見下したり貶したりする

面接中に前職の同僚を貶したり、他者を見下したりする発言が見られる場合、モンスター社員としての下地を持っている可能性があります。

特に自分から積極的に誰かを貶めようとする場合は、入社してからも同様の発言を繰り返し、職場を引っ掻き回すことが考えられるでしょう。

採用段階では特に発言の性質と方向性に注意して、モンスター社員の可能性を見極めてみてください。

質問に対して明確な返答をしない

面接中であるにも関わらず、こちらの質問に対して明確な返答を行わない人は、モンスター社員となる可能性を秘めているかもしれません。

相手の話やアドバイスを無視したり、独断で行動したりする社員になることも考えられるので、受け答えの内容には特に注意を向けておきましょう。

モンスター社員への対処方法【不当解雇を避けるために】

対策を行ったにも関わらず、職場にモンスター社員が生まれてしまった場合には、何らかの対応を実施していく必要があります。

しかし、強引な対応は逆にモンスター社員を刺激し、余計なトラブルを発生させる可能性があるため、人事担当者は適切なフローを通じて問題を鎮静化させることが重要です。

不当解雇を避けるためにも、以下のように「懲戒処分」→「退職勧奨」→「解雇」といった流れを基本に、モンスター社員への対処を行なっていきましょう。

  • ①懲戒処分
  • ②退職勧奨
  • ③解雇

①懲戒処分

モンスター社員が目に余る行動を起こすような場合には、懲戒処分による制裁を段階的に実施することも検討されます。

懲戒処分にはいくつかの種類があり、社員の行動が引き起こした問題の重さに合わせて選択されるのが適当です。

制裁の軽い順番で「戒告」「譴責」「減給」「出勤停止」「降格」となり、それぞれ以下のような特徴を持ちます。

戒告:口頭による注意
譴責:始末書を提出させて、今度同じ問題を繰り返さないように誓わせること
減給:給料の一部を差し引くこと
出勤停止:一定の期間、職場への出勤を停止させること
降格:職場における役職などを無効にし、剥奪すること

これらの懲戒処分でも足りない場合は、社員と話し合ってから解雇を行う「諭旨解雇」か、企業からの決定案として通知する「懲戒解雇」も考えられます。

②退職勧奨

企業側が社員に対して退職を促し、自ら職場を辞することを勧める対応方法を、「退職勧奨」と呼びます。

社員側が納得すれば円満な退職が実現するので、法的な手段に訴える前に実施することが推奨されます。

退職勧奨を実施するには、対象となる社員と面談を行なって、話し合いから進めていくのが通例です。

高圧的な態度や理不尽な理由を突きつけると、退職の強要とみなされてしまい、企業側が不利なトラブルに発展する可能性もあるので注意しましょう。

③解雇

モンスター社員との話し合いが進まず、その後も問題行動が収まらないようなら、解雇することも考えられます。

労働契約法16条によって定められているように、「客観的かつ合理的な理由」があり、「社会通念状相当」と認められるケースであれば、解雇権を使用して従業員に職を辞してもらうことは可能です。

明確な解雇理由が散見される場合には、最終手段として解雇を行うことも検討しておきましょう。

まとめ:モンスター社員への対応方法は早めに確認しよう!

モンスター社員は、どんな職場にも誕生する可能性があるため、今は問題がないとしても対応方法を確認しておくことが求められます。

万が一、モンスター社員に悩まされる事態になってもすぐに対処できるように、具体的な手段を可能な限り把握しておくようにしましょう。

優良な社員がモンスター化しないように、事前対策を行なっていくのも、人事担当者にとっては重要な仕事になります。

現在の職場に問題がないか、もっと社員のためになる環境を作れないかを確認して、モンスター社員と無縁な会社を目指してみましょう。

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