ヒエラルキー型組織とは?意味とメリット・デメリットを解説!

組織構造は、業務を行うためにどのようなグループ分けを行うかということだけでなく業務の権限を誰がどのように持つかということでも決まります。
昔から組織でよく使われていたトップダウン型の組織構造は「ヒエラルキー型組織」と呼ばれます。
新しい形の組織構造が注目されていますが、ヒエラルキー型組織も「指揮命令系統が1つのためわかりやすい」などのメリットがあるためいまだに採用され続けているのです。
この記事ではヒエラルキー型組織とはどのようなものなのか、他の組織構造との違い、そしてそのメリットやデメリットについて解説します。
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ヒエラルキー型組織とは?
ヒエラルキー型組織は、ピラミッド型の構造が最大の特徴となっている組織です。
業務の指示がトップダウンで行われることもヒエラルキー型組織の特徴となっていて、組織のトップに近づけば近くほど業務に関する権限が大きくなっていく形でもあります。
ヒエラルキー型組織では上下関係がはっきりしていて、組織内で上位に位置する人が下位に位置する人に仕事の指示を出しその仕事を管理するというのが一般的です。
従来の日本企業の組織構造を想像してもらうのがもっともわかりやすいのではないでしょうか。
現在でも多くの会社で取り入れられている組織構造で、特に大企業ではヒエラルキー型組織を採用している場合が多くなっています。
基本的には指揮命令系統が1つであるため、規模が大きな会社を動かすのに向いている組織構造だと言えるでしょう。
ホラクラシー型組織との違い
ヒエラルキー型組織とホラクラシー型組織は正反対と言っても良いくらい、全く違った考え方の組織構造となっています。
ヒエラルキー型組織では組織のトップに近くほど権限が大きくなるのに対して、ホラクラシー型組織では上下関係が存在せずどの人も業務に関して同じ権限を有しています。
ヒエラルキー型の組織が役割分担で業務を進めていくのに対して、ホラクラシー型組織ではチームごとに仕事を分担して業務を進めていくというのが特徴です。
マトリクス型組織との違い
マトリクス型組織とは、各人が複数の所属を持った組織の形です。
例えば企画や営業、製造、広報といった役割別の所属の他に商品ごとに担当を配置し、1人がそのどちらにも所属するような組織がマトリクス型となります。
ヒエラルキー型との一番の違いは、指揮命令系統が複数あるということです。
マトリクス型組織は組織全体が大きくなればなるほど複雑になりがちなため、ヒエラルキー型と比較すると比較的小規模な会社に向いている組織形態であるといえます。
ヒエラルキー型組織のメリット
ヒエラルキー型組織には主に3つのメリットがあります。
ここまで紹介した特徴をふまえつつ、ヒエラルキー型組織のメリットについて解説します。
- 指揮命令系統がわかりやすい
- 組織の下部に位置する人にプレッシャーがかかりにくい
- 仕事に対する専門性が高まる
指揮命令系統がわかりやすい
ヒエラルキー型の組織は、トップダウン型の指揮命令系統となっていることが特徴です。
指揮命令系統が1つなので混乱しにくくわかりやすいというのが最大のメリットであると言えるでしょう。
業務の役割や責任が明確なことから企業のトップから見ると管理しやすい組織でもあります。
また、過去から現在まで企業をはじめとした多くの場所で取り入れられてきた組織形態でもあるのでなじみやすいということもわかりやすさの要因となっています。
組織の下部に位置する人にプレッシャーがかかりにくい
ヒエラルキー型組織では、組織の下部に位置する人は業務に対する権限が小さい一方で責任も小さいというのも特徴となっています。
仕事の実力に応じたポジションに配置されるというのが一般的な方法となっていて、特に組織の下部に位置するうちはプレッシャーがかかりにくいというのもヒエラルキー型のメリットです。
なるべく部下にプレッシャーを与えることなく、トップの意向を組織の隅々まで反映させながら業務を進めたいというときにはヒエラルキー型組織を選択してみるのが良さそうです。
仕事に対する専門性が高まる
ヒエラルキー型組織では、業務を機能的に切り分けて役割分担を行います。
そのため、仕事に対する専門性が高まりやすいというのもヒエラルキー型組織のメリットとなっています。
各々の専門性が高まることは業務の効率化にもつながります。
また、同じ役割を持った人と一緒に業務を進めることで仕事に対する知識の共有をしやすくなるというメリットもあります。
周囲の人と同様の仕事をしていることでそれぞれの業務内容を把握しやすく、何かあったときにお互いをフォローしやすい体制でもあります。
ヒエラルキー型組織のデメリット
ヒエラルキー型組織にはメリットがある一方でもちろんデメリットもあります。
デメリットを知ることは、そのデメリットを避けながらの運用ができる可能性を高めます。
より良い組織運営をするためデメリットについても知っておきましょう。
- 組織が硬直化しやすい
- 意思決定に時間がかかりやすい
- 中間管理職が多くなりがち
組織が硬直化しやすい
ヒエラルキー型組織では、役割によって仕事を分担しながら業務を進めていきます。
そのため各人がそれぞれの立場から見た考え方に偏りがちになり、組織が硬直化しやすいと言われています。
さらに、トップダウン型の指揮命令系統は上から下に情報をおろしていくのは比較的簡単ですが下から上への意思疎通が難しいという欠点もあります。
そのことも、組織の硬直化を招く要因となります。
社員からどんどんアイディアを出してもらいながら組織を運営していきたいという時にはあまり向かない組織構造だと言えるでしょう。
意思決定に時間がかかりやすい
ヒエラルキー型の組織構造では、意思決定に時間がかかりやすいということも欠点となっています。
意思決定に時間がかかる理由としては、1つの物事について決定権者まで構造をさかのぼって承諾を得なければならないためです。
また、それぞれの部署などによって業務に対する見方が異なるためとある部署からぜひ進めたいとアイディアが出ても別の部署からは異論がでたりといった齟齬も起きやすく、そうした場合の調整も必要になります。
中間管理職が多くなりがち
ヒエラルキー型組織では、部下を管理することが必須となります。
そのため、同規模の他の組織と比較すると中間管理職が増えがちだというデメリットもあります。
中間管理職が多いということは、その分だけ社員管理に時間や手間がかかっているということと同義です。
できれば、社員の管理よりも本来の業務にリソースを割いた方が良いのは当然ですよね。
また中間管理職は一般的にストレスが多いポジションだとも言われていますから、社員のことを考えた時にも中間管理職が多いということはデメリットになります。
まとめ:ヒエラルキー型組織はトップダウン
ヒエラルキー型組は、ピラミッド型の組織構造とトップダウン型の指揮命令系統が特徴となっています。
指揮系統がわかりやすかったり各人の業務に対する専門性が高まりやすいといったメリットがある一方で、組織が硬直化しやすかったりといったデメリットもあります。
昔から企業をはじめとして仕事をする時にはよく使われていた組織構造であるためなじみやすく、トップの考え方を大きな組織に伝えて業務を遂行したいという企業に向いています。
逆に、社員からたくさんのアイディアを出してもらってイノベーティブな仕事をしたいというときには他の組織構造を採用した方が良いでしょう。