プロジェクト型組織とは?メリット・デメリットを一般的な組織と比べて解説!

プロジェクト型組織は、システム開発をする会社で多く取り入れられている組織構造です。

各部門からピックアップしたメンバーによってプロジェクトチームを作り、そのプロジェクトが終われば解散するというのが一般的な形です。

プロジェクトマネージャーの権限が大きいことが特徴になっていますが、それによるメリットもデメリットも持ち合わせています。

この記事ではプロジェクト型組織とは何かということに加えて、そのメリットやデメリットについても解説します。

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プロジェクト型組織とは?

プロジェクト型組織とは特定の目的を達成するために専門スキルのあるメンバーを集めてプロジェクトを遂行していくような組織構造のことで、システム系の会社でよく用いられています。

メンバーは各部門からピックアップして選ばれることもあれば、プロジェクト以外の所属を持たず常にいずれかのプロジェクトに所属しているという組織構造になっている場合もあります。

また、場合によっては社外から特定プロジェクトのために参加者が招かれることもあります。

いずれにしても、プロジェクトを統括するプロジェクトマネージャーの権限が大きいというのがプロジェクト型組織の特徴となっています。

プロジェクトマネージャーの権限が大きいことによって、プロジェクトの独立性が保たれやすいというのも特徴です。

マトリクス型組織との違い

マトリクス型組織も、機能別に別れた部門の他に所属を持つという点ではプロジェクト型組織と似ています。

プロジェクト型組織とマトリクス型組織の最大の違いは、プロジェクト終了後に解散するか否かという点にあります。

プロジェクト型組織ではプロジェクト終了後にそのプロジェクトが解散するのに対して、マトリクス型組織ではプロジェクトの解散は行われず常に各人が複数の所属を持った状態が継続されるというのが特徴です。

機能型組織との違い

機能型組織とプロジェクト型組織は、機能によって別れた部門が存在しその中からプロジェクトメンバーが選ばれることが多いという点では似た構造となっています。

機能型組織とプロジェクト型組織の最大の違いは、プロジェクトマネージャーの権限の大きさにあります。

プロジェクト型組織では、プロジェクトマネージャーの権限が大きいことが特徴です。

各部門からメンバーをピックアップする場合でも、プロジェクト型組織の場合には各部門のリーダーよりもプロジェクトマネージャーの権限の方が大きくなります。

一方で、機能型組織の場合にはプロジェクトマネージャーよりも各部門のリーダーの方が権限が大きくなります。

機能型組織と比べると、プロジェクト型組織の方が各プロジェクトの独立性が高くなります。

プロジェクト型組織のメリット

プロジェクトマネージャーが大きな権限を持っていることが特徴のプロジェクト型組織ですが、多くの企業で取り入れられているのはもちろんそのメリットを重視してのことです。

ここでは、プロジェクト型組織のメリットについて解説します。

  • クライアントからの要望などへの対応が容易
  • 責任者が明確である
  • プロジェクト内でコミュニケーションが取りやすい

>クライアントからの要望などへの対応が容易

多くの部門からプロジェクトメンバーを集めた場合、プロジェクトの方針を変更するには関係する各部門の判断を待たなければならない場合もあります。

プロジェクト型組織の場合、そのプロジェクトの権限はプロジェクトマネージャーに集中しています。

そのため、業務遂行中にクライアントからの要望などがあった場合でも方針変更の意思決定をするのが容易だということがメリットとなります。

これが、クライアントからの変更や修正を依頼されることが多いシステム系の業界でプロジェクト型組織がよく用いられている理由です。

責任者が明確である

プロジェクト型組織の場合には、プロジェクトマネージャーが権限を持つとともにそのプロジェクトの責任も負うことになります。

クライアントをはじめとした外部から見た場合でも責任者がわかりやすくなるため、安心感を与えやすい構造であるとも言えるでしょう。

また、経営側から見た場合にもプロジェクトに対して何か伝えたいことがある場合にはプロジェクトマネージャー1人に伝達すれば良いためコミュニケーションコストが小さくなります。

プロジェクト内でコミュニケーションが取りやすい

プロジェクトが組織されると、一般的には各人が一度所属している部門の仕事から離れてプロジェクトに専念することになります。

プロジェクトごとにまとまって仕事をすることも多いため、機能別にわかれた状態のまま仕事を進めていくよりもコミュニケーションが取りやすい状態を作ることができます。

さらに、普段は別の仕事をしているもの同士が集まって仕事をすることで革新的なアイディアが生まれることも期待できます。

プロジェクト型組織のデメリット

プロジェクト型組織にはたくさんのメリットがありますが、同時にプロジェクトマネージャーの権限が大きいことによるデメリットもあります。

ここでは、プロジェクト型組織にはどんなデメリットがあるのかという点について解説します。

  • 知識が蓄積されにくい
  • プロジェクトごとの人事評価に差が出やすい
  • 他のプロジェクトに属するメンバーとのコミュニケーションが減りがち

知識が蓄積されにくい

プロジェクト型組織では、1つのプロジェクトが終了するとそのプロジェクトのために集められたチームは解散するのが一般的です。

そのため、そのプロジェクト内で得られた知識や経験などが蓄積されにくいということがデメリットとなります。

プロジェクト型組織を運営しつつ知識を蓄積したい場合には、プロジェクトに関する業務を遂行する過程で得られた知識や成果物などをこまめにメモしたり共有したりできるような仕組みを作るなど、意識的に各人が持っている知識や経験を収集できるような環境にしておく必要があります。

プロジェクトごとの人事評価に差が出やすい

プロジェクト型組織においては、各プロジェクト終了後にプロジェクトマネージャーが人事評価を行う場合も多くあります。

しかし各プロジェクトによってプロジェクトマネージャーが異なるため人事評価に差が出やすく、それが社員の不満を招いてしまうこともあります。

人事評価に関する差を減らし社員に不満を感じさせにくくするためには、評価に関する基準をできるだけ細かく設定して各社員に共有するとともにプロジェクトマネージャー以外にも第三者的な視点で人事評価ができる人を配置するなどの工夫も必要になります。

他のプロジェクトに属するメンバーとのコミュニケーションが減りがち

プロジェクト型組織ではプロジェクト内でのコミュニケーションが活発になりやすい一方で、他のプロジェクトに属しているメンバーとのコミュニケーションが減ってしまいがちだというデメリットもあります。

それぞれのプロジェクトで同じような業務を進めていたりする場合には、コミュニケーションをとることで業務を効率化できる場合もあります。

必要に応じて別のプロジェクトメンバーともコミュニケーションを取れるような環境を整えておくことで、会社全体の業務をより良い方向に進めていける可能性もあります。

まとめ:プロジェクト型組織はプロジェクトマネージャーの権限が大きい

プロジェクト型組織の最大の特徴は、プロジェクトマネージャーの権限が大きいという点にあります。

これによって責任者が明確になってクライアントに安心感を与えやすくなるのとともに、クライアントの要望による急な方針転換なども行いやすいのがプロジェクト型組織のメリットです。

一方で、人事評価に差が出やすかったり知識が蓄積されにくかったりといったデメリットもあるので必要に応じてそれらのデメリットをカバーできるような工夫を取り入れていく必要もあります。

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