カンパニー制のメリットから導入事例まで解説【みずほ・トヨタ・パナソニック】

顧客ニーズが多様化し、ビジネスモデル、ライバル会社が目まぐるしく勢いで生まれ成長しています。それに合わせて、次々と新しい組織形態が生まれてきました。

そこで今回は、大企業でも取り入れられているカンパニー制について詳しく解説していきます。

また、カンパニー制のメリットとデメリット、そして導入事例も紹介しますね。

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カンパニー制とは?

カンパニー制とは、企業の組織形態のひとつです。

複数の事業を持つ企業が、それぞれの事業を独立した会社のように扱います。

それら独立した事業のことをカンパニーと呼びます。

人材、資金、必要物資すべてを委譲することによって、カンパニーは独立制、柔軟性が生まれ、ビジネスのスピードを加速化し、会社全体の能力を最大化できることがメリットです。

また、カンパニー制は独立採算制を採用しています。

そのため、どのカンパニーが順調に利益を伸ばしているのか、また業績が悪いのか明確な判断ができ、早めの経営方針の変更や事業拡大などが可能になります。

カンパニー制のメリット

カンパニー制の導入にはさまざまなメリットがあります。

大企業でも導入されているカンパニ制の魅力とはいったい何でしょう?

以下では、カンパニー制のメリットについて詳しく解説していきます。

  • 柔軟な意思決定
  • 責任感をそれぞれに与える
  • 次世代リーダの育成

柔軟な意思決定

カンパニー制は企業の資金、人材、物資などの経営資源を各カンパニーに委ねます。

それによって経営方針や人事採用などを小規模のカンパニー内で決断が可能になり、市場変化や顧客の多様なニーズの変化に柔軟な対応が可能になるメリットがあります。

責任感をそれぞれに与える

カンパニー制では独立採算制を採用しています。

責任の所在が明確になり、各事業の責任者、従業員のパフォーマンス向上、事業の収益の拡大に繋がるのがメリットです。

また、企業は同じでもそれぞれのカンパニーに責任者が存在し、他の事業と競争が生まれ、新しいアイディアの考案や利益の上昇に繋がります。

次世代リーダーの育成

カンパニー制を導入することで、次世代リーダーの育成が可能です。

これまでの組織形態では、限られた人だけが、意思決定や経営方針を決め、その中から次世代のリーダーを育成されてきました。

しかしカンパニー制は事業ごとに経営方針の決定権や人事権があるため、経営スキル、責任感のある人をそれぞれの事業で育成することができます。

カンパニー制のデメリット

上記ではカンパニー制のメリットについて解説してきましたが、もちろんデメリットも存在します。

カンパニー制の導入によって企業の業績が悪化するケースもあります。

以下ではカンパニー制のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

  • 事業重複によるコスト増加
  • 企業内での情報共有が困難
  • 責任をすべてカンパニーが背負う

事業重複によるコスト増加

企業内にいくつもカンパニーが存在するため、設備をカンパニーの数だけ用意するコストがかかります。

また、代表や経理、人事もそれぞれに必要なため、人件費も増大、一般的な組織形態なら不要だったコストがカンパニー制の導入によって必要になるのはデメリットです。

カンパニー制を採用する場合は、徹底したコスト削減をする必要があるでしょう。

企業内での情報共有が困難

カンパニー制を採用することで、事業内のビジネススピードが加速したり、市場変化などに柔軟に対応できるメリットがある一方、企業内での繋がりが弱くなるデメリットがあります。

カンパニー制の採用で、他のカンパニーの協力を必要としないで業務が完結することが増えるため、企業内での情報共有が疎かになります。

新しいアイディアが生まれなくなったり、企業全体の協力体制が弱くなりして、企業の発展を困難にする可能性があるため、注意が必要です。

責任をすべてカンパニーが背負う

カンパニー制の導入によって、責任はすべてカンパニーに生じます。

責任をすべてカンパニーが背負うため、業績が悪かったり、自分たちに都合の悪いことがあった場合は、他にばれないように隠ぺいしたりする可能性も出てくるでしょう。

また、業務を他のカンパニーと協力しないで完結させるケースも増えてくるため、企業内全体のレベルが下がります。

カンパニー制を採用する場合は、情報共有のルールを企業内で決めておく必要があるでしょう。

カンパニー制の導入のポイント

カンパニー制を導入することで様々なメリットの恩恵を受けられます。

しかし上記で述べた通り、カンパニー制にはメリットだけでなくデメリットも存在します。

そのため、企業内でカンパニー制の導入のポイントを理解しておく必要があるでしょう。

以下では、カンパニーの導入ポイントについて解説します。

  • 業績の評価基準を明確にする
  • 目標を明確にする
  • カンパニー間のコミュニケーションを大切にする

業績の評価基準を明確にする

カンパニー制の導入は企業内、そしてカンパニー内で結果主義を生み出します。

そのため各カンパニーで評価基準が違う場合でも、皆が理解するように業績に対する評価基準を企業が中心となって明確にする必要があります。

企業が各カンパニーの目標を集め、その達成度、進行具合を皆に共有することが大切です。

カンパニーの目標などを企業内全体で共有することで、不透明な評価を防ぎ、明確で公平性のある評価を保つことができるでしょう。

目標を明確にする

カンパニー制の導入の目的である各カンパニーがそれぞれ責任をもつことや、柔軟な意思決定、企業全体の利益や売り上げを上げることなどを全体で確認する必要があります。

目標を明確化することで、運営状況の把握に繋がり、評価基準も決めやすくなるでしょう。

カンパニー間のコミュニケーションを大切にする

カンパニー制の導入によって、業務がカンパニー内で完結することが増えます。

その結果、他のカンパニーと協力、連携を必要としなくなっています。

カンパニー間でのコミュニケーションは、企業全体が発展するために必要なアイディアを生み出すために欠かせません。

しかし、業務を複数のカンパニーで協力して取り組む必要がないため、カンパニー間での情報交換をする機会が減少します。

企業は定期的に情報交換をする場を設け、企業全体をひとつにまとめることが大切です。

カンパニー制を導入している企業事例

カンパニー制を導入する企業は年々増加しています。

以下では、実際に導入している企業を紹介、また導入する目的について紹介します。

  • みずほフィナンシャルグループ
  • トヨタ自動車
  • パナソニック

みずほ銀行

みずほフィナンシャルグループは2016年4月からカンパニー制を導入しています。

5つのカンパニーに経営戦略などの権限を委ねて、柔軟で素早いサービスを提供することを目指しています。

カンパニー制の導入を決めた背景には、反社会的勢力との関わりが発覚するなど不祥事が相次いだ時期があり、責任の所在を明確にする必要があったからです。

また、顧客のニーズ応える狙いもあり、柔軟な対応が可能なカンパニー制はみずほの経営戦略にフィットします。

トヨタ自動車

トヨタ自動車では2016年4月から7カンパニー制を導入しています。

7カンパニー制は以下の通りです。

  • 先進技術開発カンパニー
  • トヨタコンパクトカーカンパニー
  • CVカンパニー
  • ミッドサイズヴィークルカンパニー
  • コネクティッドカンパニー
  • パワートレーンカンパニー
  • レクサスインターナショナルCo

生産技術と量産で分類し、各カンパニーに振り分けています。

トヨタがカンパニー制を導入した目的は、人材育成の促進や開発から製造までの流れをスムーズに行い一体感を強める為です。

カンパニー間、ライバル会社と競争力を高めることで、より一層企業の価値、利益を上げる狙いもあります。

パナソニック

パナソニックは2019年4月から7カンパニー制を導入しています。

他の企業と違ってパナソニックは、4つのカンパニーと2つの事業部門が存在する経営戦略をとっています。

7カンパニー制は以下の通りです。

  • オートモーティブ社
  • インダストリアルソリューションズ社
  • アプライアンス(AP)社
  • ライフソリューションズ社
  • コネクティッドソリューションズ(CNS)社
  • 中国・北東アジア社
  • US社

カンパニー制の導入で、会社や組織の枠に捉えないで利益成長を実現したいと考えています。
また、カンパニー間で連携して日本を超えて世界中で事業拡大をする目的があります。

まとめ:カンパニー制は事業拡大に必要不可欠

カンパニー制は事業拡大するうえで欠かせない組織形態です。

カンパニー内で即座に意思決定、経営戦略の変更ができ、他のライバル社の一歩前にいけます。

そして、カンパニー制にはメリットとデメリットが存在します。

メリット ・柔軟な意思決定
・責任感をそれぞれに与える
・次世代リーダの育成
デメリット ・事業重複によるコスト増加
・企業内での情報共有が困難
・責任をすべてカンパニーが背負う

今後、さらにカンパニー制は日本で注目を集めて使用する企業が増えていくでしょう。

複数の事業をしている企業はカンパニー制の導入を検討してみても良いのではないでしょうか。

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