社内研修の意義や目的、成果を上げる効果的な実施方法とは

企業における社内研修とは、単なる人材育成プログラムではありません。
優れた社内研修は、企業で働く人材のモチベーションを上げ、組織の成長にも繋がります。
しかし、効果の高い社内研修を実施するのは容易ではありません。職種や階層を意識した研修テーマの選定、研修中はもちろん、研修後におけるフォローアップも大事な要素です。
本記事では、社内研修の意義や目的、効果的な実施方法について解説しています。
社内研修を検討している経営者や人事担当者の方、ぜひ参考にしてみて下さい。
おすすめ記事:【組織作り】企業戦略をスムーズに実行できる組織の作り方
社内研修の意義や目的とは
担当者は、あらかじめ社内研修の実施目的を深く理解したうえで、企画を進めることが大切です。
企業における社内研修とは、次のような意義・目的を持っています。
- 企業理念、事業内容の理解
- 社員間の情報共有、団結力を高める
- ビシネスキルの向上
会社の方向性、サービス内容の理解
新入社員をターゲットにした社内研修では、企業理念、事業内容(サービス内容)の理解を深めることを目的としています。
自社のサービスが「地域・社会にどう貢献しているのか」「何を目指しているのか」を再認識することはとても重要です。
働く上でのモチベーションアップ、キャリアパスをイメージする際にも役立ちます。
社員間の情報共有、団結力を高める
仕事はチームワークにより成り立っています。
チームワークを高めるためには、プロジェクトの進捗や課題点など、一定の情報共有が必要不可欠です。
チーム全員が積極的に行動することも大切です。
社内研修にてディスカッションが用いられるのは、チームワークを高めること、自発性を養うことを目的にしているからです。
ビシネススキルの向上
社内研修は、ビジネスにおける執務能力の向上を目的としています。
個々の知識やスキルを磨くことで、会社としての戦力アップが期待できます。
各々がスキルアップして現状よりも高品質なサービスを提供できるようになれば、顧客満足度が上がり、結果として自社の収益向上にも繋がります。
企業における研修の種類について
自社内で完結させる「内部研修」、外部機関にアウトソースする「外部研修」の二つに大別され、社内研修は前者にあたります。
更に社内研修は目的や参加者のレベルを意識して、以下の3種類に分かれます。
- 階層別研修
- 職種別研修
- 外部講師による研修
階層別研修
新入社員から管理者までさまざまな階層があり、ターゲットに合わせた研修が行われます、一般例として次のような研修があります。
- ビジネスマナーやコミュニケーション能力を養うための「新入社員研修」
- 業務知識や部下の育成方法などについて学ぶ「一般社員研修」
- 業務管理や業績管理、リードシップについて学ぶ「管理者研修(役職研修)」
職種別研修
職種に応じた個々の戦力アップを図るのが「職種別研修」です。
セールスマンであれば、提案力・コミュニケーション能力・トークスキルなどを磨くための研修。
プログラマーやエンジニアといった技術職には、時代にマッチしたITスキルを身につけるための研修などがあります。
総務や人事・経理担当者に向けた、バックオフィス向けの研修もあります。
外部講師を招いた研修
プロの外部講師に依頼することで得られるメリットは沢山あります。
研修担当者の手間が大幅に減ることはもちろん、専門家ならではの高度な知識や技術を学べます。
講師によっては、業界における他社の成功事例や失敗事例などが聞ける場合もあります。
ただし、コストの問題や講師の良し悪しがあるので、依頼の際は入念なリサーチが必要です。
社内研修を実施する流れ
いざ実施に踏み切る際には、担当者(人事担当や経営者)は、どのような手順で進めたらよいでしょうか?
ここからは社内研修を実施するための、具体的なプロセスについてお伝えします。
- 研修の目的・課題(テーマ)の設定
- 予算組を行い稟議を提出する
- 研修プログラムの作成、実施
研修の目的・課題(テーマ)の設定
実施する目的、つまり「誰にどうなってもらいたいのか?」をゴールとして、課題(テーマ)を選定していきましょう。
テーマ選定の際は前述したとおり、階層や年齢などを意識します。
社員の能力開発を目的した場合、社内に適任がいるのかどうかも精査します。
予算組を行い稟議を提出する
協議した研修テーマに基づき、日程を決めていきます。
単日あるいは、数回に渡って開催するなど、人数や日数に応じた会場の手配が必要です。
研修概要が出来たら、予算書を作成し会社に提出します。
稟議を承認されるためには、研修の目的やメリットを最大限アピールする必要があります。
研修プログラムの作成、実施
一言で研修といっても、研修の形式はさまざまです。
最もポピュラーなのが、講師一人に対して複数名の参加者が受講する、「講義形式」です。
スライドや資料を活用し「短時間で多くの人材に教育できる」というメリットがある一方、参加者一人当たりの発言する機会が少なく、漫然になりがちといったデメリットがあります。
ワークショップやグループディスカッションといった研修では、「(社員間の)コミュニケーションが活発化する」「一人一人が能動的になる」といった利点があります。
ロールプレイングをはじめ、研修で学んだ内容を現場ですぐに活かしやすいことも特徴です。
社内研修を実施するにあたっての留意点、
社内研修を運営側(担当者や講師)の“自己満足”で終わらせない為には、企画段階から当日まで、終始「主役」となる参加者をきちんと意識することが重要です。
具体的には以下の項目を留意すると良いでしょう。
- 参加者の研修に対する納得度
- 緊張感を作る工夫
- 参加者に対する理解度の確認
それぞれ詳しく解説していきましょう。
参加者の研修に対する納得度
日常業務に追われる中、研修に参加することは現場の人間にとっては負担となります。
研修がいかに素晴らしい内容であっても、「上司にいわれたので、渋々参加した」といった状態では収穫も得られません。
前向きな気持ちで研修に参加してもらえるよう、なるべく早い段階で周知すること。
研修前・後の仕事量を調整してあげるなど、状況に応じたフォローも必要です。
当然ながら、研修に参加してもらう背景や理由についても、しっかりと伝えておきます。
緊張感を作る工夫
社内研修では、主に内部の人間が講師となります。
場合によっては直属の上司が請け負うこともあるでしょう。
実施にあたり緊張感が薄れてしまったり、受け身の姿勢で参加されては、効果が半減してしまいます。
緊張感を保つための工夫として、(講師が)参加者を指名して、頻繁に意見を尋ねることが有効です。
ただし、席順で当ててしまうと緊張感が薄れるので、ランダムに指名するのがポイントです。
グループ討議の時間を設けるのも有効、書記や発表者など、全員参加型にすることで眠気も吹き飛ぶでしょう。
参加者に対する理解度の確認
小休憩や昼休憩などをいかして、参加者の理解度を確認すると良いでしょう。
「ある社員は内容をきちんと理解している」一方、「ある社員は内容を全然理解していない」など、同じプログラムでも理解度はそれぞれ異なります。
扱うテーマが難しいといった意見があるなら、噛み砕いた表現に変更する、イメージしやすい事象に置き換えるなど、運営側の工夫が必要です。
研修成果を最大限に引き出すために
PDCAサイクルで運用することが肝心です。
企画立案がPlan(計画)、研修実施がDo(実行)となり、Check(評価)とAction(改善)は研修後の項目となります。
成果を最大限引き出すためには、以下項目を実施するのが有効です。
- 成果検証(評価)、フォローアップを行う
- 研修を継続できる環境を作る
- 外部研修と組み合わせる
成果検証(評価)、フォローアップを行う
研修後は一定期間(1ヶ月〜3ヶ月)を経て、成果検証(評価)を実施します。
成果は、業績など数字で図れるものもあれば、メンタルなど数字で検証できない要素もあります。
そのため主観と客観、両方の視点から評価をすることが大切です。
また、研修で学んだ内容を現場でいかせる機会がなければ担当のモチベーションは低下してしまいます。
成果を担当者が実感できるよう、管理者は意識付けをしたり、適切な仕事を割り振るなど、適宜フォローアップするよう心掛けます。
研修を継続できる環境を作る
研修後にアンケートなど実施して参加者からの反応を伺います。
「収穫があり、満足だった」「内容がわかりやすく、深く理解できた」といった意見は人事担当のモチベーションに直結します。
また、「専門的過ぎてむずかしかった」「もっと短くして欲しい」といった意見や要望も次回の研修にいかすことができるでしょう。
参加者の満足度が上がれば、研修の有効性も高まり、継続的な開催が期待できます。
外部研修と組み合わせる
社内研修だけではマンネリ化してしまうことがあり、「参加すること」が目的になってしまえば、研修本来の機能が失われてしまいます。
これを防ぐために外部研修を組み合わせることが有効です。
環境を社外に置くことで、刺激が得られ、学びの姿勢を取り戻すことができます。
社外の人間(講師)が発信する内容は新鮮で、普段の研修でダラダラと聞いている社員も、真剣に聞くようになります。
研修担当にしても、構成や進行など、自社に持ち帰っていかせる要素が多くとても有効です。
まとめ
社内研修を企画する際には、意義や目的やを念頭に置き、ターゲットとなる階層を強く意識したプログラム作りが重要です。
研修には講義形式、グループワークなどの種類があり、いずれも参加者の能動的な行動を促せるかがポイントとなります。
成果を出すためにはPDCAサイクルに沿った効果検証、フォローアップも大切ですので忘れずに。
ここまで紹介してきたポイントをぜひ意識して、「実り」ある社内研修を実施してみてください。