PDCAサイクルの問題点とは?より柔軟なOODAループを紹介

PDCAサイクルは多くの日本企業で取り入れられている業務効率化のための方法です。
特に疑問を持たずに利用しているという人もいるかもしれませんが、実は想定外のことに対処しにくかったりイノベーションが起こりにくかったりといった問題点を抱えている方法でもあるんです。
PDCAサイクルは、どんな仕事をするかによって向いている場合と向いていない場合があります。
PDCAサイクルを上手に利用するためには、どんな業務に向いていてどんな業務に向いていないかを知ることが大切です。
この記事では、PDCAサイクルの問題点とPDCAサイクルに変わる業務効率化の方法について解説します。
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目次
PDCAサイクルには問題点が多いから今すぐやめよう
日本において、業務の際にPDCAサイクルを取り入れているという会社は多いのではないでしょうか。
しかし、実はPDCAサイクルはすでに時代遅れなものとなりつつあります。
なぜなら、PDCAサイクルには問題点も多いためです。
そこで、PDCAサイクルの問題点について解説していきます。
- PDCAサイクルの問題点①:スピードが遅い
- PDCAサイクルの問題点②:想定外のことに対処しにくい
- PDCAサイクルの問題点③:前例主義になりやすい
- PDCAサイクルの問題点④:過剰品質になりがち
- PDCAサイクルの問題点⑤:イノベーションが起きにくい
PDCAサイクルの問題点①:スピードが遅い
PDCAサイクルはきちんとした目標を立ててから行動を起こし、実行した結果を検証して次に繋げるというステップで業務改善を行なっていきます。
特に検証の部分では時間がかかってしまうことも多く、それまで次のステップに進めないとなると業務が滞ってしまう場合もあります。
また、一度PDCAサイクルを取り入れるとあらゆることをPDCAサイクルに当てはめてしまいがちに。
結果、さらに業務のスピードが落ちうという現象もよく見られます。
じっくり時間をかけてでも改善をする必要がある仕事の場合には有用な方法ですが、スピードを求められるようなビジネスでは致命的な欠点だと言えるでしょう。
PDCAサイクルの問題点②:想定外のことに対処しにくい
PDCAサイクルでは、計画に対して実行や検証などを行います。
想定通りに仕事が進んでいる場合には良いのですが、想定外のことが起きた場合には混乱が起きやすくなりますし、正しい検証ができなくなる場合もあります。
特に外部要因に影響を受けて実績が変化しやすいような業務ではPDCAサイクルは適していません。
PDCAサイクルの問題点③:前例主義になりやすい
PDCAサイクルでは、検証をし改善した結果が実績となります。
実際に検証をした結果として出てきているものですから、ある一定の信頼がおける実績であることは確かです。
改善された実績が積み重なるというのは良いことでもあるのですが、一方でその実績から離れて考えることができない前例主義になりがちだという欠点にもなります。
前例主義になってしまうと、前例がない仕事をする場合には現場の戸惑いが大きくなってしまったり動きが鈍くなってしまったりするため注意が必要です。
PDCAサイクルの問題点④:過剰品質になりがち
PDCAサイクルは、常に改善を続けていくようなシステムです。
改善し続けることは良いことだと考えられがちですが、ビジネスの場合にはかけたコストや相手が支払ってくれる費用に見合っているか?という費用対効果も重要になります。
改善だけを考えていると過剰品質になってしまうため、コストや人員への負担などと品質のバランスが取れるようなチェックを行うことも重要です。
PDCAサイクルの問題点⑤:イノベーションが起きにくい
前例主義になりがちだということとも関連してくる問題ですが、PDCAサイクルを採用している場合には思い切ったチャレンジをすることが難しくなる傾向にあります。
新たなことをする場合には計画も1から作らなければなりません。
さらに、場合によってはチェックのための指標も新たに作らなければならないでしょう。
イノベーションを起こすということはただでさえエネルギーが必要なのですが、組織内でのPDCAサイクルの取り入れられ方が強ければ強いほどイノベーションを起こすために必要なエネルギーも大きくなり、組織の動きが鈍化します。
そのため、PDCAサイクルを取り入れることはイノベーションが起きにくい組織を作ってしまうことでもあると言えるのです。
PDCAサイクルが向いている仕事もある
PDCAには問題点も多くあるのですが、これだけ多くの会社で取り入れられているのはメリットもあるからこそです。
PDCAのメリットを活かせるかどうかは、実は仕事のタイプによって変わってきます。
どんな仕事がPDCAサイクルを取り入れるのに向いているのかチェックをしておきましょう。
- そもそもPDCAサイクルとは?
- なぜ日本ではPDCAがもてはやされているのか?
- 製造業などの繰り返しが多い仕事には向いている
- 営業職など外部要因の多い仕事には向いていない
そもそもPDCAサイクルとは?
まず、そもそもPDCAサイクルとは何かということから簡単に解説します。
PDCAとは「PLAN(計画)」「DO(行動)」「CHECK(評価)」「ACTION(改善)」の4ステップで業務効率を高めるようなシステムのことです。
計画を立ててその計画通りに行動し、結果を評価しより良い結果に向かって行動を改善していくというのが一連の流れとなっています。
主に業務における欠点やミスを減らすための方法となっていて「この欠点をカバーするためにはどうしたらよいのか」ということを考えるために向いています。
PDCAサイクルというと一周だけ回るようなものをイメージしがちですが、実際には何度もPDCAサイクルを回しながら、より高い水準を目指すスパイラルのような形で運営されています。
なぜ日本ではPDCAがもてはやされているのか?
PDCAサイクルは、日本の企業で非常に人気となっている方法です。
その理由のひとつは、日本は製造業が強い国であったためです。
後述しますが、PDCAサイクルは製造業と相性が良い方法なのです。
製造業においてPDCAサイクルが用いられ成功した事例が多かったことから、日本でPDCAサイクルが多く使われるようになったと考えられています。
また、正解に向かって改善を繰り返しながら近づいていくというのも日本人の気質に合っているのかもしれませんね。
製造業などの繰り返しが多い仕事には向いている
前述した通り、PDCAサイクルは製造業と相性の良い方法です。
製造業だけでなく、繰り返しが多い仕事には向いていると言えるでしょう。
一度PDCAサイクルを回した知見を蓄積しておくことで、仕事を他の人に引き継いでも高い効率を維持することができます。
また、繰り返しが多い仕事の場合には「CHECK」のステップにおいて目標が達成できた、達成できなかった場合の理由が明確になりやすいのも、PDCAサイクルを導入するのに向いている理由です。
営業職など外部要因の多い仕事には向いていない
PDCAサイクルは、非常に強固なフレームワークです。
そのため、臨機応変な対応が迫られる仕事には不向きです。
例えば営業職の場合には、目標を達成できるかどうかに外部要因が大きく関わってきますよね。
こうした場合、実践したPLANによって目標が達成もしくは未達成となったのか、もしくは外部的な要因によって結果が出たのかというのがわかりにくくなります。
外部要因を自分でコントロールすることは難しいため、こうした場合にはPDCAサイクルを利用するのは不向きです。
PDCAサイクルではなく、別の方法を用いた方が良いと言えるでしょう。
では、PDCAサイクルが合わない仕事の場合には、一体どうすれば良いのでしょうか?
次にその改善策についてお伝えします。
PDCAサイクルに代わるOODAループ
PDCAサイクルが時代遅れと言われている昨今、PDCAサイクルに変わる業務効率化の方法として「OODAループ」というものが注目されています。
特に、PDCAサイクルが向かないような仕事に携わっている場合にはOODAループがオススメです。
ここでは、OODAループとはどんなものかということに加え、PDCAサイクルとの違いやOODAループのメリットについて解説していきます。
- OODAループとは
- PDCAサイクルとOODAループの違い
- OODAは環境の変化に強い
OODAループとは
OODAループとは、アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が提唱した方法です。
「Observe(観察)」「Orient(仮説構築)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の4ステップで行われます。
読み方はウーダループとなっています。
まずは、観察ステップで業務に関する情報収集をします。
学校のテストに例えるとすると、各教科でどれだけの点数が取れているのか、どんなところが苦手でどんなところが得意なのかということを知ることが観察のステップになります。
次に、目的に到達するためには何をすれば良いかという仮説を立てます。
テストの場合、得意科目を勉強する方が効率が上がって良いと考える人もいれば伸び代の大きい苦手科目を勉強した方が良いと考える人もいますよね。
過去の経験などを活かしながら、仮説を立てていきましょう。
意思決定のフェーズでは、言葉通りどのような方針で行動するかということを決定します。
テストの場合ならば、どの科目をどれだけの時間勉強するかというのを決めるのが意思決定です。
その勉強をするためにどのように時間を作るか考えるというのも意思決定だと言えるでしょう。
最後は、ここまで立てた計画を実行します。
これを繰り返すことでOODAループとなります。
PDCAサイクルとOODAループの違い
PDCAサイクルでは数値として明確に目標設定がなされていないと評価が行いにくいのに対して、OODAループでは数値としてはそれほど明確な目標が定められていなくても問題ありません。
ただし、OODAループを利用する場合には進む方向性が明確になっている必要があります。
例えば上記のテストの例で言えば、目の前のテストで高得点を取れば良い場合とそのテストを利用して自分の実力を把握し入試などさらに大きなテストに繋げる場合では勉強方法などが異なってきますよね。
業務でOODAループを利用する場合には、会社のビジョンを全員が共有している必要があるとも言えます。
OODAループは環境の変化に強い
OODAループは、PDCAサイクルよりも環境の変化に強いということがメリットとなっています。
上記のテストの例を引き続き利用すると、PDCAサイクルの場合には体調不良などのトラブルで勉強できない日があった場合にはその分勉強が遅れてしまったり、1から計画を組み直す必要があったりします。
一方で、OODAループのは「勉強が遅れている」ということも観察に組み込んだうえで、その時点でもっとも効率が良い方法を考えていくというやり方になります。
この柔軟性が、「外部からの影響を受けやすい業務はPDCAサイクルよりもOODAループの方が向いている」と言われる理由です。
PDCAサイクルの問題点を解消する方法
ここまでの解説を読んでOODAループを使ってみようと思った人もいれば、やはりPDCAサイクルの方が使いやすそうだと感じた人もいるでしょう。
業務内容としてはPDCAサイクルの方が合っていそうなのになぜかPDCAサイクルがうまく回せないという人のために、PDCAサイクルの問題点を解消する方法をご紹介します。
- なるべく細かいスパンでPDCAを回す
- PLANを具体的にする
- CHECKをシステマチックに行う
なるべく細かいスパンでPDCAを回す
PDCAサイクルは、回すスパンが細かければ細かいほどうまく回りやすく軌道修正も行いやすくなります。
例えば1ヶ月よりも1週間、1週間よりも1日といった具合でPDCAを回していきます。
もちろん大きな目標を立ててはいけないというわけではなく、その大きな目標を細かく分けて運用していくことでうまく回りやすくなるということです。
目標が大きいと、どうしても現時点で目標通りに動けているのかということが曖昧になりがちです。
その曖昧な状態は業務に対してのモチベーション低下にも繋がってしまいますから、より効率を上げるためには細かく目標設定をするのが良いと言えるでしょう。
PLANを具体的にする
PDCAサイクルをうまく回すためには、PLANをできるだけ具体的に設定することも重要になります。
例えば「不良品率をできるだけ下げる」といったような曖昧な目標ではなく「不良品率を〇〇%に下げる」といったように具体的に数値を設定することでPDCAサイクルは回りやすくなります。
また、PLANを具体的に設定することでCHECKにも時間がかかりにくくなります。
当然ですが、「不良品率をできるだけ下げる」よりも「不良品率を1%下げる」というPLANの方が効果検証はしやすいですよね。
CHECKの工程がその分減ることになりますし、人によって結果に対しての見解が異なるということも避けられます。
CHECKをシステマチックに行う
PDCAサイクルを実行するときにもっとも時間がかかりやすいのがCHECKの工程です。
そのため、できるだけCHECKに関してはシステマチックに行えるようにしておくことがベストです。
評価に関して個人の判断が入る余地があると、PDCAを回すのに時間がかかってしまう原因となります。
人的な判断を挟まず、計画を達成できたか否かというシステマチックな評価ができる環境を作っておきましょう。
PDCAサイクルの問題点 まとめ
日本の多くの企業で取り入れられているPDCAサイクルですが、実は問題点が多いのも事実です。
例えば、外部からの要因によって仕事の結果が左右されやすい場合には使いにくい方法だと言えるでしょう。
そうした仕事の場合には、PDCAサイクルよりもOODAループを使うことで業務を効率化しやすくなる場合があります。
一方で製造業などPDCAサイクルの方が向いている仕事もありますから、その場合にはCHECKをシステマチックに行うなどPDCAサイクルを回しやすくなる方法を試してみてください。