スタートアップのマーケティングは、まず広報で「商品と顧客の幸せな関係」を作り込もう

スタートアップのマーケティングについて、ある人はこう言います。

「どんなに良い製品・サービスでも誰にも知られなければ売れないのだから、認知度を上げるためのマーケティングは必須です」

しかし、ある人はこう言います。

「マーケティングとは、ろくでもないプロダクトをあつかう会社がすることです」

まるで正反対に見える2つの意見のどちらが正しいのでしょうか?

それを判断するには、「スタートアップのマーケティング戦略」を考える前に「スタートアップにとってのマーケティングの意味」を考える必要があります。

この記事では、お金にも時間にも余裕がないスタートアップにマーケティングは「どのような意味で必要なのか」を考えてみたいと思います。

スタートアップのマーケティングはすでに始まっている

スタートアップで製品やサービスをリリースしてから「さて、マーケティングはどうしよう」と考えるのでは、そのリリースの完成度が危ぶまれます。

なぜなら、その前にマーケティングは始まっているはずだからです。

  • 製品づくりがマーケティング
  • ろくでもないプロダクトとは
  • CMOは誰がするのか

製品づくりがマーケティング

スタートアップは、製品づくり、サービスづくりがそもそもマーケティングです。

これまでマーケット(市場)になかった製品・サービスをマーケティングなしで作るのは、闇夜に向かって鉄砲を打つのと同じでしょう。

スタートアップでリリースされたプロダクトはすでにマーケティング的にかなり練り込まれたものであるはずです。

ろくでもないプロダクトとは

最初にご紹介した「マーケティングとは、ろくでもないプロダクトをあつかう会社がすることです」という言葉は120億円の資金を運用するベンチャーキャピタルCoral Capitalの経営陣の一人が書いた文章からの引用です。(引用元:スタートアップのマーケティング)

その文章には「実際のところ我々の投資先企業のうち、特に成功した企業で、最初の事業計画にマーケティング予算を入れていたところは一社も無かったのです」という一文もあります。

「スタートアップの初期には、顧客は無料で獲得すべきだ。顧客獲得に費用をかけるのは、その後だ」というのがこの筆者の主張です。

マーケティングと呼ぶかどうかは別として、顧客獲得策はもちろん必要です。しかし、それにお金をかけていけない(お金に頼るべきではない)というのです。

では、無料でできる顧客獲得策とはどんなものでしょうか?

この記事が例に挙げているのは、まずTwitterです。そしてTwitterやFacebookには、ユーザーが他の人々に勧めやすいようにしておく「ソーシャル・フック」を仕掛けるべきだと述べています。

その他に、似た価値観を持つコミュニティでの拡散、イベント、広報、検索(SEO)などをあげた最後に、無料でできる顧客獲得策の出発点は「優れたプロダクトを構築する」ことだと記しています。

CMOは誰がするのか

お金をかけずにマーケティングをしようとしたら、CMO(Chief Marketing Officer)は、社長がするしかありません。

お金の面だけでなく、それまでの製品づくりの過程で「市場と製品のマッチング」を最も真剣に考え続けてきたのは社長のはずだからです。

また、社長になる人は、多くの場合広報に向いている「人を惹きつけるキャラ」を持っています。少なくとも、立ち上げメンバーを誘惑してスタートアップというリスキーな仕事に引っ張り込むだけの魅力はある人です。

もちろん、立ち上げメンバーは全員MO(Marketing Officer)として、CMOである社長を助けなければなりません。

スタートアップのマーケティングは広報に絞る

スタートアップ初期のマーケティングでは、カタカナ用語が満載のマーケティング教科書と首っ引きで「戦略」をたてる必要はありません。

大きなお金をかけずにできる「広報」を考えるだけで十分です。

  • マンガで広報資料を作ってみよう
  • Twitterを活用しない広報はありえない
  • スタートアップ企業の広報力とは

マンガで広報資料を作ってみよう

広報といえば先ずプレスリリースが思い浮かびますが、A4用紙2~3枚のありきたりのプレスリリースでは、なかなかメディアに取り上げてもらえません。

組織マネジメントのコンサルタント会社としてスタートアップを成功させた「識学」は、「マンガでわかる識学」という広報資料を作ってホームページのランディンクページに掲載し、ダウンロードもできるようにしました。

それによって、リード(見込み客)獲得件数は2倍に、1万円前後だったCPA(顧客獲得単価)が6,000円になったといいます。(参照:https://ferret-plus.com/12152)

広報資料をマンガにするのは、顧客のとっつきやすさ、食いつきを良くするだけでなく、作る側の意識をシャープにする効果があります。

ターゲット像の明確化、いわゆるペ2ルソナの設定も、絵にしようとしたら「それまで言葉でごまかしていたこと」を具体化しなければなりません。

顧客像や顧客とのコミュニケーションをイメージ化、具体化するこの作業が、「広報の底力」になります。

Twitterを活用しない広報はありえない

日本のTwitter利用率は、サウジアラビアに次いで世界第2位といわれ、利用者は4,500万人を超えました(2018年11月)。

Facebookの約2,800万人、Instagramの約2,900万人と比べても、Twitter利用者の多いことがうかがえます。

良くも悪くも「生の感情」が表出されやすいSNSであるTwitterは、市場調査だけではなく、顧客を釣り上げるソーシャル・フックの仕掛どころがさまざまにありそうです。

では、具体的にどう活用するかは、それぞれが工夫するしかありませんが、次のような意見が参考になるはずです。

Twitterを活用するにはまず、Twitterとはコミュニケーションを生み出す最初のきっかけになるものであると認識することだ。これをしっかり理解しておけば、多くのビジネス利用者が犯している失敗から免れることができる。多くの人が犯している間違いとは、Twitterをエンゲージメント手段としてではなく、コンテンツを送りつける手段として使ってしまうものだ。

クライアントとの対話やエンゲージメントを目標とする場合、次に挙げる5つのガイドラインを意識すると良いだろう。

  1. まず聞く
  2. きちんとした情報を流す
  3. 魅力的なツイートを心がける
  4. インフルエンサーを見つけ出す
  5. Twitterのみでなく、サイトへの誘導も心がける

引用元: スタートアップがTwitterをうまく使うために気をつけるべき5つのポイント
(強調は引用者)

スタートアップ企業の広報力とは

マンガで自社の製品やサービスを可視化するのも、Twitterで顧客とのコミュケ―ションを生みだすのも広報力です。

こういう広報力はどのような原則から導かれるのでしょうか?

社長がCMOを兼任する、大そうな予算を準備できないスタートアップが広報力をつけていく原則は次の3つです。

  1. 「商品と顧客の幸せな関係」を徹底的にイメージし、視覚化・ストーリー化する(魅力的な物語を作る)
  2. 金もうけだけではなく「世の中を良くしたい」という志を持つ
  3. 半分「外側の人」になって、自社と自社の商品を冷静に見る
スタートアップの広報については、こちらもご覧ください

スタートアップマーケティング まとめ

スタートアップのマーケティングとは、製品やサービスの設計段階から必死に考えてきた「自社製品と顧客の幸せな関係づくり」をさらに追求し、より分かりやすく訴えていくことです。

それは、言い換えると「広報力をつける」ことです。