デジタルマーケティングの導入事例7選!成功事例から自社に合う戦略を学ぼう
デジタルマーケティングの重要性に気付き、導入を検討している企業は増えてきています。
一方で、実際に企業としてデジタルマーケティングを導入する際、どのような方法で実施すれば効果的なのかを、理解出来ていない企業も多いのではないでしょうか。
企業として、デジタルマーケティングを効果的に取り入れるためには、他企業の成功事例から自社に合った戦略を見つけ出すことが、具体的かつ成功への近道となる方法です。
そこで本記事では、デジタルマーケティングをこれから取り入れようと考えている企業の担当者の方向けに、サンプルとなる企業の成功事例と導入する際に意識しておきたいポイントについて解説していきたいと思います。
闇雲にデジタルマーケティングを導入しても、成功させることは難しい分野でもありますので、各社の成功事例を確認し、しっかりと戦略を練った上で自社にあった方法を考えてみてください。
目次
デジタルマーケティングの成功事例7選
最初にデジタルマーケティングで成功を収めた企業の事例を7つご紹介していきたいと思います。
導入方法はもちろん、導入のきっかけや結果についても解説していますので、参考にしてみてください。
- ・日産自動車
- ・阪急阪神不動産
- ・住友ゴム工業
- ・ソフトバンクグループ
- ・ポニーキャニオン
- ・関西電力
- ・ダブルエー
日産自動車
日産自動車は日本発の大手自動車メーカーであり、国内のみならず、北アメリカやヨーロッパでの高級路線「Infinity(インフィニティ)」や、新興国をターゲットとした低価格ブランド「Datsun(ダットサン)」を手掛けています。
デジタルマーケティング導入のきっかけ
日産自動車では、自動車業界の従来からの販売方式である店舗来店型の販売スタイルを拡張し、大型ショッピングモールなどに自動車を展示するマーケティング戦略を実施しました。
この戦略は顧客が増えるきっかけとはなったものの、どれくらいの効果を得られているのか判断が難しいという課題が残りました。
そこで、デジタルマーケティングが導入されることになったという経緯があります。
デジタルマーケティング導入方法
大型ショッピングモールなどの簡易店舗から実店舗への送客効果を測定する方法として、リアル来客分析システムが導入されることになりました。
大手通信会社と共同開発された独自システムで、簡易店舗と実店舗にWIFIを設置することで、顧客の動向を計測するという仕組みです。
デジタルマーケティング導入結果
システムを導入した結果、送客率や販売実績を把握することが出来るようになりました。
また簡易店舗を訪れた後、1ヶ月以内に実店舗を訪れた人の成約率が高いなどの具体的な内訳までを確認出来るため、営業方法の改善にも繋がる結果となっています。
デジタルマーケティングを取り入れたことで、顧客データが可視化され、従来の営業方法では知り得なかった具体的なデータを確認し業務改善に繋がっています。
阪急阪神不動産
阪急阪神不動産は、大阪府大阪市に本社を構える総合不動産会社です。
阪急阪神東宝グループの不動産事業を展開する中核会社としての役割を担います。
新築分譲マンションのgeoシリーズなどを販売していることでも有名です。
デジタルマーケティング導入のきっかけ
阪急阪神不動産では、分譲マンションの販売における広告媒体として、「チラシ」「Web」「交通広告」「冊子」など様々な手法を用いています。
それぞれの広告媒体で実績はあったものの、実際にどの広告媒体のどんなプロモーションが良い成果をあげ、どのプロモーションの成果がイマイチだったのかを相対的に判断する方法がありませんでした。
そこで、デジタルマーケティングとしてデータ分析を取り入れることになったそうです。
デジタルマーケティング導入方法
デジタルマーケティングの導入方法として、まずホームページからの資料請求や来店予約などの情報をデータベースで管理するようになりました。
従来より利用していた、お客様が直接来店された際の商談履歴とも連携出来るような仕組みとなっており、インターネットから申し込みされたお客様が実際に制約に至ったのかを追跡できるようになりました。
また、GoogleAnalyticsとの連携も行うことで、Webの回遊情報と商談情報を紐付け、どの広告媒体から直接の制約に繋がったのかを追跡出来る仕組みも取り入れました。
デジタルマーケティング導入結果
デジタルマーケティングを取り入れたことで、力を入れるべき広告分野が浮き彫りになってきたようです。
例えば、最初の認知環境に関わらず、直接店舗へ来店されるお客様と、ホームページを確認してから来客されるお客様では、ホームページを確認してから来店されるお客様の方が成約率が高いことが判明したようです。
このような具体的な情報を元に、より成約率の高い顧客を獲得する広告手法を検討することが出来るようになりました。
住友ゴム工業
住友ゴム工業は、兵庫県神戸市に本社を置く、タイヤ・スポーツ用品などを製造する住友グループ企業です。
タイヤの販売実績においては、ドイツのコンチネンタルに次ぐ、世界第5位にランクインしているそうです。
デジタルマーケティング導入のきっかけ
東日本大震災の発生後、住居に対する安全性の高まりに注目した住友ゴム工業では、新事業として住宅用制震部材の開発を行いました。
しかし住友ゴム工業では開発当時、従業員数が10名に満たないかつ、住宅用制震部材を取り扱うのも初めてであったため、営業ルートやノウハウを持ち合わせていませんでした。
そこでデジタルマーケティングを活用して、インターネットを利用した営業プロモーションに着目したのです。
デジタルマーケティング導入方法
デジタルマーケティングの中でも、住友ゴム工業が実施した戦略で特に効果が高かったのがGoogleリスティング広告です。
検索エンジンからのキーワードに連動して、サイトが上位表示されるリスティング広告を活用し、自身のホームページに潜在顧客を誘導する手法が採用されました。
デジタルマーケティング導入結果
リスティング広告を導入後の自社ホームページへのアクセス数は、導入前と比較して30~40%も上昇したとされています。
また、検索キーワードの流入情報を確認することで、潜在ユーザーの顧客ニーズを理解することに繋がり、更なるマーケティングに生かすことが出来ているそうです。
ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループは、通信事業を中心に様々な分野に事業展開している日本発の世界的企業です。
近年では投資にも力を入れており、 IT企業などを中心に様々な企業への投資事業を積極的に行っています。
デジタルマーケティング導入のきっかけ
ソフトバンクグループでは、様々な分野への事業拡大を実施していることもあり、即戦力となる優秀な人材の確保が必須となりました。
従来のように転職サイトはもちろん、就職セミナーやイベントなど様々な分野から就職希望者と接する機会を持てるようアプローチしてきましたが、まだまだ優秀な人材との転職タイミングのマッチが難しいといった課題が浮き彫りとなっていました。
そこで、インターネットを活用したデジタルマーケティングで求人広告を大々的に実施する運びとなったのです。
デジタルマーケティング導入方法
デジタルマーケティングの導入方法として、ソフトバンクグループでは、国内最大級のポータルサイトであるヤフーのディスプレイ広告を活用しました。
ディスプレイ広告では、対象ユーザーの行動をターゲティングした追跡型とビジネス関連ページに掲載される広告形態を中心に展開されました。
デジタルマーケティング導入結果
ディスプレイ広告実施後は、新卒採用では閲覧回数が6~7倍、中途採用においては26~7倍も増えた結果が出たそうです。
またインターネット広告で得た情報からユーザーの行動分析を行い、今後の広告戦略にも生かすことが出来ているようです。
ポニーキャニオン
株式会社ポニーキャニオンは、フジサンケイグループの映像・音楽ソフトメーカーです。
フジ・メディア・ホールディングスの連結子会社であり、国内で最初期から展開されている独立系レコード会社です。
デジタルマーケティング導入のきっかけ
ポニーキャニオンでは、アニメ専門通販サイト「きゃにめ」を2011年より運営しており、アニメECサイトの先駆け的存在となっていました。
よりサービスを強化するために、ユーザーの一元管理や有料会員化を実施した限定サービスを実施することを検討していましたがサービスの複雑さがボトルネックとなっていました。
また、アニメの広告メールを特定のユーザーに送信するような機能もなく、全ユーザーにメール送信する必要があるなど、改善すべきポイントがマーケティングにおいて多かった点も導入のきっかけとなりました。
デジタルマーケティング導入方法
システムリプレイスを通して、「きゃにめ」のユーザーデータ一元管理とポニーキャニオンのオンラインショッピングサイトの統合を実施しました。
同時に「きゃにめ」の有料会員制度の導入も進め、有料会員には特典となるポイントをプレゼントし、統合したオンラインショッピングサイトでDVDやブルーレイなどの商品と交換出来るようなサービスを新たに導入しています。
デジタルマーケティング導入結果
有料会員制度は申し込みも順調で上々のスタートを切ることが出来たようです。
またシステム統合により、ファンとサービスとの関係をより深め、コアなファンが増える見込みであることも示唆しています。
システム統合自体が完了したわけではなく、ここから徐々にユーザーの行動などを分析しながら、より良いシステムに改善していく予定とされています。
関西電力
関西電力株式会社は、大阪府大阪市に拠点を置く電力会社です。
近畿地方や関東地方を中心に、電力小売業や発電事業を行っています。
デジタルマーケティング導入のきっかけ
2016年4月1日より、低圧需要家向け電気の小売業参入が全面的に自由化されるという背景があります。
一般家庭や小売店が自由に電力会社やサービスを選択出来るようになったため、電力を提供する側の電力会社にも変化が求められる時代となったのがきっかけです。
デジタルマーケティング導入方法
関西電力では、電力自由化に先立って、従来のアナログ電力計で計測を行う方法から、システムを活用して30分毎に顧客が電気使用料を確認出来るスマートメーターの導入をはじめました。
さらにスマートメーターを応用したシステムとして、ひとり暮らしの高齢の方の生活リズムをご家族の方に知らせるお知らせサービスなども提供されています。
デジタルマーケティング導入結果
スマートメーターでは、お客様自身で今月の電気使用料を手軽に確認出来るようになったことはもちろん、毎月の訪問検針も不要となり、顧客・企業双方にとって大きなメリットがありました。
また、生活リズムお知らせサービスについても、スマートメーターを導入しているご家庭であれば無料で利用することが可能なことから、多くのお客様に取り入れてもらえるサービスに成長しています。
ダブルエー
株式会社ダブルエーは、レディース向けシューズの製造・販売を行っている企業です。
デジタルマーケティングの事例として、頻繁に取り上げられる企業でもあります。
デジタルマーケティング導入のきっかけ
株式会社ダブルエーでは、元々マーケティング手法としてメールマーケティングを取り入れていました。
しかし、マーケティングメールから実際にECサイトの売上に繋がったのは全体の15%程度に留まっており、よりECサイトからの売上に繋がるようなマーケティング手法を拡充しようということで、デジタルマーケティングに力を入れ始めました。
デジタルマーケティング導入方法
株式会社ダブルエーでは、まず顧客の動向を具体化するために、GoogleAnalyticsを用いてユーザー解析を実施しました。
結果、購入者の多くがスマートフォンからECサイトにアクセスしていることが判明し、FacebookなどのSNS広告を用いて、より多くのユーザーに認知度を広めるよう広告手法を拡大していきました。
デジタルマーケティング導入結果
SNS広告を導入した結果は直ぐにあらわれ、1ヶ月間の運用期間でECサイト・実店舗ともに売上実績が伸びたそうです。
特にECサイトでの売り上げの伸び率は大幅にアップし、広告費に対する売り上げは700%を超える数字になったとされています。
自社に合ったデジタルマーケティングの戦略を練ろう
ここまで、デジタルマーケティングにおける各社の事例をご紹介してきましたが、そのまま上記企業の戦略を真似ても、必ずしも成功するとは限りません。
自社の特徴を分析し、自社に合ったデジタルマーケティングの戦略を練ることが成功へのカギとなります。
- ・自社のマーケティング課題を洗い出そう
- ・自社の課題がどの企業と類似しているかを確認しよう
- ・専門家に相談してデジタルマーケティングの導入を検討しよう
自社のマーケティング課題を洗い出そう
まず最初に、自社のマーケティングにおける課題を認識しておくことは必須となります。
課題を把握していないのに、闇雲にデジタルマーケティングを取り入れても適切な効果を得ることは出来ません。
時間やコストを抑える意味でも、企業内でしっかりと話し合いを行い、自社におけるマーケティングの課題を洗い出した上で、戦略を練るようにしましょう。
自社の課題がどの企業と類似しているかを確認しよう
自社のマーケティング課題が判明した後は、上述したような事例から、どの企業の課題と類似しているのかを確認してみましょう。
0から課題への解決方法を考えるよりも、事例から改善方法を導き出す方が成功率も大きく高まります。
上記の事例はあくまで一例であり、多くの企業のデジタルマーケティング事例から自社にも応用出来そうな取り組みを探してみてください。
専門家に相談してデジタルマーケティングの導入を検討しよう
デジタルマーケティングを取り入れていなかった企業が、いきなり自社内だけで効果的な戦略を立てることが難しいのは事実です。
コストは掛かってしまうかも知れませんが、デジタルマーケティングの専門家に相談してどういった手法を取り入れるべきか検討してみましょう。
専門家への相談も、複数の専門家に相談して、様々な意見を聞いてみることが成功への近道です。
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デジタルマーケティング導入の際最低限すべきこと
企業としてデジタルマーケティングを導入する際、担当者の方は最低限の知識を身につけておく必要があります。
今回は最低限実施してもらいたい、2つの事柄についてご紹介したいと思います。
- ・デジタルマーケティングに関する本を読む
- ・予算(ROI)が適切かどうかを確認
デジタルマーケティングに関する本を読む
上述した通り、デジタルマーケティングに関わる担当者であれば、最低限の知識を身につけることは必須です。
最低限の知識を身につける手法としては、従来から確立された知識を効率的に学べる書籍を活用する方法が一般的でしょう。
いくつかのデジタルマーケティングに関する本を読み、根幹部分を把握しておくことは大切です。
デジタルマーケティングは、流行り廃りの早い分野でのありますので、根幹知識を得られるような本と最先端の手法を学べる本の両方を読んでおくことをおすすめします。
まずは「デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク」を入門書として読んでみましょう。
予算(ROI)が適切かどうかを確認
デジタルマーケティングでは、予算を掛ければ必ず成果が上がるというものではありません。
もちろん予算を掛けた方が、選択肢が広がることは間違いありませんが、消費者のニーズを的確に捉えたマーケティングを行うことの方が重要です。
企業として用意できる予算と、どういった成果を求めているかを確認し、適切な効果が表れるような広告手法に多くの費用を掛けられるように、しっかり分析と改善を繰り返しましょう。
まとめ:デジタルマーケティングの事例から自社の取り組みを考える
本記事では、デジタルマーケティングの事例を紹介しながら、これから企業に導入する際に意識しておきたいポイントについてご紹介してきました。
デジタルマーケティングは他企業の事例通りに真似すれば成功するというものではなく、各企業毎に効果的な戦略は異なります。
自社のマーケティング課題を把握した上で、各企業の事例から自社にも応用出来そうな取り組みを参考に、効果的なデジタルマーケティングの戦略を立ててみてください。