よく聞くステマ(ステルスマーケティング)ってどんな意味?媒体ごとの事例も合わせて紹介!
SNSや動画配信などが浸透し、テレビCMや看板以外でも商品やサービスのPRができるようになりました。そこでよく耳にするようになったのが「ステマ」です。
マーケティング用語としてよく耳にする「ステマ」ですが、よく意味がわからないと思ったことはありませんか?
ステマと聞くと何だか印象の良くないものと感じますが、何が悪いのかを明確に答えられる人も少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、そもそもステマとはどんな意味なのかを確認しながら、各媒体ごとのステマ事例を紹介します。
目次
よく聞くステマ(ステルスマーケティング)ってどんな意味?
ステマとは「ステルスマーケティング」の略称です。
ステマはマーケティング手法の1つですが、商品やサービスを大々的にPRするのではなく、宣伝したいという意思を隠したまま「それが消費者にとって良いものだと印象付ける」意味合いがあります。
サービスを提供するメーカーが直接PRするのではなく、第三者が「それとなく」利用してその評判を操作します。
消費者は、中立な立場の人物が高い評価をしていることで、「自分も使ってみたい」と思う心理を巧みに利用したマーケティング手法だといえるでしょう。
ステマ(ステルスマーケティング)が流行る理由
それでは、なぜステマは流行るのでしょうか。
ここでは、だれもが悪印象を持つステマがなぜ流行り続けるのか、その理由を見ていきましょう。
- 情報の拡散力がある
- 低コストでPR可能
- 第三者による評価は効果的
情報の拡散力がある
ステマは、何より情報の拡散力が高いことが挙げられます。
現代のステマは、基本的にSNSや動画配信によって行なわれますので、インターネットを通じて使って広範囲に情報が拡散されるということです。
その拡散力は、フォロワーや視聴者に比例しますし、拡散する方法は数回の画面タップのみです。
「良い」と思える商品を発見した消費者は、一瞬にしてインターネット上に商品やサービスを宣伝してくれます。
ですので、地道にテレビCMや街の広告で宣伝するよりも、はるかに効率的なのです。
低コストでPR可能
インターネットの拡散力を利用すれば、宣伝費用の大幅なコスト削減に繋がります。低コストで広い層にPRできるということです。
ステマは、SNSや動画配信のフォロワーが多い人に報酬を支払って宣伝してもらうことがほとんどですが、テレビCMや看板を出すよりも低コストで効果的なのです。
また、より広い範囲にPRしようと思えば、それなりの予算が必要ですが、インターネットを通じた拡散力があれば、宣伝地域を綿密に計画する労力も必要ありません。
第三者による評価は効果的
商品やサービスは、提供する業者が直接PRしても懐疑的な目からは逃れられません。業者は良い部分しか宣伝しないことが当たり前だという前提があるからです。
それよりも、消費者である人物、つまり第三者が評価したほうが消費者心理に高い効果をもたらします。
「こんな商品があった」→「使ってみた」→「とても良い商品だった」
業者でなく、消費者が評価することで「もしかしたら自分にとっても良い商品かも知れない」という心理を植えつけます。
あるいは、良いとされる商品をいち早く「知っていたいことをアピールしたい」という消費者心理も動かし、それは拡散につながるのです。
このような効果は、業者の意図通りに作り込まれたテレビCMなどでは得られないでしょう。
ステマ(ステルスマーケティング)がダメな理由
効果的なステマですが、このマーケティング手法がダメだと言われる理由は何なのでしょうか。
ここでは、ステマが”ダメ”な理由を見ていきましょう。
- 消費者を欺く行為
- 信頼性が失われる
- 業界全体の信用に関わる
消費者を欺く行為
ステマは消費者を欺く行為です。商品やサービスを実際に使った評価ではなく、それは作られた評価であり、印象操作に当たります。
ステマを見た消費者が、良い商品だと思い込むことで購入したり拡散したりすることを知った上で、消費者の購買行動自体をステマによって操作しているのです。
これは、消費者にとって利益のあることではなく、商品を提供する業者の一方的な押し売りと変わりません。
ステマを依頼する業者、ステマを引き受ける者が結託し、多くの消費者を騙していることに他ならないのです。
信頼性が失われる
ステマであることがばれると、その商品やサービスの信用性は失われます。また、提供する企業やステマを引き受けた者も同様に、その信用は失墜するでしょう。
それは、上述したように消費者が「騙された」ことを悟るからです。
一度「ステマをやる企業」や「ステマに協力するインフルエンサー」だという認識を持たれると、消費者への信頼回復は非常に難しくなります。
何をしても「またステマだろう」という意識が働くからです。
業界全体の信用に関わる
ステマを行なった企業の信用が失われることは上述した通りですが、ステマを行なった企業が属する業界全体の信用を落とす可能性もあります。
例えば、オークションサイトでステマが発覚すれば、対象のオークションサイトだけではなく、オークション全体の信頼性が下がってしまうのです。
ステマは、それを行なった企業単体だけの問題では済まないということです。
日本・アメリカにおけるステマの法規制について
ステマは、法律に抵触する可能性があります。
ここでは、日本とアメリカのステマに関わる法規制を見ていきましょう。
- 日本国内におけるステマ規制
- アメリカにおけるステマ規制
日本国内におけるステマ規制
日本国内では、ステマ自体を規制する法律はまだありません。しかし、「景品表示法」やその他の軽犯罪法に抵触する可能性があります。
例えば、景品表示法は商品を宣伝する際に守らなければいけないルールです。
商品の実際の性能よりも良いものとして宣伝すれば「優良誤認表示」になりますし、商品価格の有利性を実際よりも誇大広告すると「有利誤認表示」になります。
ステマによって消費者に実際の商品性能より良いと認識させた場合には、「優良誤認表示」と判断される可能性があるのです。
アメリカにおけるステマ規制
アメリカでは、ステマ自体の規制が明確になっています。2009年にFTC(連邦取引委員会)が規制をしました。
例えば、有名人タレントやブロガーが、企業から金銭などの報酬を受け取って広告活動をする場合、「広告である」ことを開示しなければならないのです。
商品紹介をする場合には、それによって報酬を得るか否か、企業とどのような関係において宣伝しているのかを明確にすることが義務付けられました。
各媒体ごとのステマ(ステルスマーケティング)の事例10選
それでは、過去のステマ事例を見ていきましょう。ここでは、ステマ事件として有名な出来事の概要を確認していきます。
- ペニーオークション
- 食べログ
- GateKeeper(ソニー)
- デビットマニング(ソニー)
- Yahoo!ショッピング
- Yahoo!知恵袋
- アナと雪の女王2
- NPO法人
- 血液クレンジング
- ウォルマート
ペニーオークション
2012年、複数の芸能人によるステマが発覚し、運営者が詐欺罪で逮捕されるなど、大きな話題となったのがペニーオークション詐欺事件です。
ユーザーは、ペニーオークションサイトの「ワールドオークション」で落札しても商品が入手できず、手数料だけを騙し取られたのです。
複数の有名芸能人が、実際には入札していないにも関わらず「ペニオクで商品を安く入手した」などとブログに投稿しており、これがステマとして詐欺に関わったことで大きな批判を浴びました。
食べログ
口コミサイトのステマとして大きな話題となったのが、飲食店のランキング口コミサイト「食べログ」です。
本来、店を利用したユーザーがその評価や口コミを投稿すべきサイトにも関わらず、ステマ業者が店から金銭を受け取る形で高評価と口コミを投稿しました。
ステマによって対象の飲食店はランキング上位を狙ったことが問題視されたのです。
ゲートキーパー(ソニー)
複数のネット掲示板に、ソニー製品を評価し、任天堂などの他社製品を中傷する書き込みが発覚したのがゲートキーパー問題です。
評価・中傷の書き込みが行なわれたドメイン名を検索したところ、ソニー本社のホスト名「ggatekeeper??.sony.co.jp」でした。
書き込みが大規模な数であったため、ソニー社内からのステマであることが発覚しました。
デビットマニング(ソニー)
実在しない映画評論家のデビットマニングが、ソニーピクチャーズの映画を評論し続けたのがデビット・マイニング事件です。
映画記者という肩書で架空の人物を作り上げ、自社映画を絶賛していましたが、ラジオ番組のインタビューに合成音声で出演するなどして、捏造が発覚しました。
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングの「おすすめ順」がステマに当たるのではないか、という記事が発端になったものです。
広告料金を支払った店舗が「おすすめ順」に上位表示するならば、本来その関係性を明示すべきであるという主張がありました。
Yahoo!側は「ステマには当たらない」という見解を示しましたが、広告料を払えば検索上位に表示される旨は説明不足であったとしています。
Yahoo!知恵袋
口コミ代行業者がYahoo!知恵袋を利用してマーケティングを展開したことが、ステマではないかという問題になりました。
口コミ代行業者の手法は、「回答受付中」の検索結果に対して、自然と商材を勧められる質問を探し、回答にURLやキーワードを入れることで、商材サイトへのアクセス数を増やすというものです。
アナと雪の女王2
2019年に公開された映画「アナと雪の情報2」の感想を漫画で描いたものが、一斉にTwitterへ投稿され、SNSを使ったステマではないかと疑問視された問題です。
これは、ウォルト・ディズニー・ジャパンが「『アナと雪の女王2』感想漫画企画」として実施したものでしたが、「PRであることの明記が抜け落ちていた」旨を謝罪文として掲載しました。
NPO法人によるなりすまし
NPO法人の代表が小学生になりすまし、衆議院解散についての意見をネット上に公開したのことが注目を集め、炎上騒ぎにまで発展しました。
当初、Twitter上では民主党が自作自演をしたのではないかという見方もありましたが、ドメイン情報を辿った結果、NPO法人の代表が小学4年生になりすまして投稿したものであることが判明したのです。
判明後、NPO法人代表は謝罪しています。
ウォルマート
自社ブランドのイメージ戦略をPR会社に依頼し、一般人カップルの旅行ブログでウォルマートを評価する記事を書かせたものです。
消費者団体は、ブログを更新するカップルがウォルマートに雇われていることを突き止め暴露したため、ステマ騒動に発展しました。
また、カップルの1人が新聞記者だったことも判明し、大きなスキャンダルとして取り上げられたのです。
後日、PR会社のCEOはステマへの関与を認めて謝罪しています。
血液クレンジング
医療業界を巻き込んだステマが、血液クレンジング騒動です。
体内の血液にオゾンを混ぜて戻すことで、疲れや頭痛の改善に効果があるとしたもので、有名ブロガーを中心に口コミが広がりました。
その効果の有無は、医療専門家を巻き込んだ論争になり、その後、厚生労働省が安全性や効果の調査をはじめました。
ステマの意味をしっかりと理解し騙されないようにしよう!
いかがでしたでしょうか?
今回は、ステマの意味を紹介しそれが流行る理由から実際の事例までを紹介させて頂きました。
フォロワー数の多い有名なインフルエンサーや、有名芸能人がモノを紹介すれば、消費者はそれを「良いもの」だと信じるでしょう。
しかし、それがステマであった場合には、その商品やサービスだけでなく、企業や紹介者の信頼性を失墜させます。
現在では、報酬を得て宣伝する場合には「【PR】」と明示することが一般的になってきましたが、それでもステマが完全に無くなったとはいえません。
SNSや動画配信などの情報源が増えるほど、ステマに騙されないためにしっかりと意味を理解し客観的な視点を大切にしましょう。