サブリミナル効果を広告に利用するのが禁止って本当?実例も含めて紹介!

サブリミナル効果という言葉は、広告制作に携わる人はもちろん、一般の人々にも広く知られています。
サブリミナル効果は心理学などの学問的な研究よりも、広告への応用が先行し話題になったという経緯があります。
人に暗示を与え購買行動を促がす怪しい広告手法というイメージもつきまといました。
この記事では
・サブリミナル効果の意味
・広告業界で大きな話題となった経緯
・サブリミナル効果を応用した広告の実例
を分かりやすく解説していきます。
サブリミナル効果とは
「サブリミナル効果」とは、意識しない(できない)知覚が人の行動に及ぼす効果のことです。この言葉が有名になったのは、米国のマーケティング業者が報告した、映画を用いたある実験の結果がきっかけでした。
サブリミナルsubliminalは、「閾値(いきち)より下の」という意味で、視覚や聴覚などに関してよく使われます。
閾値とは、視覚や聴覚などが外からの刺激を刺激として感じられる最小限の刺激量のことを指します。閾値以下の刺激は、見ても見たとは意識されず聞いても聞いたとは意識されません。
サブリミナル効果の原点:ポップコーンの売上が1.5倍になった事例
実験は、1957年にニュージャージー州の映画館で6週間にわたって上映された「ピクニック」という映画のスクリーンに、1/3000秒のCMを5分ごとにはさみ込むというものでした。瞬間的に映されたスライドには「コカコーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」という命令文が書かれていました。
その結果、コカコーラの売上はふだんより18.1%、ポップコーンの売上は57.5%増加したというのです。この報告はセンセーショナルな話題を呼び広告業界の一世を風靡しました。
このニュースがきっかけで「サブリミナル効果」は広告業界の大きな関心事になり、それ以降もさまざまな試みが行われるようになりました。
サブリミナル広告とは
サブリミナル効果に売り上げを1.5倍にもするパワーがあるとするなら広告業業界が色めき立つのは当然です。
上記の怪しい実験報告の後に行われたさまざまな実験では明確な効果が確認されていないにもかかわらず、サブリミナル効果は「消費者が無意識にその商品に手を延ばす」一種の催眠術のように受け取られ、密かに広告に取り入れる企業が出てきました。
ウワサが独り歩きしたサブリミナル広告
いろいろな有名商品に対して「〇〇はサブリミナル広告を使っている」というまことしやかな噂が立つことも珍しくありませんでした。
60年代にはテレビドラマでスーパーマーケットの商品棚が空になったというようなサブリミナル広告が盛んに使われたとされています。
しかしながら、実際にどれくらいサブリミナル効果を利用した広告が作られたかは定かではありません。
また、商品広告ではありませんが、1973年に大ヒットしたホラー映画「エクソシスト」では、スクリーンに悪魔の画像を一瞬映し出す「サブリミナル映像」が使われていたことがわかっています。
ちなみに、このサブリミナル映像はホームビデオ化された「エクソシスト」を開始から45分1秒のところで一時停止すると見ることができるそうです。
サブリミナル効果を利用した広告が禁止って本当?
サブリミナル広告に消費者を無意識の購買行動に駆りたてる催眠効果、暗示効果があるとすると、その倫理性、正当性に疑念が生じるのは当然です。
ある書籍のサブリミナル効果が広く広告に使われているという指摘をきっかけに、1973年に米国連邦通信委員会が公聴会を開き、サブリミナル広告が禁止されることになりました。
サブリミナル広告禁止は一種の魔女狩り?
効果があるかどうか実証されたとは言えないサブリミナル広告をわざわざ禁止するのは、早手回しすぎる感もあります。
17世紀末、独立前のアメリカの植民地で、実際には存在しない魔女を裁く魔女狩り裁判が行なわれ、罪のない少女が19人も死刑にされるという悲惨な事件がありました。それに比べるとサブリミナル広告の禁止の裁定は実害はありませんが、もしサブリミナル広告にそれほどの効果がないとしたら、一種の魔女狩り裁判ということもできます。
しかし日本でも、遅まきではありますが、1995年にNHKが、サブリミナル的表現手法を禁じることを番組放送基準に定めました。1999年には日本民間放送連盟がこれに追随しています。効果はないかもしれませんが、人の無意識に何らかの影響を与えることを懸念してのことでしょう。
「NHK放送ガイドライン2020」には「いわゆるサブリミナル技法のように通常の状態では知覚、識別できない表現方法で視聴者の潜在意識に働きかける放送はしてはならない」と明記されています。
出典:NHK放送ガイドライン2020 インターネットガイドライン統合版
サブリミナル効果を利用した広告の実例を紹介
サブリミナルの「閾値下の」という意味を拡大して、閾値以上の刺激でも「注意が向いてなく、見えたという自覚がなければサブリミナルだ」とする考えもあります。現在、サブリミナル効果を利用した広告と呼ばれているものは、ほとんどがこの意味で、次ような実例が有名です。
- amazon
- SPARTAN
- BaskinRobbins(サーティーワン・アイスクリーム)
amazon
誰もが知っているamazonのロゴにも、広い意味でのサブリミナル効果が使われています。1つは、aからzへの矢印で。アルファベットの最初の文字から最後の文字までを矢印で結ぶことで「何でもある」ことを表現しています。
もう1つは、この矢印自体がにっこり笑った人の唇と口角を思わせることです。このロゴを見た人が意識しなくても、なんとなく楽しい気分になることを狙ったデザインだと言われています。
SPARTAN
ゴルフクラブのSPARTANのロゴは、デザイン自体が優れていることでも有名ですが、クラブを振る人物が見方によっては、ヘルメットをかぶったギリシアの重装歩兵の頭部にも見えるというサブリミナル効果でも有名です。
もちろんSPARTANが、スパルタ教育で知られる古代ギリシアの「スパルタ人」という意味だからこそこのデザインがあるわけで、「鍛えたら強くなる」という力強いメッセージになっています。
BaskinRobbins(サーティーワン・アイスクリーム)
31種類の、つまり1ヶ月毎日違った味のアイスクリームが楽しめるというコンセプトのBaskinRobbinsのロゴにも31の数字がサブリミナルとして表現されています。
日本での通称がサーティーワンなので、サブリミナルというには余りにあからさまですが、本国アメリカではバスキンロビンスのBRに上手く31を隠したということになるのでしょう。
サブリミナル効果を利用した広告:まとめ
サブリミナル効果を利用した表現技法は、ラジオやテレビなどの放送では用いることが禁じられいます。しかし、閾値下の意識を操作するのではなく「ちょっと見た目には分らないが、いつの間にか人の心に影響を与える」という意味でのサブリミナル効果は広告のビジュアルによく利用されていて、しゃれたデザインとして賞賛されています。
これを機にぜひ御社でも「いつの間にか人の心に影響を与える」ような広告を作ってみてはいかがでしょうか。
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