リード獲得とは単なる見込み客情報の獲得ではない【方法まで解説】

こんにちは、ITプロパートナーズでマーケティングを担当している小川です。
今回は、「リード獲得」について解説をします。
リード獲得とは、見込み客(=リード)を獲得することです。Leadには「手がかり、糸口、きっかけ」といった意味もあり、最終的なゴールである顧客(商品・サービスを購入してくれた人)を生み出す糸口となる、将来的に顧客になる見込みのある人のことをマーケティング上で見込み客と呼んでいます。
あくまで将来的に見込みのある人のため、ただ集めるだけでは何も売上にはつながりませんし、見込みの度合いもさまざまです。当然、リード獲得後のランクづけや顧客への引き上げ戦略までトータルで考えるのがマーケティング担当の仕事となります。
そこで今回は、リード獲得の方法・施策について紹介をし、その後どのように顧客へと育て成果を上げていくのかまで、トータル的に解説をしていきます。
ぜひ最後までご一読ください。
※BtoBとBtoCを混ぜて解説をしてしまうとわかりにくくなるため、前提としてBtoBビジネスをメインに解説していきます。ご了承ください。
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まずは、リード獲得の方法・施策について解説
早速ですが、まずはどのようにリード獲得をしていけば良いのか、その方法について解説をしていきます。リード獲得の施策としては大きくオンラインとオフラインの2パターンに別れます。それぞれ解説していきますね。
- オフラインでのリード獲得の方法・施策
- オンラインでのリード獲得の方法・施策
オフラインでのリード獲得の方法・施策
オフラインでのリード獲得方法は、主に「名刺交換」です。名刺を交換することで、会社名・担当者名・メールアドレス・電話番号・住所といった見込み客情報を獲得することができます。
名刺交換の施策としては、下記の3つが代表的です。
①営業が獲得した名刺リストの活用
ある程度ビジネスを継続してきた企業では、すでに営業が多くの名刺を対象ユーザーと交換している可能性が高いです。新規の獲得コストがかからないため、活用できる量が溜まっていればぜひ実施したい施策です。
問題は獲得した名刺の情報をどう管理していくかですが、それについては様々な名刺管理サービスが存在します。代表的なものとしては、Sansanのクラウド名刺管理サービスや「Eight」というサービスがあります。
②展示会
次のオフラインでのリード獲得施策は、「展示会」です。
展示会は参加者の規模も大きいため、上手く活用できれば大量の名刺を獲得できる可能性があります。ですが、参加費用の他、展示会出展の準備、当日の稼働などやらなければいけないことが多く、また名刺交換をするためには自社ブースにいかに集客をするかを考えなければいけないため、想像以上に労力がかかることは想定しておきましょう。
展示会でコスパよく名刺を獲得できている企業の多くは、すでに展示会を何度も経験しておりメインのリード獲得施策として力を入れているため、それらの成功事例を鵜呑みにし「コスパの良いリード獲得施策だ」と考えてしまうのは危険です。
③セミナー
最後のオフラインでのリード獲得施策は、「セミナー」です。
考え方は展示会と同じで、それなりに経験を積まないと効率的にリード獲得ができる施策にはなりません。セミナーの場合は、自社開催で集客まで行うか、共催で複数企業で行うかなどいくつかの形式があります。
どちらにせよ、継続して自社集客できる仕組み、定期的に共催でセミナーを開催できる仕組みなど、仕組み作りに力を入れる必要があります。
展示会にせよセミナーにせよ、単発で成果を出せる施策ではないため、実施をする場合には継続的に改善を続けていく前提で、長期的施策として考えていきましょう。
オンラインでのリード獲得の方法・施策
オンラインでのリード獲得施策では、web上で何かしらの価値を提供することで、見込み客から担当者名やメールアドレスなどの情報をいただく流れとなります。
オンラインはオフラインと異なり方法が多岐に渡るため、どの方法を選択すれば良いのか、どこまでやれば良いのかの判断が難しいという問題があります。
より詳細な内容は「0から始めるデジタルマーケティング施策【16の手法を20,319字で徹底解説】」の記事で詳しく解説をしているので、是非参考にしてみてください。
代表的な方法・施策を下記でご紹介します。
①まずはコンテンツを作成する
どのような施策を選ぶにせよ、「コンテンツの作成」は必須です。見込み客情報をもらうためには、それ相応の価値を提供しなければなりません。
コンテンツとしては、下記のようなものがあります。
・自社の商品、サービスについての情報
・ホワイトペーパー (お役立ち情報)
・ウェビナー、動画セミナー
一番理想的なのは、自社の商品・サービスについての情報が欲しいユーザーが向こうから問い合わせ・資料請求をしてくれることですよね。そこで、サービスHPを作成し資料請求や問い合わせをしてもらえる状態を作ります。
また、サービスHPを作成するのに時間がかかってしまう場合には、LP(ランディングページ)と呼ばれる問い合わせをしてもらうための1枚のページを作成してもOKです。
問題としては、「自社の商品・サービスについての情報が欲しいユーザー」はそこまで多くはないということです。そこで次点として、ホワイトペーパーやウェビナーを実施することで、「商品・サービスにまだ興味はないものの将来的に購入してくれるかもしれない見込み客」を狙っていくことで、ターゲット層を広げていきます。
ホワイトペーパーは、見込み客が欲しがっている情報をまとめたPDFなどのことを指します。>>参考のホワイトペーパー 「9割の企業が知らないエンジニア採用に失敗する理由」
ウェビナー・動画セミナーは、そのままの意味でセミナーをリアルではなくWEB上のオンラインで開催するものです。zoomなどのウェビナーに適したツールも普及してきているため、ホワイトペーパーで作成したノウハウをウェビナー化するといった流れで作成をすることも可能です。
コンテンツ作成のポイントは、「見込み客が欲しがっている価値のある情報・ノウハウを提供すること」です。提供する価値が大きければ大きいほど、多くのリードを獲得できる見込みがあります。
見込み客の情報をいただくことが目的のため、「こちらが伝えたいことを伝えるセミナーを実施する」等の行為は失敗につながるので注意しましょう。
②作成したコンテンツを様々な方法で届ける
コンテンツを作成しても、それが対象ユーザーに届かなければ意味がありませんよね。そのため、どのような方法で対象ユーザーに届けるかを考える必要があります。
方法としては、オウンドメディア(自社が運営するサイト・ブログなど)にアクセスを集めてコンテンツを紹介する、対象ユーザーがよく見る他社のメディアでコンテンツを紹介してもらう、広告を出稿してコンテンツを紹介するなどの方法があります。
メディアにアクセスを集めるには、マーケティングでよく聞かれるSEO対策などの施策が必要です。また、広告運用では、リスティング広告やfacebook広告・Twitter広告などそれぞれ独自のノウハウが必要になります。
例えば、ウェビナーをする際にはfacebookのリード獲得広告を使うことで成果を出しやすいなど、ある程度の「成果を出す型」が存在するため、マーケティングの知見は持っていた方が良いでしょう。
③集めたリードを管理する
ここまでの説明でオンラインでのリード獲得方法・施策についての大枠は解説をしました。
しかし、集めたリードはしっかりと管理をしなければなりません。数が多くない場合にはスプレッドシートなどで管理することも可能ですが、リードの数が増えてきた場合には、MAツールの導入を検討しましょう。
MAツールとは、マーケティングオートメーションツールの略で、獲得したリードをWEB上のツールで管理できる他、リード獲得後のアプローチを最適化する際にも役立つツールです。
さらに深掘ると、SalesforceなどのCRMツールとの連携など多岐にわたっていくテーマのため、ここでは詳細は割愛させていただきます。
以上、リード獲得の方法・施策について、オンライン・オフラインに分けて解説をしました。どの方法を選択するにせよ、中長期的に施策に投資し続けていく必要があります。
より詳細な内容は「0から始めるデジタルマーケティング施策【16の手法を20,319字で徹底解説】」の記事で詳しく解説をしているので、是非参考にしてみてください。
広告でのリード獲得はSランクを狙うべし【リード獲得後の分類について解説】
ここまでリードの獲得について解説をしましたので、次は獲得したリードを成果(=アポの獲得など)につなげるために必要な考え方について解説していきます。
- リードは見込み度合いでランク付けをする
- リードのランクを上げる施策を実行する
- 広告でのリード獲得はSランクを狙うべし
リードは見込み度合いでランク付けをする
獲得した全てのリードで、全く同じアプローチをしてしまうことは悪手です。
リード=見込み客ごとに状況はさまざまなため、それぞれに合ったアプローチをしましょう。理想はonetooneマーケティングと呼ばれる1対1でのコミュニケーションですが、現実的ではありませんよね。
そこで、ある程度の分類でランク付けをするのが一般的な手法になります。
例えば、下記のようなイメージです。
・Sランク:お問い合わせ
・Aランク:セミナー参加
・Bランク:資料請求、パンフレット請求
・Cランク:ホワイトペーパーのダウンロード
・Eランク:名刺情報
当然ですが、Sランクのお問い合わせしてくれた見込み客とCランクのホワイトペーパーのダウンロードした見込み客とでは、全く温度感は異なります。Sランクのリードには架電でのアプローチで問題ありませんが、Cランクのリードに架電をしても成果につながる可能性はかなり低くなるでしょう。
リードのランクを上げる施策を実行する
上記で説明をしたように、ランクCのリードは架電アプローチをしてもほぼ成果にはつながりません。そこで必要になるのが、リードのランクを上げるための施策です。
ホワイトペーパーをダウンロードしたリードは担当者のメールアドレスを取得しているため、メールでさまざまな施策を実施することができます。BtoBでは「成功事例」を定期的に送ることでその後の資料請求やお問い合わせにつながるケースが多いです。
また、ホワイトペーパーをダウンロードした時点では自社のサービスについて認知していない場合も多いため、一度サービスHPに誘導するメールや、セミナー案内メールを送るのも効果的な施策となります。
資料請求をしてくれたBランクのリードに関してはサービスについての認知は既にあるため、サービスHPに誘導をするよりも、オンライン相談会やキャンペーンを実施するなど、見込み客が相談や問い合わせをする動機をつくるためのきっかけ作りをしてあげるほうが適切でしょう。
このように、各ランクごとに適切なアプローチ施策を準備し実施していくことが、獲得したリードを成果につなげるためには必須の施策となります。
広告でのリード獲得はSランクを狙うべし
リード獲得の方法として広告施策をご紹介しましたが、初期フェーズでは「Sランクの獲得」に絞って広告運用をすることをオススメします。
リードの獲得数を考えるとついホワイトペーパーなどハードルの低いコンテンツをオファーにしがちですが、上記で解説したリードランクの引き上げは想像以上に難しい施策です。
さまざまな方法をテストして適切な引き上げ施策を見つけていくことになるため、初期フェーズではCランクなどのリードを獲得ができても、その後の成果につながらず「最終的なアポ獲得単価は高くなってしまい費用対効果が合わない」といった状況に陥りがちです。
そのため、まず広告でのリード獲得をする際には、その後の成果につながりやすいSランクうリードから狙っていくことをオススメします。
もちろん、引き上げ施策が整った際にはハードルの低いCランクリードを狙うことでリード数を最大化し最終的な成果を伸ばすことができるため、広告でもCランクを狙っていきましょう。
また、引き上げ施策が整うまでかなりの時間を要するため、ある程度投資ができる状況なのであれば初めからCランクのリードを広告で大量に獲得していきスピード感を高めていく選択肢もあります。
自社の状況に合わせて戦略を決めていきましょう。
リード獲得単価の考え方を解説
ここまでリード獲得の方法、ランク付け、引き上げ施策まで全体の流れを解説してきました。では、リード獲得には1件につきどれほどかかるものなのでしょうか?
結論は、やはり「やってみなければわからない」部分が多いです。コンテンツの魅力度にも寄りますし、広告媒体によっても変動します。
また、どれほどのリード獲得単価を目指さなければならないのかについては、企業ごとに異なるLTV、異なる経営指標があるため一概には言えません。
下記では、あくまで参考レベルでのリード獲得単価を紹介します。
- ホワイトペーパーのリード獲得単価:5,000円前後
- セミナー参加のリード獲得単価:8,000円前後
- 無料資料請求のリード獲得単価:15,000円〜30,000円
- お問い合わせのリード獲得単価:30,000円〜100,000円
ホワイトペーパーのリード獲得単価:5,000円前後
ホワイトペーパーのダウンロードに関しては、大体5,000円のリード獲得単価で取ることができます。10,000円近くかかってしまう場合には、コンテンツの内容に関して変更することをオススメします。
ホワイトペーパーの内容はダウンロード後にしかわからないため、リード獲得単価には影響してきません。そのため、タイトルを変えるだけで大きく単価が変わることも多いです。
いくつかのタイトルでテストをし、改善が見られない場合には根本の訴求から作り直しましょう。
セミナー参加のリード獲得単価:8,000円前後
セミナーは参加をしなければならない分、ホワイトペーパーをダウンロードするよりもリード獲得単価は高くなる傾向にあります。とは言え、ホワイトペーパーとその後の引き上げ率はさほど変わらない可能性が高いため、10,000円以内には抑えたいです。
無料資料請求のリード獲得単価:15,000円〜30,000円
無料資料請求の場合は「商品・サービスに興味がある、検討している」段階のリードになるため、ホワイトペーパーやセミナーと比較するとかなりリード獲得単価は高くなる傾向にあります。
お問い合わせのリード獲得単価:30,000円〜100,000円
お問い合わせの場合は、どんな商品・サービスをしているかによってかなりリード獲得単価に差が出てしまいます。
無料資料請求の場合はまだ他との比較検討のための情報収集が目的のため、資料請求をするハードルはどんなビジネスでもそこまで差は生まれません。しかし問い合わせの場合は具体的な話に進むため、導入のハードルの高さや金額が高ければ高いほどリード獲得単価も高くなる可能性が高いです。
また反対に、広告の出し方によってはリード獲得単価が大きく下がるケースもあります。例えば検索キーワードに合わせて広告を出すリスティング広告では、幅広いキーワードに出していれば単価は高くなりますが、問い合わせの意思の強いキーワードは訪問した際に問い合わせをする確率(CVR)が高くなるため、リード獲得単価は下がる可能性が高いです。
以上、リード獲得単価の考え方について解説をしましたが、結局のところはどんなコンテンツをどんな方法で届けるかによりリード獲得単価は大きく変わります。
考えるべきポイントが非常に多いため、プロの力を借りながら継続的なテスト・改善を続けていきましょう。
リード獲得とは入り口の施策。継続的なアプローチが重要になる
今回は、リード獲得とは何かから、具体的な獲得方法、分類、引き上げ施策まで一連の流れを解説しました。
重要なのは、「リード獲得とは入り口の施策」であるということです。
入り口の施策だからこそその後の全てを決める重要な施策になります。反対に、この入り口だけを作り、その後のフローをしっかりと整えることをしなければ、どれだけ素晴らしいリード獲得施策ができたとしても成果を出すことはできません。
ぜひ今回の記事がマーケティング施策全体を考えるきっかけとなっていれば幸いです。
マーケティング施策全体については「0から始めるデジタルマーケティング施策【16の手法を20,319字で徹底解説】」の記事で詳しく解説をしているので、是非ご一読いただければと思います。