【実践】ホワイトペーパーの簡単な作り方!サンプルや事例も合わせて紹介

インターネット上で見込み客の獲得を増やす手段にホワイトペーパーがあります。
「無料ダウンロード」で顧客との関係を作っていくホワイトペーパーによるコンテンツマーケティングには大きな可能性があるのです。
この記事ではホワイトペーパーの種類や作る時のポイントと手順を分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
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ホワイトペーパーとは
ホワイトペーパーは、もともとは英国の内閣が議会に提出する報告書のことでした。
その報告書の表紙が白だったことから、ホワイトペーパーと呼ばれるようになったのです。日本では通称が正式名称に格上げされて、政府刊行のアニュアルレポートを「経済白書」「交通白書」などと命題しています。
しかしマーケティング用語としては、おもにBtoBで「顧客にとって役立つ知識や情報が書かれている資料」をホワイトペーパと言っています。言い換えると「顧客がダウンロードしたくなる資料」といった感じでしょうか。
製品カタログなどの営業資料が自社製品・サービスの導入のメリットを説く「ソリューション提供側の視点」で作成されているのに対し、ホワイトペーパーは、課題解決のための客観的な情報を提供する「ソリューションの受け手側の視点」に立った資料だといえます。
ホワイトペーパーを作る目的・活用法
ホワイトペーパーをダウンロードするには、メールアドレスや代表者名、電話番号などの「受け手の情報」を入力する必要があります。提供する側はその情報をリード情報(見込み客の情報)として活用するのがホワイトペーパーの目的です。
Webサイトでコンテンツを提供するだけでなく顧客からのアクションを呼び起こす、より積極的・戦略的なコンテンツマーケティングといえます。
リード情報の活用の仕方には次のようなものがあります。
- 有益な情報を提供することで、リードとの信頼関係を築く
- 個人情報を提供する手間をいとわない関心度の高いリードを獲得する
- ハードルの低い「無料ダウンロード」を中間コンバージョン(潜在顧客を一歩踏み出させる手段)として利用し、顕在顧客にまで育成(ナーチャリング)する
- 入手したメールアドレスでメールマーケティングを行なう
- 入手した電話番号でインサイドセールス(電話営業)を行なう
ホワイトペーパーの種類
Webサイトに「無料ダウンロード」のボタンで案内されるホワイトペーパーには、次のような種類があります。
- 用語集
- 入門ガイド
- 調査レポートの解説
- 製品・サービス紹介
- 事例集
- 診断・チェックシート
- 雛形、テンプレート
用語集
業務効率化などのサービスシステムの導入を呼びかけるWebサイトのコンテンツには、導入を検討し始めたばかりの企業の担当者には意味が分からないIT用語がたくさん登場します。
このような「いまさら聞けない〇〇用語」を集めて分かりやすく解説した用語集は、勉強熱心な担当者に「ダウンロードしてみようかな」という気を起こさせるホワイトペーパーです。
入門ガイド
用語集を一歩進めた入門ガイドも、導入検討の初期段階にある担当者にアピールできます。例えば、人事管理、会計システムなどの特定の分野に、どのようなクラウドソーソングサービスがあるのかを初心者にもわかりやすく解説するホワイトペーパーなどです。
入門ガイドは客観情報の形をとりながら、自社システムの特徴やメリットを知ってもらうことができます。
調査レポートの解説
経済産業省や厚生労働省などが発表した調査レポートや集計データを、ポイントをかいつまんで分かりやすく解説するホワイトペーパーも、顧客の興味を引きます。
例えば、人事担当者は「2019年調査 企業規模別新卒就職者の5年以内の離職率」などの調査レポートには関心を持たざるを得ません。Webコンテンツで概要を解説し「詳しくはこちら」とダウンロードを促がす方法がよく用いられます。
もちろん、自社独自で行なった調査やアンケートなどのオリジナルレポートなら価値はより高くなります。ポーラ化粧品が毎年発表している「美肌県グランプリ」は人気のあるサイトコンテンツですが、そこでもBtoBの仕掛けとして、販売店向けのアプリのダウンロードを呼びかけています。
製品・サービス紹介
Webサイトで製品やサービスの概要を紹介し「今すぐ詳細を見る」「詳細はこちら」などのボタンで誘導されるホワイトペーパーです。
ダウンロードに際してあまり詳細な顧客情報を求めると「じゃ、けっこうです」となることも多いので注意が必要です。
事例集
実際に製品やサービスを導入した企業が、それをどう活用しているか、どのような効果があったかは、導入を検討している企業がいちばん欲しい情報です。
ここでも「導入事例」の概要をWebサイトで紹介し「詳細はこちら」という方法がよく使われています。
診断・チェックシート
製品やサービスの導入を検討している企業の「現状把握」や「課題抽出」のためのチェックシートを提供するホワイトペーパーです。
ふだん営業で使っている企業診断のための項目を利用して作成することができます。
雛形、テンプレート
無料ダウンロードからリード情報を得るという意味では、契約書や株主総会報告書の文例などの雛形もホワイトペーパーの1種と言えるかもしれません。アンケートなどのマーケティング・ツールのテンプレートも数多くあります。
これらはシンプルなものを無料で提供して、有料のツールの呼び水にするというものです。
ホワイトペーパーを作る際のポイント
ホワイトペーパーを作るときに心掛けたいのは次の6つのポイントです。
- 読者のペルソナを明確にする
- 一読で意味が分かる簡潔な文章で書く
- テーマを1つに絞る
- ビジュアルを活用する
- 客観的なデータ、エビデンスに基づいて書く
- 次のステップを用意する
読者のペルソナを明確にする
どんなコンテンツを作るときにも言えることですが、読者の人物像(ペルソナ)を明確にしてから制作することは「心に刺さるコンテンツ」を作るために欠かせません。
文体やビジュアル、レイアウトをペルソナに合わせることで、ターゲットがストレスなく読み進めることができます。
一読で意味が分かる簡潔な文章で書く
専門用語の多用やもって回った言い方は読者にストレスを与えて、読み進める気をなくさせます。
1文にあれもこれも詰め込まずに、結論を先に書いて、説明は一言で言い切るように心がけましょう。言い足りないからもっと説明しようと思うほど、意味の取りにくい文章になります。「〇〇など」「〇〇も」の多用はとくに気をつけないと意味がぼやけてしまいます。
テーマを1つに絞る
複数のテーマをあつかったページ数の多いホワイトペーパーは、ピントがぼけて読者に余計な負担をかけます。
テーマが複数ある場合は、それぞれについて独立のホワイトペーパーを作成し、あくまでピンポイントでターゲットに刺さる資料を目指しましょう。
ビジュアルを活用する
文字ばかりのホワイトペーパーは読みにくく理解に骨が折れるので、できるだけ写真や図表、イラストなどのビジュアルを使用しましょう。
手間と費用がかかりますが、ホワイトペーパー全体をマンガにするとダウンロード数が増えます。
客観的なデータ、エビデンスに基づいて書く
具体的な数字を使って説明し、その数字の根拠となる出典を明記することで内容に説得力が生まれます。
図表は一見して意味が分かるシンプルなものを掲載することが大切です。スクリーンショットで取った読めないような細かい文字があるグラフは、載せても意味がありません。
次のステップを用意する
ホワイトペーパーには、ターゲットが次の行動を起こすステップを設けておくことが必須です。興味を持ったターゲットが問合せしやすい仕掛けを用意しましょう。
簡単なアンケートを設けて、どこに興味を持ったかを答えてもらうのも1つの方法です。それが後のメールや電話での営業のヒントになります。
ホワイトペーパーを作るときに便利なツール
初めてホワイトペーパーを作るときは、どこから手を着けてよいか分りませんね。そんなときに便利なのが、すぐに書き込みができるテンプレートです。
書き込む内容はもちろん自分で用意しなければいけませんが、表紙や目次の体裁が準備されていて、レイアウトのパターンを選べる無料テンプレートをネットで入手することができます。
MicrosoftのWordで作る無料テンプレート
マイクロソフト社が提供するホワイトペーパーのテンプレートは、個人情報を記入する手間なく、こちらのURLから簡単にダウンロードできます。
Word形式なのでパワーポイントが使えない人でも作成ですることができます。タイトル、目次、概要のページに続いて、重要な結果、ビジュアルデータ、結論のページが用意されています。とりあえず作ってみたいというときに便利です。
fast marketingのパワポで作る無料テンプレート
fast marketing社は、パワポで作るホワイトペーパーのテンプレートをこちらのURLで無料提供しています。
テンプレートは6種類のデザインから選ぶことができ、コーポレイトカラーに合わせた色味に設定できます。デザインは初心者も使いやすいシンプルなものになっています。
実践!ホワイトペーパーの作り方
ホワイトペーパーは次のような手順で作ります。
- ホワイトペーパーの構成
- 材料を揃える
- 目次を作る
- 各章のボリューム(ページ数)を決める
- レイアウトする
- 文章を書く
ホワイトペーパーの構成
ホワイトペーパーの構成は、用語集なのか、入門ガイドなのかなどの内容によって異なります。どの種類のホワイトペーパーにも共通しているのが、「タイトル」「目次」「概要(または趣旨の説明)」と読者の次のアクションを導く「お問い合わせについて」などの仕掛けです。
本文は、読者が何を知りたいかを意識して、もっとも知りたいことを最初の章に持ってきましょう。結論(ソリューション)の概要をまず提示するのです。
次にその理由、根拠となるデータを、できるだけビジュアルを活用して示します。
最後に、読者の次のアクションを誘導する仕掛けを設けましょう。
タイトルを決める
小説家なら作品のイメージに合わせたタイトルを最後に決めるかもしれませんが、ホワイトペーパーは、何を伝えたいのが最初から決まっている(決まっていなくてはならない)のですから、タイトルは最初に決めておかなくてはいけません。
ただし最終段階で、内容をズバリと一言で表すキャッチ―なタイトルを目指して再考しましょう。
材料を揃える
作るホワイトペーパーの種類に合わせて、タイトルに合わせて、説明文、写真、図表、イラストなどの材料を揃えます。説明文の推敲は後でじっくり行うとして、とりあえず必要なものを集めましょう。
目次を作る
揃えた材料をどの順番に並べるかを決めるのが目次作りです。目次を作っているうちに全体の構成が見えてきて、加えるべき章立てや足りない材料が何かにも気づきます。
各章のボリューム(ページ数)を決める
各章の重要性や内容に応じて、割り当てるページ数を決めます。読者に負担をかけないようにできるだけ少ないページ数を心がけますが、重要なところが説明不足になるのも読者に不満感を与えます。
レイアウトする
各ページの文章、写真、図表をどこに置くかを決めるのがレイアウトです。レイアウトは文章を書く前に決めるのが重要なポイントです。文章のボリューム合わせてレイアウトするのではなく、レイアウトしたスペースに合わせて文章量を決めるのです。その方がずっと作りやすく、市販されている雑誌の編集もこの手順で作られています。
文章を書く
揃えた材料を使って、読者のペルソナを意識しながら文章を書きます。先ほど「ホワイトペーパーを作る際のポイント」で述べたように、一読で意味が分かる簡潔な文章で書くように心がけましょう。
ホワイトペーパーの事例集・サンプル・ダウンロード
ダウンロードしたホワイトペーパーを、提供側の許諾なしでその内容をご紹介することはできませんが、ダウンロード数が多いと言われるホワイトペーパーの事例を2つご紹介します。
組織改善をコンサルする「識学」のマンガ・ホワイトペーパー
企業の組織改善のコンサルタントを行なっている「識学」は、劇画仕立てのホワイトペーパーで多くのリーチ情報を獲得しています。
劇画は「部下のモチベーションを上げるのは上司の責任か?」「頑張りを褒めても業績は上がらない―してはいけない評価の仕方」など複数あり、一括ダウンロードもできます。
ダウンロードした見込み客には、定期的なメールでの情報提供や、電話でのアプローチを行なっています。
公式ホームページ: https://corp.shikigaku.jp/
新卒採用ノウハウに関するホワイトペーパー
大学生向けの求人サイトやコミュニケーションツールを運営する株式会社イオレは、採用活動を支援する企業の成功事例やノウハウをまとめた次のようなホワイトペーパーを公開しています。
- 「LINE広告で新卒採用を成功させるノウハウ」
- 「withコロナ時代の新卒採用のあり方と、効果的な集客法」
- 「主婦にブランドを認知してもらう効果的な方法とは!?」
公式ホームページ:https://www.eole.co.jp/
ホワイトペーパーの作成に果敢に挑戦してみよう!
Webサイトだけでは伸びなかったリード情報が、有益なホワイトペーパーの提供で一気に伸びることは珍しくありません。
書籍よりもコンパクトで的確にニーズに応える質の高いホワイトペーパーは、ターゲットの企業への信頼感を高めます。
コンテンツマーケティングを行なっている企業は、ぜひホワイトペーパーの作成にもチャレンジしたいものです。