難易度の高い休眠顧客の掘り起こしで成果を出すためには

こんにちは、ITプロパートナーズのマーケティングを担当している小川です。
今回は「休眠顧客の掘り起こし」について解説をします。
デジタルマーケティングでの新規顧客獲得について色々と解説をしてきましたが、新規獲得と同じく重要なのが、「休眠顧客の掘り起こし」です。
休眠顧客とは、過去に商品を購入した・サービスを利用したことがあるが、その後に長期間購入や利用が見られなかった顧客のことを指します。
それに加え、購入まで至らずに長期間接触ができていない休眠見込み客もあり、掘り起こしの考え方は同じであるため、今回の記事ではどちらの意味も込めて「休眠顧客の掘り起こし」について解説をしていきます。
目次
休眠顧客の掘り起こしの難易度は高い
まず前提として、休眠顧客の掘り起こしは難易度の高い施策になります。
「新規獲得コストよりも費用がかからないからオススメ」という主張もありますが、労力対効果まで考えるとむしろ非効率になる場合もあるため注意が必要です。
非効率な施策にしないためにも、まずは休眠顧客の種類について理解を深めていきましょう。大きく下記の4パターンに分けることができます。
- 1.単純にリピートする必要性がない
- 2.きっかけがあればリピートする
- 3.すでに商品・サービスに興味がない
- 4.一切リピートをする気がない
1.単純にリピートする必要性がない
まず、単純にリピートする必要性がない休眠顧客がいます。
当然ですが、そもそもの商品がリピート購入をするものでなければ、リピートが発生することはありませんよね。
その場合には、購入いただいたものとは別の商品・サービスのプロモーションを行うなど、新たに興味関心を持っていただく必要があります。
2.きっかけがあればリピートする
次に、きっかけがあればリピートする休眠顧客です。
こちらは比較的リピート難易度は低いでしょう。単純にこちらからの接触が少なかったことが原因の可能性がありますし、お得なキャンペーンなどのきっかけがあればリピートしてくれる休眠顧客もいます。
3.すでに商品・サービスに興味がない
すでに商品・サービスに興味がなくなってしまっている休眠顧客もいるでしょう。
この場合、もう一度興味をもってもらうためのアクションもできますが、掘り起こしの難易度はかなり高いためあまりおすすめはできません。
こちらもリピートする必要性のなかった休眠顧客と同様、別の商品・サービスのプロモーションを行い、新たに興味を持ってもらう方が効果的でしょう。
4.一切リピートをする気がない
中には、一切リピートする気がない休眠顧客も存在します。
理由としては商品・サービスに不満を持ってしまったなどで、この場合は「休眠顧客」というよりも「離反顧客」といったほうが適切かもしれません。
当然掘り起こしの期待値も低いため、離反顧客に関しては積極的に追わない方が良いでしょう。
休眠顧客の掘り起こしには新規獲得と同様の労力がかかる
以上、休眠顧客の種類について解説をしました。
単純にリピートする必要性のない休眠顧客や一切リピートをする気がない休眠顧客については、掘り起こしのハードルは非常に高いです。
その他も、接触回数を増やすことで一定数は掘り起こせるかもしれませんが、意図的に掘り起こす場合には、主に「新規キャンペーンを作りきっかけをつくる」「別商品・サービスをプロモーションする」の2通りの施策になるため、新規獲得とほとんど同様の労力がかかります。
単にメールを送れば掘り起こせるものでもなく、ハガキや封筒等でのDMでは発送費が、広告を出す場合には出稿費用がかかるため、費用対効果も新規獲得とそこまで変わらない可能性も十分にあります。
上記の状況を踏まえた上で、休眠顧客の掘り起こしについて検討しましょう。
休眠顧客の掘り起こしが必須な3つの理由
休眠顧客の掘り起こしの難易度の高さについてお伝えしました。
ここまで聞くと、「休眠顧客の掘り起こしはやらないで良いのでは?」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。
下記の理由から、休眠顧客の掘り起こしについて考えることは必須であると言えます。
- 1.新規の獲得にはいつか限界がくる可能性が高い
- 2.休眠見込み客もないがしろにしている可能性が高い
- 3.LTVは伸びず、顧客獲得コストのみが増えていく
1.新規の獲得にはいつか限界がくる可能性が高い
まず、新規の獲得にはいつか限界がくる可能性が高いです。
そうなると、休眠顧客の掘り起こしは当然必須となってきます。
また休眠顧客だけでなく、休眠見込み客、つまり既に獲得した見込み客リストをどう再利用していくか?の視点が重要になってきます。
※休眠見込み客:一度会員登録やホワイトペーパーのダウンロードなどで見込み客の情報は得たものの、その後購入に至らず長期間に渡り放置されている見込み客
2.休眠見込み客もないがしろにしている可能性が高い
前述したように休眠見込み客の再利用が重要になってくるわけですが、休眠見込み客へのアプローチは休眠顧客へのアプローチとさほど変わりません。
どちらもきっかけ作りや別商品・サービスのプロモーションなどが必要です。
しかし休眠顧客の掘り起こしができていないということは、休眠見込み客のアプローチに関しても整っていない可能性が高いです。
3.LTVは伸びず、顧客獲得単価のみが増えていく
上記で解説したことができていないと、まずLTVは伸びません。
LTV(ライフタイムバリュー)とは、1人の顧客が一生のうちに自社商品・サービスをどれだけ購入または利用してくれたのかを示す値のことです。そのため、「休眠顧客の掘り起こし」はLTVに直結します。
※LTVについては、「ライフタイムバリュー(LTV)とは?計算方法から戦略までを紹介!」で解説をしています。
当然ですがLTVが高ければ高いほど利益につながるため、企業としてはLTVをできるだけ伸ばしたいと考えるはずです。
また休眠見込み客が増えれば増えるほど、顧客獲得単価も高くなっていきます。
例えば1件のリードを獲得するために5,000円のコストがかかっており、リードからの成約率が10%だった場合、10件に1件しか決まらないため顧客獲得単価は5,000円×10件=50,000円です。
これが休眠見込み客から1件でも掘り起こされれば顧客獲得単価は25,000円になります。
このように、休眠顧客・休眠見込み客の掘り起こしがおそろかになってしまっている企業は、LTVが伸びず顧客獲得コストのみが増えていくため、徐々に先細りしていってしまうことになります。
そのため、休眠顧客・休眠見込み客の掘り起こしは、どの企業においても必須の施策なのです。
休眠顧客の掘り起こしを戦略的に進めましょう
以上のことから、休眠顧客の掘り起こしについては事業戦略的にもなるべく早い段階から整備していく必要があります。
ですが、多くの企業では新規開拓が急務なことからなかなか手をつけられていないのが現場ではないでしょうか?
当然、休眠顧客状態が長ければ長いほど掘り起こしの難易度は高くなります。そのため、ぜひ休眠顧客の掘り起こしについては新規の見込み客の集客とセットで考えて進めていきましょう。
休眠顧客の掘り起こしは「手段」ではなく「訴求」から考える
休眠顧客を掘り起こす方法としては、メール・電話・DM・広告などがありますが、「まずはできる手段からやってハイ終わり」では効果も出にくくオススメしません。
休眠顧客の掘り起こしに重要なのは「手段」ではなく「訴求」です。
どのような訴求をすれば休眠顧客を掘り起こすことができるか?を考え、手段はその後に考えましょう。
訴求の考え方について
訴求については取り扱っている商品・サービスによって変わってくるので、ここでは大枠だけ解説します。
やることはシンプルで「切り口」を変えましょう。そのためには、休眠顧客の分類が重要になります。
例えば前述したように「単純にリピートする必要性がない休眠顧客」に対しては、同じ商品・サービスについて訴求しても意味がありません。そこで、別商品・サービスのプロモーションをすることがおすすめです。
また「きっかけさえあればリピートする休眠顧客」には、特典やクーポンなどのお得訴求が効果的かもしれません。
休眠見込み客の場合は、例えば女性の休眠顧客にターゲットを絞り訴求も女性寄りに尖らせることで反応率が高まるという事例もあります。
このように考えればさまざまな切り口の訴求が考えられるため、休眠顧客の掘り起こしのアイデアが全く浮かばないということはないでしょう。あとはそれぞれを試し、自社にマッチした効果的なアプローチ方法を見つけていきましょう。
手段の考え方について
訴求について考えられたら、あとは手段です。手段はさきほどお伝えしたように、主にはメール・電話・DM・広告などが考えられます。
前提としてターゲットがよく見る媒体を選んでいただくべきですが、まずは費用のかからないメールや電話で訴求を試していくのがおすすめの流れです。
DMや広告は少なからず費用がかかるため、そもそもの訴求が合っていなかった場合にはコストの無駄遣いとなってしまいます。そのため、まずは訴求のテストをメールや電話で行いながら、効果の出た訴求をDMや広告で試していくのがセオリーとなるでしょう。
広告については休眠顧客の情報(メールアドレス)などを活用しターゲットリストを活用することで、休眠顧客のみに配信できるなどの方法が存在します。
ターゲットリストの数が少ないと効果が出なかったりと制限はあるため、広告を活用した休眠顧客の掘り起こしについてはデジタルマーケティングのプロに相談しましょう。
難易度の高い休眠顧客の掘り起こしで成果を出すためには
今回は、休眠顧客の掘り起こしについて解説をしました。
休眠顧客を掘り起こせるかどうかはLTVや顧客獲得コスト(休眠見込み客へのアプローチ)にも関わり、事業戦略における重要な施策です。
しかしその分難易度は高く、「新規顧客獲得と比べるとコストが低くなってお得だから始めよう」といった感覚で始めるものではありません。
休眠顧客の情報を整理・分類し、分類したターゲットごとに複数の訴求を考え、あたりの訴求が見つかるまで継続的に施策を試していく。このような地道な改善が必要です。
また広告を活用する場合には、広告のプロに頼らなければなりません。
ぜひ上記のことを踏まえた上で、休眠顧客の掘り起こしにコミットしていただければと思います。